知り合いはさいつよ決闘代理人   作:秘境と聖杯ダンジョン

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「秋沙銭湯、ですか?」
「ああ。千織さんから割引券を貰ったんだ。しばらく稲妻に帰る予定は無いからあげる、と。どうだろうか」
「僕は全然、クロリンデさんこそ仕事はいいんですか?」
「有給が溜まっているからな。休暇を取るつもりだ」
「そうですか。でもナヴィアさんやフリーナ様を誘った方がいいんじゃないですか?」
「ナヴィアは棘薔薇の会で仕事があるそうだ。フリーナ様も忙しいと言っていたよ。それに、秋沙銭湯のサービス内容を千織さんから聞いた時、君のことが思い浮かんだんだ。勿論、無理にとは言わないが」
「そ、そうですか……じゃあこちらこそよろしくお願いします」
「では後日、旅行の行程を立てるとしよう」


稲妻旅行記(一)

という事で行くことになりました稲妻旅行。もう開国したのは知ってたからいつかは行くつもりだったけど、思ってたより早かったね。

それにまさかクロリンデさんと一緒に行くことになるなんて思いもしなかったよ。

フォンテーヌから稲妻まではとても距離があるので、道中どうするかもちゃんと考えてあるよ。

今はロマリタイムハーバーから船でスメールのバイダ港へ向かっている最中。そこから陸路や川を下ってオルモス港まで行って、オルモス港から稲妻行きの船に乗って稲妻入りの予定だよ。

 

僕としては寄りたくなかったんだけど、オルモス港までの道中でスメールシティやガンダルヴァー村に寄ることになった。

できればレンジャー長や大マハマトラと顔を合わせないで済むといいな。無理だね。

 

バイダ港に着いた……。やっぱりフォンテーヌの船は早いね。

 

「ここが、君の故郷か」

「生まれはもうちょい先の森の中ですけどね。じゃあ行きましょうか。道中リシュボラン虎が多いので気をつけてくださいね」

「誰に言ってるんだ?」

「分かってますよ。狩りすぎないようお願いしますね」

「ああ。向かってくるものだけにしよう」

 

バイダ港からスメールシティまではそんなに距離はない。日が沈む前には着いたよ。

 

「話には聞いていたが、本当に樹と一体化している街なんだな」

「フォンテーヌではまず無いですよね。スメールの森側では結構多いですよ、樹の上に村や街を作ったりとか」

「そうなのか。楽しみだな」

「今日はここで一泊ですね。宿は当てがあるので予約してきますよ。クロリンデさんはどうしますか?」

「着いていこう。知らない街で迷うのは避けたい」

「分かりました」

 

じゃあ先に宿を予約して、グランドバザールにでも行ってみるか。

宿、二部屋取れるかな……。

 

 


 

何とか二部屋予約してきたよ。

あのおばちゃん、しっかり僕の事覚えてたな……まぁいいや。

クロリンデさんにグランドバザールを案内しよう……ん?クロリンデさん、少し笑ってる?

 

「なんか面白かったですか?」

「ああいや、すまない。私の知らない君の一面が知れて嬉しかったんだ」

「……そうですか」

「ああ」

「なら、これからもっと知ることになるかもしれませんね」

「それは楽しみだな」

「ではお楽しみ第二弾、シティ案内と行きましょうか」

「おー」

 

……クロリンデさんって、こういうの乗ってくれるタイプなんだ。初知り。

 

「ここがグランドバザールです。幹の中に作られた商店街みたいなものですね」

「ほう。あちらの舞台は?」

「舞踏とか劇とか、多用途で使われるステージですね。主にズバイルシアターという劇団が管理してますよ。丁度、始まるみたいですね」

「始まる?」

「ズバイルシアターイチの売れっ子、ニィロウさんのダンスですよ」

 

ニィロウさんがステージに上がり、舞いのようなダンスを披露する。久しぶりに見たけど、当然前より磨きがかかっているね。

 

「凄く綺麗なダンスだ」

「思わず目が奪われてしまいますよね」

「フリーナ様に教えたら見たがりそうだな」

「ですね」

 

ニィロウさんはお芝居もやったりしているので、そこでもフリーナ様と話が合うかもしれないね。

 

「久しぶりだな、戻っていたのか」

 

後ろからよく知っている声が聞こえる。大マハマトラじゃん。丁度シティにいるタイミングだったかぁ。

 

「お久しぶりですセノさん」

「ああ。元気そうだな」

「お陰様で」

「そっちはお前の連れか?」

「フォンテーヌで知り合ったクロリンデさんです。クロリンデさん、こちらは大マハマトラのセノさん」

「どうも」

「ああ」

 

二人が軽く挨拶し合う。セノさんはクロリンデさんを見定めるように観察し、クロリンデさんもそれを察知して少し警戒しているみたいだね。

 

「お前が連れてきたなら危険は無いだろう。彼女もなかなか出来るようだな」

「そりゃあそうでしょう、クロリンデさんは強いですよ」

「それくらい分かる。俺と似たようなものを感じるからな。それで、お前が戻ってきた理由はなんだ?」

「いや別に故郷に戻って来るくらい良いでしょ」

「フッ……それもそうだな」

「まぁ里帰りとかじゃないんですけどね。明日ガンダルヴァー村に寄って、オルモス港から稲妻に向かう予定です」

「そうか。頑張る(ガンヴァル)んだな」

「……ククッ……フッ……」

「……?」

「もし荷物が増えるようなら駄獣を使うといい。道中はラクラクだじゅう」

「クッ……!フフッ……!」

「…………?」

 

困惑している所すみませんクロリンデさん。大マハマトラはこういう所あるんです。

 

「相変わらず、お前はよく分かっているな」

「セノさんこそ……フフッ磨きがかかってるようで……」

「ガンダルヴァー村に寄るならティナリにも顔を見せるといい。アイツも喜ぶだろう」

「そのつもりですよ」

「じゃあ俺は巡回に戻る。このナツメヤシキャンディーでも(キャ)んで久々のシティを見てまわるといい」

「ブフッ……!ど、どうも……くふっ……」

 

セノさんは僕とクロリンデさんに一つずつナツメヤシキャンディーを渡して、シティの見回りに戻っていった。

 

「……すまない、さっきの彼のアレはなんだったんだ?」

「ふぅ……あの人は結構怖がられる立場の人でね。ああやって冗談を言って場を和ませようとすることがあるんですよ」

「冗……談……?」

「ほとんどの人はクロリンデさんと同じような反応をするので気にしないでください。僕の笑いのツボが浅いだけらしいので」

「……そうか。それなりに長い間君と居たが、知らなかったよ」

「フォンテーヌにはああいうこと言う人いませんからね」

「……フォンテーヌに不穏な予言……」

「急にどうしたんですか?」

「な、なんでもない!」

 

この後バザールを一緒に見てまわり、トレジャーストリートを一周りし、酒場で晩御飯を済ませて宿に戻ったよ。

明日はガンダルヴァー村に行かなきゃいけないし、早いとこ寝よ。

 

 


 

 

早朝からガンダルヴァー村に向かって歩いているよ。何となく足取りが重いね。会わなきゃダメかなぁ。レンジャー長、ちょっと苦手なんだよな。

 

「着きましたよ。ここがガンダルヴァー村です」

「ここが……村も樹の上にあるんだな。不便では無いのか?」

「住めば都ってヤツですよ多分」

 

あ、村長さん。どうもお久しぶりです。やっぱり僕のこと覚えてた。

レンジャー長居ます?あ、死域の除去で昨日から戻ってない?戻りは多分夜?あ、じゃあいいです。僕がよろしく言ってたと伝えておいてください。

せっかく戻ったのにゆっくりしないのかって?今日は旅行の道中に寄っただけなのですぐに出ますよ。夕方にはオルモス港から稲妻行きの船に乗るんで。

それじゃあお元気で。

 

「いいのか?」

「いいですいいです。さ、行きましょうか。次はヴィマラ村から船に乗って川下りですよ」

 

ラッキー。レンジャー長に会わなくて済んだよ。

レンジャー長が苦手な理由?怒ると怖いから。理詰めで怒ってきたり、ガチ舌打ちが飛んできたりする。

 

「君は……故郷が好きではないのか?」

「そんなことは無いですよ。普通です普通。どうしてそう思ったんですか?」

「シティでも村でもあまり長居したくなさそうだったからな」

「今回はあくまで稲妻旅行のついでの寄り道ですからね。そういうのは里帰りでもすればいつでもできますから」

「そうか、ならいいんだ」

 

クロリンデさんは仕事柄、休みを取るのは難しいかもしれないけど、機会があれば今度はスメールを案内するのもいいかもしれないね。

 

 


 

 

ヴィマラ村で小舟を出してもらって、川を下ってオルモス港に着いたよ。大体計画通りだね。

 

「これは……当たり前だが、フォンテーヌの港とはまた随分と違うな」

「ここはスメールで一番大きい貿易港ですからね。稲妻行きの船、出航までまだ時間あるみたいなので少し見てまわりましょうか」

「そうしよう」

 

クロリンデさんとオルモス港の市場を見てまわり、帰りに買う皆へのお土産をいくつかピックアップしたよ。

 

「もうすぐ時間ですね。船に乗りましょうか」

「そうだな。まだ二日目だが、とても充実しているよ」

「それは良かったです」

 

なんて、スメールでの事を話しながら稲妻行きの船に乗ったよ。

到着予定は明日の昼前。楽しみだね。

 




久しぶりにスメールに帰ってきた
「思ったより変わってないようでめっちゃ変わってた。シティの人達マジで誰もアーカーシャ端末付けてないじゃん」

有給一週間分使った決闘代理人
「まだ沢山残っている。機会があれば、次は彼の案内でスメール旅行がいいと思うのだが」

割引券譲ってくれた千織屋店主
「せっかく持ってきてくれた綺良々には悪いけど、まだ帰るつもりは無いの。だから必要そうな人に譲ったわ。お礼に今度オーダーメイトの私服を注文してくれるって言ってたし、両得よね」





思ったより長続き出来て嬉しい。読んでくれてありがとうございますね。

これで恋仲じゃないってマジ?

  • 知り合いですよ
  • いや無理があるでしょ
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