食蜂操祈のお兄様   作:とんこつスープ

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今回は結絆達が木山春生と接触する話です。


隠された真実

 学園都市の午後、結絆は御坂美琴、白井黒子、初春飾利、佐天涙子とともに、とある研究施設を訪れていた。

 

目的は、大脳医学研究者である木山春生にレベルアッパーについて相談するためだった。

 

「まさか、木山先生に話を聞きに行くことになるなんてね」

 

佐天が少し緊張した様子で言う。

 

初春はタブレットを片手に情報を整理しながら頷いた。

 

「最近、能力者が暴走する事件が急増してますし、何か手掛かりがあるかもしれません」

 

「確かに......。レベルアッパーっていうのが原因かどうかは分からないけど、能力が突然向上するなんて普通じゃないわよね」

 

美琴が腕を組みながら言った。

 

彼女は学園都市第三位の超能力者(レベル5)であり、この手の問題には人一倍関心があるようだった。

 

「それにしても、黒子。君もついてくるとはねえ」

 

結絆が敢えて黒子にそう尋ねると、黒子は溜息をつきながら答えた。

 

「お姉様が関わるとなると、わたくしがしっかり見張っていないと心配ですの」

 

「ちょっと......それってどういうことよ!」

 

そんな軽口を叩いているうちに、目的の研究室に到着した。

 

扉をノックすると、しばらくしてから木山春生が姿を現した。

 

「お前達か......何の用だ?」

 

白衣姿の彼女は、無愛想だったが、彼女なりに結絆たちを気にかけているのは分かった。

 

「木山先生、ちょっとお話を聞きたいんですけど......レベルアッパーについて、何か知ってませんか?」

 

美琴が率直に切り出すと、木山は少しだけ眉をひそめた。

 

「......お前達もその話をしているのだな」

 

「やはり、何か知っているんですね?」

 

初春が食い下がると、木山は小さくため息をついた。

 

「確かに、能力者が突然強化される事例はいくつか報告されている。ただ、現時点では確実なデータはない。レベルアッパーとやらが本当に存在するのかどうかもな」

 

「でも、先生。あなた、何かを隠してませんか?」

 

結絆がふいに言葉を挟むと、木山は一瞬だけ表情を曇らせた。

 

「......どういう意味だ?」

 

結絆は目を細めて、能力を発動する。

 

微細な相手の表情の変化を読み取ることで、相手の精神状態や隠している情報の兆候を察知することができるのだ。

 

(やっぱり......何か知ってる。でも、はっきりとは言えない事情がある感じだねえ......?)

 

「先生は、レベルアッパーについてある程度の知識を持っているはずですよねえ。でも、それを話せない理由があるんじゃないですかあ?」

 

結絆がそう指摘すると、木山はしばし沈黙した。

 

「......お前、何者だ?」

 

木山の鋭い視線が結絆を捉える。

 

結絆は軽く肩をすくめた。

 

「ただの学生だよお。でも、人の心を読むのは得意なんだよねえ、妹には負けるけど」

 

「......そうか」

 

木山は視線をそらし、窓の外を見つめた。

 

「今はまだ話せることはない。だが......もし本当にレベルアッパーが存在し、それによって被害が広がるなら、いずれ真実が明らかになるだろう」

 

「......わかりました。でも、先生も何か分かったら教えてくださいね」

 

美琴が念を押すと、木山は無言で頷いた。

 

明らかに彼女は何かを知っている。

 

だが、それを明かせない理由がある。

 

結絆達は、そのまま研究室を後にした。

 

 

 

 木山春生との会話の後のこと......

 

「やっぱり、何かあるわね......」

 

研究施設を出た後、美琴が腕を組みながら呟いた。

 

黒子も同意するように頷いた。

 

「ええ、彼女の反応からして、間違いなく何かを知っていますわ」

 

「隠してるっていうより、話せないって感じだったよね」

 

佐天が考え込むように言う。

 

初春はタブレットを操作しながら、情報を整理していた。

 

「先生が話せないってことは、裏にもっと大きな事情がある可能性が高いですね。レベルアッパーが単なる都市伝説じゃなくて、実際に何かしらの形で学園都市に関わっているのかも......」

 

「でも、木山先生が関わってるとは思えないのよね。あの人、研究者ではあるけど、悪事を働くようなタイプじゃないし。人前でもすぐ脱ぐけど......」

 

美琴がため息をつきながら言う。

 

木山は事あるごとに人前で服を脱ぐため、学園都市の都市伝説の一つである脱ぎ女として世間を騒がせている。

 

それに対し、結絆は静かに考えを巡らせていた。

 

「確かに、先生は確実に何かを知っていたねえ......。今はまだ話せない、ということは、これから何かが起こるってことかもしれないねえ」

 

「確かに......もしかしたら、もう少し時間がたてば、先生も話してくれるかもしれません」

 

初春の言葉に、美琴も頷いた。

 

「とにかく、今は情報を集めるしかなさそうね。レベルアッパーが実在するかどうか、その証拠を見つけないと」

 

「そうだねえ。俺達も引き続き動こうかあ」

 

結絆は決意を込めて言った。

 

レベルアッパーの謎は、まだ深まるばかりだった。




結絆の能力は万能ですね。ただ、相手の精神に直接干渉するのは苦手なので、そこに関しては操祈に劣るといった感じです。

今後インフレが進んできたらその制限も解除するつもりですが......

次はようやく魔術の話が少し出てきます。

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