食蜂操祈のお兄様   作:とんこつスープ

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今回で、当麻の日常編は終わりです。


新しい生活

 それから少し時間がたった後、操祈は結絆のもとへ向かい、彼に相談を持ちかけた。

 

「ねえ、お兄様。これからも当麻と一緒に住みたいんだけどぉ、この部屋じゃちょっと狭いのよねぇ。だから、部屋をもっと広くしてくれないかしらぁ?」

 

操祈が甘えたような笑みを浮かべながら頼むと、結絆は少し考えた後、にやりと笑った。

 

「いいよお。部屋の構造をちょっといじれば済む話だからねえ。」

 

彼はマジックシアターの住居エリアの管理システムを操作し、操祈の部屋を拡張した。

 

瞬く間に、元々の部屋の倍以上の広さになり、新しい家具やクローゼットまでが整備される。

 

「どうかなあ?」

 

「うん、バッチリよぉ!ありがとねぇ、お兄様♪」

 

操祈は満足げに微笑み、早速部屋のレイアウトを決め始めたのだった。

 

 

 

 その頃、結絆は当麻の元へ向かっていた。

 

当麻を見つけると、結絆は朗らかに言い放った。

 

「当麻、今日から操祈の部屋で生活したらいいよお。」

 

「......は?」

 

突然の発表に、当麻は目を丸くした。

 

「おいおい、ちょっと待て。どういうことだ?」

 

「操祈がねえ、お前とずっと一緒に住みたいって言うから、部屋を広くしてあげたんだよお。だから、もう問題なし。今日から操祈の部屋で寝泊まりしていいよお。」

 

当麻は自分のこめかみを押さえ、深いため息をついた。

 

「いや、問題しかねえよ......!俺の理性が持つかどうかが心配だ......。」

 

それを聞いた結絆はクスクスと笑いながら、さらりと言った。

 

「大丈夫だよお。マジックシアターの住居エリアの各部屋は、防音設備がしっかりしてるからねえ。」

 

「そういう意味じゃねー!!」

 

当麻は叫びながら頭を抱えたが、結絆は面白そうに笑っていた。

 

彼の運命は、すでに決まってしまったようだった。

 

 

 

 現実を受け止めきれない当麻は、自身が数日前まで住んでいた寮の部屋に戻ってみた。

 

ドアを開けると、そこには驚くほど何もない空間が広がっていた。

 

ベッドも机も、衣類さえもきれいになくなっている。

 

「......嘘だよなぁ。」

 

彼は呆然としながら部屋を見渡した。

 

結絆の言葉を思い出す。

 

『今日から操祈の部屋で生活したらいいよお』と軽い口調で言っていたが、本当に寮の部屋を片付けてしまうとは思わなかった。

 

「いや、早すぎるだろ......。」

 

それでももうどうしようもない。

 

戻る場所はもう操祈の部屋しかないのだから。

 

 

 

 仕方なく当麻は操祈の部屋へ戻ることにした。

 

扉を開けると、中では操祈が楽しそうに当麻の私物を整理していた。

 

クローゼットの中に綺麗にたたまれた服が並び、本や小物もきちんと整えられている。

 

「......な、なあ、操祈、俺の荷物ってもう整理されてたりするのか?」

 

「もちろんよぉ♪これで当麻も正式にここに住むって感じねぇ。」

 

操祈は満足そうに微笑んでいた。

 

「ちょっと待て!俺の荷物全部見たのか!?見られちゃまずいものが......!」

 

慌てて自分の私物が詰まっている箱を探そうとするが、操祈は何事もなかったかのように言った。

 

「当麻が持ってたエロ本なら、ぜーんぶ処分しておいたわよぉ。お兄様の言っていた通り、当麻は年上のお姉さんものが好きなのねぇ......」

 

「............。」

 

当麻はその場に崩れ落ちた。

 

「あぁ、俺の青春が......。」

 

「ふふっ♪かわいい彼女がいるんだからぁ、もうそんなの必要ないでしょぉ?」

 

「いや、そういう問題じゃなくて......!」

 

操祈は楽しそうに笑いながら、さらに片付けを続ける。

 

自分の秘密が全てバレてしまった当麻は、頭を抱えながら深いため息をつくしかなかった。

 

 

 

 当麻は頭を抱えたまま、操祈の視線を避けようとしていた。

 

しかし、操祈はニヤニヤと微笑みながら、当麻の顔をじっと見つめている。

 

「ねぇねぇ、当麻ぁ。私、エロ本の中身、ちょっと覚えてるのよねぇ」

 

「うわぁ!もうその話は掘り返さないでくれ!」

 

「でもぉ、結構気になることがあったのよねぇ」

 

操祈は口元に指を当てながら、楽しそうに考え込むような仕草を見せた。

 

「たしか......変なメイド服が載ってたわよねぇ?」

 

「うおぉ、やめろぉ!」

 

当麻は顔を真っ赤にしながら、全力で否定しようとしたが、操祈の目は完全に輝きを増していた。

 

「ふぅん......つまりぃ、当麻はメイド服に興味がある、と」

 

「ち、違う!そういうわけじゃなくて!」

 

「でも、見てたのは事実よねぇ?」

 

「ぐっ......!」

 

当麻は返す言葉を失い、肩を落とした。そんな彼を見て、操祈は満足そうに微笑む。

 

「そうと決まれば......ねぇ、お兄様ぁ?」

 

操祈は嬉しそうにスマートフォンを取り出し、結絆に通話をかけた。

 

『おー、どうしたんだい操祈?』

 

「ねぇ、ちょっとお願いがあるんだけどぉ」

 

『んん?どんなお願いかなあ?』

 

「メイド服を用意してほしいのよねぇ」

 

『......ほほう』

 

通話の向こうで、結絆が何かを悟ったような声を出す。

 

『もしかして、当麻のために?』

 

「そうなのよぉ。ちょっとねぇ、当麻がメイド服に興味があるみたいだからぁ♪」

 

「やめろおおおお!!」

 

当麻は叫んだが、操祈は完全に楽しんでいる様子だった。

 

『わかったよお。ちょっと良いメイド服、用意しておくねえ♪』

 

結絆がそう言った瞬間、当麻は絶望した。

 

「俺の平穏な生活は......もう終わりかもしれない......」

 

 

 

 操祈の頼みを受けた結絆は、さっそく彼女の希望するメイド服を手配していた。

 

学園都市には多種多様な服を扱う業者が存在するが、今回のような特殊なデザインとなると、通常のルートでは手に入らない。

 

幸いにも結絆は「ドリーム」のトップとして、あらゆるコネクションを持っており、その気になればどんな衣装でも用意できる。

 

そして数時間後、結絆は操祈の部屋を訪れ、手にした箱を差し出した。

 

「はいよお、特注品の堕天使エロメイド服、ちゃんとご要望通りのデザインにしておいたよお」

 

操祈は目を輝かせながら箱を開けた。そして中に収められた衣装を取り出し、満足そうに微笑む。

 

「わぁ、すっごく可愛いじゃない♪」

 

そこには、黒を基調としながらも随所に白いフリルが施され、胸元が大胆に開いたデザインのメイド服が収められていた。

 

さらに、天使のわっかを模したカチューシャや、小さくも精巧な天使の羽が付いており、まさに「堕天使エロメイド服」と呼ぶにふさわしい姿だった。

 

「お兄様、さすがねぇ。こんなに素敵な服をすぐに用意できるなんて♪」

 

「まあ、俺のコネならこんなもんだよお。それにしても......」

 

結絆は箱の中身を確認しながら、にやりと笑った。

 

「当麻って、こういうのが趣味なんだねえ。いやあ、いい趣味してるじゃないのお」

 

「ちょっ、待て!俺はそんなこと言ってないぞ!」

 

操祈はにっこりと笑いながら、当麻の方を見つめる。

 

「でもぉ?当麻の隠してたエロ本には、こういうメイド服が載ってたのよねぇ?まさか、本当に興味があったんじゃないのぉ?」

 

「だからその話はもう掘り返さないでくれ!」

 

当麻は顔を真っ赤にしながら頭を抱えた。

 

しかし、操祈と結絆の視線は、完全に「確定事項」と言わんばかりに彼を見つめていた。

 

「いやいや、これを操祈が着るなら、当麻は大喜びだと思うよお?」

 

「もうやめてくれ......俺の精神が持たねぇ......」

 

当麻は全力で否定しようとしたが、操祈は衣装を抱えながら楽しそうに微笑んでいた。

 

「じゃあ、さっそく着てみよっかなぁ♪」

 

「やめてくれぇぇぇ!!!」

 

当麻の叫び声がマジックシアターの住居エリアに響き渡ったが、防音設備がしっかりしているため、外には一切漏れることはなかった。

 

 

 

 食蜂操祈は、自室の鏡の前でそっと髪を整えた。

 

淡いピンクの照明が、彼女の肌を優しく照らす。

 

彼女の身を包むのは、黒と白のコントラストが際立つ堕天使エロメイド服。

 

胸元は大きく開いており、肩のフリルが可愛らしさを演出している。

 

スカートは短めで、ふとももが強調される絶妙なデザインだった。

 

「......ふふっ♪これを見せたらぁ、当麻はどんな顔をするのかしらぁ?」

 

少し悪戯っぽく微笑みながら、操祈は深呼吸をしてから部屋の扉を開けた。

 

「お待たせぇ。当麻♪」

 

その声に振り向いた上条当麻の動きが止まる。

 

ぱちくりと瞬きをしたあと、操祈の姿を目にして一気に顔が赤くなった。

 

「なっ......!?お、お前、その格好......!」

 

当麻はあからさまに目を逸らし、そわそわと視線を泳がせる。

 

「どうしたのぉ?せっかく見せてあげてるんだから、ちゃんと見なさいよぉ?」

 

操祈はゆっくりと当麻に歩み寄る。

 

そのたびに、スカートのフリルが揺れ、わずかに露出する太ももが艶めかしい。

 

「お、俺は......その......いや、見てるけど......!」

 

当麻は必死に平静を装おうとするものの、操祈の姿が目に入るたびに、顔の熱がますます上がっていくのが分かる。

 

「んふふっ♪いつも恥ずかしがるくせに、ちゃんと見てるじゃなぁい。当麻って、結局は変態さんなのよねぇ?」

 

操祈が甘えるような声で囁くと、当麻はさらにしどろもどろになった。

 

「ち、違う!俺はただ、その......お前が、可愛いから......っ!」

 

思わず口をついて出た言葉に、自分で驚いたように当麻は口をつぐむ。

 

「ふぅん?」

 

操祈の表情が一瞬驚きに変わるが、その後、彼女はゆっくりと微笑んだ。

 

そして、両手を顔の前で組み合わせ、小さなハートの形を作る。

 

「じゃあ......ご褒美なんだゾ☆」

 

操祈は可愛らしくウインクをした。

 

その瞬間、当麻はまるで爆発したかのように顔を覆った。

 

「ぐあぁぁぁぁっ!?お前、それは反則だろぉぉぉ!!」

 

ゴロンとベッドに転がり、身悶える当麻を見て、操祈は楽しそうに笑った。

 

「んふふっ♪やっぱり当麻は、可愛いわねぇ♡」

 

その夜、操祈のいたずら心は、存分に満たされたのだった。




次回からは、エンデュミオン編になります。
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