知り合いはさいつよ決闘代理人   作:秘境と聖杯ダンジョン

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『服屋さんは手厳しい』の裏で繰り広げられていた話です。


女子会

フォンテーヌ邸に帰ってきた日の翌日。私は残りの休みを利用してお土産を渡す事にした。

ヌヴィレット様や公爵、シグウィンさんには公務で会うから後でいい。

シャルロットさんやリネさん達には彼から渡すと言っていたので、私から渡すのはナヴィアとフリーナ様だな。

ナヴィアはともかく、フリーナ様はご自宅に居られるだろうか。もし留守だったら劇団の方を尋ねてみるとしよう。

 

「フリーナ様、いらっしゃいますか?」

「ん?クロリンデかい?もう帰ってきたのか。早かったね」

「目的は果たせましたので」

「そうかい?なら良かった」

「今日はお土産を渡しに来ました。フリーナ様の分と、ナヴィアの分です」

「おお、丁度今日ナヴィアと会う予定だったんだ。お土産にお茶に合うお菓子とかはあるかい?」

「温泉まんじゅうですが」

「いいとも!よし、早速行こう!」

 

フリーナ様に連れられ、カフェ・リュテスに来た。既にナヴィアも待っていたようだ。

店主に私とフリーナ様の分の紅茶を頼み、ナヴィアのいる席に座った。

 

「あ、クロリンデじゃない!もう帰ったの?」

「ああ。昨日の夜にな。これが二人へのお土産だ」

「さっき言ってた温泉まんじゅうだね!あとは……木彫りのマスコット?」

「これ、なんだかあたしとフリーナに似てるね」

「スメールで人気の『アランナラ』というものだ。見た目が何となく二人に似ていたから買ってみたんだ。彼はアランナラは実在すると言っていたが、どうも見える者と見えない者がいるらしい」

「え、何それ。面白そう!今度テーブルトークシアターのシナリオに組み込めないか試してみましょ!」

「今度は不可視の生物を説得するのかい?」

「当然!」

 

ナヴィアは相変わらずだな。ゲームマスターとして無茶ぶりを振られるのも慣れてしまった。

 

「ありがとね、クロリンデ!」

「僕からも礼を。ありがとう、大事に飾らせてもらうよ」

「構わない。大事に扱ってくれるなら何よりだ」

 

ナヴィアとフリーナ様がそれぞれに似たアランナラの木彫りを抱え、話しは進む。

 

「そ・れ・で。旅行、どうだった?」

「楽しかったよ。あまりフォンテーヌから出ることの無い身だから、スメールも稲妻も新鮮だった」

「そういえばスメールにも寄るって言ってたね。彼の故郷のスメールに」

 

フリーナ様がやけに強調してくる。

私は一つため息を吐いた。どうやら彼女たちも記者と同じで、この手の話題に興味があるらしい。

 

「ああ。彼は自分についてあまり話してくれないからな。少しだけだが、スメールも案内してもらったよ」

「その話、詳しく!」

「右に同じだ!」

「では順を追って話そうか────」

 

旅行の行程を掻い摘んでナヴィアとフリーナ様に話した……。

話題が稲妻に変わり、秋沙銭湯でのことを話していると、二人から待ったがかけられた。

 

「ちょ、ちょっと待って!今の聞き間違いじゃないよね!?」

「今一緒に温泉入ったって言ったかい!?」

「ああ。向こうでは特段おかしな事でも無いらしいが」

「いやいやいや!」

「いやいやいや!」

 

……この事は話さない方が良かったか。

 

「さ、さすがに水着着て……たのよね?」

「なんだ、そういう事だったのか……」

「まあそうだ」

「ウソ!アンタの嘘くらいすぐ分かるわよ!」

「えぇええ!?」

「はぁ……ちゃんとタオルは巻いていた。恥ずかしいからあまり大声を出さないでくれ」

「こ、コホン……いやいやいやいや……流石にありえないよ」

「そうだ、まだ婚姻どころか、その前提にまで行っていないんだろう?」

「あの男、一度ぶっ飛ばしてやらなきゃダメみたいね」

「同感だ。クロリンデにここまでさせて何もアクションしないなんて」

「はぁ……二人共落ち着いてくれ。私自身、今の関係を無理に変えようとは思っていないんだ。この旅行で多少彼の背景を知って、尚の事そう思うようになった」

 

彼が眠りに着いた後、獣耳のレンジャー長から聞いた彼の昔の出来事を思い返す。

私が彼にしてあげれる事は、そんなに多くは無いだろう。良くて、彼が変わるキッカケになるかどうか。そんな事しか思い浮かばない。

だから今は、無理に変わる必要は無い。有り体な話かもしれないが、時間が解決するものもあるだろう。

 

「……そ。あんたがそういうなら、あたしはこれ以上首を突っ込まないよ」

「僕もだ。元水神として誓おう」

「そうしてくれ」

「じゃあ続きを聞かせてちょうだい!その後どうなったの?」

「気になるなぁ! 」

「はぁ……急遽営業終了のお詫びで宿を紹介してもらえたんだが、宿泊できる部屋が一つしか空いていなくてな」

「え!?」

「嘘、てことはもしや……!」

「ああ。彼と同じ部屋に泊まることにした」

「きゃー!」

「きゃー!」

 

二人からこんな声が出るとは思わなかったな。

女の子というのは、どうもこの手の話題が好きなものらしい。

当事者である私より、二人の方が楽しそうだ。




クロリンデさん
「テトシアのゲームマスターをやっている時よりため息が多かった」

ナヴィアさん
「まさかあのクロリンデからこんな歯の浮く話を聞ける日が来るとは思わなかったわ」

フリーナ様
「まさかあのクロリンデからこんなドキドキする話が出てくるなんて思いもしなかったよ」

用事終わりにカフェ・リュテスに寄ったら傘で叩かれクラバレッタさんにどつかれた人
「僕が何をしたっていうんですか?」
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