知り合いはさいつよ決闘代理人   作:秘境と聖杯ダンジョン

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「次の台本のインスピレーションを刺激するために本屋に来たはいいけど、どんなのにするかすら決まってないんだよなぁ、どうしようか……。ん?この記事!『決闘代理人熱愛発覚』ぅ!?──ハッ、マズイ、周りから変な目て見られてる……ごご、ごめんよ、これ一冊買うよ……」
「フリーナ様もこういうの読まれるんですね」
「普段はあまり……ただ、載ってる人物が載ってる人物だからね……」
「はは、フリーナ様も大変ですね」
「笑い事じゃないよ!とにかく、クロリンデに確認を取らないと……」
「フリーナ?何してるの?」
「ナヴィア!いいところに、見ておくれよこれ!」
「なになに慌てないの。んーと?──はぁ!?行くよフリーナ!」
「ちょっとナヴィア!?待ってくれー!」


記者との付き合い方

先日、由々しき事態が発生してしまったので僕はスチームバード新聞社に乗り込みに来ているよ。シャルロットさんがなかなか通してくれないが、既に実力行使を実行しているよ。

 

内容?そりゃあ勿論アレよ。クロリンデさんの朝帰りの事よ。ほら、前に僕が飲み過ぎて寝落ちた時の。

丁度その日、僕とクロリンデさんが一緒に家に入るところ撮られたみたいでね。朝まで張られてたってワケさ。

 

それで書かれたのがこの記事。デカデカと僕とクロリンデさんが家に入るところの写真付きでね。

 

無敗の決闘代理人、男の家に入り浸り──朝帰りも!!

 

 

たまたま目に入って、内容読んで即走り出したね。

恋人か!?とか、連れ込み!とか、ある事ない事いっぱい書いてあった。

そんでスチームバード新聞社に乗り込んだところだよ。

 

プライバシーとか知ってる?さっさとこの記事書いたヤツ出せって言ってんの。温厚な僕でもこんなデタラメばっか書かれたら流石に怒るよ。

 

「ま、まぁまぁ、落ち着いてくださいよ」

「これが落ち着いていられると思ってますか?シャルロットさん」

「ひぇ!助けてください編集長ー!」

 

記事が出てるということは編集長がゴーサインを出したという事だよね?

なら話が早そうだね。

 

「出入口で騒がないでくれるかしら。話は聞いたわ。結論から言うけれど、記事は撤回しないわよ」

「あんなデタラメばっか書いてんのに!?」

「デタラメ……憶測は入っているかもしれないけれど、少なくとも、ここ最近クロリンデさんがあなたの自宅を頻繁に出入りしていることと、その記事にある朝帰りについては事実よね?」

 

うぐ。痛いところをつかれた。

 

「反論が無いということはそういう事でいいのよね?」

「で、ですけど──」

「それにこの状況、立派な営業妨害ですよ?私が一言言ったらこの後どうなるか、分かります?」

 

ぐぅ。いや、もし裁判になったとしても、この記事の事を証言すれば……いや、そうじゃない。もし僕が審判にかけられれば、クロリンデさんが悲しむ。それはダメだよね。

 

「……はぁ、分かりました。僕は引きます。ただ、クロリンデさんから苦情が来たら即撤回してくださいよ」

「そうして頂戴。その時が来たら考えてみるわね。シャルロット、お客様を送ってあげなさい」

「え、私ですか?」

「ええ。嫌?」

「と、とんでもない!じゃあ行きましょうか!」

 

シャルロットさんに背中を押されながら、渋々スチームバード新聞社を後にしたよ。覚えてろよ……。

そんなこんなで、シャルロットさんとカフェ・リュテスに来たよ。

 

「今回の件に関してはご迷惑おかけしてすみません。ここは私の奢りですので!コーヒーでいいですか?それともフォンタ?」

「そう思ってるなら止めてくれても良かったんじゃないですか?コーヒーで」

「私は反対したんですけどね……。すみません、コーヒーと紅茶を一つずつお願いします。クロリンデさんを取り扱う記事はもっと慎重にやるべきだと思ってますので。ただ、こういうゴシップは記者も読者も大好物ですからねぇ……私一人じゃ止められないですよ」

「はぁ……せめてクロリンデさんがこの事を知らないよう祈ろう」

 

祈るって、神様に?あの方もこういうゴシップ好きそうじゃないか?

からかわれる準備をしておこうかね。

店員さんが運んできてくれたコーヒーを一口。心が落ち着くね。

 

「それで、実際はどうなんですか?」

「実際って?」

「本当にクロリンデさんとお付き合いされていたり?」

「違いますよ。クロリンデさんとは知り合いなだけです」

「やはり変わらずの返答ですか……大変そうですね」

「大変?」

「あ、いえ。なんでもないです。じゃあ何故、最近クロリンデさんがあなたの家によく出入りしてるんですか?」

「これオフレコ?」

「私個人の質問と思って頂ければ」

「最近クロリンデさんとよく賭け事をしてるんだけど、まぁ勝てなくてね。負ける度にご飯をご馳走することにしてるだけですよ」

「ほーうなるほど……賭けの内容は?」

「秘密で」

「えー、まぁいいです。でも、それだけなら朝帰りなんてことにはならないのでは?」

「あー……それはそうですよね……」

「まさか!」

「思ってるような事は無いですよ。この前のはただ僕が酔い潰れてしまって、クロリンデさんが帰れなくなっただけです」

「そういう事だったんですか。それが傍から見たら自宅連れ込み朝帰りに見えたと」

「言い方やめてね?」

「そりゃあすっぱ抜かれますよ。クロリンデさんは有名人ですからね。もし出会したのが私でも流石に我慢できないかもしれませんね」

「反省します……」

 

ホント、飲み過ぎないようにしないと……。

 

「おや?君がシャルロットさんと一緒にいるのは珍しいな」

 

と、僕たちに声を掛けてきたのはクロリンデさん。

お昼時だし、休憩かな?

 

「こんにちは、クロリンデさん。休憩ですか?」

「ああ。私はマシナリーとは違うからな。休息は必要だ。相席してもいいか?」

「いいですよ。シャルロットさんもいいですか?」

「ええ、どうぞどうぞ」

 

僕とシャルロットさんが座っていた席は四人席なので、クロリンデさんが増えても問題ない。

クロリンデさんは席に座り、注文を取りに来た店員さんにマイカップを渡した。

 

「コーヒーを一つ頼む。それで、どうしてシャルロットさんと?」

「あー……ちょっと用事があって新聞社の方に。その帰りでたまたま一緒になりまして」

「取材がてらにお話しを聞いていました!」

 

ちょっと待って、オフレコって言ってたじゃん。

シャルロットさんの方を伺うとウィンクで返された。どっちだ。

 

「そうだったのか。でも、シャルロットさんなら安心だな。君の嫌がる事はしないだろう」

「当然です!」

 

そうかなぁ。ガツガツ来る時は来るよこの記者も。

ほら、今もめっちゃ僕に向かってウィンク飛ばしてますよ。気付いてください。

 

ん?なんか通りが騒がしいな。いつもの事だけど。

 

「それじゃあ私はこの辺で。今後ともシャルロットとスチームバード新聞社をどうぞご贔屓に!」

「考えておきますね」

「考えておくよ」

「息ピッタリですね! ではではー 」

 

シャルロットさんはともかく、他の記者はなぁ。クロリンデさんの言っていた事がよく分かったよ。

 

「あ!居た!クロリンデー!ちょっとちょっと!」

「ナヴィアぁ、待ってくれぇ……」

「ナヴィア?フリーナ様まで。どうしたんだ?」

 

カフェ・リュテスの僕たちの席まで駆け込んできたのはナヴィアさんとフリーナ様。そんな息切らしてどうしたんだろう。フリーナ様なんかもうヘロヘロじゃないか。

 

「どうしたもこうしたもないよ!この記事、もう見た!?」

「記事?」

 

そう言ってナヴィアさんは一冊の週刊誌をクロリンデさんへ渡した。とても見覚えのある表紙だ。受け取ったクロリンデさんはペラペラと内容を読み始めてしまった。

 

「あっ」

「あ、アンタも居たのね!丁度良かったわ、全部説明してもらうからね!」

「そうだぞ。これは色々と順番をすっ飛ばし過ぎだ。まずは然るべき所へ挨拶してからが筋ってものなんじゃないかい?」

「ま、待ってください。弁明を」

「問答無用!」

 

ここは正義の国なんじゃないの?

弁明の余地は無いらしい。これは私刑に当てはまったりしないのかな。しないんだろうな。

この後こってり絞られたし、何故か全員に晩御飯を作る事になったよ。




すっぱ抜かれた狩人
「許されないですよね。遺憾の意を表明してます」

すっぱ抜かれた決闘代理人
「書き方はともかく、この記事に書かれていることは事実だ。記者のやり方は気に食わないがな」

シャルロットさん
「いいネタではありますが、これも記事にはできなそうですね。今度はあの方単独取材でいきますか」

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