知り合いはさいつよ決闘代理人   作:秘境と聖杯ダンジョン

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気にしいなので原神とwikiと公式とマップを何度も確認しながら書いてる。


先生のご襲来

今日は狩りはおやすみ。弓剣のメンテナンスを行うよ。

僕の家には小さな工房があってね、弓剣のメンテは自分で行っているよ。こんなもの、そこらの鍛冶師に見せても跳ね返されるだけだしね。

ついでだし、刃も砥いでおくか。

 

「……砥石……砥石これもうダメだな……あと他は……うっかりしてたなぁ……」

 

手入れに使う消耗品がほぼすっからかんだ。

弓剣はその構造上、砥ぐにも手間がかかるし、できれば自分でやっておきたい。

仕方ない、買いに行くか。

 

家を出て、ボーモント工房へ向かうよ。

 

「どーも、エスタブレさん」

「ああ、こんにちは。何かお困りかい?」

「弓剣のメンテナンス道具を補給しに。いつものやつと、追加で砥石もお願いします」

「あいよ、ちょっと待ってな」

 

お店の中に入っていったエスタブレさんが、新しい砥石やポーションやらメンテ用品が色々入ったマジックポケット持ってきてくれた。

 

「お代は1500モラね」

「はい、丁度」

「毎度!今度はクロリンデさんも連れて来な、サービスで二人の武器の手入れしてやるからって」

「クロリンデさんは武器の手入れは自分で全部やる方だし、僕の武器をマシンに入れたら何が起こるか」

「そりゃそうだ。じゃあ素材とメンテ用品の割引クーポンだね」

「はは、どーも。ではまた」

「おう、さようなら」

 

エスタブレさんには結構お世話になっている。なっているけど、メイン商売である武器鍛造や修理を依頼することはほとんどないので、何となく申し訳なさがある。

今後も贔屓していかなければ。

 

──と。家に向かって歩いていると、不自然な風が吹いた。ほとんどの人は気付かないであろう、自然と同じように巧みに操られた風。否、自然の風を操っているのだ。

 

「げぇ……」

 

この手法を、僕は知っている。

マジで来ちゃったのか。

 

「敬愛する師の来訪を、『げぇ』とはなんだ『げぇ』とは。せっかく遠路はるばる弟子の様子を見に来てやったというに」

「お久しぶりです、閑雲先生。弟子じゃなくて生徒ですよ」

「同じようなものだ。久しいな、息災か?」

 

あなたにとっては同じようなものでも、人間にとっては大分違うんですよ。

璃月で仙人の弟子だなんて事が広まったら大変なことになりますよ。

 

「えぇ、お陰様で。久しぶりと言っても、あなたからすればそれ程でもないのでは?」

「妾も俗世で暮らし、凡人と歩幅を併せて生活しておるからな。しばらく顔を見ていなかった者にはこう言うのだろう?」

「まぁそうですね。立ち話もなんですし、上がっていってください。お茶くらいなら出せますよ、鍾離さんほどではありませんけど」

「お前程度が帝君と茶で肩を並べられるものか。お邪魔しよう」

 

閑雲先生を家に上げ、ダイニングへ案内しお茶を淹れる。

閑雲先生は『なんだ客間は無いのか』とか言っていたが、僕の家はそんなに広くない。

 

「どうぞ、粗茶ですが」

「うむ。粗茶だな」

 

仙人が頷くレベルのものを作れる訳ないでしょう。

 

「それで、なんでわざわざフォンテーヌまで?」

「旅行だ。先日、申鶴の計らいでモンドへ旅行してな。外国旅行も悪くないと思った故、今回はこの地に飛んで来たという訳だ」

「へえ、そんな事が」

「次の旅行先にフォンテーヌを選んだ理由は……うむ、お前が居るからだ」

「いや、クロックワーク・マシナリーでしょう」

「うむ。バレてしまっては仕方ない」

 

隠す気なかったでしょうに。

 

「上空からでも興味深いものが幾つか見えた。此度はそれらを見て回るつもりだ。その間はここに滞在するつもりだからよろしく頼むぞ」

「えっ」

 

急〜。ホテル取ればいいじゃん。そもそも奥蔵山に住んでたんだからこっちでも野宿すればいいじゃん。

 

「なんだ?嫌そうな顔をするではないか」

「そりゃあ急にきて泊まらせろなんて言われたら嫌な顔くらいするでしょう」

「甘雨と申鶴はそんな事なかったが」

「申鶴さんはともかく、甘雨さんは内心どうかわかりませんよ」

「妾は気にしないぞ。だからお前も気にするな」

 

暴論。前から思ってたけど、閑雲先生の申鶴さんや漱玉ちゃんへの扱いと僕に対する扱いの差が酷すぎる。まぁ仕方ないけど。

 

「そんな事は置いておくとして、これから弓剣の手入れをするのだろう?」

「えぇ、まあ。よくわかりましたね」

「お前の荷物を見ればわかる。どれ、弟子の腕が鈍ってないか確かめてやろう」

「弟子じゃなくて生徒ですって」

 

まあここフォンテーヌだし、もう一々訂正しなくてもいいか。

なんか授業参観みたいな感じになっちゃったけど、気にしたら負けかな。さて、作業を始めよ。

 

まずは弓剣の弦の仕掛け部分の手入れから。

細かく複雑な機構ばかりなので、丁寧に慎重に作業する。

 

「ふむ……大分使い込んだようだな」

「まあ、それなりに」

「璃月に戻ったら予備のパーツを造って送ってやろう。壊れてしまってからでは遅いからな」

「ありがとうございます、助かります」

「気にするな──ん?」

 

コンコン、とドアノックの音が聞こえる。来客の予定はなかったはずだけど。

あ、先生が空から飛んできたとこ見られてたのかな?いやでも今日は月初めの三日間じゃないから大丈夫か。なんだろ。

 

「妾が出よう。お前は作業を続けていろ」

「え、いや僕が出ますよ。僕の家ですし」

「そうか?」

 

はいはいどちら様ですかーっと。

玄関のドアを開けると、クロリンデさんの姿が。

 

「こんにちは、クロリンデさん」

「こんにちは。この後空いているだろうか?」

「あー……手入れの為に弓剣をバラしているので、狩りにはいけないです」

「それなら好都合だ。いつも君に作って貰ってばかりでは悪いからな、今日は私に作らせてくれ」

 

そう言うクロリンデさんの手には、縛られた烏羽ガンと、バブルオレンジの入ったマジックポケットが握られていた。

 

「あちゃー」

「?」

「何を玄関先で騒いでおる……ん?」

 

タイミングがとても悪かった。

よりによって先生が来てる時に野鳥を狩って持ってきてしまうとは……。

以前僕が閑雲先生と弓剣の慣らしをしていた頃、鳥を狩ってその場で食べようとした事があったんだけど、その時の閑雲先生の狼狽え様といったら……どうしようか。

 

「先生、これは──」

「なんだ、逢い引きでもしようとしていたのか?それならそうとなぜ早く言わん。弓剣のメンテナンスが終わり次第、妾は出ていくとするから安心するといい」

「は?」

 

思わず声が出てしまった。

 

「いやいや先生、前僕が鳥を狩って捌いた時はあんなに取り乱してたじゃ──」

「ああ、あれな。演技だ。お前があまりに面白く狼狽えるものだから熱が入ってしまってな」

 

この仙人……。

それにクロリンデさんとはそういう仲ではない。一緒に狩りをしたりするだけのただの知り合いだよ。

 

「とりあえず、玄関先で話すのはアレなんで、上がってください。すぐお茶を出すので」

「ああ、お邪魔するよ……」

 

クロリンデさんをダイニングに案内し、烏羽ガンとバブルオレンジを受け取って、代わりにお茶を渡す。

この鳥、まだ生きてるな。気絶しているだけか。絞めは……全部クロリンデさんに任せようか。

 

「あの、この方は?」

「この前話した、弓剣作成の先生の閑雲先生。閑雲先生、この方は知り合いのクロリンデさん」

「どうも……」

「うむ……ん?何やら見覚えがあるな。以前璃月に来ておったな?」

「海灯祭の時期に行った事はありますが……何処かでお会いしましたか?」

「旅人や帝く……鍾離殿と一緒に居るところを見掛けたのを思い出しただけだ。往生堂の堂主に、もう二人、黄色いのと青いのも居たな」

「ナヴィアとフリーナ様だな。あの時か」

「え、クロリンデさん海灯祭行ってたの?」

「以前長期休暇を利用してな。私たちだけでなく、ヌヴィレット様も休暇を取って訪れていた」

「マジかぁ……知らなかった……合流したかった……」

 

前の海灯祭の時は僕も璃月に行ってたんだけど、普通に閑雲先生や申鶴さんの所で過ごしてたし、璃月港付近くらいしか散策しなかったしなぁ。

 

「君も誘おうとしたんだが、その頃にはもうフォンテーヌに居なかったんだ」

「お前は海灯祭準備期間からこっちに来ていたからな」

 

過ぎてしまったものは仕方ない……次の海灯祭に期待ということで。

 

「ふう……お茶、ご馳走様。キッチンを借りてもいいかな?」

「構いませんよ。こちらこそ、ありがとうございます」

「お互い様だよ。君の作業が終わる頃には、こっちも出来上がるだろう。期待しておいてくれ」

 

クロリンデさんが帽子を脱ぎながら、キッチンに向かっていった。なんだろう、いつもは僕が作る側だったから新鮮だな。

 

「アホ面してないでさっさと作業に戻るぞアホ弟子」

「ふごっ」

 

チョップされた。そんなに顔緩んでたかな、僕。

早いとこ手入れ終わらせて、クロリンデさんとご飯食べよ。

 

「で。実際のところ、あやつとはどれくらい進んでおるのだ?」

「さっきも言ったでしょう、ただの知り合いですよ」

 

たまに一緒に狩りをしたり、ご飯を一緒に食べたりするだけの仲です。

 

「ふむ。まあそういうことにしておくか。ほれ、手が止まっておるぞ」

「しておくも何もそういうことなんですけどね」

 

ホント、クロリンデさんと僕の間には何もないよ。

 

手早く弓剣の手入れを終わらせようとした僕は、閑雲先生の手を抜くなチョップを何度か食らいながらも、しっかりとメンテナンスを終わらせて、クロリンデさんの手料理をいただいたよ。

とても美味しい鴨胸肉のオレンジソースソテーだったよ。

できることなら毎日食べたいくらいだね。

 

 




ご飯作ってもらった人
「とても美味しかったです」

ご飯作ってあげた人
「それは良かった。君に気に入ってもらえて嬉しいよ」

閑雲先生
「妾が野営するとこの地の鳥たちを驚かせてしまうからな。弟子の家を拠点にしようと思ったが、妾が居ると邪魔だろう。今日は山の上でこの地の風を浴びてくるから妾の事は気にしなくていいぞ」

気を使われた人
「だからクロリンデさんとはそういう関係じゃないって言ってるじゃないですか」
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