食蜂操祈のお兄様   作:とんこつスープ

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今回は本作のヒロインである帆風潤子が出てきます。結絆と帆風は仲がいいです。



虚空爆破事件

 銀行強盗事件から二日後の昼下がり。

 

食蜂結絆(しょくほう ゆはん)は、食蜂操祈の派閥の一員である帆風潤子(ほかぜ じゅんこ)とともに、第七学区の大型デパート『セブンスミスト』にいた。

 

「結絆さん、お買い物にお付き合いいただき、ありがとうございます!」

 

「気にしなくていいよお、帆風。俺も気分転換になってちょうどいい」

 

 帆風は操祈の側近であり、データ上はレベル4の能力者だ。

 

彼女の『天衣装着(ランペイジドレス)』は、体細胞の電気信号を操作して肉体のリミッターを外し、驚異的な身体能力を発揮できる能力である。

 

帆風は能力の反動に苦しんでいたところを食蜂兄妹に助けられた過去を持つ。

 

結絆は、今日は彼女の買い物に付き合う形でここに来たのだが——

 

「それにしても、すごい人だねえ......」

 

「ええ。セブンスミストは学園都市最大のショッピングモールですからね」

 

そんな他愛のない会話を交わしていた時——

 

「......おや?」

 

結絆はある光景に違和感を覚えた。

 

 人混みの中、小さな女の子がぬいぐるみを大事そうに抱えながら、ふらふらと歩いている。

 

その行き先には——

 

「あれは......初春さん......かい?」

 

風紀委員(ジャッジメント)の初春飾利(ういはる かざり)がいた。

 

どうやら巡回中らしく、制服姿で周囲を見渡している。

 

一方、ぬいぐるみを抱えた少女の行動には明らかな不自然さがあった。

 

まるで、誰かに命じられたように、一直線に初春のもとへ向かっている。

 

しかも、その抱えているぬいぐるみ——

 

何か、細工をされているかのような違和感を覚える。

 

「帆風、俺たちの正面、ぬいぐるみを持った女の子がいるよねえ?」

 

「はい? ......確かにいますね」

 

「ちょっと急ぐよお!」

 

結絆は帆風とともに駆け出した。

 

少女はすでに初春の目の前にまで到達していた。

 

「えっと......どうしたのかな?」

 

初春が少女に優しく話しかける。

 

少女はおずおずと、ぬいぐるみを差し出した。

 

「あそこのおにいちゃんがね、おねえちゃんに、これ、あげるって......」

 

「——ッ!!」

 

その瞬間、結絆の直感が警鐘を鳴らした。

 

これは罠だ。

 

「初春さん!離れろ!!!」

 

「え?」

 

——だが、間に合わない。

 

ぬいぐるみに仕込まれた爆弾が起動し、空間に歪みが生じる。

 

 次の瞬間——

 結絆は即座に『自己制御(セルフマスター)』を発動し、視覚処理能力を強化。

 

 爆発の瞬間をギリギリで捉える。そして、能力を応用させて、周りの水分を操作して爆発を遅らせる。

 

——だが、間に合わない。

 

この爆発の範囲では、結絆の能力だけでは周囲への被害は防ぎきれない!

 

「くそっ、こんな時に当麻がいればねえ......!」

 

「おう、呼んだか!」

 

突然、背後から聞き慣れた声がした。

 

「当麻!?」

 

振り向くと、上条当麻がいた。

 

「なんかヤバそうな状況じゃねえか!」

 

「説明は後!そのぬいぐるみをぶっ壊してくれ!!」

 

「任せろ!!」

 

上条が駆け出し、右手を振りかざす。

 

そして——

 

「うおおおおおおっ!!」

 

バシュッ!!!

 

ぬいぐるみに触れた瞬間、爆発のエネルギーが掻き消えた。

 

「ふう......危なかったねえ、たまたま当麻がいて助かったよお」

 

結絆は大きく息をつく。そして初春のほうへ振り向く。

 

「初春さん、大丈夫かい?」

 

「は、はい......ありがとうございます......!」

 

「で、これはなんなんだよ......?」

 

当麻が困惑した表情で、ひしゃげたぬいぐるみを見つめる。

 

結絆は、周囲を見渡しながら呟いた。

 

「これは明らかに、初春さんを狙った犯行だねえ。」

 

爆弾を持ってきた少女は、状況がわかっていないようで、戸惑った顔をしている。

 

誰かが少女を利用し、初春を狙ったのだ。

 

そして

 

「この事件、もしかして......レベルアッパーに関係してるのかもしれないねえ......?」

 

美琴たちが追っていた、能力者による異常な事件。

 

今まで点と点だった出来事が、徐々に線で繋がり始めていた——。




結絆が能力使用時にやっているのは、操祈と同様ミクロレベルの水分操作です。

今回はそれを応用することで爆発を遅らせることができました。上条さんが居合わせたのは完全にご都合主義です()

結絆は焦ると語尾が伸びなくなります。
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