食蜂操祈のお兄様   作:とんこつスープ

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今回は結絆と美琴の絡みを書いてみました。

レベルアッパーの事件の真相に少し近づく感じです。


レベルアッパーの正体

 ステイルとの戦闘の翌朝、結絆は学園都市の街を歩いていた。

 

昨夜のあった、ステイルとの戦いやインデックスの記憶消去の話が頭にこびりつき、どうにもすっきりしない気分である。

 

そんなとき、ポケットのスマートフォンが震えた。

 

画面には「御坂美琴」の名前が表示されている。

 

「おや、美琴か、どうしたんだい?」

 

『あんた、今どこにいるの? すぐに会えない? ちょっと話したいことがあるんだけど』

 

美琴の声はいつも以上に真剣だった。

 

結絆は直感的に、これはただ事ではないと感じた。

 

 

 

 待ち合わせ場所の公園に着くと、美琴はベンチに座って腕を組んでいた。

 

その表情はどこか険しく、苛立ちがにじんでいる。

 

「どうしたんだい? そんなに深刻そうな顔して」

 

「......レベルアッパーの正体がわかったのよ」

 

「本当かい?」

 

美琴は頷き、真剣な表情で続けた。

 

「レベルアッパーは音楽よ。特定の周波数を含む音を聴くことで、能力が強化される仕組みになってる」

 

「なるほど......脳に直接働きかけることで、能力のリミッターを外すわけかねえ。でも、それが安全かどうかはまた別問題だよねえ」

 

美琴は険しい表情で続ける。

 

「実際に、使用者の中には異常にハイになって暴れ出したり、変な言葉を口走ってるやつもいれば、そのまま意識を失って昏睡状態になったやつもいる。......これ以上、被害が出る前に止めなきゃいけないのよ」

 

「なるほどねえ......じゃあ、俺も協力しようかあ」

 

結絆はそう言って立ち上がる。

 

美琴は驚いたように彼を見た。

 

「......いいの?」

 

「こんな危険なものを放っておくわけにはいかないからねえ。それに......」

 

結絆は薄く笑った。

 

「こういうの、ちょっと面白そうだしねえ」

 

 

 

 二人が話していると、突然、遠くの方で爆発音が響いた。

 

「ちょっ、何よ!?」

 

美琴と結絆が音のした方へ向かうと、そこには異常にハイになった能力者が暴れていた。

 

周囲のガラスは砕け、地面にはクレーターができている。

 

「......完全にレベルアッパーの影響ね」

 

暴れているのは、炎を操る能力者のようだった。

 

その男は笑いながら手をかざし、炎の球を次々と放っている。

 

「はははっ! すげぇ、俺の能力が桁違いに強くなってる!! これがレベルアッパーの力かよ!!」

 

結絆は冷静に状況を分析した。

 

「......これは、少し厄介だねえ。能力強化の影響で、正気を失っているねえ」

 

「黙って見てる暇なんてないわよ!」

 

美琴が電撃を放とうとしたその瞬間——

 

「——っ!」

 

男が炎をブースター代わりにして、異常なスピードで動き、美琴の背後に回った。

 

「おっと、油断しすぎだぜ、お嬢さんよぉ!!」

 

「美琴!」

 

結絆は咄嗟に美琴の腕を引き、間一髪で回避した。

 

「......今の動き、尋常じゃないね」

 

「チッ、こいつ......!」

 

男は楽しそうに笑っている。

 

「ハハハ! これがレベルアッパーの力だ! お前らとは違う、圧倒的な力だ!!」

 

 

結絆は静かに目を閉じ、相手の動きを分析する。

 

(通常の能力強化だけじゃないねえ......恐らく、反射神経や動体視力も強化されているみたいだねえ)

 

次の瞬間、男が炎の弾を放った。

 

「避けられるかよ!!」

 

結絆は瞬時に身を屈め、地面を蹴って横へ跳ぶ。

 

炎の弾は背後の壁にぶつかり、爆発した。

 

「チッ、しぶといな......」

 

男が次の攻撃を仕掛けようとした瞬間、結絆は能力を発動した。

 

「......君の動き、もう読めてるよお」

 

結絆は能力によって五感を強化している。

 

そして、自身の身体操作を最適化し、敵の攻撃を避けつつ、最適なタイミングで反撃を繰り出すことができるのだ。

 

男が炎を放つと同時に、結絆は素早く動き、相手の視界から消える。

 

「なっ——!?」

 

次の瞬間、結絆は男の背後に回り込み、その腕を取った。

 

「おっと、終わりだよお」

 

結絆はそのまま男の関節を極め、一気に地面へと押し倒した。

 

「ぐあっ!?」

 

男はもがくが、完全に動きを封じられていた。

 

「......おやすみ」

 

結絆が男の首元に軽く手刀を落とすと、男は意識を失い、地面に沈んだ。

 

 

 

 結絆が男を押さえつけるのを見て、美琴はほっと息をついた。

 

「......助かったわ、ありがと」

 

「どういたしまして」

 

だが、結絆の表情はまだ晴れなかった。

 

「......美琴、これは思ったよりも深刻な問題だよお」

 

「......え?」

 

「レベルアッパーを使った能力者が次々と昏睡状態になっているのだとすれば......このまま放っておけば、もっと被害が広がる」

 

美琴もその言葉に表情を引き締める。

 

「......このまま放っておくわけにはいかないわね」

 

「そうだねえ。レベルアッパーを作った奴を突き止めて、止める必要があるねえ」

 

こうして、結絆と美琴はレベルアッパーの真相を追うことを決意した。




レベルアッパーは、共感覚性とやらを利用して使用者の脳波に干渉する音声ファイルのことですが、情報が集まり切ってないので美琴や結絆は少し違った解釈をしています。

レベルアッパーを使った能力者は適当に考えて書きました。

偏光能力を使う能力者などは裏で黒子が倒していると思います。
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