知り合いはさいつよ決闘代理人 作:秘境と聖杯ダンジョン
自分が持つ智識やウンチクを誰かに喋りたい時ってあるじゃん。
例えば、キノコンの習性とかを無性に語りたくなったりとか。電気水晶を求めて彷徨う個体群や、なぜか炎元素を求めて動くのもいるよ。
或いは、フォンテーヌにおける野生動物の分布や魔物の大雑把な生息域から導かれる土地の生態とか。フォンテーヌ邸地区とベリル地区にやたら強い濁水幻霊がいたり、他の国でもやたら強い魔物がたまに現れるのは、その土地の元素力の濃度とかが原因なんじゃ無いかと僕は睨んでるよ。まぁ実際のところは全然わからないけど。
こんな感じのを、無性に誰かに喋りたくなる時ってあるじゃん?
ヤケ酒の深酒で完璧に酔っ払った僕がひたすらクロリンデさんのことを語ってるのもソレね。うん。
その相手が旅人さんとパイモンなのも当然だろう。
この二人のせいで僕は長いことフォンテーヌに帰れてなくて、酒場でヤケ酒なんてしてるんだもの。
「そしてね、そこでクロリンデさんなんて言ったと思う?」
「知らないぞ……っていうか、どれだけ喋る気だ!もう2時間は喋ってるぞ!」
「あと8時間は語れるね」
「語りすぎだろ!朝になっちゃうぞ!」
「まぁまぁパイモン。この人のこんな姿、滅多に見れないし良いんじゃない?そうだ、写真撮っとこう。今度ナヴィアとフリーナに会った時に見せてあげよう」
「おぉ、それはナイスアイデアだぞ旅人!」
絶賛クソ酔っ払いの僕は気前良くピースしたことを後になって後悔したよ。理由?僕が言わなくてもわかるでしょ。
僕は今、ナド・クライにいる。もうかれこれ
ナシャタウンのフラッグシップという酒場で猛烈に酔いながらクロリンデさんの話をしてるよ。
レンポ島の山々から微かに見えるフォンテーヌに想いを馳せること幾星霜。あぁクロリンデさんに会いたい。
ことの発端は
ナド・クライでは感電反応や開花反応など水元素力が必要な場面が多いらしく、戦闘補助や手数を増やせるフリーナ様に白羽の矢が立ったらしい。
そして、そのフリーナ様の護衛に選ばれたのがクロリンデさん。フォンテーヌ、というよりヌヴィレットさんがナド・クライに関する事にかなり敏感になってるらしく念の為の護衛だそう。詳細は知らないけど、なんでもマレショーセ・ファントム所属のメリュジーヌが人の捜査て来ているらしい。
フラッグシップの懸賞掲示板には棘薔薇の会の依頼もあったし、声こそ掛けなかったけど、ナシャタウンに来てから何度かリオセスリさんを見かけた。フォンテーヌ邸ですら滅多に見かけないのに。リオセスリさんが出張る程の何かがあるらしいよナド・クライ。
僕はクロリンデさんに着いてきた安いオマケだよ。スネージナヤはまだ行ったこと無い国の一つだし、行けそうな機会だったから頼んでみたらフリーナ様も旅人さんもオーケーしてくれた。
偶然にも旅人さんが欲しい水・雷・草元素使いが揃ったことに関して尋ねたら、『あわよくばとは思ってたけど、まさかこんなに上手くいくとは思わなかった』とのことだった。
ちなみに、クロリンデさんのオマケで僕が来なかった時は、開花反応のための草元素枠にクラクサナリデビ様を呼ぶつもりだったらしい。正気か?でもクラクサナリデビ様と旅人さんは仲良いからな……呼べば一緒に旅をしてしまう可能性もあるか……。
まぁそうして、旅人さんとパイモン、フリーナ様、クロリンデさん、僕、そして旅人さんと一緒にナタからナド・クライに帰ってきたというイネファさんの6人でナド・クライを旅したんだよね。
ただね。フリーナ様は予定が立て込んでて1週間しか居られなかったの。1週間経ったらフォンテーヌに帰らなくちゃっていうじゃん。フリーナ様が帰るってなると護衛兼付き添いのクロリンデさんも帰るワケで。
「あの時僕も帰りたがっだ……草元素使いならラウマさんとかネフェルさんとかもいるじゃん」
「ダメだよ。ラウマはまだ霜月の子の問題が山積みだし、ネフェルも忙しいって言ってるし。それに君の元素シールドと援護射撃、凄く便利なんだから。クロリンデも良いって言ってたし」
「お前って自己評価低いわりになんでもそつなく熟すよな」
「旅人さん程じゃないでしょ」
「もっと褒めてもいいよ」
「じゃあ褒めるから帰して……」
「それはダメ」
こうして旅人さんに引き止められ、はや
今は帰ってしまったフリーナ様とクロリンデさんの代わりにカチャカチャ・クルムカケ工房のアイノちゃんとイネファさん、そしてフリンズさんと一緒に行動することが多い。
現パーティへの文句?そういうのはナイナイ。
アイノちゃん、水元素付着やサポート
イネファさんも継続的な雷元素付着や元素シールド付与……役割被ってない?やっぱり僕要らないでしょ。あぁ、あとあの月反応?あれ凄いね。ただの感電反応より火力も範囲も優れてる。月反応って色々種類があるらしいけど、イネファさんができるのは月感電だけらしい。他の月反応も見てみたいね。
フリンズさんに関してはクロリンデさんじゃないコト以外の欠点無いよ、うん。
「あぁそうだクロリンデさんと言えばね、この前エスコフィエさんのところに料理習いに行ってたんですよ。理由がねぇ、僕に美味しい料理を食べてもらいたかったからって……可愛いでしょぉ、可愛いですよねぇ……」
「お、おう……なぁ旅人、これってオイラたちが聞いていい話か?」
「いいんじゃない?勝手に暴露してるだけだし」
「それもそうだな」
「僕はもともとクロリンデさんならなんでも好きなんですけどね」
「はいはい。水も飲んでおけよ」
パイモンから水を受け取って、手持ちのカクテルに混ぜて呑んだ。
「酒と混ぜたら意味無いだろ……」
「ダイジョブダイジョブ、全部水分だから同じ同じ。ウェンティもそう言ってたし」
「吟遊野郎の言うこと真に受けたらダメだろ!」
「そんでね、クロリンデさんすっごく強いんですよ」
「クロリンデが強いのは知ってるし、ていうか、また話が飛んだぞ……いい加減、もう休んだ方がいいんじゃないか?」
「この前の決闘ゲームもまた負けちゃって……やっぱりすごいなぁって」
その決闘ゲームのルールは『元素力無し、剣銃弓なんでもアリ、体勢を崩した後一撃を食らったら負け』だったんだけど、まぁ僕に不利なルールっていうのはさておき、『僕が剣で攻撃する瞬間を狙って、僕の剣を拳銃で撃ち抜いて
ルール不利の理由?クロリンデさんに矢は当たらない。防がれるとかじゃなくて避けられるから、体勢崩すも何も無い。しかもこっちに近づきながら最小限の動きで避けてくるし、そもそも向かい合ってよーいドンの勝負は弓矢の利がほぼ無いでしょ。
それらを踏まえて、勝つには体勢を崩さなきゃいけない以上、近接戦を強いられているんだよ。
「なんていうか、やっぱりムチャクチャだな……」
「攻撃する瞬間を狙って弾く、か……。風元素か岩元素を使えば似たような事ができるかもしれない」
「マジかよ旅人……」
「またそのあとクロリンデさんがさぁ……私の勝ちだからって──」
「いい加減にしろー!ホントに朝まで語る気か!」
「えぇ?もう朝?」
「な訳無いだろ!寝ろ!」
「ぐぅ……」
「本当に寝た!?」
パイモンの一声を聞いた直後、狩人はまるで糸が切れたかのように寝てしまった。
テーブルに突っ伏した彼の手に握られていたグラスには、見覚えのある紫色の
どこから貰ってきたんだろう。
二人はため息を吐き、勘定を済ませてから潰れてしまった狩人を部屋へ運び、自分たちも部屋に戻って休んだ。
いつまで呑んでいたかは覚えていないけど、気がついたら宿泊部屋で寝てたから多分自力で戻れるくらいで切り上げたんだと思うよ。
じゃあ今日も頑張ろう。いつかフォンテーヌに帰るために!
「なぁ旅人。こいつ、そろそろ帰してやった方がいいんじゃないか?」
「それもそうだね」
断酒宣言n回目「もう二度と呑まない」
パイモン「それ、エンジェルズシェアでもしょっちゅう言ってたよな」
旅人「望舒旅館でも言ってたよ」
旅人は空でも蛍でも大丈夫なように書いたつもりなので、好きな方を当てはめて読んでください。