負ける気せぇーへん、機械兵やし   作:長い犬

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まさかこんなものにそこまで評価してくれるとは思わなんだ。赤バーなんて初めて見ましたよ。

追記
30日じゃなくて40日でした!サーセン!
スネジンカとごっちゃになってました……


4話

どうも、年中無休の爆弾魔ことバルスです。片っ端から機械兵をスクラップにするのも終わりが見えないと飽きてくるな……。どんだけ作られてんねん。

 

カゾルミアの前線もズルズルと下がりつつある。おっかしいなぁ、この前まで今いる場所から1キロ先で防衛戦してたはずなんやけどなぁ。ていうか今いる場所でさえもうすぐ撤退しそうな気配やし。

 

むぅ……。俺が来たから粘れたとはいえ、流石に俺だけで戦線を維持できるほどの力はない。その時のカゾルミア陸軍の人数と統率力があって、プラス俺が来て初めて耐えることができたのだ。今はもう人数も統率力のどちらも駄々下がりだ。

 

そろそろ撃ちこぼしも多くなってきてる。一人にかかる負担がでかすぎて、監視の目も節穴になってしもた。門番が苦労してるやろな……。

 

……門番といえばマルフーシャの最初の仕事場ってそこだったよな。ゲーム中では特に描写されてへんから明確な場所は知らんが。

 

そろそろマルフーシャは徴兵されたかねぇ。ちょっと会ってみてぇな。実力が一番気になるし。チャレンジモードで100日は余裕で突破しそうな実力だったら、こちらも一安心できるが。

 

いや、全然できねぇわ。どれだけ力があっても辿り着くエンドがあれなら意味ねぇわ。あれがあったから、これから先苦しめられるというのに。*1

 

知ってんのに無視できるほど俺は残酷なやつになった覚えはない。宿舎に追い込まれる前に、助けに行けるようにせなあかんな。

 

取り敢えずマルフーシャの場所を把握せな話が始まらん。面倒やけど、虱潰しに門番を確かめに行くしかないなぁ。

 

……ん、待てよ?マルフーシャの上官ってライカだったよな?なら配属先も同じだよなぁ?

 

まだ生きている時に文通をしていたが、その時にこんなこと書いてあった気がする。「もうすぐ私も北部の門警備として派遣されそうよ。人員不足が更に進んだ気がするわ」ってことをよぉ?

 

そう、北部。そぉれまさにココ!思わずレボリューションと叫んでしまいそうになる運の良さだ。日頃の行いは俺を裏切らへんかったんやなって。

 

それじゃあ早速最寄りの門にイクゾー!デッデッデデデデッ(カーン)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北部検問所13番に配属されてから40日目。初めて来た頃より実戦に慣れて、機械兵の処理速度もどんどん上昇していった。どうやら私は思ったより戦えるらしい。

 

銃よりパンを触っている時間のほうが長かったから最初は不安でいっぱいだった。一応学校で習っていたから取り扱い方は知っていたが、だからといって本番でできるかなんて全くわからなかった。

 

言ったらとんでもない目に遭うので誰かに告げたことはないが、軍の人間関係も不安だった。基本軍隊は男所帯だ。そんな中で暮らさなければならないのかと思うと、少し怖かったのだ。

 

でも実際はそんなことなかった。配慮してくれたのか私の配属先は女ばかりだった。多分、配慮というより面倒なことにならぬよう男女で分けたと思うけど。

 

ある日気になった私はライカ監査官に聞いてみたのだ。どうして女ばかりなのか、と。

 

「それは考えてみれば当然のことよ。だってあなたたちは何で徴兵されたと思う?まぁそういうことよ」だそうだ。

 

それで納得した。あぁ、戦場で戦うような男はもう先に死んでしまったのだと。だから女、それも少女が多くいるのだ。

 

そう、ライカ監査官。銀のロケットと薄いブロンドヘアーが特徴の人。最初は厳しく、冷たい人だという印象を抱いていたのだが、日を追うごとにそのメッキは剥がれていった。

 

あの人、優しい!日々の言動からもそれが感じられるのだが、極め付きはあのボードだ。あれがすごく丁寧に作られているのだ。とてもわかりやすいし。

 

当の監査官は、インクを使いすぎだと叱責されたらしいが。それで泣きかけていたのでちょっと可哀想とも思った。インクくらい許してあげればいいのに……。

 

他にも戦場での立ち回りや、仲間の重要性を教えてくれたりいろいろと助言してくれるのだ。元々国内警備の憲兵らしいが、流石エリートだと実感した。

 

ウゥーーー。敵襲、敵襲。戦闘ニ備エヨ。

繰リ返ス。敵襲、敵襲。戦闘ニ備エヨ。

 

けたたましくサイレンの音が鳴り響く。あぁ、今日も来たか。さて、急いで準備しなければ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

撃つ、撃つ、撃つ。薬莢が辺りに散らばり、銃口は硝煙を常に吐き出す。一瞬火薬の光が灯る度に、機械兵は無惨な粗大ごみと化す。

 

……いつもより数が多い。最近徐々に多くなったとは思っていたが、今日は特に露骨だ。まさか前線が崩壊した?真偽は定かではないが、仮にそうだとしたらここが正念場となるだろう。

 

アサルトライフルのグリップに込める力が強くなる。私はまだ死ぬわけにはいかない。家で義妹が、スネジンカが待っているのだ。お前ら機械兵にその機会を奪われて堪るものか。

 

弾をばらまく。くっ、処理速度より敵の進行速度のほうが僅かに速い!どんどん押され始めている。

 

仕方がない。あまり使いたくなかったが、切り札を切らなければ。苦渋の決断だ。

 

鉄製のパイルバンカーを機械兵の密集している場所に向けて打ち込む!鉄の杭はごく自然に機械兵をくり貫き、数多くの機械兵を巻き込みながら進んでいく。よし、少なくともこれで拮抗状態には戻せる!

 

そんな喜びも束の間、後方からいきなり大量の爆弾が撃ち込まれた。なんだ、あの量は?尋常じゃない!

 

何とかアサルトライフルで全て撃ち落とすことができたが、全く油断できない。今までなかったタイプの敵だ。早く態勢を整えないと……。

 

急いで後方にある門に近づき、周囲を観察する。どれだ、あの爆弾を撃ってきたやつは?

 

……いた。あの中型より遥かに大きい、いわば大型がこちらを向き鎮座していた。大型の周りにはシールドの役割を果たしている、鉄の装甲が一定周期で回転している。面倒だ、攻撃が通りにくい。

 

その間も小型や中型の機械兵がどんどん距離を詰めてくる。こちらも数が多く、決して無視できない。

 

危険な状況だが、落ち着けばこの状況を脱することができる。まずは小型、中型を全滅させる。大型は脅威だが、常に爆弾を出せるわけではない。だからちまちまと攻撃してくるやつらのほうが優先度を高くする必要がある。

 

即断即決。すぐに小型、中型を破壊していく。時折大型を見ながら、攻撃の予兆を確認する。爆弾を射出するモーションをすれば撃ち落とす準備をする。この繰り返しだ。

 

徐々に、だが着実に数を減らしていく。いける!体感だが半分以上の耐久値は削れた気がする。後はこれを続けていけば……!

 

だが、それはぬか喜びだった。私の目は捉えてしまった。第二、第三の大型が近づいてくることを。

 

今私の持っている弾丸では眼前の大型と、ギリギリもう一体の大型を削れるほどの量しかない。

 

更に悪いことは続くのか、小型、中型の増援も続々到着し始めてきた。折角一掃したのにまた振り出しに戻ってしまったようだ。

 

不味い、どうしよう。ここから抜け出せるビジョンが見えない。確実に門を突破されてしまう。どうする、ああ、どうすれば?

 

考えても答えは出ず、時間が無為に過ぎていく。機械兵の足音がどんどん近づいてくる。今の私にはそれが死神の足音にしか聞こえない。

 

嫌だ、いやだ。こんなところで死にたくない!私は、絶対に生き延びたいんだ!決意を振り絞り必死に弾丸を吐き捨てていく。

 

それでも限界だったようで、機械兵の進行は止まらなかった。ああ、私の墓場はここなのか。漠然とそう思ってしまうほど絶望的だった。

 

しかし、私の予想は裏切られた。突如爆発が起こると、周りも連鎖的に爆発し始めた。威力が高いようで、一発で小型はおろか中型すら木っ端微塵に砕いていく。耐えきった大型も既に壊れかけだった。

 

援軍が来てくれたのか。そう思い味方を探すが誰もいない。あれ?明らかに軍規模の攻撃量だったのに……。

 

不思議そうにキョロキョロしていると、何処かから笑いを圧し殺すような声が聞こえた。何だ、何が起こっているのだ。

 

警戒心を最大限高め、周囲をくまなく警戒していると「いやぁ~すまんすまん」という声と共に一機の機械兵が両手を上げながら出てきた。

 

「マルフーシャがキョロキョロしてる姿が予想以上におもろくてな。すまんかった」

 

「お前は……何者だ?」

 

それは人型の機械兵だった。無数のパーツでまるで人間のような形をしている。初めて見る機械兵だ。

 

「どうも、バルスです。巷では『激甚』とかいわれてるけど知ってる?」

 

機械兵が話していることに驚く。それにこれほど人間のような話し方ができるのか。つい隣国の技術力に感心してしまうほど滑らかに話していた。

 

「……いや、知らない。見たところお前は隣国の機械兵だ。信用できる証拠がない。それに何故私の名前を知っている?」

 

「セヤナー。いやね、アレやん。アレアレ。……そう、そっちの上官!俺はライカと知り合いやねん」

 

「ライカ監査官と?」

 

ここで意外な名が飛び出てきた。ライカ上官がこの妙な機械兵と知り合い?適当に名を騙っているだけかもしれない。

 

今は対話できているが、いつ殺されるかわかったものではない。体の震えをおくびにも出さないよう、強気な態度に出る。

 

「ならばライカ監査官のことについて質問しますね」

 

「えっ?まぁ別にええけど」

 

機械兵でも素っ頓狂な声が出るのだと私は知った。

 

「では早速。ライカ監査官の趣味は何でしょう」

 

「簡単やね。手芸や。昔手袋貰ったことあってな、アレえらい嬉しかったわ」

 

「ぐっ、まあ当然ですね。次は嫌いなものです。どうぞお答えください」

 

「それも楽勝やね。密室と暑いとこには絶対あかんねんライカは。だから暑いとこは避けて、密室はできるだけ一緒に過ごすようにしてたなぁ」

 

「……なかなかやりますね。では最後です。ライカ監査官は指輪を着けていますが、それはどちらの手のどの指に着けているでしょうか?」

 

これは嘘だ。ライカ監査官は指輪なんて着けてない。銀のロケットは持っているが、それ以外の装飾品を着けているところを見たことがない。

 

これで引っ掛かるなら、捨て身で倒そう。おそらく勝てないだろうが、だからといって諦めるわけにはいかない。

 

「結婚したのか、俺以外のやつと?言うてる場合ちゃうな。記憶の限りライカは指輪なんか着けてへん。どうせ『銃を使ってるとき邪魔にしかならないわ』とか言いそうやもん」

 

「……正解です。あなたはどうやら本当にライカ監査官とお知り合いのようですね」

 

「そらそうよ。だって軍学校の同級生やし」

 

まぁこの体になる前の話やけどな、とバルスと名乗った機械兵が吐き捨てるように言った。

 

「まさか、あなたは元々人間だったんですか!?」

 

「せやで。機械兵に負けて捕虜にされてこの末路よ。隣国はカゾルミアの人間を機械兵の部品として捕らえているからな」

 

絶句した。人間を、機械の部品に?狂っている。倫理観は何処へ行ってしまったのだ。

 

「俺はまぁ、なんか意識を取り戻せたんよ。多分人型やったから死ぬ前の体の記憶が戻ってきたんかな?まあ知らんけど」

 

「……すみませんでした。そんなこととは露知らず、尋問紛いのことをしてしまうとは」

 

「いやいや、むしろ優秀やろ。流石マルフーシャやで」

 

何故かしたり顔で頷いているように見えた。機械だから表情なんか変化しないはずなのに。

 

 

 

 

*1
マルフーシャのトゥルーエンドは、仲間を見捨てて自分だけ生き残ることを強要され、最高指導者直属の部隊"溶鉄"に入るというもの。ここからマルフーシャは自己破壊的な性格になってしまう。




長くなったんで次回持ち越し

マルフーシャの元ネタ的に好きなものがうさぎというのは当然のことなのですが、やっぱ可愛すぎません?

うさぎと戯れるところを一生見せてほしい
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