食蜂操祈のお兄様   作:とんこつスープ

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今回から魔術の話も出てきます。当麻達も出てきます。


魔術の世界、そしてデート

 結絆達が木山春生と接触した翌日。

 

学園都市の空は青く澄み渡り、穏やかな風が吹いていた。

 

上条当麻は、高校に行く準備をしながらぼんやりと物思いにふけっていた。

 

一昨日のセブンスミストの爆破事件が気になりつつも、まだ確証はない。

 

そんなことを考えていると、ふと視界の端に白い影が映った。

 

「えっ......?」

 

目をこすってもう一度見ると、そこには純白のシスター服をまとった少女がベランダの手すりに引っかかっていた。

 

「......おなか、すいた......」

 

「って、うわあああ!? なんでベランダに人がいるんだよ!?」

 

突然の侵入者に驚いた当麻は慌てて携帯を手に取った。

 

状況が分からないまま、直感的に結絆へと電話をかける。

 

「もしもし、結絆!? ちょっと来てくれ! うちのベランダに、変なシスターがいるんだけど!」

 

『ほう...ってシスター!? どういうことだい?』

 

「説明はあとだ! とにかく急いでくれ!」

 

電話を切ると、再びベランダに目を向けた。

 

当麻が警戒しながら近づくと、少女はじっと彼を見つめていた。

 

「......あなた、学園都市の人?」

 

「いや、まあそうだけど。っていうか、誰だよお前......?」

 

「インデックス。イギリス清教所属のシスター、よろしくね」

 

当麻は、考えることを放棄した。

 

 

 

 数分後、結絆が当麻の部屋へと駆け込んできた。

 

「はぁ......急に呼び出すから、何かと思ったらあ......ほんとにシスターがいるんだねえ...操祈にも伝えておこうかねえ」

 

「だから言っただろ?後、操祈に伝えるのはやめてくれ!なんか誤解されそうだ。」

 

 結絆はインデックスを見つめた。

 

白い修道服に銀色の髪、そして緑の瞳。

 

その姿は学園都市に暮らすものにとっては異質だった。

 

「それで、この子は何者なんだい?」

 

「インデックスって名乗ってたけど......なんか、魔術師に追われてるとか言ってるんだよな......」

 

「......魔術師?」

 

結絆は眉をひそめる。

 

「それってつまり、科学とは別の領域の存在ってことかなあ?」

 

「そういうことになるね」

 

インデックスはうなずきながら説明を続けた。

 

「私は『禁書目録(インデックス)』って呼ばれる存在。十万三千冊の魔道書を記憶しているの。そのせいで、いろんな魔術師たちに狙われてるんだよ」

 

「......魔道書? それって、科学でいうデータベースみたいなものかねえ?」

 

結絆が興味深そうに尋ねると、インデックスは少し考え込んでから答えた。

 

「うーん、似てるけどちょっと違うかも。科学は理論と実験に基づいて成り立ってると思うけど、魔術は神秘と信仰の力を使うもの。魔道書には、普通の人間が触れるだけで危険な呪術とか、世界の成り立ちを変えちゃうほどの知識が書かれてるんだよ」

 

「なるほどねえ......つまり、魔術っていうのは科学とは全く別の法則で動いてるってことかい、思い当たる節がないこともないかねえ」

 

「そういうこと!」

 

窓のないビルにいる奴の顔や国外で戦った傭兵の顔が思い浮かぶが今は気にしてもしょうがない。

 

結絆は腕を組みながら思案した。

 

「学園都市は基本的に科学の世界だからね。俺も能力者として訓練されてきたけど......魔術っていうのは初めて聞いたよお。でも、もし本当にそんなものがあるなら、どうやって科学と共存してるんだい?」

 

魔術について知らないふりをしながら結絆は尋ねる。

 

「共存してるっていうより、お互い干渉しないようにしてるんだよ。学園都市は科学の象徴で、魔術側はそれに手を出さないようにしてる......表向きは、だけど」

 

「なるほどねえ......でも、魔術師達が君を狙ってるってことは、もうその境界線は破られつつあるってことかい?」

 

「......そうかもしれない」

 

インデックスは少し寂しそうに微笑んだ。

 

「ねえ、君は、もし魔術と科学が対立することになったら......あなたはどっちにつくの?」

 

突然の質問に、結絆は一瞬だけ目を見開いた。

 

「......そんなの、決まってるよ」

 

彼女はインデックスの目をまっすぐに見つめて、静かに答えた。

 

「俺は、俺が信じるものを守る。科学とか魔術とか関係なく、目の前の人が助けを求めていたら、俺は手を差し伸べるだけだよお」

 

その言葉を聞いて、インデックスはぱちぱちと瞬きをした後、ふっと笑った。

 

「そっか。それなら、きっと大丈夫だね」

 

「?」

 

「だって、当麻も同じことを言いそうだから」

 

「ちょっと待て、俺はそんなかっこいいセリフを言った覚えは......」

 

「ほら、言ったそばから否定してるし」

 

結絆とインデックスがくすくすと笑う中、当麻は頭を抱えた。

 

「......てか、さっきからなんか俺だけ蚊帳の外になってないか?」

 

こうして、結絆とインデックスの奇妙な出会いは幕を開けた。

 

しかし、この出会いが後に大きな波乱を引き起こすことになるとは、まだ誰も知らなかった――。

 

 

 

 インデックスたちと別れた後、結絆は一人で街を歩いていた。

 

ふと携帯を取り出し、ある相手にメッセージを送る。

 

『今日は空いてたりするかなあ? 一緒に水族館に行きたくなってねえ』

 

数分後、返事が届いた。

 

『お誘い、ありがとうございます! ぜひご一緒させてください!』

 

送り主は帆風潤子だった。

 

 

 

 

 午後、結絆と帆風は学園都市にある大型水族館の入り口で落ち合った。

 

常盤台の制服ではなく、カジュアルな私服姿の帆風は新鮮で、どこかいつもより柔らかい雰囲気をまとっていた。(校則違反ではあるが......)

 

「結絆さん、水族館とはなかなか乙なチョイスですね!」

 

「たまにはこういうところも悪くないと思ってねえ」

 

そう言って、二人は館内へと足を踏み入れる。

 

最初に訪れたのは、トンネル状になった巨大な水槽だった。

 

頭上をゆったりと泳ぐエイやサメ、色鮮やかな魚たちに囲まれ、帆風の目が輝く。

 

「まぁ......まるで海の中にいるみたいですね!」

 

「本当にそうだねえ。こうやって見ると、水の中の世界は不思議な感じがするねえ」

 

結絆も水槽を眺めながら答える。

 

 

 

 次に、二人はイルカショーを見に行くことにした。

 

トレーナーの合図で次々と華麗な技を披露するイルカ達に、観客は大きな歓声を上げる。

 

「すごいですね......! イルカってこんなに賢いんですね!」

 

「訓練次第では、人間と会話できるレベルまで学習するらしいよお」

 

「そうなんですね! ......そのうち天衣装着(ランペイジドレス)を使うイルカが出てきたりしませんかね?」

 

帆風が軽く冗談を言う。

 

「ははっ、イルカが天衣装着を使って泳いでたらシュールすぎるだろう」

 

二人は笑いながらショーを楽しんだ。

 

これが笑いごとでなくなるのはもう少し後のお話()

 

 

 

 その後、二人はクラゲの展示エリアへ移動した。

 

暗がりの中でふわふわと漂うクラゲたちの神秘的な姿に、帆風はしばし言葉を失っていた。

 

「......なんだか、ずっと見ていたくなりますね」

 

「うん。癒されるっていうのもあるけど......なんとなく、無重力の空間にいるみたいな感覚になるよねえ」

 

「結絆さんは、クラゲみたいに何も考えずにただ流されるように生きてみたいと思うことはありますか?」

 

「うーん......ないとは言わないけど、俺はやっぱり、自分で進む道を選びたいかなあ」

 

帆風は少し考えた後、ふっと微笑んだ。

 

「......結絆さんらしい答えですね」

 

 

 

 

 閉館時間が近づき、二人は出口へと向かった。

 

「今日は楽しかったです! お誘い、ありがとうございました!」

 

「俺も楽しかったよ。またどこかに行こうねえ」

 

 別れ際、帆風は少しだけ頬を赤らめながら、そっと言葉を付け加えた。

 

「......デート、みたいでしたね」

 

それを聞いた結絆は、一瞬驚いたものの、すぐに柔らかく笑う。

 

「そうだね。デートみたいだったねえ。」

 

帆風は微笑みながら、少し恥ずかしそうに視線をそらす。

 

そして、ゆっくりと歩き出した。

 

結絆はその背中を見送りながら、ふと考えた。

 

(......俺達の関係も、少しずつ変わっていくのかもしれないねえ。皆を守れるように強くならないと......)

 

そうして、二人は帰路についた。

 

水族館でのひとときが、二人の関係にどんな影響を与えるのか

 

——それは、まだ誰にも分からなかった。




なんか半分ぐらいが結絆達のデートになっちゃいましたが、本作の主人公は結絆なので大目に見てください。

当麻は結絆達がデートに行っている間は、補習に行っていました。

水族館っていいですよね。どうでもいいことですが、作者はペンギンが好きです。
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