騒がしかった一日目が過ぎ、2日目を迎えた。
「慈愛の怪盗」が出たにも関わらず参加者の数が減る様子は一切ない。
ゲーム開発部は掃除をし、トキとレインは掃除をしながら盗品の行方を探した。
その時、昨日のように屋敷の照明が消える。
それに反して参加者は動揺する様子はなく至って冷静であった。
「意外とみんな動揺してないね。昨日の今日だからかな?じゃあ私達も...」
“打ち合わせ通りに”
「...絵画は私が避難させます」
そういうときレインは絵画の場所に移動する。
絵画の場所に辿り着き、絵画を安全な場所に移動させ怪盗が来ないか見張った。
しばらくすると照明がつき明るくなる。
そのあとも見張っていると先生から通信が来る。
『“レイン、話したいことができたから中庭に来て”』
「...わかった」
そうすると通信が切れる。
レインは先生に指定された中庭に向かった。
「先生、それは本当なんですか!?」
「みんな騙されてるって、誰に!?」
中庭にモモイとミドリの声が響く。
全員が集まり先生がみんなに自分たちは騙されていたと話した。
“予告状の謎を解けば真実が明らかになる、と”
「...嘘ではないでしょうか?」
「そうだよ、相手は七囚人でしょ。私たちを騙して、警備を手薄にしたいだけかもしれないよ?」
情報の出処が「慈愛の怪盗」なのもあり、全員が情報を信じられなかった。
「...ずっと引っかかってる事があって、「アンティキティラの裏側」...あの単語が出た時、明太郎さんの態度がちょっとおかしかったんです」
ミドリが気になっていたことを口に出す。
「アリス、さっきから明太郎さんの姿を見ていません」
「あ...わたしもホールや正門を見張ってたんだけど...一度も見ませんでした...」
だんだんと雇い主の明太郎の不信感が募っていく。
「予告状の中で、まだ解けていない部分はどこですか?」
トキが予告状の解けていない謎について聞く。
「「月の届かない場所、止まった舞とアンティキティラの裏側」...のところです...。ミドリ、明太郎さんの反応がおかしかった言ってたよね?」
「うん、なんか話をそらしてたような...」
するとユズは考え始める。
「もしかして?」
「あっ、これは「UZQueenモード」です!アリス、知ってます!」
“何か掴めた?”
「UZQueenモード」に入ったユズが何かを掴めたようで話し始める。
「その...確か、この屋敷には...大きなアナログ時計がある、と明太郎さんが言ってましたよね...?アンティキティラ島の機械は...天体の位置を導き出す複雑な装置...」
ユズは一呼吸入れて続ける。
「暦の計算もできるはずだから、時計の一種、とも言えると思う...」
ユズの推理を聞いた先生達はその時計の元に向かう。
先生達は大きなアナログ時計にたどり着く。
「時計と並び立つ...踊り子の像」
「...まさに「止まった舞」」
予告状の謎が解けた先生達。
「う〜ん...でも時計と像の裏には何もないよ?」
「...ここを見てください」
レインが指し示すところを見てみると模様が違うタイルを見つける。
「...どうやら、「当たり」のようですね。レイン」
「...わかった」
レインは模様が違うタイルの向きを変えて床に戻すと、
“これは...隠し階段!?”
「地下への階段のようですね」
隠し階段が現れる。
“それじゃあ...気をつけて進もうか!”
「...待ってください」
先生達は隠し階段を進もうとすると、そこにレインが待ったをかける。
「どうしましたか?」
「...この先におそらく黒幕がいます。なので挟み撃ちにされないためにも私はこの階段を見張っておきます」
「...わかりました。レイン気をつけてください」
“わかった!気をつけてね!”
先生達はそういうと隠し階段に入っていった。
レインは隠し階段に人が来ないように見張るが、だんだんと暇になり始める。
暇になったレインは近くにあった箒で遊び始める。
手のひらに乗せて落とさないようにしたり、孫悟空のように棒を回転させたりしていると、
「明太郎様から連絡があった!ここでC&Cを挟み撃ちにするぞ!」
十人ほどの警備員が先生達を挟み撃ちにするためにやってくる。
レインは遊ぶのをやめて警備員に立ち塞がる。
「...」
「メイド!?C&Cだ、総員囲め!」
レインに気づいた警備員は囲み始める。
「メイド、今すぐ降伏しろ!」
警備員はレインに降伏を勧めるが、
「おい!聞いてるのガアッ!?」
「あのメイド箒で殴りやがった!?」
レインは手に持っていた箒の柄で殴りつける。
警備員はレインを打ち始める。
すぐに近くの家具を倒してレインはやり過ごす。
レインは銃を取り出して警備員を撃ち抜いていく。
少しずつ警備員の数が減っていくと、このままではまずいと思ったのか警備員達が突撃を決行する。
「「「うおおおおお!!!」」」
警備員達がレインに殴りかかるが一人は箒でいなされ殴られ、もう一人は頭を箒の柄の部分で貫かれる。
最後の一人は箒で足を掬われ倒れ、足を破壊される。
そしてレインが警備員の頭を潰そうとする。
そんな警備員の最後の一言は、
「な、なんで...男物のパン『グシャ』ツ...」
レインはすぐにスカートを抑えて警備員の頭を潰す。
そこに、
“レイン!ついてきて!”
「こちらです」
「慈愛の怪盗」に手を引かれている先生とその後を追うゲーム開発部とトキの姿であった。
「...わかった」
レインは怪盗がいることに疑問を持ちながらも先生達の後を追った。
遅れて到着したレイン。
そこには「慈愛の怪盗」と先生達の姿であった。
「...どういう状況ですか?」
「あら?あの時のお嬢さんですね?」
レインが声をかけると怪盗が話しかけてくる。
「そういえばあなたの名前を聞くのを忘れていました。お名前はなんと言いますか?」
「...C&C所属、コールサイン05。音無レイン。...それとお嬢さんと呼ばないでください」
レインは怪盗に自己紹介する。
「...こう見えて」
「こう見えて?」
レインはチョーカー外し喉仏を見せつける。
「...男です」
「!?!?」
レインが男性の声を出しながら喉仏を見せると怪盗は驚く。
「本当に男だ...」
「流石に「慈愛の怪盗」も驚いてるね...」
ゲーム開発部もあらためて男だと認識する。
「...なぜメイド服を?」
「...聞かないでください」
怪盗が理由を聞くがレインは回答を拒否した。
“と、とりあえず話を戻そう!”
「...そうですね。確か同盟を組もうという話ですね?」
先生が話を戻す。
「ですが、先生。相手は七囚人...犯罪者です。そんな怪しい者と同盟だなんて...」
「ふふ、私は名案だと思いますよ?嗚呼でも、捻くれ者にその言葉は届かないかもしれませんけど」
トキは怪盗との同盟を拒み、怪盗はトキを煽る。
「...速やかに犯罪者の排除に取り掛かります」
“トキ!?”
トキが怪盗に飛びかかろうとする。
そんなトキを見たレインは話が進まなくなると思いトキを抱きしめて止める。
「レイン離してください!あの犯罪者を排除しなければなりません!」
“レイン、絶対に離さないでね”
トキがレインの腕の中で暴れる中、先生達が怪盗と話を進める。
レインはトキの頭を撫でて落ちつけようとする。
その後、話がまとまり怪盗がその場を去る。
「...レイン、暴れないので離してください」
「...わかった」
レインはトキを離す。
“ごめんね、勝手に話を進めちゃって”
「...いえ、元は私が暴れようとしたのが原因ですので」
トキも自分が悪かったという自覚があった。
「...先生、提案があります」
レインが先生に提案する。
「...先生達はこの件から手を引いてください」
「えっ、どうして!?」
レインの提案にモモイが声を上げる。
「...先生達が巻き込まれたのは、銅田明太郎がモモイをC&Cと間違えたからです。...なので先生達はこれ以上この件に関わる必要はありません」
“...レインとトキはどうするの?”
先生がそう聞くと。
「私とレインは、状況に応じて任務を達成します。...「慈愛の怪盗」と協力することも視野に入れて行動します。私たちからは以上です」
しかし、そんな提案を、
「いいえ、アリス達は帰りません」
アリスは断る。
「何故...?」
「トキとレインは仲間ですから!」
アリスが元気よく答える。
「ゲーム開発部は、絶対に仲間を置いていきません!」
「う、うん...こんな状況になっちゃったけど...」
「お姉ちゃんのせいで巻き込まれたのがきっかけだけど...」
「妹よ、今はその話をしなくていいんじゃ.....とにかく!二人に任せて逃げ出すわけにはいかないよ!...今は私たちもC&Cだから!」
ゲーム開発部全員がアリスに同意する。
「...」
「...そんな理由で?」
トキとレインどちらも少し困惑する。
「理由は単純で良いのだと、アリスは学びました。それとも...アリスは二人の仲間では無いのですか?」
「い、いえ...そういうわけでは...」
トキが返答に困る。
「なら、問題ありません!アリスは二人を手伝いたいです!」
「そうだね、アリスに賛成だよ」
「アリスちゃんなら、そういうと思ってた...」
全員がトキとレインを手伝いたいと賛成する。すると、
「ふふ、どうやら方針が決まったようですね?」
そこに「慈愛の怪盗」が現れる。
「...レイン、離してください」
「...暴れないか?」
レインは怪盗が現れたと同時にトキが暴れないように抱きしめた。
「ふふ、相変わらずあなたは野蛮ですね」
“君も煽るのをやめて!?”
先生もこれ以上はまずいと怪盗を止める。
とりあえずレインはトキを離さないようにする。
そして、なんだかんだ話がまとまりトキも嫌々ながらも協力することになった。
そして、
警備員「ちくしょう...なんで男なんだよ...」