負ける気せぇーへん、機械兵やし   作:長い犬

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シューティングゲームの戦闘描写ムズスギィ!


8話

辺りが橙に覆われる夕暮れ時。ある集団が宿舎に向かって真っ直ぐ進んでいた。いや、集団という言葉は正しくないかもしれない。言うなれば機械群か。

 

小型、中型、自爆兵、大型と多種多様。それに混じって人間の兵士が見られた。だがその数は機械兵と比べてあまりにも少ない。両手の指で十分数えられるものだ。

 

その僅かな数のうち、比較的若い兵士が隣にいた先輩に声をかけた。

 

「センパイ、この作戦は敵の寝床を襲うやつですよね?僕らが行く必要あるんですか?」

 

センパイと呼ばれた人物が答える。

 

「敵を壊滅させるなら俺たちの出る幕がないからか?」

 

「そうそう、それです。いつもなら機械兵送って基本的に僕らは後方待機じゃないですか。なら今回も別に不要じゃないですか?」

 

したり顔でセンパイは頷いた。

 

「ああ、そうか。そっちはまだ入ってすぐか」

 

若い兵士は困惑する。確かに自分がこの部隊に入隊したのは直近のことだが、それに何か関係があるのだろうか?

 

「折角だしこの機会に説明してあげよう。この部隊は他と違って()()を回収するんだ。だから通称『回収部隊』とも呼ばれてるんだ、ココ」

 

「捕虜、ですか」

 

「そうそう。機械兵って敵の殲滅が目的だろう?だからこういうことをするのは俺たちの役割になるんだ。態々皆殺しにするのは意味がないからね」

 

若い兵士は納得した。倫理観のある自国のことだ。憎きカゾルミアと違って、きっと丁寧に世話するに違いない。

 

「憎きカゾルミアの国民にも、慈悲を施すなんて素晴らしいですね。きっと捕虜も自国に来たら喜びますよ」

 

「……まぁ、楽にはなると思うよ」

 

「?そうですね」

 

謎に間があったのが気になったが、考えすぎだろう。若い兵士はそう思うことにした。

 

「さて、目的地はもうすぐだね。着いたら取り敢えず…」

 

突如機械群の前方が爆破し、センパイの言葉を遮った。その後も連鎖的に爆発音が響き渡る。突然の異常事態に若い兵士は固まってしまう。

 

[こちら後方指揮官!何が起きた!]

 

しかしセンパイは流石で、すぐに冷静になりトランシーバーで前方に連絡をかけた。自分も突っ立っていられない。急いで周りを警戒しなければ。

 

[こちら前方!人型の機械兵がこちらに向かって大量の榴弾をぶちまけてる!]

[人型の機械兵だと?チッ、まさかBRSか!]

[不味い!小型、中型のやつじゃ話にならねぇ!すぐに支援を]

[おい、どうした!返事をしろ!]

 

「何故ココにアレが……!クソッ、失敗作が!」

 

BRS?何の略称だろうか?それに人型の機械兵?そんなものは聞いたことがない。一体何が起きているというのか?

 

「センパイ!どうするべきですか!」

 

わからないまま行動するより、状況を理解している人に何をすべきかを聞いたほうが遥かに良いと判断した若い兵士は、センパイに問いかける。

 

「……時間を稼ぐ!一先ず後方の機械兵を全て前方に向かわせろ!お前はそれの指揮だ!」

 

「はい!」

 

「その間に俺は()()()()を持ってくる。それさえあれば人型の機械兵は無効化できる!行け!」

 

センパイはそう言うと来た道を返して走り去った。確か輜重兵の役割を果たしている中型の機械兵が着いてきていたはずだ。その中に目的のブツがあるのだろう。

 

若い兵士は走り出した。襲撃を仕掛ける側がまさか襲撃されるとは思ってもいなかった。態勢を急いで立て直さなくては。

 

轟々と悪魔の呼び声のような音に、足をすくめながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

FOOOOOOOOOO!!!!!!!!

 

やっぱり爆撃は最高だぜ!ども、バルスっす。

 

俺の持っている上級グレネードランチャーはただのグレランじゃねえ!ド級の改造が施されたドグレランだ!

 

ゲームでは上級グレネードランチャーAとして救国のスネジンカに出ている武器に似ている。そう、ダチカ様の持っているあれ。あれは一応今から三年後のカゾルミアで使われていたから、てっきりカゾルミアで開発されたものだと思い込んでいた。

 

この武器の特徴はズバリ、三発同時発射機構。一発の威力が凄い榴弾を同時に三発も飛ばせるのだ。元のグレランより小型化したので一発の威力は弱くなったが、三発合わせた威力はこちらが上だ。

 

これだけでも強いんやけど、俺にはもう一つド級の武器がある。お、丁度いい大型がおるやんけ。だったらこいつを喰らいやがれ!

 

グレランを左手に持ち替え、右腕を掲げる。すると音を立ててどんどん変形していく。細長く、直線の鉄の銃身が出来上がる。立派なロケランが完成した。そう、俺は変形できるんや!これを知ったときシンプルにかっけぇ~と思ったわ(小並感)

 

さぁ、俺の腕が火を吹くぜぇ!(物理)照準を定めて、大型に撃ち込む。瞬間、轟音を立てて周りの機械兵を巻き込んで爆破した。かぁっ~~~、たまらん!

 

「ふぅ……。燃えたろ?(イケボ」

 

「ふざけてる暇あるならさっさと撃ちなさい!」

 

ライカの叱責により勝利ポーズがキャンセルされた。ちょっとガッカリしながら他の大型にもロケランをぶちこんでいく。

 

ライカはあくまで後方からの援護をしてもらっているが、その効果が尋常ではない。秒で敵が溶けていく。

 

ライカは上級ショットガンを扱う。その為瞬間火力はグレランに次ぐものだ。しかも連射も優秀である。よくゲームのチャレンジモードではお世話になりました。

 

だが、実際のライカはもっと凄かった。威力、連射、命中率。どれも桁外れや。あのマルフーシャかそれ以上の実力を有している。

 

俺がなぎ払った敵の生き残りを、正確無比な援護で一瞬で潰している。めっちゃ頼りになるぅ!

 

圧倒的な速度で機械兵の数を減らしていく。このままいければワンチャン殲滅も夢やないで!

 

だが、上手くいっている時ほど悪いことが起きるようで。何やら仕掛けるつもりなのか陣形を組んできた。ファランクスっぽいが、少し違う。何や?何かを守ってるように見えんな……。

 

やが、そんなもん関係ないで!陣形にロケランを容赦なく叩き込む。これで消し炭になれや。

 

俺の思惑通り陣形を組んでいた機械兵は木っ端微塵となった。……こんなこと予想できてたやろ。あかん、何か見落としてる気がしてならへん。

 

「バルス、下がって!嫌な予感がする!」

 

「おう!了解」

 

ライカも同じように何かを感じ取っているみたいや。指示に従って警戒しながらライカの近くに後退しようとした。

が、できなかった。

 

足がもつれ、その場で転けてしまう。あ?何やこれ?

 

「足が動かん?」

 

「……!近くに寄るわ!少し待ってて」

 

「おおっと、それはさせないよ」

 

声と共に機械兵がライカを狙って撃つ。ライカは危なげなく物陰に隠れられたものの、距離が離れてしまい俺に近づきにくくなってしまった。

 

「いやぁ、備えあれば憂いなしとはこの事だね。念のために持ってきて良かったよ」

 

声の主が機械兵に囲まれながら出てきた。あ!アイツ!

 

「テメェ、あの時の!」

 

「久しぶりだねバルス。いや、今はBRSだったね」

 

この顔を忘れるわけがねぇ。俺を回収しに来た時の男!お前のせいで俺は……!

 

グレランを構えようとするが、腕が鉛のように重い。クソッ、思い通りに動かん!

 

「君にはだいぶ荒らされたからね。こちらも何の対策もなく放置してたわけじゃないよ」

 

対策?……アイツ何か持ってんな。何処かで見たことのある兵器や。……あ、思い出したわ。

 

「ジャミングか、それ」

 

「へぇ?よくわかったね。そうだよ、これはジャミング。お前みたいな失敗作を自由にしないために開発された兵器だよ」

 

ジャミングは救国のスネジンカで出てきた青ウェポン枠だ。俺のロケランと同じ枠で、基本青ウェポンは強力な武装なのだ。

 

効果は機械兵の動きを遅くするというシンプルなもの。大量の敵が押し寄せてきた時に便利なものだ。

 

しかしまさかここまでとは。今は指一本すら動かせる気配がない。不味いな、マジで不味い状況や。

 

「蟻みたいに無様に地べたを這いずって滑稽だね。それとお前、処分しろって指示されてるの知ってる?連合軍に連絡が行き渡ってるよ」

 

実質死刑宣告やん。俺そんな怨まれてたんか。……飼い犬に手噛まれるみたいなもんか、そりゃキレるわな。

 

「じゃ、さっさと死ねよ」

 

男の声を切っ掛けに、機械兵が一斉に射撃を開始した。

 

一発一発は軽い。俺だって機械兵や、そんな柔な身体してへん。けど、このままやとチリツモでやられる。だが俺は動かれへん。絶体絶命や。

 

あんだけ大口叩いたくせに、敵に捕まってタコ殴りにされてんのは控えめに言ってドブみたいな気分や。穴があったら入りたいわ。

 

けど感傷に浸ってる暇ちゃう。ここは恥を忍んで……。

 

「ライカ!頼むぅ!助けて!」

 

力の限り情けない声で叫んだ。

 

「こんなにすぐ頼られるとは思わなかったわよ!」

 

ライカが物陰から飛び出した。それと同時に何かを男に向かって投げた。

 

「手榴弾か。撃ち落とせ!」

 

機械兵に手榴弾を任せ、男はハンドガンをライカに向けて構える。だがライカは少しも焦っていない。

 

「残念、正確には閃光手榴弾(フラッシュバン)よ」

 

その言葉と同時に閃光が男の網膜を焼き付ける。想定していなかったのかまともに喰らった男は、苦悶の声を出して目を覆っている。

 

「がぁっ、クソ、機械兵、撃て!」

 

閃光が効いていない機械兵がライカを狙うが、そんなに簡単に当てれるほどライカは甘くない。

 

「機械兵に戦闘を任せて、鈍ってるやつに負けるわけにはいかないのよ」

 

韋駄天の如く神速で男をショットガンの射程内に入り、ジャミングごと男に弾を撃ち込んだ。

 

「しっかりしなさいよ、バルス」

 

ライカの手を借りて立ち上がる。

 

「面目ねぇわ。次から本気出す」

 

「はいはい、行動で示しなさいよ」

 

呆れているが、その手は固く結ばれている。ああ、わかっているさ。離しはしない。

 

その後、俺たちは今まで以上の勢いで機械兵の撃破を進めた。特に俺は挽回しようとひたすらロケランをぶっ放していた。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

僕はただセンパイがやられるのを眺めることしかできなかった。結局、僕は物陰に隠れて機械兵に指示を出すことしかできなかった。

 

そしてあの人型。()()されたと言っていた。センパイにだ。回収されたということは捕虜にされたのだろう。

 

まさか、そんな、あり得ない。けれどそういうことなら。自国は、とんでもないことをしてるのではないか。

 

僕は混乱していた。自国の為にカゾルミアを倒すべきという想いと、他国の人間を使って倫理観のないことをしている国が正しいのかという疑問に板挟みにされて。

 

僕はどうするべきか。もう聞く相手もいない。自分で決めなければ。

 

もしこのまま逃げ帰ったらどうなるだろう。僕は作戦を失敗した責任を取らせれるだろう。生き残りは最早僕一人だ。指揮権の渡った僕に責任がある。

 

そうなれば、僕は二度と日の目を浴びることはできないだろう。それは困る。僕には親がいるんだ。仕送りをしないと親不孝ものだ。恋人だっている。死にたくない。

 

……まだ大型のストックはある。あの人型の機械兵と女兵士のどちらかを削れば可能性がある。そうだ、僕にはまだ可能性がある!

 

どちらも僕の存在には気づいていない。距離もAKで十分狙える距離だ。いける、やれる。

 

狙うのは女兵士のほうだ。機械兵はこの武器だけでは死なない。けど女兵士は人間だ。頭なり心臓なりに当てれば確実だ。

 

残っている機械兵を僕が狙いやすくするために、バレない程度に誘導させる。……よし、いいぞ。

 

動きまわっている相手を狙うのは難しい。僕は実戦も初めてだから人なんて撃ったことがない。けど、やるしかない。やるしかないんだ!

 

そして僕は黒く冷たい武器を構えてトリガーを引いた。

 

 




隣国は機械兵に戦闘を任せてるのでカゾルミア軍より下回るイメージ

ジャミングはバルスメタです。何もできなくなっちゃいます。ライカがいなければ詰んでましたね
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