インモラルなステディxステディ【完】   作:ノイラーテム

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意味のある無駄

「こいつは良く出来てる。いや、出来過ぎってもんだ」

 

「ああ。うちの軽食部門が拡大する前の計画をフルサイズで流用した。残念なことに人員を回せなかったが、捨てることはなかった資料だからな」

 

 NGLに到着し、向こうの裏メンバーに資料を提出した。

 

表向きは無農薬を販売したり、ソレを使ったという触れ込みの安全でエコな食事を食べられる食堂の出店計画だ。もちろん要求した連中が裏メンバーである以上は、どう考えてもヤバイ物の出店計画や、スパイを置く為のフロント企業でしかない。

 

「表口にゃあ適当な奴を据えりゃあ良いとして、こっちの問題だと?」

 

「他所の組織とのアレコレが出来る人数が居ないからな。特に粗暴な頭や恫喝を得意としてる所には、貴重な念使いを置かなきゃならん。うち以外に頼るとしてもカキンにそこまで余っちゃいないからな」

 

 探って来る目に対抗するのも馬鹿馬鹿しい。

 

下部組織ではなく系列の違う別組織なのに、アガリを要求して来る馬鹿とは付き合えなかったと暗に仄めかして置く。実際に念使いを配置すればパワーバランスが変わる訳だが、そんな人材が居たらカキン内でどこもあれこれやっているだろう。何しろカキン・マフィア同士も平和じゃないし、継承戦があり得そうな雰囲気にどこもピリピリしている。

 

「そんな御大層な計画を貰っちまっても良いのか? 悪い意味で聞いてるんだぜ?」

 

「計画はそっちで好きに使え。うちは暫く身内の睨み合いで人が動かせん。報告の義務も無ければ、こっちが仕掛ける余裕もない。もちろん疑っても捨てても構わんよ。その代り、代金である海域調査はやらせてもらうぞ」

 

 これが戦力を引き離す罠で、嵌める気じゃないかという問いに肩をすくめて見せた。

 

正直な話、二年か三年もすれば継承戦が始まりかねないのに、NGLを嵌める余裕など何処にもない。というか放っておいても十老頭は死に、NGLは壊滅するのだから、自分から巻き込まれに首を突っ込む理由などないではないか。

 

「そう言う事ならコイツは貰っとく。後はジャイロが判断する話だ。だが、そっちが何でも勝手に調べるのは流石に許せねえぞ?」

 

「疑うなら能力者でも監視を付けろ。終わったらヨークシンに行く」

 

 必要なら船なりメンバーに監視を付けても良い。

 

そこまで言い切ると流石に裏の頭も納得したようだ。何人か居る護衛の中で、こちらに付けても問題の無い奴を考えている所だろう。

 

「好きにしろ。だが最低でもお宝の情報があれば全部は困る」

 

「漁場や鉱物資源の方は報告する。沈没船があるとは思えんが、その時はお互いの働き次第だな。そっちの監視を護衛に使っても良いなら考慮する。だが、何も無しでアガリを要求するのはボリ過ぎってものだろう?」

 

「はっ! ありもしねえお宝にこれ以上は馬鹿らしいぜ。行くぞ」

 

 そんな感じでコンサル業の真似ごとを終え、無事に動けることになった。

 

ただ、今回の話は海洋調査を行えるなんて小さな事が目的ではない。もちろん最低限の価値として、俺のハンターとしての業績稼ぎがあるのは嘘ではない。だが、ここでやって置けば、俺の気分はかなり向上するだろう。

 

(これで蟻編に関して、現時点で出来る最低限の努力はした。さっきの奴のセリフじゃないが、後は好きにしてくれ。多少なりとも漂着物の監視も出来るし、もし念使いが『外』に拡散すれば蟻全体の規模が下がる可能性がある)

 

 今回の収穫は二つである。一つは前から考えていた捜索網。

 

シーズンに合わせてこちらで探すことも出来るし、こっちが余計な事をしないか連中が人員を割いてチェックする可能性もあるだろう。また、交流や地形調査を進めておけばカイトがNGLの中で動く時にある程度はスムーズに動けるだろう。そして連中がその気になった時に限るが、念能力者が外の重要地点に配置されて減る可能性がある。

 

(蟻が王を生む為の流れ。おそらく得られる栄養が頭打ちになるまでは変わらない。もうこれ以上は良い質が手に入らないと判断してから、王の為に取り置きしながら、元王候補を護衛軍として産むんだろう)

 

 王の為に最上級の栄養を用意するが、脅威により滅びる可能性もある。

 

そこで兵隊・兵隊長・師団長と段階的に産み、巣を守ると同時に餌を手に入れるというサイクルだ。そして取り置きした最上級のエネルギーで、王候補を複数育てつつ、より良い存在を王に選定。『妥協するしかない場合の王候補』を先行して産み、護衛軍として軍団長に据えるのではないだろうか? つまり蟻の質は変わらないが、餌が手に入るペース次第で師団長や護衛軍の数が減る可能性はあった。

 

(王と護衛軍が生まれるのは同じで、強さも同じ。だが軍団長の一人、あるいは師団長が数名は生まれなくなる可能性はある。もちろんさっきの連中が外に興味がなかったり、『誰か』が原作以上の能力者を送り込めば同じだけどな)

 

 色々考えたが、巡り巡って意味がない可能性も大きかった。

 

あくまで俺が自己満足のために準備するだけだ。もし上手く行っても性格的に外で派閥を作りたがる連中や、多少の能力者が出る程度。逆に大人しめの連中は内部に留まるから、ペギーやメレオロンたちはおそらく生まれるから原作の流れは、良くも悪くも変わらない可能性があった。俺の案を採用しなければ全く変わらないし、逆にやる気を出し過ぎて能力者の大半を外に出すとかもありえまい。

 

 

「カイトはいつも通り水際の危険調査を頼む。ついでに報告も兼ねてNGLの方に繋ぎを取って貰っても構わない。ただし、さっきの連中が気にするだろうから地図は描かなくても良い」

 

「判った。『適当』にぶらついておくよ」

 

 カイトは元から大型生物のハンターなので目的がある。

 

カキンやNGLの様な閉鎖的な場所に居るかもしれない、様々な大型生物を追い求めているのだ(ついでにジン探しも)。だから単独行動を許可することは契約で決めていたし、水中がそれほど得意ではないので『海岸線から見た海洋資源』という立ち位置で調べることになる。そして、原作よりも早くNGLの地形を歩く事には意味が出るかもしれない。もちろん地図なんか頭に入れるから不要である。

 

「ナックルは船番で荷下ろしの監視を頼む。大丈夫だとは思うが、馬鹿は何処にでも居るものだ。うちは利益よりも出入り禁止になる方が困るから、無償だと言われても断ってくれ。……あとあんまり犬猫を拾うなよ」

 

「要するにいつも通りって事だろ? あと、うっせー」

 

 ナックルは何時もの如く雰囲気を保つ役だ。

 

裏表のない人格で、周囲の影響を受け易い彼は雰囲気を保つのに長けている。隠し事は出来ないし、リンチに情報を抜かれても全く困らないから、幾らでも抜いてくれという感じだな。万が一にもドツキ漫才のカップルになったら……その時は合掌して冥福を祈ることにしよう。

 

「モラウ師は残りのメンツを率いて念願の探検だ。俺もそっちに参加するとして、もし監視が能力者だったら適当に帯同してもらおう」

 

「あいよ。いやあ、まさか此処で潜れるとは思わなかったぜ」

 

 ここまでの段取りを決めたことでもうすることは少ない。

 

俺は海洋調査をしつつ、念の調整をするくらいだ。と言っても前回の反省から方針は決めているので、その方向で正しいのか試すだけだけどな。

 

「こいつも捕まえといてくれや。焼いて食うと美味えんだ」

 

「どれだけ食う気なんだ? 養殖をやる気はないんだろ」

 

「俺は大食いなんだよ。めんどっちい監視なんてする役得さ」

 

 面倒なことに海の中までやって来る監視役が居た。

 

泳ぎが達者なNGLの人間の中で、いつもハラペコだからこれぞ幸いとばかりに同伴を申し出て来た。もちろんカイトの方にも監視は着いているので、本当に余計な連中である。

 

「まあ協力してくれるなら良いんじゃね? 泳ぐのが早いなんて強化系は海ん中じゃあ重宝されるもんさ。イザって時はオレの指揮に従う限りは居てもいいぜ」

 

「判ってるじゃねえか! 川じゃあ取り過ぎ禁止だものな。助かるぜ」

 

 こいつは基礎を高めた後、体力と水泳能力を並行して強化している。

 

その全てが最終的に泳ぎを高めているし、水泳は全身運動なので満遍なく筋肉を鍛えていると言える。アスリート体形というには幅が広過ぎるが、格闘家と言われれば納得は出来るだろう。自然と共に生きるNGLには合わない気もするが、仕留めた獣を食って良い時期もあって、安価で満足できるほど喰うには悪くない環境なのだとか。

 

「しかしよ、これだけの事が出来るなら、そっちこそマグロの養殖しねえのか? もったいねえぜ」

 

「それこそまさかさ。海の調査もだが陸でも戦うために作った能力だしな。それと、ここまで規模が増やせたのはつい最近で、しかも失敗を逆用しようとした結果だからな」

 

 水操作に二つの調整を施して、ほぼ完成に至った。

 

一つは正式に、発の名前を『我が征くは夢の大海』に決めた事。もう一つは混ざってしまった具現化系のオーラを正式に組み入れ、それで作った画像を映し出す水を元に、もっと多くの水に混ぜ合わせることで支配下に置ける水を増やしたのだ。この辺は煙操作と違って、水に対する認識の差だろう。単純に名前を決めた効果だとか、画像を写す=影響を移すのダブルミームになっただけかもしれないが。

 

「念使いの成長はそういうもんさ。つーか、一朝一夕でお前さんに追いつかれたらオレの立つ瀬がねえじゃねえか」

 

「それもそうだな。色々案件を抱えてるわけだし、一つ一つ片付けよう」

 

 煙操作一本で様々な自動操作を抱えるモラウより考えることが多い。

 

オーラのメモリだとか発想とか以前に、考察やら再調整に充てる時間も余裕も足りないのだ。再調整自体も念空間と同時に行っており、もしかしたらどっちかだけならもっと簡単に終わってる可能性だってあるだろう。

 

(やはり携帯型の念空間は特殊能力優先で行くべきだな。新ルールの追加と明確にイメージしたことで最低限のサイズは何とかなった。今の二倍の空間を作れても、特殊能力が付与できないなら戦闘に交えることも出来ないからな)

 

 念空間の方も今のところは順調に検証できている。

 

監視が居る場所では使えないが、それでも移動しながら試せるのが携帯型の便利な所だ。そして新ルールを一つ追加、代わりに新たな制約を二つ追加と捻じ込んだことで、特殊ルールを多く付与出来て、最低限の利便性を確保する事が出来るようになっていたのだ。まあ、使い方は不便になったけどな)

 

(こうなって来ると『念空間内のみの大幅強化』は必要ないな。このまま基礎を鍛えて、進化させることを目指した方が良い。となると三つ目の発は『一定区域を念空間として見なす』って能力の方が有用だろう。だいぶ先が絞り込めて来たな)

 

 念空間の再調整は、エキスパンションに基本セットを追加で決定した。

 

だいぶ前の調整時に『もしかしたら、こっちも逆にした方が良いかも』なんてあやふやな事を考えてしまい、自分的にも一理あると思ったのか、いつのまにかそうなってしまったのだ。その上でナックル戦で試したり、出先で特殊な部屋が役に立つことや、どっちでも良い時なんか使い分けに目安が出来るメリットもあってその方向を固定化した。その上で扱い易くするルールを加える代わりに、制限を二つ掛けて安定させたのである。

 

(思えばクロロもこんな感じで再調整を掛けて来たんだろうな。原作で国宝奪取を目的にした事を考えれば、ヨークシンでの成果を当てた可能性が高い)

 

 クロロは継承戦編で国宝奪取を目論み、ヒソカ戦の前に栞を見せた。

 

栞が最初からある仕様で返却するためのルールという説もあるが、あの戦いでクロロは一度も手を使って戦ってはいない。栞に関する制限の他にも、具現化系で作った物を除いて腕を使わないとか、拳・肘を用いた格闘をしてはならないという制約を付け加えた可能性は高かった。そして彼の進化条件的には、世界的なお宝を盗むことだろう。

 

(そう考えると緋の眼の件も本格的に怪しく成って来るな。世界の美色の一つと呼ばれていたらしいし、『直接』かはともかく最終的に狙った可能性は高い)

 

 俺自身、不便さを調整したり強化して何とかしたいと思う程だ。

 

より特殊で強力な念を持つクロロならば、復讐や流星街の同胞を守るという理由があって、実力も悪名も高めたいと思うのだからやりかねなかった。もちろん襲撃がある事を知って漁夫の利を狙ったり、既に他の組織が奪っていたからそれを盗んだだけの可能性もある。だが、最終的に自分の犯行として、復讐される覚悟があったのは確かだろう。

 

(緋の眼……か。確かアレが出品される日がやばかったはず。その前に散在しておくとして、連絡を取る理由が『同期生への連絡』なのが痛いな。ま、後は成る様になるしかないか)

 

 ヨークシンでのオークションは、掛けた金額が上納になる。

 

マネーロンダリングの一種であり、同時に組織が集めた希少性の高い物を購入しても良いというご褒美扱いでもあるのだ。カキン・マフィアの一角として参加する以上は金を使う必要があるが、価値の高い物が揃う後半に居ると死に易くなるのは勘弁である。それ以上に惜しいと思うのが、原作を知って居てクラピカに連絡を取る理由が無く、他所の組織だから連絡を取らない理由もあるというところだった。

 

そして俺はNGL沖での調査を終了し、ヨークシンに到着してから、同期生の中でキルアの失格に抗議したメンツにメールを送ったのであった。




 という訳で繋ぎ回でNGLでのコンサルしました。
最初の方の話で出てた丸●うどんとかコ〇イチみたいな店の計画を流用。
情報収集拠点とか裏の取引用に丁度良いので利用した感じ。

●蟻編のための布石
 気分よく見捨てるため程度の、成功してもしなくても良い布石です。
カイトは原作より土地勘がある状態で始められるし、戦力は少ないかも。
でも、おそらく蟻の強度は殆ど変わらないのではないかという考察。

元もと昆虫は複数の女王候補が生まれて、巣立ちしながら分かれていくか
最後にそれ以外を処分し、残る一体が元の巣を単体が引き継ぐ形式。
だから「これはかつてない素晴らしいエネルギー!」を王候補に与え
頭打ちになった所で、最も良い個体が王、それ以外が護衛軍ではないか?

そう考えたら、戦力確保に矛盾も違和感もないかと思います。
同時にNGLの念使いが減っても、王と護衛軍の強さは変わらないわけですが。

●NGLの人たち
 個性がないのも変なので、レオルっぽい人、ワニっぽい人くらい。
カイトの監視はヂートウかコアラの人っぽいのが居るのでしょう。
まあ今後に出てこないと思いますが

●発の調整
『我が征くは夢の大海』
むしろ、これまで名前が決まっていない方がおかしかったので順当に強化
あと我愛羅じゃありませんが、特にオーラを練り込んだ水は違う。
具現化系のオーラを混ぜたら、イメージがマッチして操り易くなっただけですね。

『我の強い匠による再建築』
・設置型と携帯型の関係性を見直して、現状で良いと確定。
・イメージに引っ張られて、サイズがおかしくなっている部分の是正
・ゲーム開始時にランダムのカードを引き直せるマリガンルール追加

・引き直しも時間経過とし、更に時間を減らすペナルティの制約
(部屋追加が一枚も無い場合は軽度)

・念空間を最初に設置する場所によって、存在しない特殊能力がある
(右から始める場合は、●●のカードが無くなる。上の場合は〇〇など)

『???』
 名前は未定。
条件が整った場所が、念空間であると見なす三つ目の能力。
能力を使いながら研鑽し、この能力が最も正しいと判断した。
もちろん、特殊空間の能力を拡大する為である。

なお使い方は2つあり、視覚型と聴覚型がある。

●クロロ・緋の眼・クラピカに関するアレコレ
 同じ人物の検証なので前に考えたことがまた出て来て、ここで結論出したわけですが、単純にクラピカの話題する為だけです。

一番の難点は、やはりクラピカに連絡を入れる理由が無く、向こうもこっちに返信する理由がない事ですね。
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