知り合いはさいつよ決闘代理人   作:秘境と聖杯ダンジョン

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ポンポンの実ハンター……いったい何リンデさんなんだ……


ポンポンの実ハンター

狩りをする時、僕は大抵フォンテーヌ邸地区かエリニュス山林地区を周る事が多いんだけど、何となく今日は北の方へ足を伸ばしてみた。

フォンテーヌ運動エネルギー工学科学研究院地区の辺りだね。

遠くには重力を無視した謎建築……そもそもあれは建築物なのか?立方体の海が空に浮かび上がっているのが見える。

僕は聞きかじっただけでよく知らないが、この地区で大きな事故があったらしい。色々あって、見通しの良くなった建物、重力を無視した建築物や立方体やらがいっぱい出来上がったんだって。

そんな事故があったというのに、フォンテーヌ人達はこの地区に研究拠点やらを作って更なる研究をしているのだから、彼らの研究に対する熱意はとんでもないよね。

 

そうそう、僕がこの辺にあまり来ない理由なんだけど、単純に獲物が少ないからね。闊歩するのは事故によって主と制御を失った暴走ロボばかり。だから気分転換でたまに来るくらいが丁度いいんだ。

 

にしても、今日はマシナリーの数が少ないな。助かるけど。

このマシナリー達、科学力で再現された元素とか使ってくるのもいたりするから微妙に厄介なんだよね。クロリンデさん程の実力があれば苦戦しないのかもだけど。

 

なんて考えながら歩いていると、遠くの方で微かに、小気味のよいリズムの音が鳴っているのが聞こえた。

 

「ん?」

 

発砲音……かな?戦闘してる感じじゃないね。

だとすると、ポンポンの実ハンターさんが居るのかな。

早速僕は音の鳴る方へと歩いて向かった。

 

歩く事、数分。

見晴らしのいい高台の上に短銃を構えている女性の姿を確認した。やはり、クロリンデさんだった。

彼女はふよふよと浮かぶポンポンの実の軌道を計算し、僅かにズラして射撃を行っている。発射された弾丸が、ポンポンの実の直ぐ横を通過する。これが、最近の彼女の中でブームの射撃訓練らしい。

 

「どーもー」

「む、君か」

「相変わらずお上手ですね」

「過ぎた謙遜は美徳とは言えないな。こと獲物を撃ち抜く事に関しては、君の方が上手だろう」

「そりゃあ狩りが趣味ですし」

 

物心ついた時から弓を握っているのだ。それくらいが普通ですよ。

そうそう、僕も一度銃を扱った事があるんだけど、僕には合わなかった。大きな音、硝煙、火薬の臭い。僕の狩りには合わない。

勿論、それらを有効に活かす手段はある。実際クロリンデさんは銃を使って獲物を追い詰めたりしてるし。得手不得手というものだね。

 

「そういえば、道中マシナリーをあまり見かけなかったけど、クロリンデさんが?」

「ああ。放置しておく訳にもいかないからな」

 

暴走マシナリーの討伐依頼は、実際かなり多い。秩序を守る側であるクロリンデさんが率先して倒して回るのも理解できる。

流石は正義の守護者な決闘代理人。カッコイイぜ。

 

「マシナリー討伐のついでにポンポンの実で射撃訓練していたんですね」

「いや、逆だな。ポンポンの実を探しながらマシナリーを破壊して周っていた」

 

うーん。

ポンポンの実ハンターは健在です。

何を隠そう、クロリンデさんはフォンテーヌのありとあらゆるポンポンの実を射撃訓練と称して撃ちまくり、もはや絶滅寸前というところまで追い込んだのだ。このフォンテーヌにはあとどれだけのポンポンの実が残っていることやら。

 

「そうだ、君はポンポンの実の栽培方法を知っていたりしないか?」

「しないよ?」

「そうか……残念だ」

 

ポンポンの実、結構謎植物なんだよね。実が膨らんで不規則に浮かぶのもそうだし、弾けた実は二度と成ることはない。

不思議だ。

 

「折角なので、僕が射ってもいいですか?」

「ああ、構わない」

ハンターさんの許可も貰ったし、遠慮なく。

弓に矢を番え、三つの実が重なる瞬間──さらに。

 

「──シッ!」

 

放たれた矢は三つのポンポンの実を射抜き、丁度飛来した鳥をも撃ち落とした。

 

「流石だ」

「時間もいい感じなんで、ご飯にしましょうか」

「そうしよう」

 

これから作るのは、モンドで会った人に教えてもらった鳥肉とキノコの串焼き。

彼はそれにワイ……フルーティな香りを付けたりしていた。

それを僕なりにアレンジする。鳥肉への味付け段階で、切った果物を使ったタレに浸し、串に刺して焼いていく。

 

「ほい、完成。どうぞ」

「ああ、ありがとう。いただくよ」

「召し上がれ」

 

僕も食べよ。ん。美味い。ただ、ガイアさんが作ったものには負ける気がするなぁ。あの人なんでもそつなくこなすよね。

 

「ん、美味しい……」

 

それはどうも。クロリンデさんは美味しそうに食べてくれるから作り甲斐があるよ。

 

食べ終わった僕たちは、西からのルートを通りながらフォンテーヌ邸へ戻ったよ。

勿論、道中のマシナリーは全て倒して、その破片を冒険者協会で換金してから帰宅したよ。




弓の上手い人
「僕よりレンジャー長や甘雨さんの方が上手いよ」

騎兵隊長
「まさか剣よりも串焼きの作り方を熱心に勉強するとはな。面白いヤツだ」

特巡隊隊長
「君のその弓矢と剣の腕前があれば、特巡隊でも十二分にやっていけるだろう。ウチに来ないか?」

ポンポンの実ハンター
「やはりいちいちポンポンの実を探し回るのは不便だ。旅人なら塵歌壺の中で栽培していたりしないだろうか?」
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