食蜂操祈のお兄様   作:とんこつスープ

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才人工房のメンバー達は次回から出ます。


レベル5への道のり

才人工房の研究室。

 

食蜂結絆は、橘博士の前で腕を組みながら椅子に座っていた。

 

彼の表情には珍しく真剣な色が浮かんでいる。

 

「結絆、君の能力開発は順調よ。このままいけば、もうすぐレベル5に到達できそうね」

 

橘はモニターを操作しながら、データを確認していた。

 

結絆の成長速度は驚異的で、既存のレベル4の枠を完全に超えていた。

 

「そろそろ、レベル5ってわけかなあ?」

 

結絆は軽く笑いながらも、その瞳には確かな自信が宿っていた。

 

「ええ。あと少しで、学園都市でも指折りの能力者の仲間入りよ」

 

その時、部屋の隅に設置されたモニターがニュース速報を伝えた。

 

『速報です。本日、試験飛行中だった次世代旅客機オリオン号が、学園都市23区の空港に不時着し、機体が炎上しました。しかし、幸いにも死傷者は0とのことです』

 

「へえ、なかなかの奇跡だねえ」

 

結絆はモニターを見ながら呟いた。

 

「普通なら大惨事になっていたはず......何か裏がありそうね、科学では説明できないような......何かが」

 

橘も画面を見つめ、何かを考え込んでいた。

 

結絆はそんな彼女を見て、面白そうに微笑む。

 

「ま、とりあえずはレベル5を目指すのが先決かなあ?」

 

橘博士は微笑みながら頷いた。

 

「そうね、あなたならきっと成し遂げられるわ」

 

研究室には静かな熱気が漂っていた。

 

 

 

 場所は変わって、薄暗い倉庫の中、結絆は静かに立っていた。

 

「ようこそ、食蜂結絆......。ここがお前の墓場になる」

 

目の前に立つのは、黒いローブをまとった男。

 

彼の名は『ヴェノム』。

 

毒を操る能力者であり、暗部の中でも危険視されている人物だった。

 

「毒で暗殺とは、なかなか陰湿だねえ」

 

結絆が軽口を叩いた瞬間、ヴェノムが手を振るう。

 

「お前の存在を恐れてるやつからの依頼でな、悪く思わないでくれ」

 

空気が揺れ、目に見えない猛毒が広がった。

 

「ぐっ......!」

 

結絆の喉が焼けるように熱くなり、視界が霞む。

 

筋肉が痙攣し、体が鉛のように重くなった。

 

「ふふ、どうだ? この毒は神経を麻痺させ、全身を蝕む......もう動けまい」

 

ヴェノムは勝ち誇った笑みを浮かべた。

 

しかし、結絆はゆっくりと顔を上げた。

 

「ふうん、確かに効くねえ......でも」

 

彼は目を閉じ、能力を発動する。

 

自身の生理機能を調整し、体内の毒素を分解し始めた。

 

「な、何だと......!?」

 

ヴェノムの表情が驚愕に変わる。

 

「楽に死なせてやろうかと思ったが......これでも食らっとけ」

 

ヴェノムは毒をさらに生成した。

 

毒の滝が結絆を襲う。

 

「数滴で死に至る猛毒だ、流石に耐えられんだろ」

 

ヴェノムが勝ち誇った表情をしていたが、毒の滝の中から足音が聞こえてきた。

 

「毒も分解すればエネルギーになるからねえ、最初の毒のダメージは回復させてもらったよお」

 

結絆は、不敵な笑みを浮かべながらヴェノムを挑発する。

 

「こいつ......人間じゃねえ......」

 

ヴェノムの顔には焦りが見え始めた。

 

「もう終わりかなあ?」

 

結絆の顔には生気が戻り、ヴェノムを仕留めるために歩を進めている。

 

そして......

 

結絆は一瞬でヴェノムとの距離を詰めると、強化した拳を彼の胸に叩き込んだ。

 

「が......ッ!」

 

ヴェノムは血を吐きながら崩れ落ちる。

 

結絆は冷ややかに見下ろしながら呟いた。

 

「毒に頼るようじゃ、俺には勝てないよお」

 

そのままヴェノムの意識は闇に沈んでいった。

 

 

 

 才人工房に戻った結絆は橘博士によって身体検査を受けていた。

 

普段は冷静な彼女も、結絆が毒に侵されていたということを聞いてかなり焦ったらしい。

 

「結絆君、体の調子は大丈夫なの!?」

 

「ヴェノムの使う毒の構造は完全に把握したから全部分解できてるよお」

 

「確かに全部分解できてるわね、はぁ、とりあえず、あなたが無事でよかったわ」

 

橘博士はほっと息をついた。

 

その様子を見た結絆はいたずらっぽい笑みを浮かべて、「俺は最近結構頑張ってるから博士からご褒美が欲しいなあ」と言った。

 

「そうね、結絆君はよく頑張ってるからできるだけ叶えてあげるわよ」

 

橘は微笑みながら結絆に告げる。

 

すると......

 

「じゃあ、博士とハグしたいなあ」

 

その瞬間、橘博士の表情が固まる。

 

「ハグ!?それは恥ずかしいわね」

 

橘は天才科学者ではあるが、思春期真っただ中の少女である。

 

恥ずかしがるのも仕方がない。

 

「博士のような美少女とハグできたら、これからも頑張れると思うんだけどねえ」

 

恥ずかしがる橘博士とは対照的に結絆はノリノリである。

 

「わかったわ、ほらっ、来なさい」

 

橘は少しあきれた表情で両手を広げた。

 

「はあ、何か疲れが吹き飛ぶ気がするねえ、安心するというかなんというか。あれ?博士、心拍数が上がってるよお」

 

「うるさいわね!こっちもドキドキしてるのよ」

 

 

 

 橘博士はしばらく挙動不審であったが、ようやく元の調子に戻った。

 

「結絆君、君をレベル5に認定してもらえるように統括理事会にかけよってみるから、数日中には正式にレベル5の仲間入りになると思うわよ」

 

「じゃあレベル5になったら博士からまたご褒美をもらおうかなあ」

 

「今ハグしてあげたばかりでしょ......」

 

 

 

 その後、結絆の能力評価が正式に見直され、学園都市におけるレベル5の仲間入りを果たすこととなった。

 

才人工房の研究室で、新たなデータが記録される中、橘博士は静かに頷いた。

 

「ついにここまで来たわね」

 

そして、結絆は学園都市のトップであるアレイスター・クロウリーの元へと呼ばれた。

 

巨大な液体の逆さ吊りの生命維持装置の中から、アレイスターの声が響く。

 

「食蜂結絆......君には期待しているよ」

 

「期待に応えられるよう頑張るよお」

 

結絆はその言葉を静かに受け止めながら、新たなステージへと足を踏み入れるのだった。




次回からは、操祈達が出てきます。
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