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「王家を離脱して二線者となった兄妹が居たんだ。国外で暮らすという話だったのだけれど、縁者の不慮でそうはいかなくなった」
仮初の恋人に請われ、寝物語に自分の出生を語る事にした。
自分が転生したと自覚してから、色々な事を調べた。HUNTER×HUNTERの世界に転生した事や、裕福な家柄であるということに感謝すらした。
「妹は母方の伝手でどうにか辺境にある裕福な村に住むことになり、兄は国軍に仕官して王家を支える軍人となった」
鍛えることに専念でき、転生者ゆえの知識で念を覚えることも出来た。
これから何でもできる。自分がしたいことを見つけて、世界を愉しめば良いと思った。だが、自分が所属する国がカキン帝国であると知ってその気持ちはアッサリ何処かに行ってしまった。
「時が過ぎて兄は才能があったのだろう、血筋もあって出世して行く。謝肉祭には当然のように誘われて……そこで何の偶然か、あてがわれた女は妹だった。別の女を要求することもできたが、生憎と他の参加者の性格はこれまた偶然か、よろしくない者ばかりだったんだ。そんな奴らに妹を任せればどうなるだろうか?」
おそらく監視されていたのだろう、念を覚えた頃に干渉が始まった。
素晴らしい才能であると言祝がれたが、教養を始めとして様々な訓練漬けの日々を過ごすことになった。帝国を支えるに相応しい人材であると励まされ、藩屏である我が家を継ぐに相応しい者であれと厳しい訓練を課された。念が無ければ根を上げていたかもしれない。
「そして俺が生まれたって訳。どう思う?」
「馬鹿馬鹿しい。どう考えても最初から仕組まれてるじゃん」
宮廷式恋愛や因習がある名家では一門の者が子女の相手をする事もある。
めでたく俺が王子(女)の相手役に選ばれ、その子のたっての希望で嬉し恥ずかしベットイン。妙にガッツリ来られるので、突き放す意味でも自分の生まれを自嘲気味に話したのだが……これが逆効果であったようだ。なんだか、とても縋りついてくる。
「でもなんで、
裸のまま縋りついてくると、なんだか良い匂いがした。
この子が可愛い事は知っていたが、原作以上だ。キラキラとした気配に、瞳の輝きであったりハキハキと喋る声も心地よく感じる。もし意図的に仕組まれた関係であるならば、俺も妹に恋愛感情を抱くヘンタイという事なのだろう。少なくとも肉欲としては立派に反応していた。
「いや、それは……」
「私のことキライ?」
「それは聞かなくても判……いや、好きだよ」
「じゃあ、ふーちんを助けてくれるよね?」
第10王子カチョウ、この子が俺の恋人だ。
仮初の恋人役でしかない俺に、どうしてこんなに縋りついてくるのか理由はハッキリしている。運命の流れが変わって俺というガーディアンが生まれたことで、ガッチリと捕まえて大切な妹であるフウゲツを守ろうとしているのだ。少なくともツンケンしているだけの原作と違って、ケツモチになれば強力なバックアップを手に入れられるのは間違いないのだから。
「判ったよ。俺のお姫様」
「やったー! じゃあ、もう一つお願いして良い? ふーちんのこともお願いね」
「は? 今、ちゃんと助けるって……もしかして?」
「多分、ふーちんも同じお願いすると思うよ? ヘ・ン・タ・イさん?」
なんというか、原作よりも遥かにチャッカリした性格をしていた。
フウゲツが同じように俺に恋人役を依頼し、自分の保護を頼むと踏んでいたのだ。その真意は無私ではなく、自分の事も大切にして欲しいという当たり前の女の子の感性だろう。インセスト・タブーに関しては性癖が狂ってるので無視できるということだろうか? 変態と言われて否定できないのは、生理的に盛り上がってしまった一部分のせいかもしれない。もちろん精神的にも、美少女に頼まれてハッスルしない訳が無かった。
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「ユキ兄さま。来週の予定はすっぽかしたら駄目ですよ」
「判ってるよ。フウゲツは心配性だなあ」
その後にフウゲツとも仮の恋人となった。
適度な感覚で恋人たちの真似事をして、偶に三人で音楽のセッションをするという名目でイチャイチャするとかいう爛れた事もやった。その後に少しづつ引き離され、偶に面会を許されるのは、きっと愛情を抱いて離れられ無くなるのを見計らっていたのだろう。少なくとも甘えて来る少女を突き離したくはない。原作よりも明るく魅力的になっているのだから猶更だ。
「もはやカキンは議会制になったゆえ、直答を許すホな。親としてお前が王子の為に何をするかを聞きたいホ」
カキンから出ていくと思えなくなった時、国王より質問があった。
それは娘を思う親の気持ちであると同時に、『その先』を見据える油断ならぬ王の諮問である。私室だから無礼講だと言われても敬語で返すのが当然であるが、これからどうすると言われて一介の軍人以上の答えで満足するはずがないのは知っていた。
「ハンターとなります。その時点で最低限が保証されますが、一流と成れば何の不自由のない暮らしを用意できるかと」
娘を任せても良いが、生活力のない相手にはやれん。
そう言われた時点で『家』のこと以外で問われているのは判った。マフィアとして追加されたジェイ=ピー家に所属しているが、そんなものは国家の都合で消えてなくなる可能性もあるからだ。その上で自分に出来る最大級の事と言えば、もちろんハンター世界なのだからハンターになるとしか言えまい。
「では何を目指す? 何をもって夢を見させるホ?」
「素材ハンターになろうかと思っております。これからの新時代、有用な素材はいくらあっても国家にとって多いとは申せませぬ」
念を覚えた以上は引っかけ問題があったとて、どこかで成れる。
ならば『その先』を考えるのは当然の事だ。現代知識もあって有用な存在は想定する事が出来た。インターネットの構築、パンデミックを退ける薬剤の生成、そして様々な産業の根幹となる資源に関する問題だ。この中で国家に影響を与えつつ、専門的な知識と天才的な閃きなしで何とかなるという意味で、特殊素材を追い求めるハンターというのは国家にとって有用だろう。
「それは重畳、良き未来を聞いたホな。されど一人の女に男は一人である事が世の常識であるホ。……ただ一つの身分を除いて」
「いま一人の王子に『栄えある未来』をお約束いたします」
マフィアの長である二線者が準王族扱いとはいえ限度と言う物はある。
市井の金持ちが女を囲うのとはわけが違うのだ。恋人となった二人の王子の内、片方を二線者として王籍から抜き、降嫁させるのは構わない。だが、二人ともと言うのはあり得ない話である。だが、残った王子が継承戦で勝ち残り、王と成れば話は別だ。愛人となってケツモチの関係にある俺と子供を作るのは問題ないと言う事なのだろう。だからそれを目指せと暗に示しているのだと思われた。
「その言葉、真実になると良いホな。励むように」
「陛下の御心のままに」
どこか芝居めいた言葉と、どこまでも真摯な眼差し。
計画のままに話を口にして、誰が聞いていようがいまいが予定された言葉を連ねていっただけに見えた。だが、ナスビー・ホイコーロが娘を思い遣る心自体は嘘ではないのだろう。実際の所、国益のために何かしらの計画に従事しているのだろうが、心情くらいは思い遣っても別に損では無いからだ。
(推測するに、生まれながらの念能力者を作り、ソレがどうなるかの実験なのかな? 意識を操作して国家や王家に忠誠心を抱かせ、有能な者を有益なままに動かすための実験あたりか? そして実際には『声を掛けられた男』は俺以外にも居る……と)
何よりもカチョウとフウゲツをセットで渡す理由がない。
女の王子二人を降嫁させるにしても、別に自分一人に預ける必要などないのだ。セイコ妃と同じ民族だから、近い血筋だから選ばれたとしても、別の者と見合いでもさせれば良いだろう。また、王配にしてやるとか嫁にやると『期待させるだけでも良い』のだ。そう思えば不思議な対応では無かったし、『自分だけが特別』と思わせておいて他の者にも同じような言葉をかけて同時進行で実行しているのではないかと思われた。
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「ネン? そんな魔法みたいな物があるのですか?」
「そうだよフウゲツ。得意分野もあるから本当に魔法みたいな事が出来るかは本人次第だけどね」
以前に約束して一週間後、フウゲツたちと再会した。
段々と訓練期間に余裕ができ、考え事をする余裕が出来たのは、おそらくそろそろ『発』を作っても良いということだろう。カチョウたちと仮の恋人になる前は教養系や基礎が中心だったことを考えれば、それまでは俺の精神性に影響を与えない事を重視していたのだろう。そして生まれに関する情報を少しずつ与えることで特定の方向に誘導していたのだと思われる。
「その話しぶりだとユキにいは使えるのよね? 証拠見せて」
「実際にどんな能力かは今から作るけど、そうだな。カチョウがそこまで言うなら俺の方向性を判り易く見せてあげるよ。水見式っていう方法だ」
三人で協奏するという理由なのでカチョウも一緒に居る。
原作と違ってツンケンして居ないのは、フウゲツを守るのは俺の役目になった事が影響しているだろう。場合によってはどちらか一人が俺の嫁に成り、もう一人が王を目指すというのだから、自分が臣下時代の妻であり、俺が王配に慣れた場合は愛人に収まる覚悟を決めているからと思われた。何というか実に重い覚悟だが、原作の有様を考えたらそれでもハッピーに見えるのが涙ぐましい。
「あれ? 何もしてないのに波紋が……」
「息を吹きかけてもないし静電気でもないわよね?」
「葉っぱが動いたら操作系だし、何かが生まれたら具現化系。でも動かないというミリ単位の動作なのか、波紋を発生させるという結果なのか。正体が不明だけど、俺は特質系だと思ってる。その方が格好良いしね」
コップに葉っぱを浮かべてオーラを流すと波紋が生まれた。
強化系・放出系・変化系の特徴なども説明しながら俺は考察を語った。特質系でどっちつかずの性格をしているのか、それとも一本芯が通っているから微動だにしないのかは分からない。性格だとしたら俺が浮ついた性格という事になるし、それでも関係ないというならば、やはりこの凝り固まった因習に満ちた生まれのせいはないだろうか?
「どんな能力かはこれからって言ってましたよね? どんなのです?」
「念能力は本人の性格や目的、趣味嗜好が出るし、大きく影響していると言えるからなあ。俺としては二人を守る能力とか、ヒーローや魔法使いみたいな能力が欲しいけど……そうだな。『鳴かぬなら鳴かせてみようホトトギス』というのも悪くはないね。今の状況を何とかする様な、魔法使いみたいな手段が欲しい」
仮に特質系で正しい場合、出来ることは広くなる。
だからこの際、何が出来るか……よりも、何がしたいかを中心に考えていくべきだろう。極論、どんな能力でも作れるのが特質系だが、重要なのは『作る段階』であって、『使いこなせるか』は別なのである。ゲーム的に例えるとして弱い特殊能力一つ事に100p、ちょっと強いなら200p、凄い能力なら300p必要だとしよう。必要経験値込みで系統補正が掛かかるとして、作るだけならマイナスが掛からないだけなのだ。強化系のバフ率とか、放出系の射程UPとかが苦手なのは変わらないのである。
(生前の望み。小学生時代の超人願望、中二病的な異能力願望、高二病の隠棲願望、大人になってからの異世界物への興味。この辺を踏まえて考えた方がいいかもな。その上で、今の望みに関係する方が良い)
大まかな理屈をつけて、その方向に律することを教育という。
転生した事もあり全ての記憶を残しているわけでもない。だが、それでも転生前の知識は有用だし、今後に活かせるモノもあるだろう。その上で、『自分がしたかった事』を抽出し、そして『これからしたい事』へと役立つようにしておく。後は原作登場人物のような才能があるとは思えないので、捨拾選択と推敲したのちに、二つないし同系統の三つ程度に収めるのが妥当だろうと思われた。
(後はこれからの目的次第かな。ハンター試験から始まって最終的に王位継承編に繋がると仮定して……。やっぱりグリードアイランドは欲しいな)
原作の時間軸であるのは判っているが全てには関わらない。
登場人物程才能も根性もないならば、余暇は自分を鍛え可愛い恋人たちを守るために費やすべきだろう。その事を考えたら、天空闘技場編やらククルーマウンテン編などには関わるべきではないし、逆に蟻編でネテロ会長が生き残れば王位継承編が起きないならば接触的に関わるべきかもしれない。だが、それ以上にグリードアイランドには欲しい物がいくつか存在する。
「ハンターになるのは当然として、グリードアイランドってゲームの入手を目的としてみようかな。確か念能力者専用の世界で遊べるゲームでね……」
「そっか! 私やふーちんも念能力者なれば!?」
「何時でもそこで逢えますね!」
やはり双子の姉妹でも性格に違いがあるのが面白い所だ。
最初の大目標としてグリードアイランドの事を告げると、カチョウは『自分たちも念能力に目覚めれば色々できるのでは?』という手段に着目し、フウゲツの方は『三人で一緒に居たい』という望みを何より重視した。性格診断的にも原作の念獣的にも、カチョウは変化系と具現化系の中間で意図的な能力、フウゲツは逆に放出系と操作系の中間で偶発的に発生する能力ではないかと想像できる。実際、その方向に延ばせばそう育ちそうな性格をしていた。
(他人の分析と誘導が出来るなら、俺も自己判断で調整すべきだな。やはり念空間があれば便利だし、何かを秘匿するにしても二人を守るにしてもやり易い。その上で物体……群体制御かな? 三つ目はどちらかの延長上で切り札的な能力ってとこか)
生前の興味と、今生の目的を考えるとかなり絞れてきた。
一つ目はアイテムボックスやストレージのような念空間で、異世界らしさと利便性重視。二つ目は魔法使いっぽく、同時に攻防一体で運用し易く、かつ修行成果を見易い能力にした。前者は隠し技的に他人の前では使わず、後者を普段使いしつつ育てていく方向で行こうと思う。三つ目は無くても良いのだろうが、作るとしたらどちらかの延長上で無ければ難しいだろう。
(念空間は具現化系メインで特殊能力か使い易さ重視にして、放出系で把握できる範囲を増やす。群体制御は操作系メインで操り、変化系で簡単な特性を付与する。素材ハンターとして活躍するのに相応しそうだし、三つ目次第で護衛にも戦闘にも使えるだろう。よし、問題ない)
軽くシミュレーションして自分の考えを推敲してみた。
それらを踏まえると三つ目も絞れて来る。候補だけなら念空間内専用の特殊能力、念空間内限定での大幅強化、あるいは念空間に施した特殊性を外でも一定のエリアで実行できる限定解除のどれかになるだろう。ただ特殊能力はこれ以上、別の方向性に増やすのは考え物である。双子から条件付きのレンタルとか考えられるので少し惜しい気がするが、そんな事をしたらおそらく大成できないだろう。その事を考えれば、狙い通り特殊な空間を作れたら外での限定解除、作れなかったら敵を引き込んでの大幅強化くらいが妥当と思われた。
「ユキ兄さま?」
「ああ、悪い悪い。確かグリードアイランドに整形できるアイテムがあるのを思い出してね」
「うわっ。ユキにいってばエロイこと考えてる」
考えている事をカード説明で誤魔化すと二人とも抱き着いて来た。
もちろんエッチな目的のために整形用のカードが欲しい訳ではない。二人が一般人として外の世界で歩くにせよ、外見を簡単に変えられるならば大助かりだからだ。仮に一人が不自由であっても、整形アイテムを使えば双子なのだから誤魔化すことは簡単だろう。分かり易い明確な目的を告げたことで、俺たち三人の意思が一つになったのを感じた。
普段は特質系でないことを前提にしてるのですが、目的が思いつかない。
でも逆に「もしかして特質系であってもおかしくない因習バリバリキャラなら、目的が作り易い?」と初めて見ました。
●ジェイ=ピ-家に関して
集英社co.jpから。
ジャポン系でセイコ妃を輩出した派閥と思われる。
●カチョウ・フウゲツに関して
上記設定から、モモゼないしカチョウとフウゲツのルートを着想。
モモゼが国王を目指す設定で護衛であり片腕になるだけなのに対し
カチョウとフウゲツは成りたいと亜思っておらず、二人とも幸せになりたいという目的が思い浮かぶのと、念獣が参考に出来た為。
●能力
念空間は便利だし、守にしても奇襲するにしても任務上重要ですよね。
群体操作に関しては、ナルトの我愛羅や、灼眼のシャナのフェコルー、fate/zeroのケイネス辺りをイメージしてます。