負ける気せぇーへん、機械兵やし   作:長い犬

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もう誰も見てないと思いますが再開します
新生活でバタバタしてました。誠にごめんなさい
これから週一投稿です。よろしくお願いします



簡単なあらすじ

宿舎襲撃を避けるために向かい打つ
主人公メタ道具で殺されかける
それを助けたライカが狙われている⇐今ココ


9話

鉄と火薬の匂いが犇めく戦場で、一人の少女と一体の機械が大量の機械兵を相手に大立ち回りを行う。

 

機械が右腕をロケットランチャーに変形させて敵の戦線を崩壊させると、隙を与えぬ早業で少女が被害を免れた残党をショットガンで沈めていく。

 

彼女らに合図などは必要ない。弾丸が飛び散る最中、一瞬だけ目を合わせるだけで十分だった。

 

(敵の指揮官と思われる男はやった!だから後はこの残りを処理すれば………)

 

白髪の少女、ライカは常に冷静であった。バルスが敵の兵器によって停止した時は冷や汗が流れたが、それでもパニックになることは絶対になかった。

 

バルスがいなくなっても続けていた鍛練の成果が、今ライカの実力として発揮されている。あいつに置いていかれたくない、その為に死に物狂いでやった、あの日の行いは決して無駄ではなかった。

 

流れるように弾を浴びせ、バルスが出るタイミングで素早くリロード、そしてまた援護射撃を放つ。一連の行動に無駄な動作は何一つない。

 

二人だけとは思えない効率で機械兵はスクラップに変わる。しかし、ライカは油断するどころかより警戒心を強めていた。

 

(バルスは未知の大型機械兵が投入されるって言ってた。けれど、まだその影すら現れない。こっちの疲弊するタイミングを狙ってるのか、それとも………)

 

思考しながら腕は止めない。このまま継続すれば向こう側のジリ貧なのに、何故出てこない?若しくは雑魚を囮に直接宿舎に?考えてもピンと来るものはなかった。

 

だからだろう。機械兵がライカを誘い込むように配置されているのに気づけなかったのも。大型機械兵という見せ札に警戒し、路傍の石が見えていなかった。

 

やけに遮蔽物のない、開けた部分。ライカは二足歩行の機械兵を鉄屑に変えるため、そこに足を踏み入れた。

 

ダァン!

 

瞬間、発砲音が響く。その音に即座に反応して、ライカは足を動かそうとしたが、急な腹部の熱さに悶え足を踏み出せなかった。

 

「くっ………やらかした………!」

 

咄嗟に機械兵の残骸を盾にして射線から逃れる。燃えるように痛む部分を確認すると、ライカの焦げ茶色の軍服の腹部は血が染みだしてどす黒くなっていた。

 

応急措置のために軍服の腕の部分をナイフで裂き、包帯のようにして出血部分に固く巻きつける。幸い当たりどころは悪くなかったようで、すぐ死ぬことはないだろう。

 

ライカは、ギリリと己の歯を食いしばる。それは痛みを耐えるものではなく、継戦能力を失った己に対する不甲斐なさから来るものだ。

 

しかし、それ以上に怒れる者がいた。発砲音を聞きつけたバルスが、スラスターを点火させ猛スピードで駆けつけてきた。赤外線レーダーで敵の場所を把握すると、即座にロケットランチャーをその場所にぶちこんだ。撃破確認をせずに、バルスはライカのもとへ一直線に向かう。

 

バルスは煙を巻き上げないように少し遠いところでスラスターを切ると、走って近寄ってきた。

 

「ライカ!!!無事か!?」

 

「命に別状はないわ。けど、さっきまでのように戦うのは……ちょっと難しいかも」

 

ライカはバルスの焦りを宥めるように、できるだけゆっくりと語りかける。バルスは自分が高ぶっているのを自覚したのか、少し落ち着きを取り戻した。

 

「ごめんなさい……足、引っ張っちゃって」

 

「お互い様やんか、そんな謝らんといてくれ。さっきだってライカが助けてくれなかったら俺ヤバかったんやから。これでおあいこ、やろ?」

 

「……ふふ、そうね」

 

バルスの思いやりに微かにライカは笑みを浮かべる。だがそれは一瞬で、すぐさま口元を引き締めた。

 

「けれど、これからどうするの。敵はもう残り僅かだけど、あんたの言う大型がまだ来てないわよ」

 

「いや確実にこの近くにはおるはずや。けどあんなデカイ図体が隠れられるとは思わんし……。一旦、この辺りの機械兵を殲滅して………」

 

「「!?」」

 

ゴォォォォォォォォォォォオオオオオオオオ

 

二人は即座に異常な音に反応し、地面に伏せる。その直後、地面に何かが激突し土煙が舞う。跳ねるように飛び起きたバルスはライカを抱えてソレと距離を取る。

 

「これは、骨が折れそうやなぁ」

 

赤外線レーダーが搭載された目で土煙の向こう側にいる存在の正体を見て、ポツリと言葉を漏らす。

 

「バルス、敵の詳細は?」

 

「正式な名称はわからへんけど、急に空から着地して自爆兵ばらまく大型三体、ほんでその内の一体にくっついてる例の大型一体の計四体、やな」

 

「………本当に、嫌になるわね」

 

悪夢はまだ、始まったばかり。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

アカン………こらアカン………。下手したらライカ死ぬぞこれ。マジで今ばっかりは神経研ぎ澄まさなマズい。

 

気丈に振る舞ってるけどライカの顔色が悪い。土手っ腹撃ち抜かれたから苦しいやろうに、おくびにもそんな態度出そうとせえへん。ライカは立派やね。

 

けど無理は禁物や。ライカのサポートは期待でけへん。そうなりゃこれからあのデカブツたちを俺一人で片づけなあかん。

 

キツいなぁ……機械兵になった俺でもちょっと勝てるかどうか怪しい。ゲームやったらコイツらは門を狙うだけやから処理すんのは簡単なんやけど、実戦でコイツと対面したら印象がガラッと変わった。

 

馬鹿みたいな量の爆弾を一斉に発射して、辺り一面の敵を根絶やしにする恐ろしい殺戮マシーン(人)。しかも撃ち終わったら上空に飛び出し後方に下がるという、大型の癖にヒット&アウェイを仕掛ける狡猾さ。俺の同僚の三割はコイツに殺られた。

 

しかもそれが三体いるのに、ゲームだと最終日に出てくるラスボス機械兵もセットで付いてきてる。

 

よくわからん触手みたいを生やした多面体の機械兵。今までの奴らの攻撃手段は爆弾を吐いてくるのに対して、コイツは触手から謎の青い波動で攻撃してくる。原理は一切不明、実際に受けたらどうなるかも不明。謎だらけの一番困る存在や。

 

ライカを守りながらソイツらと戦う。うーんどう考えても無事でいられる気がせん。手段を選ばんかったら確かに全機撃墜できるが、その場合ライカに二次被害が及ぶからできるだけやりたくない。

 

「ねぇ、バルス。正直に聞くわ。勝てる?」

 

生前の癖で、つい頭を掻く仕草で誤魔化そうとするが、ライカはジトっとした目で俺を見つめる。ごめんて。

 

「代償アリなら勝てる。正攻法は極めて絶望的やな」

 

「代償って私のこと?」

 

「………」

 

「沈黙は肯定よ。そう、私が犠牲になれば勝てるのね」

 

「言うとくけど絶対なしやからな。そこまで機械みたいに合理的になったわけやないぞ」

 

くすりと笑いつつ、ライカは告げる。

 

「勿論自分を犠牲にするつもりなんて毛頭ないわ。あんたと私、二人揃っての帰還以外は認めない」

 

けれど、と前置きしつつ語る。

 

「現在の戦力じゃアレには勝てない。命をチップにして博打なんて打ちたくはないし」

 

「じゃあ、どうする?」

 

「本末転倒だけど、宿舎で迎え撃つわよ」

 

まあ、それしかないやろなぁ。その宿舎イベントを消すためにわざわざ出向いたのに、結局回避でけへんかったんは辛いな。

 

けど軍勢は本編より明らかに減ってる。数の暴力で来るならまだしも、デカブツだけで突破されるほど俺やライカ達は柔じゃない。

 

「ほんならすぐにでも撤退しよか」

 

「え」

 

即断即決。戦場では迷ったやつから死んでくからな。俺はライカをお姫様抱っこで抱えて、スラスターを点火させる。

 

「まさか、このまま飛ぶつもり!?」

 

「大丈夫大丈夫、大船に乗ったつもりでおったらええ」

 

「そういう問題じゃなくて「あと5秒後に飛ぶ。口閉じひんと舌噛むで」ああもう!」

 

ライカは不服そうな顔をして、素直に口を閉ざした。

 

ラスボス機械兵が触手を伸ばしてくるけどもう遅い。エンジン全開でスラスターを吹かしてその場から脱出する。トップスピードで飛んでいるが、ライカのいる部分はバリケードを改造してドーム状にしたのを展開してるから、安全面もバッチリ。

 

そうして空を駆けること数分後、俺たちは宿舎付近に戻ることに成功した。

 

「で、これからどうする?マルフーシャたちに襲撃のことを伝えるか?」

 

「そうね、宿舎にいる兵全員に知らせて物資を集めるわ。そしてやってくる大型を総動員で撃破するのよ」

 

「そうなったら俺がおるんは不味いから、光学迷彩で宿舎付近に潜んどく。ピンチやったらばれへんように助太刀するわ」

 

「あっ………そうね。そうよね………」

 

目に見えて落ち込むライカ。やめてや、まるで俺が悪いことしたみたいになるやんか。

 

「あぁ~~、けどライカも負傷してるやろ。それやったら俺と一緒に後方で待機するのもええんちゃうか?な?」

 

それだ!と言わんばかりにライカは目を輝かせる。今そんなこと言ってる場合じゃないけど、顔に出やすいライカ可愛すぎやろ。

 

「よっしゃ、取り敢えず敵襲来のこと伝えてライカは医務室行って体休めとき。俺も近くおるから」

 

「そうね、うかうかしてられないわ。早く報告しにいかなきゃ」

 

ということで一旦ライカと別れ、俺は宿舎に潜むため再び光学迷彩を起動し侵入する。

 

………宿舎襲来は避けられへんかったけど、本編とはまるで状況が異なる。本編では宿舎を数の暴力で強襲され、なんとか粘ろうとするけどほぼ全滅してしまう。けどあらかた機械兵を減らして大型だけを迎える今の状況は、余裕で勝ち目がある。

 

そうなればマルフーシャは政府のプロパガンダとして英雄に祭り上げられることもなくなるし、マルフーシャの義妹のスネジンカが民間軍事企業に入社することもなくなる。これを無事に乗りきれば、あんな不幸な結末には陥らないのではないか。

 

しかし、懸念点もいくつかある。これを乗り越えたところでカゾルミア軍の劣勢は変わらないことや、隣国とズブズブな革命軍の動きが読めなくなる。

 

総じて、これは一つの関門に過ぎぬだろう。これから先も幾度となく魔の手がこちらを掴もうと迫るだろう。

 

それがどうした。そんなことは転生したときから百も承知しとんじゃこっちは。それでもライカやマルフーシャ、妹のリシチカや他の皆に暗い結末が訪れないことを諦めきれなかったんや。

 

さあ、気を引き締めていこう。これは終わりではなく、この腐った世界で幸せを掴もうとする初めの一歩。誰にもこの歩みを止めさせへん。

 

俺はその為に生まれてきたんやからな。

 




これからもいろいろガバがあると思います
寛大な心で許して許し亭
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