知り合いはさいつよ決闘代理人 作:秘境と聖杯ダンジョン
忘れられているかもしれないが、僕は一応末端ファントムハンター。当然フォンテーヌを守護する為に魔物退治だってする。
アベラントが多数発生して海岸を練り歩いていたという話が行商人の間で出回っててね。ファントムハンターとして放っておけないってコトで片付けに来てみれば実際はもう片付いていたというワケなんだけど。
誰がアベラントを倒したかって?僕の知り合いだったよ。拳に炎元素纏わせて魔物達をボコボコにする女性なんてテイワットには数える程しかいない。いない……よね?
「ふぅ、こんなもんか……」
「熾鬣の獅子じゃないですか。なんでここにいるんすか?」
「あぁ?あぁ、お前か。久しぶりだな。フォンテーヌに住み着いたっていうのは聞いていたが、こんな所で会うなんて奇遇だな。それと、名前で呼べって言ったろ」
「ウス、
「名前で呼べって。お前の姉になった覚えは無いぞ」
「お久しぶりです、ディシアさん。なんでフォンテーヌに?」
「商人に護衛で雇われてな。この辺はやたら魔物が多いから、駆除してる所だ」
なるほど。熾光の猟獣の腕を買われて……或いは熾鬣の獅子の腕っ節を買われてかな。
「しかし懐かしいな、いつぶりだ?」
「そんなに前じゃなかったと思いますけど」
「背ももうあたしより高くなっちまったな。前はあたしより小さかったってのに」
「少しだけでしょ。まぁそれなりに月日も経ってますしね」
「もうレンジャー長は追い越したな」
「耳込みでも負けませんよ」
ははは、と二人で笑い合う。
なんだか懐かしいノリだ、少しだけ子供に戻ったみたいな感じ。
熾鬣の獅子ことディシアさんとは師弟関係とでも言えばいいのかな。腕っ節の基礎と、悪いヤツらとの付き合い方を教わった。旅団と絡みがあるってワケじゃなくて、あくまでディシアさんから教わったってだけ。大マハマトラとの稽古が無い日はディシアさんとって感じで。
「お嬢さんはお元気ですか?」
「ドニアザードか。ああ、とても元気してる。魔鱗病が治ってから──」
「待って待って待って」
「なんだよ」
「なんだはこっちのセリフですよ。呼び捨てって何があったんですか」
「あぁ、まぁ色々な。あまり気にしないでくれ。もう雇い雇われの関係じゃないってだけだ」
「ウス」
何となく分かった。お友達になったって事か。いいんじゃないすか?あなたキャンディスさんくらいしか友達らしい友達いないでしょ。
「お嬢さん、治ったんですね」
「あぁ、本当に良かったよ」
元気すぎるくらいだ、とディシアさんは笑う。
ドニアザードお嬢さんと僕との接点はクラクサナリデビ様だよ。
お互いクラクサナリデビ様を尊敬していたり、恩があったりとか、そんな感じで。ディシアさんとの稽古の合間に何度か話した位にしか関わったことは無いけどもね。
「そうだ。この前グランドバザールで偶然クラクサナリデビ様と会ったんだけどさ」
「クラクサナリデビ様、本当に自由になられたんですね……」
「あぁ、ガンダルヴァー村やオルモス港、砂漠の方まで来られた事もあるらしい」
「意外とフットワーク軽いんだ」
「森だろうが砂漠だろうが同じスメールって尺度なのかもな。そのクラクサナリデビ様が、セノやティナリにお前のことを聞いて回ってたぞ。当然、あたしの所にも来た」
「なぜぇ……?」
本当になんで?ワケが一つも思い浮かばない。そもそもクラクサナリデビ様には旅に出る直前までちょくちょく夢の中で世話になっていたくらいで──
──まさか、別れの挨拶なしだったことを怒っていらっしゃるとか?
汗ダラダラで背中が冷たい。背筋が凍るってこういうことだったのか。
「ティナリ達には『お前は元気にしていたか?』。あたしには──いや、こっちはいいか。ともかく、お前の様子を心配していたみたいだぞ」
「……??」
理解が追いつかない。なんでクラクサナリデビ様が、僕の事をまるで家を出た子供を心配する母親みたいな感じで知り合いの人達に聞いて回ってるの?
「それにお前、今年の花神誕祭のとき帰って来なかっただろ?次の花神誕祭は顔くらい出せよ?寂しがってるからさ」
「????」
「はぁ……母ちゃんを心配させすぎんなって」
「クラクサナリデビ様は僕の母ちゃんではないですね……」
誰がなんのなに?
「まぁともかく、そういう事だ。じゃああたしはそろそろ行くとするよ。雇い主が痺れを切らすとマズイからな」
そう言い残してディシアさんはさっさと行ってしまった。
「……なんか、疲れたな。僕も帰ろ……」
クロリンデさんに癒してもらおう。
クラクサナリデビ様の事はそれが終わった後で考えればいいや……。
家に帰った僕を出迎えてくれたのは、出掛け支度をしていたクロリンデさんだったよ。
ちゃんと荷造りしてるのが凄く気になるんですけど、少し出掛けるとかの荷物じゃないですよねソレ。長期出張とかですか?泣きますよ?
「ただいま帰りました……あの、どこか出掛けるんですか?」
「あぁ、旅人の手伝いで三日ほど留守にする。家のことは任せたぞ」
おおう……。
初日は枕を涙で濡らした「長期じゃなかっただけマシと言い聞かせた」
熾鬣の獅子「あんなの誰が見たって地元を離れた子供を心配する母親だろ」
出張決闘代理人「今回は璃月にある幽境?という所に行くらしい」
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