食蜂操祈のお兄様   作:とんこつスープ

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今回も、アイテムのメンバーとの交流の話です。


結絆とアイテムの日常

 焼き肉パーティの直前、結絆と麦野は学園都市の裏路地にある無機質なビルの前に立っていた。

 

「ここが違法研究所ってわけね」

 

麦野が不敵に笑いながら呟く。

 

結絆は建物を見上げながら、静かに頷いた。

 

「そうだよお。違法な人体実験を繰り返してる、最悪な連中だからねえ。今日で終わりにしようかあ」

 

二人は裏口から慎重に侵入し、研究所の奥へと進んでいった。

 

内部は薄暗く、所々に散らばる書類や機材が無造作に放置されている。

 

「妙に静かね。罠でも仕掛けてんじゃない?」

 

「ま、どんな罠だって乗り越えられるけどねえ」

 

結絆が薄く笑いながら言うと、麦野もニヤリと笑った。

 

二人は地下への通路を見つけ、慎重に降りていく。

 

だが、階段を降りきった瞬間——。

 

「チッ!」

 

背後の扉が突然閉まり、分厚い鋼鉄の壁が出口を塞いだ。

 

「閉じ込められたわね。やっぱり罠か」

 

麦野が舌打ちしながら言う。

 

その時、地下の広い実験室の奥から、金属の足音が響いた。

 

「......来るよお」

 

結絆が警戒を強めたその瞬間、複数の機械が姿を現した。

 

それは、御坂美琴の能力を機械的に再現し超越することを目的とした兵器であるファイブオーバー モデルケース・レールガンだった。

 

そのうちの一体に、白衣を着た男が乗っていた。

 

狂気じみた笑みを浮かべた彼は、二人を見下ろして言った。

 

「はははは! まさか学園都市のレベル5が二人も来るとはな。これはちょうどいい......!」

 

「何がちょうどいいって?」

 

麦野が腕を組みながら睨みつける。

 

白衣の男は嬉々とした様子で続けた。

 

「この兵器の性能を証明するには、やはりレベル5の死が必要だ。貴様らをここで殺し、この都市の力関係を変えてやる!」

 

その言葉と共に、兵器が起動する。

 

銃口がこちらに向けられ、青白い電撃が迸る。

 

「ふーん、それならやってみなさいよ。そんなオモチャで、私達に勝てると思ってるの?」

 

麦野がニヤリと笑い、結絆もゆっくりと指を鳴らした。

 

「まあ、せいぜい楽しませてもらおうかあ」

 

ファイブオーバーの砲口が光を帯び、戦いの幕が開く——。

 

 

 

 研究所の地下施設に響く轟音。

 

ファイブオーバー モデルケース・レールガンはその圧倒的な火力をもって結絆と麦野を仕留めようとしていた。

 

しかし、彼らはすでに防御を整え、反撃の準備をしていた。

 

「さて、こっちの番だねえ」

 

結絆が軽く指を鳴らすと、周囲の磁場が揺れ、電磁波が暴れ出した。

 

瞬時に床を蹴り、一体のファイブオーバーへと接近する。

 

機体が超電磁砲を放とうとするが、それよりも速く、結絆の手がその機体に触れた。

 

「面白い光景を見せてあげるよお」

 

次の瞬間、そのファイブオーバーの動きがピタリと止まり、目の前の機体に向かって砲身を向ける。

 

そして、躊躇なく超電磁砲を発射した。

 

轟音と共に、別のファイブオーバーの胴体が吹き飛ぶ。

 

「なっ......!? まさか......!」

 

研究者が驚愕の声を上げるが、結絆はニヤリと笑いながら指を軽く振る。

 

「電撃使いの最高峰を超えるつもりで作った機械がハッキングされるなんて、皮肉だねえ?」

 

「馬鹿な!そんなことが......!」

 

動揺する研究者を尻目に、麦野が笑みを浮かべながら前へ出る。

 

「さーて、私の方も始めようかしら」

 

麦野は右手をかざし、強大な電子の塊を生み出す。

 

次の瞬間、それは極太のレーザーと化し、目の前のファイブオーバーを貫いた。

 

機体が爆発し、火花を散らしながら崩れ落ちる。

 

「おっと、もう一機。」

 

さらにもう一発、今度は拡散するレーザーが周囲を焼き尽くし、複数のファイブオーバーを巻き込んでいく。

 

研究者は顔を青ざめながら後ずさった。

 

「クソッ、撤退だ! こいつらは化け物か......!」

 

「今さら逃げるなんて、遅いんじゃないかなあ?」

 

結絆がにやりと笑いながら、ハッキングしたファイブオーバーを研究者に向ける。

 

振り向いた研究者の顔が絶望に歪んだ。

 

「さあ、ショーの続きを楽しもうかあ?」

 

機械が砲身を研究者に向け、青白い光を帯びる。

 

次の瞬間、閃光が研究所の地下に轟いた。

 

 

 

 ファイブオーバー モデルケース・レールガン同士の激しい衝突が研究所の地下で繰り広げられていた。

 

結絆がハッキングした機体は、敵機と互角以上に渡り合い、電撃を纏った砲撃が交錯する。

 

「おいおい、まさか自分の兵器が操られるとは思わなかったんじゃないの?」

 

結絆は余裕の笑みを浮かべながら、研究者に言葉を投げかける。

 

研究者の顔は怒りと困惑に歪んでいた。

 

「バカな......!ファイブオーバーは厳重なセキュリティで守られているはず......こんな短時間でハッキングされるなんてありえん......!」

 

「遠隔制御にするからそうなるんだよお。まあ、ハッキングなんてしなくても、こんなおもちゃごときに苦戦はしないけどねえ」

 

研究者は唇を噛み締めながら、自らが操る機体を必死に動かす。

 

だが、ハッキングされたファイブオーバーの動きは俊敏であり、攻撃を次々と躱しながら反撃を繰り出していた。

 

強烈な電磁砲が直撃し、研究者の機体の装甲がひび割れる。

 

「クソッ......ならば!」

 

研究者は最後の手段として、全エネルギーを一撃に込め、ハッキングされた機体に向かって超電磁砲を放とうとした。

 

しかし、まさに発射しようとした瞬間、結絆が乗っ取った機体が一瞬の隙を突いて急接近し、強烈な一撃を研究者の機体に叩き込んだ。

 

「なっ!?」

 

衝撃と共に、研究者の機体は大きく揺さぶられ、制御不能に陥った。

 

そして、直後にハッキングされた機体が研究者の機体の操縦席部分を強引にこじ開け、内部の研究者を引きずり出した。

 

「ぐあああっ!」

 

研究者は無様に床へと転がり落ちる。

 

結絆はそれを見下ろしながら、ゆっくりと近づいた。

 

「さて、どうしようかなあ?これだけ派手にやってくれたんだし、それ相応の報いは受けてもらわないとねえ?」

 

研究者は恐怖で顔を引き攣らせ、後ずさる。

 

だが、すぐ後ろには麦野が立っていた。

 

「さぁて、どこに逃げるつもりかにゃ~ん?」

 

麦野の冷たい笑みが研究者を捕らえた。

 

その手には、光り輝く電子の刃が握られている。

 

研究所の地下に響くのは、機械の火花が散る音と、研究者の浅い息遣いだけだった。

 

 

 

 「麦野、今すぐに殺すのは流石にかわいそうだと思うよお」

 

麦野は研究者を殺そうとするが、結絆はそれを止めた。

 

「......見逃してくれるのか?」

 

声は震えていたが、その奥底にはまだわずかな希望があった。

 

どんなに絶望的な状況でも、運命が覆る可能性を信じるのが人間という生き物だ。

 

だが、その甘い幻想は次の瞬間、結絆の言葉によって無惨に砕かれる。

 

「いやいや、そんなわけないじゃないかあ。君の持ってる情報を抜いてから、殺した方が有意義だよねえ?」

 

結絆は微笑を浮かべながら、研究者の肩に手を置いた。

 

その手はまるで優しく慰めるかのようだが、そこにあるのは温もりではなく、冷徹な意志だった。

 

「な......!?や、やめろっ!」

 

研究者は身をよじって逃れようとしたが、無駄だった。

 

結絆の力の影響か、彼の抵抗はまるで意味を成さない。

 

結絆は静かに研究者の額に指を当てる。

 

「それじゃあ......ちょっとだけ、覗かせてもらうよお」

 

脳波操作が始まり、研究者の意識は一瞬で混濁した。

 

結絆の力は単なる精神操作にとどまらず、記憶の抽出や改竄も可能だ。

 

「ほうほう、なるほどねえ......この研究所、他にもいくつか支部があるわけだ。しかも、裏では学園都市の上層部の一部とも繋がってたとは。面白い情報を持っているねえ」

 

結絆は満足げに微笑みながら、研究者の頭を軽く叩いた。

 

「もう用済み」と言わんばかりの仕草だった。

 

「麦野、やっちゃっていいよお」

 

「言われなくても、そのつもりだったけどね」

 

麦野沈利は、右手を構えた。

 

淡い橙色の電子が指先に集束し、小さな球体を形成する。

 

それは瞬く間に膨れ上がり、純粋な破壊の象徴となった。

 

「くそっ......!こんな......こんなはずじゃ......!」

 

研究者は後ずさるが、壁に阻まれて逃げ場はない。

 

彼の顔には絶望と後悔が色濃く浮かび上がっていた。

 

「じゃあ、さよなら♪」

 

麦野の原子崩し(メルトダウナー)が放たれる。

 

一瞬の閃光。

 

次の瞬間、研究者の体は蒸発し、跡形もなく消え去った。

 

「ふう......まあ、こんなもんね」

 

麦野は息を吐き、軽く指を鳴らす。

 

結絆は肩をすくめながら、彼女の横に並んだ。

 

「さてと、この研究所の他の支部も潰しておかないとねえ。麦野、付き合ってくれるかい?」

 

「当然でしょ。ここまで来たら、とことん潰してやらなきゃ気が済まないしね」

 

二人は破壊された研究施設を背に、新たな戦いへと歩を進めるのだった。

 

 

 

 研究所の地下施設を破壊し尽くし、瓦礫と化した廊下を二人の影が歩いていた。

 

食蜂結絆と麦野沈利、彼らは違法な研究を行っていたいくつかの施設を徹底的に潰し、関係者を抹殺したのだった。

 

「いやー、スッキリしたねえ。やっぱり悪い奴らはさっさと片付けるに限るよお」

 

結絆が両手を頭の後ろで組みながら軽い調子で言う。

 

麦野も肩を回しながら笑った。

 

「まったく。最初はどうなるかと思ったけど、意外とあんたとはうまくやれてる気がするわ」

 

麦野がふと漏らした言葉に、結絆は小さく首を傾げた。

 

「思ったよりも?」

 

「そうよ。アンタは何考えてるかわかんないし、基本的に掴みどころがないじゃん。最初は『また面倒な奴と組むことになった』って思ってたけどね......」

 

麦野は少し視線を落としながら、苦笑いを浮かべた。

 

「でも、こうやって共闘してみると、思ったよりも悪くないわよね」

 

それを聞いて、結絆は楽しげに笑った。

 

「おお、それは嬉しいねえ。俺もそう思うよお」

 

「へぇ、珍しいな。あんたが素直に同意するなんて」

 

「まあねえ。やっぱり、お互い助け合いが大切だよお」

 

結絆はそう言って麦野の肩を軽く叩いた。

 

麦野は驚いたように一瞬目を見開いたが、すぐに鼻で笑うように息を吐いた。

 

「ったく、妙に軽いのがムカつくんだけど......でも、確かにそれは言えてるかもね」

 

「でしょお?」

 

そう言いながら二人は施設の外へと歩みを進める。

 

夜風が頬を撫で、満月が空に浮かんでいた。

 

「さて、帰って焼肉でも食べよっか。仲間達も待ってるからねえ」

 

「......アンタって、本当にマイペースよね」

 

「そうかい?」

 

「ま、嫌いじゃないけど」

 

麦野は肩をすくめながら、どこか楽しげな表情を浮かべていた。

 

二人は並んで歩きながら、マジックシアターへと戻っていく。

 

彼らの同盟は、確実に強い絆へと変わりつつあった。

 

 

 

 結絆はマジックシアターのラウンジでくつろいでいた。

 

焼肉パーティーの後片付けも終わり、メンバー達は思い思いに時間を過ごしている。

 

そんな中、絹旗が隣に座り、珍しく少し考え込んだ表情を浮かべていた。

 

「あの、結絆、ちょっといいですか?」

 

「んー? どうしたんだい、絹旗?」

 

いつものような少し生意気な態度ではなく、どこか真剣な様子に、結絆は少し姿勢を正した。

 

「私の......過去の話なんですけど」

 

結絆は興味を持ったように頷くと、絹旗は静かに語り始めた。

 

「私は、昔、『暗闇の五月計画』っていう実験の被験者だったんです」

 

暗闇の五月計画、学園都市の暗部に関わる者なら聞いたことがある名前だ。

 

だが、詳細を知る者は少ない。

 

「その実験は、一方通行の精神性や演算方法の一部を意図的に植え付けるものでした。その結果、私は窒素装甲(オフェンスアーマー)を発現したんです」

 

結絆は軽く目を見開く。

 

「なるほどねえ。そういうことだったのか」

 

「......それは、超どういうことですか?」

 

「絹旗がキレた時、一方通行っぽくなるのはそのせいだったのかって思ってねえ」

 

結絆の言葉に、絹旗はわずかに目を伏せた。

 

「そうかもしれません。私は、時々超思うんです。自分の精神が、本当に私自身のものなのかって」

 

絹旗は苦笑しながら続けた。

 

「だから、私は......結絆は、そんな私のこと、超不気味だと思いますか?」

 

結絆は少し考える素振りを見せた後、肩をすくめて笑った。

 

「研究者達に比べたら、絹旗はとてもまともだよお」

 

絹旗は驚いたように結絆を見つめた。

 

「絹旗はねえ、自分が不気味だとか考える時点で、そういう奴らとは違うよお。本当に狂ってるやつは、自分のやってることを正しいって信じて疑わないからねえ」

 

絹旗は目を見開いた後、少しだけ口元を緩めた。

 

「......そうかもしれませんね」

 

「それに、絹旗がオフェンスアーマーを使う時の顔、けっこうカッコいいと思うけどなあ?」

 

「......それ、褒めてるんですか?」

 

「もちろんだよお」

 

結絆の軽い口調に、絹旗は少しだけ肩の力を抜いた。

 

「......ありがとうございます、結絆」

 

「どういたしまして。ま、何かあったらいつでも相談してくれたらいいよお」

 

絹旗は小さく頷くと、結絆の隣で静かに目を閉じた。

 

その顔には、どこか安堵の色が浮かんでいた。

 

 

 

 その後、絹旗が目を覚ました後、マジックシアターのラウンジで、結絆と絹旗最愛は向かい合って座っていた。

 

アイスティーを口にしながら、結絆は穏やかな表情で絹旗を見つめていた。

 

絹旗は少し考え込むように視線を落とし、やがて口を開いた。

 

「......結絆は、一方通行のことをどう思いますか?」

 

「どうって、あいつは俺の古い友人だよお」

 

絹旗は意外そうな顔をした。

 

"友人"、その言葉に少なからず驚きを感じた。

 

「でも、一方通行は超危険人物って言われてますし、超冷酷なヤツだって聞いてます。学園都市最強のレベル5だなんて、超恐れられてる存在じゃないですか」

 

「確かにねえ。でも、あいつは元々、正義感の強い奴なんだよお」

 

結絆は微笑みながら語り始めた。

 

「あいつは昔から仲間を守るために戦ってる。力があるから利用されることも多いけどねえ、根っこの部分では善人だよお。たとえば、エステルや打ち止めや妹達のことをすごく大事にしてる。そいつらのことになると、あいつはどこまでも本気で守ろうとするんだよお」

 

「......え?」

 

絹旗の顔に驚きの色が浮かんだ。

 

自分の知る一方通行のイメージとはあまりにも違う。

 

「でも......」

 

「まあ、表向きの評判は良くないねえ。でも、それはあいつがいろんな事情を背負わされてるからだよお。表に出るのは悪名ばかりだけど、実際には色々と守ってるものがあるんだ」

 

絹旗は困惑しながらも、結絆の言葉を噛み締めるように考えていた。

 

「超意外ですね......私、一方通行のことを完全に悪党だと思ってました。でも、そうやって仲間を大切にしているっていうのは......ちょっと、認識を改める必要がありそうですね」

 

結絆は満足そうに微笑んだ。

 

「そうだねえ。人を見た目や噂だけで判断しちゃいけないってことだよお」

 

絹旗は静かに頷いた。

 

絹旗は、自分がかつて暗闇の五月計画で植え付けられた一方通行の思考パターンに嫌悪感を抱いていたが、それを持つ自分自身に対する見方も、少しずつ変わっていくかもしれない。

 

 

 

 学園都市のショッピングモールは、秋の訪れを告げるように落ち着いた色合いの服が並び、通路には新作のディスプレイが華やかに飾られていた。

 

結絆はアイテムのメンバー達とともに、秋物の服を探すために店を巡っていた。

 

「男性目線の意見が欲しいんだけど、どれがいいと思う?」

 

麦野が手に取ったのは、深いワインレッドのコート。

 

対するフレンダは、白のニットワンピースを胸の前に当てて見せてくる。

 

絹旗はブラウンのジャケット、滝壺は淡いベージュのカーディガンをそれぞれ手にしていた。

 

「うーん、どれもそれぞれ似合ってるけどねえ......」

 

結絆は腕を組んで、それぞれの服を見比べた。

 

麦野のワインレッドのコートは大人の魅力を引き立て、フレンダの白のニットワンピースは愛らしさを強調している。

 

絹旗のブラウンのジャケットは落ち着いた印象を与え、滝壺のカーディガンは柔らかな雰囲気を醸し出していた。

 

「麦野はそれ、すごく似合ってるよお。強気な感じが引き立つねえ」

 

「ふふ、やっぱり?でも、ちょっとカッチリしすぎかなぁとも思ってたのよね」

 

「カジュアルめなワンピとかと合わせたら、ちょうどいいかもしれないよお」

 

「なるほどね」

 

結絆の意見に頷きながら、麦野は他の服との組み合わせを考え始めた。

 

「じゃあ、フレンダは?」

 

「このニットワンピ、どうかなって思ったんだけど!」

 

「白、すごくいいねえ。可愛らしいし、秋らしいし。でもお、フレンダは動き回ることが多いから、もうちょっと丈の短いものか、上に羽織るものがあるといいかもねえ」

 

「なるほど!じゃあ、こういうのを合わせたらどうかな!」

 

フレンダは近くのラックからショート丈のデニムジャケットを手に取る。

 

結絆はそれを見て頷いた。

 

「うん、それなら全体のバランスも良くなるし、防寒もばっちりだねえ」

 

「よし、これにする!」

 

フレンダが満足そうに笑うのを見て、絹旗が小さくため息をついた。

 

「結絆は超センスがいいですね。じゃあ、これはどうでしょう?」

 

「絹旗のブラウンのジャケット、落ち着いてていいねえ。そうだねえ、もっと良くするなら、インナーを明るめの色にしたほうが全体が映えると思うよお」

 

「超なるほどです!」

 

結絆のアドバイスを受け、絹旗はホワイトのセーターを手に取る。

 

ブラウンとホワイトの組み合わせが、秋らしく優しい雰囲気を演出していた。

 

「滝壺はどう?」

 

「このカーディガン......着やすそうだから」

 

「うん、滝壺にはすごく合ってるねえ。敢えて一つ言うとするなら、スカートよりもパンツのほうがバランスが良くなるかもねえ」

 

「......こういうの?」

 

 滝壺は落ち着いたグレーのスリムパンツを手に取る。結絆は微笑みながら頷いた。

 

「うん、それなら全体的に大人っぽくて落ち着いた雰囲気になるねえ」

 

「ふふ、ありがとう」

 

アイテムのメンバー達はそれぞれ自分に合う服を選び、満足そうに試着室へ向かった。

 

結絆はそんな彼女達の後ろ姿を眺めながら、ふと苦笑する。

 

「なんか俺、完全にコーディネーターみたいになってるねえ」

 

「それだけセンスがいいってことじゃない?」

 

麦野が試着室のカーテンを開けながら笑いかける。

 

その姿を見て、結絆も肩をすくめた。

 

「まあ、おしゃれは大事だよお。秋を楽しむためにもねえ」

 

「それ、名言かも」

 

楽しい買い物は続き、アイテムのメンバー達との距離もまた、少し縮まったようだった。




前半は暗部らしい話で、後半はほのぼのとした話となりました。

アイテムのメンバー達は、完全にドリームに馴染んでますね。

人を惹きつける力は、結絆の魅力の一つだと思います。
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