食蜂操祈のお兄様   作:とんこつスープ

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今回で、帆風潤子編は終わりです。

ドリームに新たな仲間が加わります。


怪しい動物園の調査

 学園都市内のとある場所に新しくオープンした動物園。

 

その施設は一般の動物園とは異なり、最新の科学技術を駆使した展示がウリだと宣伝されていた。

 

しかし、結絆の情報網が掴んだところによると、そこで行われているのは単なる動物の飼育ではなく、「能力者技術を動物に応用する」実験だった。

 

「まったく、こんなことまでやるなんてねえ......」

 

結絆は半ば呆れながら、動物園の入場ゲートをくぐった。

 

隣には操祈と帆風が並んでいる。

 

操祈は涼しい顔で周囲を観察し、帆風は何やら緊張した様子だった。

 

「天衣装着を動物に適用するなんて、倫理的に許されません!」

 

帆風は憤慨していた。

 

彼女自身がその能力を持つ者だからこそ、無理やり動物に適用されることの危険性を強く感じ取っていた。

 

「とりあえず、園内を見て回ろうか。怪しい動物がいたら無力化するって感じでねえ。」

 

そう言いながら、結絆は軽く肩をすくめた。

 

 

 

 園内は一般的な動物園と変わらないように見えた。

 

しかし、しばらく進むと、一匹の巨大なトラが妙な光を帯びていることに気がついた。

 

毛並みが異様に滑らかで、明らかに普通のトラとは異なる雰囲気を持っている。

 

「ねえねえ、アレって......」

 

操祈が指差した瞬間、そのトラが突然猛スピードでこちらに向かってきた。

 

通常のトラの動きとは思えない速度だった。

 

「来るよ!」

 

結絆が警戒する間もなく、トラの身体に電流のような光が走り、その身体能力がさらに強化されていく。

 

これはまさしく天衣装着の応用技術だった。

 

帆風がすかさず前に出る。

 

「私が止めます!」

 

彼女の身体が淡い光に包まれ、天衣装着が発動する。

 

強化されたトラと帆風が激突し、その場に衝撃波が走った。

 

 

 

 トラは帆風の蹴りを受けても怯むことなく反撃してくる。

 

異常な身体能力に加え、どこか知性すら感じさせる動きだった。

 

「おかしいねえ......まるで誰かから指示を受けているような攻撃の仕方をしてるねえ。」

 

結絆はすぐに違和感に気づいた。

 

そして、能力で強化している視力を利用して、遠くから観察している白衣を着た研究員らしき人物の姿を捉える。

 

「操祈、あの研究員の無力化は任せたよお?」

 

「了解♪」

 

操祈が能力を発動し、遠隔で研究員の精神に干渉する。

 

すると、トラの動きが一瞬止まった。

 

その隙を逃さず、帆風が全力の拳を叩き込み、ついにトラはその場に崩れ落ちた。

 

「ふぅ......制圧完了ですね。」

 

帆風が息を整えながら言う。

 

その間に、結絆は研究員達を確保し、彼らが行っていた実験の記録を押収した。

 

「流石に数が多いねえ、これだけいるなら、どこかの施設に保護してもらうのがいいかもしれないねえ。」

 

結絆が微笑みながら言うと、操祈も頷いた。

 

「これ以上こんな実験をさせないためにもねぇ。」

 

その後、結絆達は残った動物達も次々に無力化していった。

 

こうして、結絆たちの活躍により、天衣装着を施された動物達は無事に救出され、この異常な実験は幕を閉じたのだった。

 

 

 

 動物園での戦闘を終え、結絆たちは捕獲した天衣装着を持つ動物たちをどうするか考えていた。

 

「このまま野放しにすることはできないわよねぇ」

 

操祈が腕を組みながら呟く。

 

帆風も頷きながら、捕獲された動物たちを見つめていた。

 

動物達は既に意識を失っており、戦闘能力は封じられているものの、放置すれば再び暴走する可能性があった。

 

「やはり、学園都市の専門機関に引き渡すのが最善でしょう」

 

帆風が提案すると、結絆も同意するように頷いた。

 

「確かにねえ。専門機関なら適切に管理してくれるだろうし、天衣装着の影響も詳しく調べられるだろうからねえ」

 

そして、すぐに学園都市の関係機関へと連絡が取られ、特別な輸送チームが到着した。

 

科学者たちは興味津々な様子で動物たちを観察しながら、慎重に運び出していく。

 

「これで、一安心ですね」

 

帆風が胸をなでおろす。

 

しかし、結絆はその中の一匹――天衣装着を使えたトラに視線を向けた。

 

「こいつは俺が引き取るよお」

 

「「えっ......?」」

 

操祈と帆風が驚いたように目を丸くする。

 

「ドリームの拠点なら、こいつを管理できる設備があるし、何より......こういう能力を持った動物がどういう影響を受けるのか、長期的に観察する価値があるだろうからねえ」

 

「お兄様、それって危なくないのかしらぁ?」

 

操祈が心配そうに尋ねるが、結絆は肩をすくめて微笑んだ。

 

「問題ないよお。むしろ、学園都市のどこかで、檻の中で閉じ込められるよりは、俺達のところで世話をした方がずっとマシだろうからねえ」

 

帆風はしばらく考えてから、優しく微笑んだ。

 

「なら、私も手伝います。動物の世話には自信がありますから」

 

「おお、それは心強いねえ」

 

こうして、天衣装着を持つ動物たちはそれぞれ適切な場所へと引き取られ、特にトラは結絆の管理下で新たな生活を始めることとなった。

 

 

 

 

 その夜、ドリームの拠点では、結絆の足元に大きなトラが静かに横たわっていた。

 

鋭い目を持ちながらも、不思議と落ち着いている。

 

「ふふ、意外とおとなしいじゃない。理性力があるのねぇ。」

 

操祈が少し距離を取りながら眺めると、帆風はそっとトラの頭を撫でた。

 

「きっと、結絆さんを主と認識しているんですね」

 

「だろうねえ」

 

結絆はゆっくりとトラの頭を撫でながら、これからの管理方法を考えていた。

 

暗部組織のトップとして、そして一人の飼い主として、新たな挑戦が始まるのだった。




帆風潤子編はこれで終わりです。

天衣装着を使うトラを結絆が仲間にしました。

このトラは、これからの話にも時々出てくる予定です。
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