食蜂操祈のお兄様   作:とんこつスープ

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今回は、以前出てきたトラの話です。

この小説の二十三話に出てきたトラです。


天衣装着を使えるトラ

 表向きは学園都市で一番のマジックシアター......

 

しかし、そこは結絆の組織の拠点でもある。

 

結絆は目の前のケージに収まる大型のトラを見つめていた。

 

先日、怪しい動物園から連れ帰ったこのトラは、実験の影響で"天衣装着"の能力を使えるようになっていた。

 

「さて、君と話ができるようにしようかねえ。」

 

結絆は手元の小型装置を取り出し、トラの首輪に接続した。

 

特殊な電磁波を利用して、脳の信号を言語データに変換する装置だ。

 

ちなみに、それは、学園都市統括理事長の友人?である喋る犬からアイデアを得て、結絆が部下に作らせたものである。

 

しばらくして、スピーカーから低い声が響いた。

 

『......お前は何者なのだ?』

 

結絆は満足げに微笑んだ。

 

「俺は食蜂結絆。学園都市の闇が生んだ怪物であり、君を助けた者だよお。」

 

トラはしばらく沈黙した後、静かに目を細めた。

 

『......我が主よ、名を、くれ。』

 

結絆は少し考えた後、優しく言った。

 

「そうだねえ......"レグルス"はどうだい?」

 

トラなのにレグルス(獅子)......

 

かつて、猫に対して「いぬ」という名前を付けた少女もいたのでよくあることなのだろう。

 

トラ――レグルスは、一瞬驚いたように結絆を見つめ、やがて満足そうに頷いた。

 

『悪くない。』

 

どうやら、悪くないらしい()

 

こうして、結絆とレグルスの新たな関係が始まったのだった。

 

 

 

 結絆は広々とした訓練場でレグルスと向き合っていた。

 

マジックシアターの地下にある訓練場は、結絆やその仲間達が能力を鍛えるためによく使っている。

 

学園都市製の特殊な合金でできているので、多少のことではビクともしない凄い設備である。

 

「まずは、改めて、お前の天衣装着の使い方を確認するよお」

 

レグルスは低く唸り声をあげながら、黄金の雷光を纏う。

 

天衣装着を発動すると、その身体は軽やかに強化され、鋭い爪と牙が一層の輝きを増した。

 

「よし、試しに俺に向かってこい」

 

結絆の挑発的な笑みを見て、レグルスは一気に踏み込んだ。

 

レグルスは、良質な餌を与えられているので、マジックシアターにやってきた時よりも大きくなっており、体長は5メートルを超える。

 

そして、四肢を使った獣のような猛攻は、人間とは異なる軌道とスピードを持ち、予測しづらいものだった。

 

しかし、結絆は紙一重で回避しながら、レグルスの動きを冷静に観察していた。

 

「いい動きだけど、まだ荒削りだねえ。お前の力なら、もっと洗練できるはずだよお!」

 

レグルスは鼻を鳴らしつつも、結絆の言葉に耳を傾ける。

 

その後も何度も攻防を繰り返し、少しずつレグルスは動きを調整し、戦闘技術を磨いていった。

 

 

 

訓練が終わるころには、レグルスの動きはより鋭く、効率的になっていた。

 

結絆は満足げに頷いた。

 

「この調子なら、いざって時も頼りになるねえ」

 

『......当然だ、俺はまだまだ強くなる。』

 

レグルスも満足そうである。

 

そして、その「いざって時」はすぐに訪れることとなった。

 

 

 

 結絆が別の用事でドリームの拠点を離れた直後、襲撃者たちは静かにその影を落としていた。

 

「この組織を潰せば、俺たちの名は一気に広がる......!」

 

スキルアウトの一団が銃を構えながら、拠点へと侵入する。

 

しかし、そこには彼らの想定外の存在が待ち受けていた。

 

「グルル......」

 

レグルスが音もなく姿を現し、金色の光を纏いながら静かに獲物を見据える。

 

天衣装着を纏った巨大な虎の姿に、襲撃者たちは一瞬、恐怖に震えた。

 

「な、なんだコイツ......!? ただの虎じゃねえぞ!!」

 

だが、レグルスは一切の容赦を持たなかった。

 

次の瞬間、閃光の如き速さで飛びかかり、最前列の男の喉元に牙を突き立てた。

 

「ギャアアアアアアッ!!」

 

 血飛沫が舞う。

 

パニックに陥った襲撃者たちが慌てて銃を撃つが、レグルスは超人的なスピードでそれを回避し、次々と襲撃者を引き裂いていく。

 

レグルスの全身が返り血で赤く染まっていく。

 

「逃げろ......!! こんなの勝てるわけが──」

 

 だが、逃げようとした者もまた、背後から閃光のような一撃を受け、一人残らず命を奪われた。

 

 

 

 戦いが終わる頃には、拠点の中は血と肉の残骸で埋め尽くされていた。

 

レグルスは静かに立ち尽くし、鋭い眼光で周囲を見渡した。

 

結絆が教えた戦い方を、彼?は完璧に実行したのだった。

 

 

 

 しばらくして結絆が拠点に戻ると、そこには惨劇の跡が広がっていた。

 

結絆は少し驚いた表情を見せたが、すぐに笑みを浮かべる。

 

「いやあ......見事なもんだねえ。やるじゃないか、レグルス」

 

レグルスは誇らしげに喉を鳴らしながら、結絆の元へと歩み寄った。

 

「これで、お前も立派な『暗部の戦士』の仲間入りだねえ」

 

レグルスは結絆の言葉に応えるように低く唸り、静かに血に濡れた牙を光らせた。

 

ドリームの拠点には恐ろしいトラがいる――そんな情報が学園都市の裏側で出回るのは、そう遠くないお話......




レグルスの活躍を書いてみました。

ややこしいですが、レグルスはトラです......

結絆のネーミングがおかしいだけです。

レグルスの見た目は、巨大なホワイトタイガーを想像してもらえたらいいと思います。

次回からは、乱雑解放編です。
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