とある日の出来事。
場所は、学園都市の第六学区にある大規模な遊園地。
その入り口で、食蜂結絆と帆風潤子は待ち合わせをしていた。
夏の暑さはまだまだ続くが、二人の表情はどこか楽しげだった。
「今日はよろしくお願いします、結絆さん!」
「うんうん、こっちこそよろしくねえ、帆風。」
いつもは操祈の護衛として彼女の傍にいる帆風だったが、今日は単なる一人の少女として、結絆と過ごす時間を楽しもうとしていた。
「今日は一日、楽しもうねえ。」
結絆が柔らかく微笑むと、帆風は少し頬を染めながら頷いた。
「はい!私、遊園地なんて久しぶりです!」
「まずはどこに行こうか?」
結絆がパンフレットを広げながら尋ねると、帆風は少し考えた後、おずおずと口を開いた。
「絶叫系のアトラクションはどうでしょう?結絆さんは得意ですか?」
「うーん、そこまで得意ってわけじゃないけど、まあ帆風が乗りたいなら付き合うよお。」
そう言って微笑む結絆に、帆風の胸が少し高鳴る。
最初に選んだのは遊園地で一番人気のジェットコースターだった。
コースが高くなるにつれ、帆風はわずかに緊張した表情を見せるが、隣の結絆はいたって余裕そうだった。
「帆風、大丈夫かい?」
「は、はい!結絆さんがいるので......その......心強いです。」
そう言った直後、ジェットコースターが急降下し、帆風は驚いた声を上げた。
結絆も「うおっ」と思わず声を漏らすが、その後は余裕そうに笑っていた。
帆風は、表情をコロコロ変えながらジェットコースターに翻弄される。
「ふふ、楽しんでるみたいで何よりだねえ。」
結絆は、ジェットコースターが動き続ける中、隣の帆風を見てそう呟く。
コースターが終わった後、帆風は頬を赤らめながら、
「結絆さん、全然怖くなかったんですか......?」と尋ねる。
「まあ、ちょっと驚いたけど、楽しかったよお。」
その無邪気な笑顔に、帆風の胸がまたドキリと鳴った。
結絆は横で余裕そうに笑っていたが、帆風は心臓がドキドキするのを感じた。
次に二人が向かったのはホラーとシューティングが融合したアトラクションだった。
暗闇の中を進むと、不意に飛び出す幽霊や怪物に、帆風は思わず結絆の腕を掴んでしまう。
「あっ、ご、ごめんなさい......!」
「大丈夫だよお。でも、帆風って意外と怖がりなんだねえ。」
「そ、そんなこと......!」
恥ずかしそうに目を逸らす帆風を見て、結絆は微笑ましそうに笑った。
結絆は、笑いながら標的を次々と撃ち抜いていき、ハイスコアを達成した。
ホラーアトラクションを出た後も、二人はメリーゴーランドなどのアトラクションを満喫した。
メリーゴーランドでは、結絆と帆風は密着して乗っていたので、帆風は恥ずかしさのあまり、終始口をパクパクしていた。
そして、次にお化け屋敷に入ることになった。
「さっきのホラーアトラクションで帆風は怖がってたからねえ、こっちは大丈夫かなあ?」
「ゆ...結絆さんがいるなら、大丈夫です!」
そう言いながらも、いざ中に入ると帆風は再び結絆の袖を掴んでいた。
「ふふ、やっぱり可愛いねえ。」
結絆は微笑みながら、そっと帆風を抱き寄せた。
一通りアトラクションを楽しんだ後、帆風が「最後に観覧車に乗りたいです」と提案した。
ちょうど夕焼けが広がり始める時間で、ロマンチックな雰囲気が漂い始めている。
お化け屋敷で怖がっていた帆風だったが、ゴンドラがゆっくりと上がっていくにつれ、帆風は少し落ち着きを取り戻し、窓の外の景色を眺める余裕もできてきた。
「......綺麗ですね。」
「そうだねえ。......でも、俺には今の帆風のほうが綺麗に見えるよお。」
「えっ......」
結絆の言葉に、帆風の心臓が大きく跳ねた。
落ち着きを取り戻しかけていたはずが、頬が赤く染まり、彼の顔をまともに見ることができなくなる。
「ふふ、冗談じゃないんだけどねえ。でも、今日は本当に楽しめてるみたいでよかった。」
「......はい!」
ゴンドラがゆっくりと動いていく中、帆風はそわそわしながらも、意を決したように結絆を見つめた。
「結絆さん......今日はありがとうございました。とても楽しかったです。」
「うん、俺も楽しかったよお。たまにはこういう時間もいいねえ。」
結絆は微笑むが、帆風は少しためらいながら続ける。
「......結絆さんにとって、私はどんな存在ですか?」
結絆は一瞬驚いたように目を瞬かせるが、すぐに優しく答える。
「そうだねえ......帆風は、俺にとって大切な仲間であり、頼れる後輩でもあるよお。」
「......それだけ、ですか?」
帆風の表情には、どこか切なさが滲んでいた。
結絆は少し困ったような顔をしながらも、静かに答えた。
「......うーん、まあ、それだけとは言い切れないねえ。また、一緒に遊園地で遊びたいねえ。」
帆風はその言葉を聞いて、微笑んだ。
ゴンドラが頂上に差し掛かり、二人の目の前には学園都市の美しい夜景が広がっていた。
遊園地を後にしながら、帆風は胸の中に芽生えた感情を強く実感していた。
(やっぱり......私は、結絆さんのことが......ずっと......)
そんな彼女の想いに気づいているのかいないのか、結絆は穏やかに笑っていた。
遊園地で一日を満喫した後、結絆と帆風は夕食を食べに行くことにした。
賑やかな遊園地を後にし、二人は少し歩いた先にある落ち着いた雰囲気のレストランに入った。
「なかなか素敵な場所ですね」
店内の落ち着いた灯りが、穏やかな雰囲気を作り出している。
帆風はメニューを見ながら微笑み、結絆に視線を向けた。
「だろう?こういうところ、たまには悪くないよねえ」
二人はそれぞれ料理を注文し、運ばれてくるまでの間、今日一日を振り返るように話を弾ませた。
「結絆さん、ジェットコースターに乗ったとき、本当に楽しそうでしたね」
帆風がくすっと笑うと、結絆は軽く肩をすくめる。
「あんなの乗ったの久しぶりだったからねえ。でも、君も結構はしゃいでたよお?」
「そ、そんなことありません!」
「しかも、観覧車ではちょっと緊張してたもんねえ~」
「......あれは、その......高いところが少し苦手なだけです!」
照れくさそうにする帆風の様子に、結絆は微笑みながらグラスの水を口に運んだ。
やがて料理が運ばれてきた。
香ばしいソースの香りが漂い、二人は食事を楽しみながら会話を続けた。
「それにしても、こうやって二人で食事をするのは新鮮ですね」
「そうだねえ。普段は操祈や他の派閥メンバーもいるし、二人っきりで落ち着いて話す時間って案外少ないからねえ」
帆風は少しだけ視線を落とし、ナイフとフォークを動かしながら呟いた。
「......私は、こういう時間がもっと増えたらいいな、って思います」
その言葉に、結絆は一瞬驚いたように彼女を見つめた。
しかし、すぐにいつものように微笑む。
「じゃあ、またこうやって一緒に食事でもしようかあ」
「......はい!」
帆風の顔がぱっと明るくなった。
二人はゆったりとした時間の中で、美味しい食事と会話を楽しんだ。
この日は、遊園地を楽しんだだけではなく、心の距離も少し近づいた一日だった。
完全に帆風は結絆に惚れていますね。
結絆も、帆風に対して好意を抱いていますが、結絆自身は解決しなければならない問題が解決するまでは誰とも付き合わないと思います。
次回はインデックス達の方に目を向けてみようと思います。