インモラルなステディxステディ【完】   作:ノイラーテム

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旅団side

「ごめん団長。あたしのせいだ……」

 

「仕方ないよマチ。ウボォーさんが飛び出したら誰にも止められない。マフィアを侮ったオレの責任だ」

 

 メンバーを八人に減じた幻影旅団が荒野に佇む。

 

埋められたウボォーギンの死体を掘り起こし、自分達だけが知る場所に埋め直す為である。結成当時のメンバーだけではなく、シズクやボノレノフたちまで陰鬱な顔をしている。ただし、ヒソカだけは陰鬱な理由が違っていたのだけれど。

 

「パク。何か判るかい? ヒントの様な物があれば今後の動きを決め易いんだけど」

 

「怒りに震える赤い目……昔に見た、緋の目だと思う。口論しながら鎖を刺してるわ」

 

 死体に触れたパクノダが最後の光景を読み取って行く。

 

彼女は人や物を読むことが出来、直近の光景や印象深い記憶に限り、サイコメトリーにも似た使用法で視る事ができた。そこから得られた記憶は、赤い目をした少年が怒りに震え鎖を突き刺した光景。そしてウボォーギンがどこか諦観にも似たイメージで死を受け入れたということである。

 

「多分だけど、一騎打ちで負けてから降伏を迫ったのね。情報を渡せば生かして置く、そうでなければ殺すと言ったんだと思う」

 

「それで断ったのか。ウボォーさんらしいや」

 

 パクノダは見た光景を込めるメモリーボムを使わなかった。

 

それは複数ある『盗賊の極意の発動条件』の内、『発を見る事』『条件を知る事』という項目を満たすことが出来る能力でもあるからだ。また本人に撃ち込むことで関連記憶を消して除念を防ぐ効果もある。例え結成時の仲間でも教えられないのに、ヒソカまで居る状態で使える筈もなかった。

 

「馬鹿だよ。記憶を抜かれたって言ってたのに。そのくらいなら喋っても……」

 

「それは違うよ。マフィアは一枚岩じゃないし考えるのは上の仕事だから、下っ端が情報を貰って戦えるとは限らない。それにウボォーさんが知って居る情報に限られる上、昨日の襲撃で操作系の奴も死んだんだろうフランクリン?」

 

「ああ。三人くらいまとめて殺した。男も女も居たぞ」

 

 マチはウボォーギンから情報を喋ったことを謝られた。

 

その事もあって復讐する事に賛成したわけだが、それが彼の戦死に繋がるのだから後悔は激しかった。どうしてあそこで対策されているかもと止めなかったのかと思う。パクノダの話を聞く限り、正面から戦って敗北したようだが、そんな事は慰めにもならない。リンチの能力は本人にも聞こえる為、操られて答えてしまったと感じたのも、ウボォーギンなら問題無く対処できると思ったというのもあった。

 

「突くならその辺りかな? マフィアに対しては復讐をする。もちろんお宝もいただく。シャルやフェイタンたちも途中で回収する。緋の目の鎖野郎に関しては掟に従って勧誘をするけど、それは一対一で話す機会があったらだ。もちろん向かって来るなら殺す」

 

「クロロよ、そのルール。本当に守んのか?」

 

「どれを指摘してるのか分からないけど、必要だからね」

 

 話に割って入ったノブナガにクロロは振り向きもせずに答えた。

 

幻影旅団には幾つか掟があるが、メンバーは交代制というのがある。だからウボォーギンを殺したクラピカには、その資格があるという事だ。もちろんこれは強制ではないので、誘われた側が断る事も出来るし、あえて疑われるようにして断らせることも出来た。

 

「鎖野郎がウボォーさんをなぶり殺しにするような奴なら嵌め返すけど、そうでないなら幻影旅団としてはスタイルを守るのが大前提だ。ただそうだね……一騎打ちに成ったらオレも返事を聞く前に殺してしまうかもしれないけどさ」

 

「いいんじゃねえか? 話を聞く限り鎖野郎は甘ちゃんだ。むしろチャンスだな」

 

 これは嘘だが、ある意味で嘘ではない。

 

団長としてのクロロは冷徹に判断するだろう。クラピカが上手くやったのならば、チャンスさえあれば話を聞く筈だ。だが、その意見を肯定したフランクリンはあえて何も言わなかった。幻影旅団がその名前を広め、結成メンバーが復讐を果たし、そして仲間たちが目的を果たすにはその方が確率が高いとフランクリンはザックリ考えたのである。

 

「安心したよ、ここで逃げ帰る様なチキンじゃなくてね♣ それでここからどう逆転していくんだい? もちろん団長としての君の策ならばよろこんで聞くよ❤」

 

「……ウボォーギンの様に戦えるか? なら前衛に出す」

 

「もちろん♠」

 

 クロロはバンダナを外して髪をかき上げ、深く考える様に目を閉じた。

 

周囲のメンバーは団長との戦いを公然と望むヒソカに警戒しつつも、クロロの判断した第一手に納得する。旅団はウボォーギンを前衛に立てて、場合によってノブナガやフィンクス達も参列する。その代わりになるとは思えないが、獅子身中の虫足りえるヒソカを警戒し易い場所に置くと同時に、敵であるマフィアを削り取る役にさせるならば妙手だろう。

 

「ここは速攻を掛ける。パクノダが下っ端の記憶を読んだところ流星街出身者であることがバレた。奴らだけが手控えるだけならまだしも、長老たちに意見を挟ませるのは旨くない。昨日を反省して一点突破と思わせ、同時に三か所を突く」

 

「一か所目はシャルの回収で二か所目はお宝ってとこか。三か所目は?」

 

「シャルナークの代わりにパクノダを頭に据えた情報処理チームを作る」

 

 流星街出身者というのは所詮カードでしかない。その演技を貫く。

 

外様であるヒソカたちには本気でそう思っているように見えるし、フランクリンたち結成メンバーにはそうでない事は理解できる。実際にどうなるかは別として、基本方針として一本化するのは正しいだろう。作戦のキーとなるのは、現時点でこの場に居ないシャルナークであった。

 

「風呂敷男に捕まったシャルナークが脱出したのは間違いがない。一瞬で浚った手口を考えても、そいつがお宝を持ち去った運び屋なのは間違いがないだろう。拷問で喋らなくても捕まえて記憶を読めばハッキリするし、そうでなくとも今後の大規模な輸送は出来なくなる」

 

「三手に分けるのは少し微妙だったが、それなら問題はなさそうだな」

 

 いつもはシャルナークが翻訳するのだが、今日はフランクリンが相方だ。

 

誰もが思う事を、あえて判り易く成る様にザックリと相槌を打つ。違うならばクロロが指摘するし、もしそう思わせて、怪しいヒソカを欺きたいならばクロロは黙って勝手に修正案を入れるだろう。難しい案を皆が分かる様に翻訳するのがシャルナークならば、フランクリンはどっしりと構えた仕分け役なのであろう。

 

「あの。私はお宝班だと思うんですけど、何処に移されたんですか? それとも敵の記憶を読んでから合流でしょうか?」

 

「いや。何処に移したかには見当が付いている。他に考えようがない」

 

 シズクが質問するとクロロは即答した。

 

シャルナークが捕まったのは、手を引いて撤退中のマフィアたちを壊滅させた後だ。生き残りの下っ端に操作して、戦力は尋問用のアジトに集まり、『陰獣の生き残りはお宝を置いてから合流する』と情報を得ていた。得られた情報を過信して油断してしまった形だが、即座にお宝を置けるような場所がそうそうある筈がない。銀行なり誰かの屋敷なりを複数はしごする必要があるだろう。だが、クロロには確信めいたものがあった。

 

「マフィアン・コミュニティの一部が意図して動かしたのか、あるいは偶然にそうなっただけかは分からん。しかし、時間的な余裕を考えれば、お前たちが引いた後で、元あった場所に戻す方が楽だ。それならどちらの解釈でも成り立つ」

 

「あの大金庫かよ! そいつは確かに盲点だな」

 

「頑丈さや兵隊が集まる場所でもある。現実的だろう」

 

 つまり梟は持ち去った財宝を一度動かし、暫くしてまた元に戻したのだ。

 

スコットランドヤードと呼ばれる怪盗と警察が追いかけっこをするボードゲームがある。その時に警察の後ろを怪盗が追い駆けていくという、一度だけなら通るテクニックがある。これに気が付かないと、怪盗の位置が判明する数ターン先まで、誰も追いつけない事があった。要するに、盲点と言う物は気が付かない限りは見極めが難しいのだ。自分は安全位置だと思い込んだシャルナークが、車両の中で人形と無線に夢中になっていても仕方はあるまい。

 

「メンバーの振り分けは二・四・三。回収班はマチとボノレノフ、シャルナークは体調に応じてそのまま作戦に参加。情報班はパクノダとコルトピ、ノブナガは二人の護衛だ。お前たちならば静かに情報を探り、オレたちに届けられる。お宝が所定の位置に本当にあるのかだけではなく、フェイタン達がどうなったかも調べ、生きて居たら死体を偽装し死んでいたら近い方に合流しろ。これはシャルナークが死んでいる場合でも同じ扱いだ」

 

「おいおい。オレもウボォーの仇討ちに参加させてくれよクロロ」

 

「駄目だ。お前たち戦闘組は後方担当を守って死ぬのも役目になる」

 

「……しゃーねえ。できるだけ残しといてくれよ、団長」

 

 ノブナガのわがままをクロロは切って捨てた。

 

シャルナークを回収するのにマチの糸は有用だし、死体の扱いも慣れているから偽装されても気が付き易い。装甲モードにも成れるし広範囲の攻撃が可能なボノレノフが居れば、二人でも十分にお互いを守り切れるだろう。そしてパクノダとコルトピの能力が貴重であり、隠密性からも自分が最適解であるとノブナガならば理解できた。それでも感情論では納得できないものがあるが、仲間を心配し易いのもノブナガである。渋々ながら折れるしかなかったと言えるだろう。

 

「残りはお宝に対して向かっていくとして♦ 『ユダ』の可能性はどうするクロロ♣ 君も含めて全員の記憶を確かめておくかい?」

 

「一番怪しいお前が言うのかよ。一度パクに診てもらえ。頭の中身をよ」

 

「いや、この場合は狂信者という意味だろう。もちろん存在しない」

 

 ヒソカの言葉は皮肉げである。タイマンしたがっている彼が最も怪しいからだ。

 

だが、そんな自己主張をする意味がない。ヒソカのヒソカがまるで密やかではないのは誰もが知っている事だ。ゆえにクロロは『理想の幻影旅団の為に、勝手に動く者』の事をユダであると判断した。そして、理解できたからこそクロロはこの問題を追及できないのだ。他ならぬクロロこそが、少年時代に描いた青写真のまま歩き続けているのだから。

 

「オレたちはやられてもやられても立ち上がるヒーローなどではない。狙った獲物は逃さない盗賊、幻影旅団(クモ)だ。仲間を潰して何になる? この状況で仲間を疑う事に意味はないし、一緒に組むメンバーが相互監視になる。疑われているヒソカは特にそうだ。異存はないな?」

 

「ヒソカがそこにいるなら文句はねえよ」

 

「団長たちが良いなら、それで良いわ」

 

 クロロ個人としてはともかく、団長としては正論に寄るところがあった。

 

仕事の前に疑って結束を乱す意味がないし、疑うとしても最も怪しいヒソカは前衛として一番目立つ位置で命を的にしている。襲撃班は人数が最も厚く、しかもヒソカが苦手として居るフランクリンが居る。ノブナガをはじめとした、ヒソカを疑う者が納得するだけの理屈はあった。制約によりクロロを触る事の出ないパクノダはあえて意見を言わなかった。

 

「なら回収班は即座に動け。邪魔する下っ端は陽動を兼ねてオレたちが潰す。その陰で浮いた連中から情報班は辿っていけ」

 

「「了解」」

 

 こうして幻影旅団は動き出す。




 という訳で旅団視点になります。
マフィアを襲って死体が何処にあるのか判ってるので怒りがやや沈静。
クロロは最初団長モードではなく、ノブナガも切れてはいません。
パクノダが物(死体)から記憶が読める影響ですね。

●クロロの判断
 原作に近い状態ですが、ウヴォーが喋ってるのとシャルが捕縛・逃走。
行動を読まれたとは思わず、『表向きの能力がバレた』事を重要視。
仲間を助けお宝も奪い報復も! 全部やらなきゃいけないのが団長のツライところです。なので原作より半日速く速攻。

・シャルナーク
 ダルなんとかさん達を殲滅した後、ウキウキして連絡網に入り込んでる時に車ごと掴まりました。その後に隙を見て、自分に針刺して脱出。ガス欠で何処かに隠れて居ます。

・フィンクスとフェイタン
 書き溜めは先週なので、この時点では特に書いてません。

・三班の構成
 整合性を取るのは得意なので早い段階からこの布陣に決定してます。
ヒソカが裏切れず、かつ同時に目的を達成できる作戦。

・ヒソカの判断
 も・り・あ・がって、まいりました~(肉体の一部が)。

・ノストラードファミリー
 クラピカ、センリツ、お留守番を残して全滅。
強くないならリンセンが留守番、強いならばスクワラが留守番(ネオンの避難役)になります。バショウ? 死んでるじゃないですかね。

フィンクスとフェイタンはどうなる?

  • クラピカが殺した
  • ユキが約束通り殺した
  • 迷ってる間に自殺した
  • 渋々、約束を受け入れてNGLへ
  • 除念待ちしながらNGLへ
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