食蜂操祈のお兄様   作:とんこつスープ

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今回は、操祈と蜜蟻が出てきます。


二人の精神系能力者

結絆がレベル5になってから少しして、才人工房の広い研究室に、二人の少女が足を踏み入れた。

 

「お兄様、ここがお兄様の所属している研究所なのかしらぁ......?」

 

食蜂操祈は、長い金髪を揺らしながら辺りを見回した。

 

その隣には、紫がかった髪を持つ少女、蜜蟻愛愉が立っている。

 

「結絆クン、ここってすっごく特別研究所なんでしょお? 私達もここで能力開発を受けるの?」

 

結絆は二人を見て、軽く肩をすくめた。

 

「そういうことだよお。二人とも、しばらくはここで能力を伸ばすことになるねえ」

 

橘博士がモニターの前で頷く。

 

「操祈ちゃんと蜜蟻さん、君達には、それぞれの潜在能力を引き出す特別なプログラムを用意しているわ」

 

操祈は少し不安そうな表情をしている。

 

「お兄様と一緒に訓練できるのなら、まあ、いいかしらぁ」

 

蜜蟻は小さく笑いながら、結絆を見上げる。

 

「結絆クンがいるなら、心強いわあ♪」

 

結絆は二人の様子を見ながら、ふと微笑んだ。

 

「それじゃあ、これから頑張ろうねえ。レベル5への道は、そう簡単じゃないからねえ」

 

新たな研究が、ここから始まる。

 

 

 

 数日後、結絆は研究員達の会話を偶然耳にした。

 

「蜜蟻愛愉は食蜂操祈のスペアとして才人工房に置いているだけだ。当面の間は食蜂操祈の能力開発を優先する。正直、蜜蟻愛愉の能力開発に本気を出す必要はないだろう」

 

その言葉を聞いた瞬間、結絆の表情が険しくなった。

 

「......何を言ってるのかなあ?」

 

結絆の抑揚のない声が研究員達の背筋を凍らせる。

 

結絆はゆっくりと彼らに近づき、冷たい視線を向けた。

 

「蜜蟻の能力開発もちゃんとやるようにしてもらうよお。適当に扱うなんて、許さないからねえ」

 

その言葉には、圧倒的な威圧感が込められていた。

 

研究員達は青ざめながらも、慌てて頷いた。

 

「わ、わかりました......! 彼女の能力開発の計画を見直します!」

 

結絆は一度深く息を吐き、背を向けた。

 

「最初からそうしてくれればいいのにねえ......」

 

彼は研究室を後にしながら、蜜蟻の未来を守る決意を新たにするのだった。

 

 

 

 その日の夜、結絆は橘博士に対して疑問に思っていることを尋ねた。

 

「博士、蜜蟻は操祈のスペアとして才人工房に来たって聞いたけど本当なのかい?」

 

「そうね、二人は精神系能力者の頂点になり得る存在だけど、予算の関係上二人共をレベル5にするのは割に合わないって上の人間は判断したのよ、私としては二人共大切に扱いたいんだけど......」

 

橘博士はため息をつきながら話す。

 

彼女は、結絆をレベル5にした功績で才人工房の中でも高い地位にいるはずだが、学園都市の上層部の意向には中々逆らえないらしい。

 

「研究員に対して、蜜蟻の能力開発の計画を見直すように脅したから、ちゃんとやってくれたらいいんだけどねえ」

 

「君の意見なら聞いてくれると思うわよ。でも、君のことをよく思っていない研究員もいるから気をつけなさい。」

 

橘の言葉の意味がわかるのはまだ先のお話。

 

 

 

 休日の午後、学園都市のとあるティーサロンに、三人の姿があった。

 

「やっぱり、紅茶は最高よねぇ」

 

食蜂操祈は紅茶のカップを上品に持ちながら、満足げに微笑んだ。

 

「うんうん、結絆クンとお出かけなんて、なんだか新鮮かもお♪」

 

蜜蟻愛愉はケーキを眺めながら、嬉しそうに言った。

 

「まあ、訓練ばっかりじゃ息が詰まるからねえ。たまにはこういう時間も必要だよお」

 

結絆はカップを傾け、紅茶の香りを楽しみながら二人を見つめる。

 

店内は落ち着いた雰囲気で、静かに流れるクラシック音楽が心地よい。

 

テーブルの上には、彩り豊かなケーキやサンドイッチが並んでいた。

 

「お兄様、どれにするの?」

 

操祈はフォークを持ちながら、運ばれてきたケーキを眺める。

 

「んー、じゃあ、このベリータルトにしようかなあ」

 

結絆が指差すと、操祈がさっとそれを取り皿に乗せた。

 

「じゃあ、私はチョコレートケーキ♪」

 

蜜蟻も自分の分を選び、席に戻る。

 

三人で紅茶を飲みながら、他愛のない話をする。

 

「お兄様って、普段からこんなに甘いもの食べるのかしらぁ?」

 

操祈が不思議そうに聞くと、結絆は苦笑した。

 

「たまにはねえ。普段はそこまで食べないけど、今日は特別だよお」

 

「結絆クン、甘いものも似合うね♪」

 

蜜蟻は微笑みながら、紅茶を一口飲んだ。

 

結絆は紅茶のカップを置き、二人をゆっくりと見渡した。

 

訓練や能力開発ばかりの毎日とは違う、この穏やかな時間が、どこか特別に思えた。

 

「また、こういう時間を作ろうねえ」

 

そう呟く結絆の言葉に、二人は笑顔で頷いた。

 

 

 

 軽食を終えた後、穏やかな日差しが降り注ぐ公園に、三人の姿があった。

 

「お兄様、公園でのんびりするなんて珍しいわねぇ」

 

食蜂操祈はベンチに腰掛けながら、周囲を見渡した。

 

緑の芝生が広がり、木々の間から小鳥達のさえずりが心地よく響いている。

 

「まあ、機械に囲まれた生活をしていると自然に触れたくなるからねえ」

 

結絆は手を伸ばし、ゆっくりと空を仰ぐ。

 

その隣では、蜜蟻が楽しそうに目を輝かせていた。

 

「結絆クン、あそこに鳩がいっぱいいるわあ♪」

 

蜜蟻が指さす先には、地面で遊んでいる鳩の群れがいた。

 

「ふふ、試してみようかなあ」

 

結絆がベンチから立ち上がると、周囲の鳥達が彼の動きに気づき、次第に近寄ってきた。

 

やがて、まるで彼に引き寄せられるかのように、スズメやハト、さらにはカラフルな小鳥達までもが集まり始めた。

 

「わあ......すごいね、結絆クン♪」

 

蜜蟻は驚いたように手を胸の前で合わせる。

 

「お兄様、まるで鳥使いみたいねぇ」

 

操祈は微笑みながら、その様子を眺める。

 

結絆はゆっくりと手を差し出すと、一羽の小さな鳥がちょこんと指先にとまった。

 

優しく撫でるように指を動かしながら、彼は小さく笑った。

 

「なんだか、こういうのも悪くないねえ」

 

鳥達に囲まれた結絆の姿を見ながら、操祈と蜜蟻はほほ笑む。

 

その穏やかな光景が、彼らにとってかけがえのないひとときとなった。

 

 

 

 そして、

 

才人工房の研究施設内で、食蜂操祈と蜜蟻愛愉は研究員達に囲まれていた。

 

「おめでとうございます、食蜂さん、蜜蟻さん。二人とも正式にレベル4へと到達しましたよ」

 

研究員の言葉に、操祈は満足げに髪をかき上げた。

 

「ふふっ、まあ当然の結果よねぇ」

 

隣で蜜蟻は無邪気に笑いながら結絆の方を振り向いた。

 

「結絆クン、すごいでしょお♪ ついに私達もレベル4になれたのよお!」

 

結絆は目を細めて二人を見つめ、穏やかに微笑んだ。

 

「うんうん、この調子なら、そのうち二人ともレベル5になるだろうねえ」

 

彼の言葉に、操祈と蜜蟻は顔を見合わせて頷いた。

 

「お兄様がそう言うなら、きっとそうなるわねぇ」

 

操祈の自信に満ちた声に、橘博士も微笑みながら頷いた。

 

「結絆君の言う通りね。二人とも成長が著しいわ。レベル5になる可能性は十分にあるわねえ」

 

橘博士の言葉に、研究員達もうなずきながらデータを確認している。

 

「じゃあ、お祝いに甘いものでも食べに行こうかあ?」

 

結絆の提案に、操祈と蜜蟻は嬉しそうに笑った。

 

「それいいわねぇ!」

 

「賛成~♪」

 

こうして、レベル4へと成長した二人を祝う、穏やかな時間が流れた。




元々このSSは、才人工房で食蜂操祈の前にレベル5になった存在として結絆というキャラを作りました。

結絆達の平和な日々は、もう少し続きます。
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