「王様だ〜れだ?」
スターカッターの船内に、賑やかな声が響く。
「私が王様ってわけよ!」
フレンダがくじを掲げながら、誇らしげに笑う。
「うわ、フレンダが超王様ですか......また変な命令が超飛んできそうな予感がします」
絹旗が警戒しながら言うと、麦野も「まあ、フレンダのことだからな」と苦笑した。
「さてさて、何を命令しようかな〜?」
フレンダは腕を組んでしばらく考え込んだ後、パチンと指を鳴らした。
「よし、決めた! 4番が王様含めた全員にマッサージをする!」
「......ん?」
結絆は自分のくじを見つめ、少しだけ眉を上げた。
「おやおや、これはまた面白い命令だねえ。俺が4番だよお」
「えー!じゃあ、結絆が私たちをマッサージしてくれるってわけ?」
「......結絆に体を触られるのは、なんか超恥ずかしいです」
「ふふっ、まあ、気持ちいいマッサージを期待してるわよ?」
麦野が楽しげに笑いながら、ソファに腰を下ろした。
他のメンバーも、それぞれ楽な姿勢を取る。
「じゃあ、まずは王様のフレンダからいこうかねえ」
結絆はフレンダの後ろに回ると、そっと肩に手を置いた。
「んんっ......!」
指がぐっと食い込んだ瞬間、フレンダの体がぴくりと跳ねる。
「うわ、フレンダの肩、めちゃくちゃ凝ってるねえ......」
「そ、そう?でも、なんか気持ちいいってわけよ......」
結絆は適度な力で揉みほぐしながら、フレンダの肩の筋肉をゆっくりと解していく。
「ふぅ〜......なんか、眠くなってきた......」
フレンダがうっとりと目を閉じるのを見て、麦野が「次は私の番ね」と言って肩を回した。
「麦野も結構凝ってるねえ。リーダーはやっぱり疲れるのかなあ?」
「そりゃあねぇ......って結絆、あんた結構上手いじゃない」
「そりゃどうもお」
結絆は麦野の肩から背中にかけて、ゆっくりと指圧を加えていった。
「くぅ〜......効くわねぇ......!」
次に、滝壺が静かに座って、結絆の手を待った。
「滝壺は肩よりも首の方が張ってるねえ」
「うん......気持ちいい」
滝壺は目を閉じ、穏やかな表情を浮かべた。
「じゃあ、次は絹旗だねえ」
「わ、私ですか......!?」
絹旗は少し顔を赤らめながら、そわそわと落ち着かない様子で座った。
「緊張しなくてもいいよお。力加減はどうかなあ?」
「い、意外と......超いい感じです......」
結絆の指が優しく肩を揉みほぐしていく。
絹旗の表情が次第に緩んでいき、心地よさそうに目を閉じた。
「最後は俺かなあ?」
「自分で自分のマッサージってできるの!?」
「まあ、自己制御(セルフマスター)を使えば、できなくもないねえ」
そう言って、結絆は自分の首を軽く回しながら、自らの筋肉を弛緩させていった。
「凄いわね......」
麦野が感心しながら結絆を見つめる。
「じゃあ、みんなの疲れも取れたし、次、いこうかねえ」
結絆が軽く手を叩くと、フレンダが満足げに頷いた。
「うん! 最高のマッサージだったってわけよ!」
「これは......確かに超悪くないです」
絹旗も、頬を染めながら呟いた。
「王様だ〜れだ?」
くじを引いたメンバーが一斉にくじを確認する中、結絆はふっと微笑みながら札を掲げた。
「俺が王様だねえ」
「お、結絆か。何を命令する気だ?」
麦野が興味深げに腕を組むと、フレンダや絹旗も期待の眼差しを向けてきた。
「うーん、じゃあ......2番は王様にびっくりする話をする、ってのはどうかなあ?」
「びっくりする話?」
「そう。俺が『マジかあ!?』って驚くような話をしてほしいねえ」
結絆が軽く肩をすくめると、メンバーは一斉に自分のくじを確認した。
「私が2番」
滝壺が静かに手を上げた。
「おっ、滝壺か。楽しみだなあ」
「うん......それじゃあ、耳を貸して」
滝壺は結絆の隣に座ると、そっと身を寄せた。
「なになに?」
結絆が軽く笑いながら耳を傾けると、滝壺は小さく囁いた。
「フレンダと絹旗......最初に結絆を見た時に、一目惚れしてる」
「......え?」
結絆の体がピクリと硬直する。
「......マジかあ!?」
突然の驚きの声に、他のメンバーがびくっと反応した。
「ちょ、ちょっと!?何がそんなにびっくりしたんですか!?」
絹旗が驚いたように問いかける。
「いやあ、これは予想外というか......本当にびっくりしたよお......」
「え、なになに!?私も知りたいってわけよ!」
フレンダも興味津々で詰め寄るが、結絆は滝壺をちらりと見て、小さく苦笑した。
「......ふふ、秘密だよお」
「えぇ!? なんでよー!」
フレンダと絹旗が不満そうに頬を膨らませる中、滝壺は静かに微笑んでいた。
「......びっくりした?」
「びっくりしたよお......ほんとにねえ」
結絆はこめかみを軽く押さえながら、改めてフレンダと絹旗の方を見つめる。
(......そうだったんだねえ......)
今まで気づかなかった事実に、彼は内心で驚きを隠せなかった。
「まあ、結絆が驚いたなら成功ってことで、次の王様を決めるわよ」
麦野の一言で、場の空気が再び和やかに戻る。
しかし、結絆の心には小さなざわめきが残っていた。
(参ったねえ......これはちょっと、意識せざるを得ないねえ)
そんなことを思いながら、彼は次のくじを引いた。
「王様だ〜れだ?」
くじを引いたメンバーが一斉に自分の札を確認する。
「私が王様」
滝壺が静かに札を掲げた。
「おっ、滝壺ね。どんな命令にする気?」
麦野が興味深そうに尋ねると、滝壺は少し考え込んだあと、淡々と言葉を紡いだ。
「1番が5番と一緒に、今日の晩飯のメニューを考える」
「......へぇ、珍しく穏やかな命令ですね」
絹旗が意外そうに目を瞬かせる中、メンバーはそれぞれ自分の札を確認する。
「お、私が5番ってわけよ!」
フレンダが札を掲げると、結絆もゆったりと札を見せた。
「ん〜、俺が1番だねえ」
「ってことは、結絆とフレンダで晩飯のメニューを決めるのね」
麦野が頷くと、フレンダは笑いながら言った。
「なんか、意外と簡単な命令ってわけよ!」
しかし、その言葉を聞いた結絆は軽く首を振った。
「いやあ、これはなかなか難しい命令だよお」
「え? そうなの?」
フレンダが首をかしげると、結絆は穏やかに微笑みながら説明を続けた。
「だって、みんなが満足するメニューを考えないといけないでしょお? 麦野はガツンとしたものが好きそうだし、滝壺はあっさりしたのが良さそうで、絹旗はバランスにこだわってそうだから......結構考えることが多いんだよねえ」
「うっ、それは......確かにそうかも......」
フレンダは口元に指を当て、考え込む。
「じゃあ、どうする?」
滝壺が静かに尋ねると、結絆は腕を組んでしばらく考えたあと、ふっと微笑んだ。
「よし、じゃあこうしようか。メインはガッツリ系のハンバーグ、それにさっぱりしたサラダを付けて、スープは野菜たっぷりのコンソメスープにするってのはどうかなあ?」
「おお、それならバランスも良いし、皆喜びそうってわけよ!」
フレンダがぱっと笑顔を見せる。
「ハンバーグ......いいと思う」
滝壺が小さく頷き、麦野も満足げに微笑んだ。
「悪くないじゃない。ちゃんとみんなの好みを考えてるし」
「結絆、なかなかやりますね。私も超納得です」
絹旗も満足そうに頷く。
「ふふ、気に入ってくれてよかったよお」
結絆は柔らかく微笑み、フレンダと目を合わせる。
「じゃあ、早速準備を始める?」
「うん!一緒に頑張るってわけよ!」
こうして、結絆とフレンダは今日の晩飯のメニューを決め、楽しい夕食の準備へと取り掛かるのだった。
夕飯のメニューが決まり、結絆たちは食材を調達するために動き出した。
「さて、とりあえず材料を集めないとねえ」
結絆はスターカッターの操縦席に座り、ふわりと微笑んだ。
そして、手際よく操作盤に触れると、船体が滑らかに動き出す。
「どこへ向かうの?」
麦野が腕を組みながら尋ねると、結絆は前方のモニターを指さした。
「森だよお。あそこなら新鮮な食材が手に入りそうだからねえ」
そう言うと、スターカッターは美しい弧を描きながら、広大な緑の森へと降下していった。
スターカッターを森の開けた場所に着陸させた後、五人はそれぞれ役割を決めて食材探しを開始した。
「じゃあ、私はイノシシ狩りに行くわ」
麦野が不敵な笑みを浮かべながら宣言する。
「ええっ、イノシシ!?そんなの捕まえられるの!?」
フレンダが目を丸くするが、麦野は肩をすくめた。
「大丈夫よ。ちょっと脅かせば、大人しくなるわ」
「なんか超危なっかしいですね......」
絹旗がため息をついたが、麦野のやる気は満々だった。
「私も一緒に行く。イノシシ、スタミナがあるから気をつけたほうがいい」
滝壺が静かに申し出ると、麦野は「心強いわね」と笑った。
「じゃあ俺たちは、野草や果物を探そうかあ」
結絆はフレンダと絹旗を見ながら提案し、二人も頷いた。
森の中を歩きながら、結絆たちは慎重に食べられるものを探していく。
「おっ、この実、おいしそうじゃない?」
フレンダが小さな赤い実を見つける。
「ちょっと待ってねえ」
結絆は鼻を近づけて、成分を分析した。
「うん、大丈夫だねえ。甘酸っぱくて栄養価も高いよお」
「やった!じゃあ、たくさん集めちゃお!」
フレンダは張り切って果実を摘み始める。
一方、絹旗は野草を探していた。
「これ、確か超食べられるやつですよね?」
彼女が指差したのは、細長い葉の野草だった。
結絆が確認すると、それは食用のハーブの一種だった。
「うん、それはスープの香りづけにも使えるねえ」
「よし、超ゲットです!」
一方、その頃麦野と滝壺はイノシシを追っていた。
「いたわね......」
麦野が木陰から様子を伺う。
目の前には大きなイノシシが草を食んでいる。
「どうする?」
滝壺が小声で尋ねると、麦野はニヤリと笑った。
「簡単よ。ちょっと脅かしてやれば、気絶するでしょ」
そう言うと、麦野は手から微弱な光を放ち、それを地面に向かって放った。
「ドガァンッ!」
大きな音と振動に驚いたイノシシは一瞬硬直した後、その場に崩れ落ちた。
「......驚かせるだけって、超嘘じゃないですか?」
後ろから絹旗の冷静なツッコミが入ったが、麦野は気にせず満足げだった。
「細かいことは気にしないの」
こうして、結絆たちは無事に食材を集め、夕飯の準備へと進むのだった。
森で集めた食材を手に、結絆たちは丘の上へと移動した。
「よし、ここなら風通しもいいし、煙もこもらないねえ」
結絆は周囲を見渡し、適当な木を見つけると、軽く腕を振った。
その瞬間、鋭利な刃のような風が木の幹を切り落とす。
倒れた木をいくつか集めると、今度は手のひらに小さな火を灯し、薪に火をつけた。
「流石は結絆、超手際がいいですね」
絹旗が感心したように言うと、フレンダも目を輝かせた。
「ほんとほんと、火起こしってもっと大変なイメージあったけど、こんなに簡単にできちゃうってわけね!」
「ま、せっかくのキャンプ気分だから、楽しまなきゃねえ」
結絆は笑いながら、焚き火の火加減を調整した。
火が安定したところで、いよいよ調理が始まる。
「よし、まずはハンバーグ作るわよー!」
麦野が意気込んで拳を握る。
「じゃあ、ひき肉をこねるのは誰がやるかい?」
結絆が尋ねると、滝壺が静かに手を挙げた。
「わたし、やってみたい」
「おっ、滝壺やる気だねえ。じゃあ、お願いしようかなあ」
滝壺はひき肉に塩コショウ、パン粉、卵を加え、ゆっくりとこね始めた。
その横でフレンダが玉ねぎをみじん切りにしている。
「フレンダ、大丈夫? 目、超痛くならないですか?」
絹旗が心配そうに聞くと、フレンダは涙目になりながらも笑った。
「うん、大丈夫......!たぶん!」
「いや、超泣いてますよ......」
みんなが笑う中、滝壺がしっかりとこね上げたひき肉を丸めていく。
「じゃあ、焼くのは結絆に任せようかしら?」
麦野がニヤリと笑う。
「もちろんいいよお。おいしく焼くから、楽しみにしててねえ」
結絆はフライパンを焚き火にかけ、油を引いてハンバーグを並べる。
じゅうっと食欲をそそる音とともに、香ばしい匂いが漂い始めた。
ハンバーグを焼いている間に、絹旗とフレンダはサラダ作りを担当する。
「森で採った野草も使えるよね?」
「うん、それと森の果物も入れるといいかもお」
結絆がアドバイスをすると、二人は張り切って作業を始めた。
「よし、超おしゃれなサラダを作りますよ!」
絹旗はレタスや野草をちぎりながら、果物をトッピングしていく。
一方、コンソメスープは滝壺と麦野が担当。
「コンソメの素はないけど、骨付き肉と野菜を煮込めば、それっぽくなるよお」
結絆が教えると、麦野は「なるほどね」と頷きながら、鍋の中で煮込んでいった。
全ての料理が完成し、五人は丘の上で円になって座った。
「いやー、超いい匂いですね!」
絹旗が嬉しそうにハンバーグを見つめる。
「うん。がんばった分、すごくおいしそう」
滝壺も静かに微笑む。
「じゃあ、いただきまーす!」
五人は声をそろえて食べ始めた。
「ん~!これ、めっちゃおいしいわね!」
麦野が目を輝かせる。
「ほんとほんと、ジューシーで肉の旨味がすごいってわけよ!」
フレンダも頬を押さえながら感動している。
「サラダも超新鮮でおいしいですし、スープもめちゃくちゃいいダシが出てますね」
絹旗も感心しながらスープをすすった。
結絆はそんな仲間たちの様子を見て、満足そうに微笑んだ。
「みんなで作った料理は、やっぱり最高だねえ」
丘の上に広がる夜空の下、五人は楽しく夕飯を楽しんだのだった。
食事を終えた結絆たちは、丘の上に寝転がって夜空を見上げていた。
「ふぅ......超お腹いっぱいですね」
絹旗が満足げに息をつく。
「うん、すごくおいしかった」
滝壺も静かに微笑む。
「にしても、この丘からの景色ってめっちゃいいわね。星もすごいハッキリ見えるし」
麦野が、夜空を見上げながらそう呟く。
「確かに。都会じゃこんなに星は見えないよね」
フレンダも目を輝かせながら言った。
結絆はそんな仲間たちを見て、ゆっくりと夜空に目を向けた。
「そういえば、俺は前に鏡の世界に行った時、宇宙を探索したこともあったんだよねえ」
その言葉に、アイテムのメンバーたちは驚いて身を起こした。
「......ちょっと待ってください。超どういうことですか?」
絹旗が目を丸くする。
「結絆、宇宙行ったの?」
滝壺が淡々と聞く。
「うん、まあ、鏡の世界の宇宙だけどねえ。あっちは普通の物理法則とちょっと違って、空気があったり、俺でも飛び回れる環境があったりしてねえ」
「それ、超SFじゃないですか......!」
絹旗が驚愕する。
「いや、話がぶっ飛びすぎてついていけないってわけよ......」
フレンダもぽかんとした表情だ。
「へぇ、なんか面白そうね。でも、宇宙探索って具体的に何したの?」
麦野が興味深そうに尋ねる。
「うーん、いろいろな星を巡ってみたり、巨大な星雲の中を突っ切ったり、魔獣を懲らしめたりもしたねえ」
「ちょ、ちょっと待ってください!魔獣!?普通だったら超死ぬやつじゃないですか!」
絹旗が叫ぶ。
「まあ、帆風と協力して倒せちゃったからねえ」
「ええ......」
アイテムのメンバーたちは呆れ半分、驚き半分といった表情になった。
「結絆、本当にすごいね」
滝壺が静かに言う。
「うん、まあ、貴重な体験ではあったねえ」
結絆は微笑みながら、再び星空を見上げた。
「でも、こうしてみんなで地上から星を眺めるのも、いい気がするねえ」
その言葉に、麦野たちも同意するように頷いた。
「宇宙旅行も楽しそうだけど、こうやってのんびり星を見るのも悪くないってわけよ」
「ですね。超落ち着きます」
絹旗も満足そうに夜空を眺める。
こうして結絆たちは、静かで穏やかな星空の下、ゆったりとした時間を過ごしたのだった。
大自然の中で食事するのは、楽しいですよね。