結構短めです。
学園都市の一角に佇む結絆達の拠点である豪奢なマジックシアター
その舞台裏では、御坂美琴と白井黒子が、慣れない衣装に身を包んでいた。
「うわぁ......すごいですわね、お姉様!よくお似合いですの!」
黒子が目を輝かせて手を叩く。
美琴や黒子の衣装は、マジックショー用に特別に用意されたものだった。
光沢のある紺色のジャケットに、膝丈のスカート、白いシャツに蝶ネクタイをあしらったクラシカルなデザイン。
さらに、ショートブーツと手袋が加わり、まるで本物のマジシャンのようだった。
「うーん、なんだかちょっと落ち着かないわね......」
鏡の前に立ち、美琴は軽く裾を整えながらつぶやく。
「まあ、たまにはこういうのもいいじゃない?」
そこに現れたのは、この劇場の主であり、二人を今日のゲストアシスタントに誘った張本人──食蜂結絆だった。
「なかなか似合ってるよお、美琴」
「そ、そう?まあ、たまにはいいかもね」
美琴は照れくさそうに髪をかき上げながら、鏡に映る自分をもう一度見つめた。
気分を変えようと、彼女はウインクを試してみる。
次の瞬間、結絆が柔らかな笑みを浮かべて言った。
「かわいいねえ」
「!!?」
美琴の顔が、一気に茹で上がったように真っ赤になる。
「な、な、何言ってんのよ、アンタ!?」
「いやあ、普通に似合ってるし、ウインクも決まってたよお?」
「う、うるさい!!そんなんじゃないの!」
あまりの恥ずかしさに、美琴は結絆の肩をバシッと叩く。
「お姉様......その反応、まるで乙女ですの」
「黒子は黙ってて!!」
黒子のくすくすと笑う声が舞台裏に響く。
その後、ショーの準備が進み、美琴と黒子はマジックショーにアシスタントとして参加することになった。
「それじゃあ、最初の演目は『消失マジック』。美琴、黒子、君達にはステージ上で俺の指示に従ってもらうよお」
「いいわよ!どうせなら、バッチリ決めてやるわ!」
「お姉様、せっかくの機会ですの。華麗に魅せつけてやりますわよ!」
そして、華やかなステージの幕が上がる。
美琴の頬はまだ少し熱を帯びていたが、目の前の華やかな光景に胸を躍らせていた。
こんな風に驚かされることになるとは思ってもいなかったが、それでも、たまにはこんな非日常も悪くない。
そう思いながら、美琴は結絆の隣で、ステージの中央へと一歩踏み出した。
今宵のショーでは、特別な演目が披露されようとしていた。
「さあ、皆様! 本日のスペシャルゲストアシスタントを紹介しましょう!」
司会の食蜂結絆が観客に向かって声を張る。
「レディ・ミコト、そしてレディ・クロコ!さらに、本日の主役であるレディ・エスメラルダの登場です!」
ステージの幕が開くと、そこには華やかな衣装に身を包んだ御坂美琴と白井黒子、そしてエスメラルダが立っていた。
「ふふっ、お客さんの視線が気持ちいいわね」
エスメラルダは艶やかな紫のドレスを揺らしながら、余裕の笑みを浮かべる。
「お姉様、しっかりお願いしますわよ?」
「わかってるって!」
美琴は蝶ネクタイを整え、黒子と視線を交わす。
そして、結絆が舞台中央に進み出る。
「では、今から皆さんの目の前で、エスメラルダを完全に消し去ります!」
観客席がざわめいた。
ステージ中央には、豪華な装飾が施された箱が置かれている。
「さあ、エスメラルダ。この中へ」
「ええ、お手柔らかにね」
エスメラルダが優雅な動作で箱の中へ入り、蓋が閉められる。
美琴と黒子は両側からゆっくりとその箱に手を添える。
「それでは皆さん、よーく見ていてくださいねえ!」
結絆が手を振ると、舞台上のスポットライトが消え、箱にだけ柔らかな光が当たる。
美琴が、静かに電気を帯びた指を鳴らす準備をする。
「それじゃ、いくわよ......」
黒子が小さく頷いた。
「ワン......ツー......スリーッ!!」
美琴が指を鳴らすと同時に、箱の蓋が一瞬にして開かれる。
だが、そこには誰もいなかった。
「えええっ!?」
観客が一斉に驚きの声を上げる。
「......さて、エスメラルダはどこへ行ったでしょう?」
結絆が笑みを浮かべながら観客席を見渡した。
そして、次の瞬間。
「ここよ~!」
驚きの声と共に、エスメラルダが観客席のど真ん中に現れた。
「!!!」
観客たちは息を飲む。
まるで最初からそこにいたかのように、エスメラルダは優雅に微笑んでいた。
美琴と黒子もその場で息を呑む。
「え、ど、どうやったの!?」
「さすがに今回は私も驚きましたの......!」
エスメラルダは、観客の驚きの声に満足げに微笑みながら、ゆっくりとステージへ戻る。
結絆が拍手を送りながら言う。
「皆さん、これがマジックの力です!」
会場は大きな拍手と歓声に包まれた。
こうして、今宵のマジックショーは、観客に忘れられない驚きと感動を残し、華やかに幕を閉じたのだった。
マジックショーが幕を閉じた後、劇場の控室には穏やかな余韻が漂っていた。
「いやあ、大成功だったねえ」
結絆が軽く伸びをしながら満足げに言う。
「そうですわね。観客の皆さまの反応が素晴らしかったですの」
白井黒子も頷く。
「ふぅ......なんとかやりきったわね」
美琴は、額にうっすらと汗を浮かべながらも達成感に満ちた笑みを浮かべた。
「いやあ、美琴も黒子も、すっごく可愛かったからねえ。それがあってこその盛り上がりだったよお」
「......は?」
「ちょっ......何言ってんのよ、アンタ!?」
美琴が一気に顔を赤らめる。
「そ、そうですわ! そんな風に褒められると......」
黒子も同じく頬を染め、目を伏せる。
それを見て、結絆はクスクスと笑った。
「いやあ、本当に。美琴は衣装も似合ってたし、指を鳴らすのも決まってたからねえ」
「そ、そんなことないし! たまたま、そう見えただけよ!」
「黒子も、お客さんに対しての立ち振る舞いが完璧だったし、ちょっとした仕草が可愛かったよお」
「お、お姉様に褒められるのならまだしも......貴方にそんなことを言われると......///」
二人がもじもじと落ち着かない様子を見せる中、エスメラルダが呆れたようにため息をついた。
「はいはい、仲の良いこと。まったく、さっきまで舞台で華麗に振る舞っていた二人とは思えないわね」
しかし、美琴も黒子も気にする様子はない。
「......でも、観客に褒められるより、やっぱり結絆に褒められるのが一番嬉しいのよね」
「ええ、まったくですの。ショーの成功も嬉しいですが、結絆さんに認めてもらえたことのほうが、ずっと嬉しいですわ」
満面の笑みを浮かべながらそう言う二人を見て、エスメラルダは大げさに肩をすくめた。
「......まったく、惚気話を聞かされるこっちの身にもなってほしいものだわ」
それでも、彼女の表情にはどこか微笑ましさが滲んでいた。
ショーの余韻と共に、控室には穏やかで温かな空気が広がっていたのだった。
美琴と黒子の活躍で、ショーは大盛り上がりでした。
今回は、時系列を気にせず書いてるので、その辺は気にしないでもらえると助かります。