スターカッターの船内は、まるで異世界の豪華客船のようだった。
金色の装飾が施された内装に、座り心地の良いソファが並び、中央には円卓が置かれている。
その周囲に、食蜂結絆、麦野沈利、フレンダ=セイヴェルン、絹旗最愛、滝壺理后の五人が集まっていた。
そして、何故か王様ゲームをすることになった。
勿論、フレンダの提案である。
「よーし、みんな準備はいいかい?」
結絆が手にした箱を開き、中から五本のくじを取り出した。
「やるって言いだしたのはアンタなんだから、面白くなかったらただじゃおかないわよ?」
麦野がニヤリと笑いながら言い、フレンダが慌てた様子で「麦野、そういうのは怖いっての!」と抗議する。
「まあ、とりあえず引こうか。王様だ〜れだ?」
全員がくじを引くと、結絆の口元がゆるんだ。
「俺が王様だねえ」
「はぁ、最初っから結絆が超王様ですか」
絹旗が肩をすくめる。
「よし、じゃあ、まずは......2番は4番の肩をもむっていうのでいこうか」
「えぇー、そんなのでいいの?」
フレンダが少し拍子抜けしたように言うが、結絆は「こういうのはじわじわ盛り上げるのが大事なんだよお」と笑う。
それぞれが番号を確認し、次の瞬間、麦野の口角が上がった。
「......ふーん、2番は私ね。そして、4番は......」
「......え?」
フレンダは自分のくじを見て、青ざめた。
「ちょ、ちょっと待って待って!麦野が私の肩をもむとか、それ拷問にしかならないっての!」
「何言ってんのよ、普通にやるだけよ。ほら、さっさと背中向けなさい」
麦野がフレンダの肩に手をかける。
「ちょ、ちょっと優しめに......って、ぎゃああああ!!」
瞬間、フレンダの悲鳴が船内に響き渡った。
「フレンダは、日頃の行いが超アレなのでしょうがないですね」
「は?これくらい普通でしょ。ほら、フレンダ、もっとリラックスしなさいよ」
「リラックスできるわけないっての!痛い痛い!背中の筋肉が死ぬってのぉぉぉ!!」
フレンダはバタバタと手足を動かして逃げようとするが、麦野はしっかりと押さえて肩をグリグリと揉み続ける。
「ふむ、最初からこうなるとは、なかなか面白いねえ」
結絆は楽しそうにその光景を見守る。
「ふふ、フレンダの顔、いつもより赤くなってる」
滝壺が淡々とした声で言い、絹旗も笑っている。
「もう二度と麦野に肩揉まれたくない......」
フレンダはぐったりとソファに倒れ込んだ。
「まだまだ始まったばかりだよお。次、いってみよー!」
スターカッターの中での王様ゲームは、まだまだ続きそうだった。
スターカッターの船内に、再び王様ゲームの掛け声が響いた。
「王様だ〜れだ?」
五本のくじが引かれ、それぞれが自分の番号を確認する。
「よっしゃ!今度は私が王様ぁ!」
フレンダが得意げにくじを掲げた。
「ほう、それは楽しみだねえ」
結絆が微笑みながら言う。
「さてさて、どんな命令にしよっかな......うん、決めた!3番が1番のモノマネをする!ってのでどうよ!」
「モノマネかぁ......」
麦野が腕を組みながら言う。
「誰のモノマネになるかによりますね」
絹旗も興味深そうにくじを見つめた。
それぞれが番号を確認し、次の瞬間、結絆が軽く肩をすくめた。
「おや、3番は俺だねえ。そして1番は......」
「え?超私ですか?」
絹旗が驚いた表情を見せた。
「おお、結絆が絹旗のモノマネをするのか!」
麦野が面白そうに言い、滝壺も「楽しみ」とぽつりと呟く。
「......ま、やるからには全力でやるよお」
結絆は軽く咳払いをすると、自身の能力である自己制御(セルフマスター)を使って声帯を調整し始めた。
「んん......よし、こんな感じかなあ」
次の瞬間、結絆の声が驚くほど絹旗にそっくりになった。
「この映画、超つまんないですね。一番意味わからなかったのは、鮫の映画かと思ったら突然超メイドが出てきたってとこですよ。」
鮫のメイド、つまり、サーメイ......これ以上はつまらなくなるのでやめておこう。
「......えっ!?」
絹旗が目を見開く。
「な、なんでそんなに超完璧なんですか!?超納得いきません!」
「お、おおおお!?」
麦野、フレンダ、滝壺が思わず感嘆の声を上げる。
「これ、まじで絹旗そっくりすぎるっての!」
「超すごいじゃない......!」
滝壺も珍しく表情を変えて「すごいね」と呟いた。
結絆は絹旗の仕草まで真似し、腕を組んで少しそっぽを向くような動作を加える。
「そんな風に私が超言ってるわけじゃないですってば!」
「いや、"超"言ってるわよ」
麦野がクスクスと笑う。
フレンダが両手をパンパンと叩きながら、おおー!と歓声を上げ、それに合わせて滝壺も拍手を送る。
「これは超クオリティ高すぎですね......」
絹旗は呆れながらも、どこか嬉しそうだった。
「いやー、楽しいねえ。さて、次、いってみよー!」
「それじゃ、王様だ〜れだ?」
くじが引かれ、それぞれが確認すると、滝壺が静かに手を上げた。
「私が王様」
「おっ、滝壺が王様か。何を命令するんだろうねえ?」
結絆が興味深げに尋ねると、滝壺は少し考えてから口を開いた。
「5番が4番に膝枕をする」
「ええっ!?なんですかその超恥ずかしい命令!」
絹旗が思わず声を上げた。
「おやおや、これはなかなか面白いねえ」
結絆がくじを確認しながら、楽しげに笑う。
「......で、誰が誰に膝枕するんだ?」
麦野がくじを見ながら言うと、絹旗が顔を引きつらせた。
「......5番が私で、4番は......」
「俺だよお」
結絆がくじを掲げると、船内に一瞬沈黙が走る。
「うわぁ、これはまた面白い組み合わせじゃん!」
フレンダが楽しそうに言い、麦野もニヤリと笑う。
「いや、超恥ずかしいんですけど!」
「絹旗、王様の命令は絶対」
「これは、お互いしょうがないねえ」
結絆がいたずらっぽく微笑みながら、横になる。
「はぁ......わかりましたよ、超やればいいんですよね?」
絹旗はため息をつきながら、結絆の頭を自分の膝に乗せた。
「おぉー、意外といい感じじゃん?」
フレンダがからかうように言う。
「......別に私は、超何とも思ってませんからね?」
そう言いながらも、絹旗はどこか落ち着かない様子だった。
「ふむ、なかなか心地いいねえ」
結絆は膝枕の感触を楽しむように目を閉じた。
「......」
絹旗はしばらく黙っていたが、ふとした拍子に結絆の髪に手を伸ばし、そっと撫でた。
「......おやおや?」
結絆が目を開ける。
「な、なんですか!別に意味なんて超ないですからね!」
絹旗が少し赤くなりながら言う。
「でも、すごく優しい手つきだねえ」
結絆は微笑みながら、そのまま身を預ける。
「おおー」
フレンダ、麦野、滝壺の三人が声を揃えて感心したように言い、拍手を送った。
「まさか絹旗が結絆にこんなに優しいとはねえ」
麦野がからかうように言う。
「......超ほっといてください!」
絹旗は顔を真っ赤にしながら、結絆の頭をぽんと軽く叩いた。
「はは、ありがとうねえ」
結絆が柔らかく微笑むと、絹旗はさらに顔を赤くする。
スターカッターの中での王様ゲームは、まだまだ盛り上がりそうだった。
「王様だ〜れだ?」
五本のくじが引かれ、それぞれが確認する。
「よっしゃ!今度は超私ですね!やり返す時間が超やってきました!」
絹旗が満足げにくじを掲げた。
「ほう、それは楽しみだねえ」
結絆が微笑みながら言う。
「さてさて、どんな命令に......、決めました!2番が3番に4回キスするってのでいきます!」
「......えっ?」
フレンダがピタリと動きを止める。
「おやおや、これはまた大胆な命令だねえ」
結絆がくじを確認しながら楽しそうに笑った。
「......で、誰が誰にキスするの?」
麦野が興味深そうに尋ねると、フレンダが自分のくじを見て凍りついた。
「3番が......私で、2番は......」
「俺だねえ」
結絆が穏やかにくじを掲げると、船内に一瞬の沈黙が訪れた。
「え、ええええええ!? ちょ、ちょっと待ってっての!」
フレンダが慌てて後ずさる。
「中々大胆な命令だよねえ」
結絆が軽く肩をすくめながら、フレンダの前に歩み寄る。
「ま、まあ、頬に軽くチュッとするくらいなら......」
フレンダが覚悟を決めたように目を閉じた瞬間、結絆はその手をそっと取った。
「じゃあ、まずはここからだねえ」
結絆はフレンダの手の甲に優しく唇を落とす。
「......っ!」
フレンダの顔が一気に赤く染まる。
「次は......首かなあ?」
そう言って、結絆はフレンダの首元へとそっと唇を寄せる。
「ま、待って! なんでそんなロマンチックな流れになってるの!?」
フレンダが混乱しながらも身を固くすると、結絆はくすりと笑いながら、今度はフレンダの頬に優しくキスをした。
「っっっ!」
フレンダの顔は茹で上がったように真っ赤になり、目をぐるぐるさせながら結絆を見上げた。
「そして、最後は......」
結絆はそっとフレンダの唇に触れるように、軽くキスをした。
「~~~っ!?」
フレンダはあまりの衝撃に声も出せず、ただその場で震えたまま固まっていた。
「......おや?」
結絆が振り向くと、絹旗が頬を膨らませながら、じっとこちらを見つめていた。
「......なんか超モヤモヤするんですけど」
「参ったねえ、ちょっとやりすぎたかもしれないねえ」
結絆がため息をつく。
「別にっ!超なんでもありません!」
絹旗は腕を組み、そっぽを向いた。
「ふーん?」
麦野がにやりと笑う。
「ま、まあ、ゲームだから!これもゲームだから!」
フレンダが必死に自分に言い聞かせるように叫ぶ。
「......続き、やろっか」
滝壺が静かに言い、スターカッターの中は再び賑やかな雰囲気に包まれた。
しかし、絹旗のモヤモヤはまだ晴れないままだった。
スターカッターの船内には、まだほんのりとした気まずさが残っていた。
「......なんか超納得いかないです」
絹旗は腕を組み、頬を膨らませながらそっぽを向いていた。
「おやおや、絹旗はまだ怒ってるのかなあ?」
結絆が苦笑しながら言う。
「別に超怒ってません、ただ、なんかモヤモヤするだけです」
「へぇ〜?」
麦野はニヤニヤしながらそんな絹旗を眺めていたが、ふと目を細めると、結絆に向けて小さく目配せを送った。
「それじゃあ、王様だ〜れだ?」
皆がそれぞれくじを引き、確認する。
(......なんとかしなさいよ)
麦野の視線を受け取った結絆は、軽く肩をすくめると、精神感応(テレパス)で麦野に語りかけた。
(俺が5番で、絹旗が1番だよお)
「へぇ......なるほどね」
麦野は意味深に微笑みながら、くじを掲げた。
「私が王様ね」
麦野が堂々と宣言すると、フレンダと滝壺が興味深そうに見つめた。
「麦野が王様とか、またエグい命令が飛び出しそうな予感ってわけよ」
フレンダが半ば怯えながら言う。
「さぁて、命令はどうしよっかな......」
麦野はニヤリと笑いながら、ちらりと結絆を見た。
「よし、決めた。5番が1番の機嫌を取る!」
「......え?」
絹旗が驚いた顔で麦野を見つめる。
「ええ〜? 結絆が絹旗の機嫌を取るってこと?」
フレンダがくじを確認しながら言う。
「おやおや、それはまた大変なミッションだねえ」
結絆は苦笑しながら、絹旗の方へと歩み寄った。
「さてさて、どうやって機嫌を取ろうかねえ?」
「......別に私は超怒ってるわけじゃありません!」
絹旗はそっぽを向く。
「でもモヤモヤはしてるんでしょお?」
結絆は優しく微笑むと、ふっと背をかがめて、絹旗と目線を合わせた。
「......じゃあ、こうするのはどうかなあ?」
結絆はそっと手を伸ばし、絹旗の頭を優しく撫でた。
「......っ」
絹旗は一瞬驚いたように目を見開いたが、結絆の手のぬくもりに少しだけ頬を赤らめた。
「おやおや、意外と素直に撫でられてるねえ?」
結絆がからかうように言うと、絹旗は慌てて肩をすくめた。
「ちょ、超違います! これは別にその......!」
「でも、顔赤いよお?」
「う、うるさいです!」
絹旗はぷいっと顔を背けたが、どこか機嫌が直りつつあるのが周囲にも伝わった。
「おおー、結絆すごいってわけよ!」
フレンダが拍手を送る。
「まあ、これくらいは朝飯前かなあ」
結絆が冗談めかして言うと、絹旗は少しムスッとした表情を浮かべたが、そのまま結絆の手を振り払うことなく、されるがままになっていた。
「......ふん、まあ今回は超許してあげますよ」
「おお、やったねえ」
結絆がにっこり笑うと、絹旗は少し拗ねたように目を逸らしながらも、どこか悪くない気持ちになっていた。
「はい、次、いくわよ」
麦野が楽しげに宣言すると、船内には再び和やかな雰囲気が戻ったのだった。
5人は、王様ゲームで盛り上がってますね。
次回も王様ゲームが続きます。