ちょっと短めです。
学園都市の片隅、人目を避けるようにひっそりと佇む巨大な研究施設。
表向きは遺伝子医療の研究所を名乗っていたが、実態は「才人工房」と呼ばれる非公開のプロジェクトを推進する秘密研究所だった。
この施設の存在を突き止めたのは、ドリームの情報部門を担うミサカ00000号(フルチューニング)である。
そして、彼女のハッキング技術を駆使した調査によって、ここが違法な科学技術の研究拠点であると断定された。
才人工房——それは、学園都市の闇の奥底で、天才や偉人級の人間を人工的に生み出す事を目的とするという、狂気の計画を行っていた場所。
そして結絆にとって、この名前はただの都市伝説ではなかった。
「......懐かしいねえ、名前だけは」
研究所の入り口を見つめながら、結絆はかすかに目を細める。
かつて結絆は『本物の才人工房』に所属していた。
そこでは、世に出してはならないような研究が、多数行われていた。
彼はかつて、そこで能力開発を受けて施設初のレベル5となったのである。
「......学園都市が創った『天才の量産工場』。それが才人工房の正体だねえ」
研究所の冷たい壁を前に、結絆は微かに口元を歪める。
「でもこれはただの偽物......さて、潰すぞ」
結絆は振り返り、背後の影に目を向けた。
そこには、彼の指揮のもと動くドリームのメンバー達が殺気立ちながら控えていた。
夜の帳が降りると同時に、結絆は研究所への突入を開始した。
最初に動いたのは、ドリームの電子戦部門。
「妨害電波発信完了。監視システムは全て機能停止しました、とミサカは報告します」
ミサカの指示によって、施設のネットワークは完全に封鎖された。
続いて、念動能力(サイコキネシス)を持つ青年が建物の扉を歪ませ、強行突破の準備を整える。
「ターゲットは最奥の研究室だねえ。手早く片付けるよ」
結絆の合図と共に、暗部の精鋭達が静かに研究所の内部へと侵入する。
廊下を進むと、研究員と思われる白衣の男が慌てて逃げ出そうとする。
「な、何者だッ!?」
「俺は、本物の才人工房が生んだ怪物だよお。......君達の研究、今日でおしまいだねえ」
結絆は軽く指を鳴らした。
直後、ドリームのメンバーが一斉に行動を開始する。
念動能力で機器を破壊し、壁を押し潰し、抵抗しようとする敵を次々と押し潰していく。
更に別のメンバーは、特殊合金でできた人形を操り、研究員を串刺しにしていく。
音もなく急所を撃ち抜かれて絶命したものもいた。
「ちっ......警備部隊! 排除しろ!」
研究所の奥から武装したガードマンが現れるが、結絆が手にした銃が閃光と共に火を噴く。
異世界の金属で作られたその銃は、通常の兵器ではありえない威力を発揮し、相手の防弾装備を容易く貫通する。
「悪いけど、地雷踏まれてこっちは苛立ってるんだよねえ?」
結絆が不敵に笑うと、敵は次々と血の海に倒れていく。
やがて研究所の最奥部、核となる実験室に辿り着いた。
そこには、無数の培養カプセルが並び、その中で未完成の人間達が眠っていた。
「......やっぱりねえ」
結絆の目が鋭くなる。
この場所は、偽りの『才人工房』。
かつてのプロジェクトを模倣し、学園都市の技術を利用して勝手に進められた所詮劣化コピーだった。
「こんな真似をしても、本物の天才なんて作れやしないのにねえ......」
結絆は悲しそうな表情をしながらため息をつく。
そして、ミサカ号に通信を送る。
「この施設のデータは?」
「既に全て抜き取りました。消去プログラムを実行しますか? とミサカは確認します」
「任せたよお」
結絆がそう答えると、施設全体に警告音が響き渡る。
「研究データ消去開始。カウントダウンを開始します。」
続けて、ドリームのメンバーが爆薬を仕掛け、完全にこの場所を消し去る準備を整える。
あたりを見渡すと、研究員達は手足がちぎれていて、施設のガードマンは既に全滅していた。
「さて、おしまいだねえ」
結絆は研究所を後にしながら、最後に一度だけ振り返る。
かつて結絆がいた才人工房は、今はもう存在しない。
そしてこの偽りの才人工房も、今から完全に消え去る。
「......悲劇は繰り返したらダメなんだよねえ」
ぽつりと呟いた直後、背後の建物が爆炎と共に崩れ去った。
偽りの才人工房、完全消滅。
結絆達は静かに夜の闇へと溶け込み、次なる戦いへと向かっていった。
偽りの才人工房を結絆達が消滅させました。
次も、『ドリーム』関連の話です。