インモラルなステディxステディ【完】   作:ノイラーテム

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書き溜めが尽きたので、次回から2・3日掛かります。


グリードアイランド編
進むべき道の為に


「お前か、バッテラ氏に余計な事を吹き込んだのは」

 

「はい、いいえ。バッテラ氏には余計ではありません。サー。とでも言えば良いのか?」

 

 あれから数日後、通された会議室に不機嫌そうな男が居た。

 

言わずと知れたツェズゲラというシングルのハンターである。グリードアイランド複数本がオークションに掛けられ、バッテラが残らず購入すると決めているから、プレイヤー選考の為にもやって来たのだ。不機嫌なのは俺がバッテラに『時間切れ』を指摘し、その対策チームの必要性を強く思わせたからだろう。自分がクリアしたい彼からすれば、とても邪魔だったに違いあるまい。

 

「俺の見立てではクリア前に時間切れになる。それとも何か? 君はクリア目前で『もう良いんだ。違約金は払う』と言われて、ただ金を貰いたいのか? もしそうなら百億でも二百億でも都合することを考えるが」

 

「ふざけるな! 私は私の目的の為にやっている!」

 

「奇遇だな、俺もだ。だからハンターらしく交渉しよう」

 

 激昂するツェズゲラだがその表情はワザとらしい。

 

彼の性格からして真面目にバッテラと話し合いをして、俺の指摘が正しかったことを確認しているのだろう。だから挑発に乗ったフリをして、俺の性根と目的を確認しようとしているのだと思われる。

 

「勘違いして欲しくないんだが、俺も俺の目的のために確保したいし、その過程でバッテラ氏が本当の望みを叶えるというトゥルーエンディングを目指したいんだ。だからクリア自体は君に譲る。対策チームの指揮も譲るし、何だったら最悪の状況対策以外……ゲーム進行に関してはノータッチでもいい」

 

「解せんな。それではお前の提案に意味がない」

 

「だから言っただろう。俺が欲しいのは夢なんだよ」

 

 結局、バッテラとの話の焼き直しになった。

 

これ以上長々と話しても無駄だから、さっさと本題に入ってしまおう。俺だけが此処に来ているわけじゃないからな。

 

「大切な人たちの念を鍛え上げる環境。それだけがあれば良いし、その為につまらない手段を取るようならば大切な人に嫌われるからやらない。そこまでして手に入れた事実こそが、宝石なんぞ喜びもしない子に一番喜ばれる訳でね」

 

「ふん。そこまで言うなら私に関しても慮って欲しかったがね」

 

「なら情報を提供しよう。デザイナーたちのプロファイルを済ませて来た」

 

「なに!? ……判った。そう言う事ならば話を進めよう」

 

 俺が用意したレポートは簡単なものだ。

 

ジンというへそ曲がりがリーダーで、そいつの影響でデザイナーたちはそれぞれ自分の傑作や主張を取り入れている。念空間でなければ成立しないが、だからこそ成し得る作品の展示。そして、へそ曲がりたちが作ったゲームだからこそ、色んな試練と対策が存在するという事実だ。そこには熟練者は難しい、交換前提のイベント(アレキサンドライト)や、個人前提だったり多人数前提のイベント(密林が個人までは考察勢の総意の様な物だが、複数による一か所への宅配イベだと予想する)。そして力が必要だったり、力尽くでは達成出来ないイベント(支配者)があるという物だ。

 

「選考に関する枠の保証をバッテラ氏は約束した。私はその時に発ないし、隠すなら応用だけでも見せてもらおうとした。これについては?」

 

「チームに必要な能力があればリザーブ。それと俺の発は二つある」

 

「妥当だな。それで見せてもらう事は可能か? それで形式は整うんだが」

 

「一つ目は普段から使っているが、あえて隠している二つ目を説明しよう」

 

 意地の張り合いをする気はないので、さっさとビジネスの話をした。

 

その場でさっきのレポートに『治癒と除念は欲しい。俺を理由にして良い』と書くと、ツェズゲラは頷いてメモ用紙をシュレッダーに掛ける。軍事組織ではないし、薬品焼却までは必要あるまい。

 

「俺は制限時間付きのボードゲームで念空間を作れるようにしている。場所優先の設置型か、特殊能力優先の常時携帯の二種で使い分けるが、どちらを選ぶかも制限時間の枠内。そして一度設置するとシーズン中は方式も上限も固定になる」

 

「ということはグリードアイランドをクリアするまでは変えれないと?」

 

「そう言う事になるな。見せる場合は有用性を失うと判断してくれ」

 

「……普段使いのを見せずに、秘匿情報だけか。食えん奴だな」

 

 念空間はそれだけで有用性が高く、変更できないから試せない。

 

その事を説明するればフンと鼻を鳴らして苦笑した。念能力者の発は秘匿情報だし、そこは仕方がない。だがこの能力があれば、俺が普段やってる表向きの水産資源探索で、どれほどの意味があるか判るだろう。何しろ、沈没船であったり、海底鉱山の入り口に空気の存在する休憩所を何時でも作れるという事なのだ。少なくとも、それを今までやって来たという意味で、俺の能力は担保されている。

 

「そういえば俺の仲間に最低でも一回、治癒能力を使う事を約束させているから、どうだ? 無駄にはならないと思うぞ」

 

「治癒か? それはありがたいが……一回ではな」

 

「慌てるな、ここまでがワンセンテンスだ。レイズする」

 

 ツェズゲラが少し考えたのはバッテラから話を聞いているからだろう。

 

俺がここで話に出すのだから、強力な治癒であることは察して居るだろう。緋の目状態前提ならかなり強力なはずだ。クラピカはノストラード一家の今後に関わっているのでたびたび使う事は難しいが、それでもバッテラとの伝手が作れるなら協力はしてくれるだろう。

 

「その事を踏まえ、俺は念空間の能力に治療部屋も用意する事にした。チーム全体の事を考えれば無駄には成らんからな。強化系は遠いから緩やかになるだろうが、先ほどの発の話と組み合わせたらどうだ?」

 

「そうか! ゲーム内で便利使いするのではなく、現実で使えば……」

 

「その空間をどう使うかはバッテラ氏次第。怪しむなら使わねばいい」

 

 三つ目の発は全員に効いてしまう為、適用外の調整をする事にした。

 

その時に気が付いたのだが、オーラというものは効果を得るために混ぜて組み込むものだ。あるいは、そういう目的のために、全力で練って行くというべきか。だが、どう使うかは本来自由であるべきなわけで、俺は間違えて使えるオーラを全て均等に割り振りながら使っていたのだ。水操作と圧力操作は共に組み合わせるから問題なかったが、具現化系を混ぜて伝達能力を得てしまったので、問題になっていたのだ。これが余計なオーラなど混ぜず、必要な系統だけを選択して使えば、問題無くポテンシャルを発揮できるという訳である。強化も具現化も、不要な時は使わねば良い。

 

「当然ながらゲーム中は最大オーラ量が限られるが、ゲームだから最初は問題ない。必要になるとしたら、君がクリアして戦闘目的で発を収めた奴が殺しに来るときだろう」

 

「フン。その時はバッテラ氏の屋敷で傭兵を使うまでだ」

 

「そう。その時に時間切れになって居なければな」

 

「痛いところを突く」

 

 実際に原作ではゲンスルー対策時に問題になった。

 

殺人により短絡的な方法を取ろうとするゲンスルーに傭兵を使おうとして、その直前にバッテラの恋人が死んだのだ。傭兵部隊は解散してしまったので、ツェズゲラの目論見は失敗する事になる。彼もその可能性に思い至り苦笑いをしているのだろう。だが、俺の念空間に治療効果を持たせれば、おそらく半年から一年程度の延命は可能だろう。理想的にはビノールトの能力でガンなどでは無い事を確認すべきであるとは思うけどな。

 

「君の方のスケジュールはどうする? 一度国元に帰るのだろう?」

 

「それなんだがな。俺は飛行機で報告に戻らにゃならん。船の方は現場の長(モラウ)に任せて、ゆっくり遊覧して(私用で機材の流用を認める)もらうさ。だから選抜までに戻って来れるとは思うぞ」

 

 そういえば意外な事にフィンクスとフェイタンが折れた。

 

謎の黒幕が増やした外来種が流星街を襲う可能性があるとか、クロロの多重人格説に関しての説明がショックだったのだろう。意外にも素直に聞いてくれたので驚いている所だ。それでもイルミにシャルナークが殺されたり、ヒソカが実は偽団員でクロロとタイマンした事には怒っていたけどな。

 

「その後は一人で何時でも現実世界に戻れるようにしてから、呼びたい二人を連れて来る事になるだろうな。少なくとも公式行事に出席が必要なのに、出られないとは言えん」

 

「それは構わないが……学校は良いのかね?」

 

「殆ど通信教育さ。お嬢様学校に顔を出すのはオマケだな」

 

 俺は最優先で帰還手段を手に入れることにした。

 

島から普通に出る方法、離脱(リーブ)のカード、あとは確か離脱を数回使えるクロスボウだったか? ツェズゲラたちがボマー組に対する牽制に使ったり、また彼ら自身が頻繁に戻る為に使っていると思われた(離脱のカードはハメ組のせいで希少)。

 

「そうだ。思い出した、少人数の頃じゃないと難しいカードがあったな? あれを代わりに入手してもらって良いかな? 代わりに戻る為の手段に関して情報を渡そう」

 

「チャッカリしてるな。二人を呼んでからで良いなら構わんぞ」

 

 こうしてツェズゲラとの対談は順当に終わる。

 

意外だったのはこの話を聞いたバッテラが、対策チームの人数いかんでは『マルチタップが無かったころの残り人数の少ないゲーム』を丸ごと貸してくれるかもしれないとの事だった。おそらくは念空間が本当に治療・健康維持の為に役立つならば、という前提での報酬という事だろう。

 

「おかえり! それでね、パパがそろそろ良いかもだって」

 

「かーちんってばずっとその話に夢中だったんですよ」

 

「そうか……。そんな気はしていたが、やっぱりそうなったんだな。いや……言うべき事はそうじゃないな。少し待ってくれ、落ち着いてから告白したい」

 

 カキンに飛行機で帰還し、そのまま滞在用の屋敷に来た。

 

どうやらお嫁さんはカチョウに決まり、二線者になる処理と降嫁が行われる模様だ。俺の事業が順調なのが一つ目、ヨークシンでの結果がカキン・マフィアに取って都合が良い流れになった事が二つ目の理由だろう。そして組み合わせがこうなったのは、フウゲツの方が親の言う事を聞くため、セイコ妃の方で要望していたらしい。

 

「カチョウ姫。私のお嫁さんになっていただけますか?」

 

「はい、喜んで! うふふ……こうなるとは思ったけど嬉しいなあ」

 

「もう……かーちんばっかり。正直、羨ましいなあ」

 

「フウゲツ姫。暫しのご猶予を。臣の全力にてお望みを叶える所存。……向こうで面白い伝手を手に入れてね、保険込みで幾つかの手段を考えている」

 

 改めてカチョウにプロポーズして、フウゲツにフォローを入れる。

 

具体的に言うとネオンの能力が無事であった事、そしてノストラード一家の再建に協力することで占いを頼むキッカケを手に入れたのだ。これによって何が大きいかというと、『継承戦前に三大国宝を奪ったら、血族は全滅するかどうか?』や『二線者が外見を変えたら死の呪いがあるのか?』などを確認する事が出来る。基本路線を幻影旅団による強奪で予定を組んでおいて、もしそれで危険な兆候があれば中断すれば良いということだ。その時は幾つかある正攻法で考えるしかあるまい。

 

「それと、陛下の言葉を少し思い出してね。あくまでこちらの想像に委ねておられたが……二人とも娶るなら王配になるという条件だと思っていた。継承戦があるのを予想していたからね。でも、他に抜け道があると気が付いたんだ。フウゲツは誰にも渡さない」

 

「はい! はい……ずっと待ってます。かーちんの幸せの為なら我慢するけど、出来れば私も幸せになりたいなあって」

 

「そうだよ! 諦めたら、そこで終わりなんだから!」

 

 思い出したのは最初に呼び出された時の話だけではない。

 

原作で王子たちが個人的に逢いに来た時に言っていたではないか。『王子が残り一人になった時。それについて、どう解釈するかも継承戦のうち』という意味合いの事を。あれは正式な降伏文章を作成するとか、公式の場で二線者になって王籍を放棄するとか、そういう方法の事を意味するのだと思っていた。実際、二線者の制度はおそらく最初は継承戦の抜け穴だったのだろう。だが、そう言う方法もあると暗に示しており、最初に面会した時も似たような言い回しだった。

 

(おそらく、正式な婚礼であれば王配になるしかないという意味。つまり『資格があるのは正妃の産んだ子供のみ』というルールを突いて間男が居ても良い様に、俺もそうすることが出来るという暗示だったのだろう。そして、それが許されるならば、もっと良い方法は幾らでもある!)

 

 他の男を夫とし不義密通というコースは、色んな意味で最低の保険案でしかない。

 

ナスビー王の言葉には、『他の方法があるならば、やって見せろ。自分は娘の幸せを願っている』という無言の擁護であると捉えるべきだろう。それこそ今の俺ならば、降嫁を望むボンボンを退けて、名ばかりの夫をダミーとして据えることはできる。もちろん次の国王次第だが、仮に継承戦が起きるならば、勝利を放棄する代わりに僻地へ隠居などの案を認めさせることはできるだろう。中世の王族とかだとよくあった話だからな。




 という訳でツェズゲラさんとのお話(# ゚Д゚)の後、双子とのお話(⋈◍>◡<◍)。✧♡。
ツェズゲラさんが知ったら「何でもっと早く教えてくれなかったんだ!」
みたいな状況だと思うのですよね。だから彼は反対せず交渉に来てます。
得られる協力を可能な限り取り付け、優先権の確保ですね。

●一坪密林の条件
 一人で挑むところまでは皆さんの見解と同じだと思います。

●主人公、能力の捨拾選択を覚える
 念能力は中堅から達人になる過程で、苦手な系統も組み込みます。
とはいえ、馬鹿正直にいつも使う必要はないと思うのですよね。
モラウさんだって形を変えるのは何時もやるけど、姿を精巧にはしない。
強化して吹き散らされない様にするとか、念獣としての兵隊とかの具現化
そういうのは普段使わないと思いますし、意図して混ぜて使わないかと。

主人公は頭で理解して修業したり、オーラを組み立てている。
でも、全部混ぜた状態で、混ざってしまった機能を無理やり活かしてる。
それが「雪月花」→「乱れ雪月花」へ進歩させる過程で、不要な分をオミット。
今使わない系統は、使わなくて良いのだと体験した感じ(ゴンたちはビスケに習ってると思う)。

●フィンクスとフェイタン
 どっちでも良かったのですが、アンケートの結果によって生存。
流星街に攻めてくる可能性とか、クロロとヒソカのタイマン止めた話とか、二重人格説とか。
その辺の話を聞いて「団長のことありがとうよ。マチが感謝してたぜ」みたいな原作のオマージュです。
なお、当然ですがゲンスルーにフェイタンぶつけるとかはしません。

●双子の教育
 王族なので学校行かずに家庭教師か、お嬢様学校で最低限の登校かと。
なので夏休みの間に頑張って単位分のレポートを挙げ、九月頭で出席。
それで最低限の義務を果たして、秋・冬は出席しない感じですね。

●借りれるの!?
 初期のゲームは二人までセーブ。マルチタップでx4に増えた形です。
つまり一人分のセーブが埋まっており、もう片方で4人分の場合ですね。
主人公が三枠を埋めているので、リザーブ要員をこっちに入れるなら前提。

●カチョウと結婚、フウゲツを救うルートに決定
 これは原作でセイコ妃がフウゲツを推しているからですね。
カチョウが具現化系で、フウゲツが放出系っぽいのも影響してます。
二人の発の方向性は、次回で会話するつもり。

●ネオンの冴えた使い方
 出す気はないけど、生き残ったキャラなので有効利用。
船から脱出する予定で占ってもらったら、駄目だと占いに出るでしょう。
もちろん生存者ゼロの場合は、「乗船自体が駄目」になるでしょうけど。
そこで、今回は「三大国宝を盗ませる予定」を組んでます。

●ナスビーの言う『解釈』
 原作の台詞を流用し、方法によっては国王でなくとも手に入れれる。
だから最低な手段だけど、傀儡を夫にして、実は主人公がNTRが保険。
それ以上の成果を目指して何とかする形になります。


前置きにも書きましたが、書き溜めが尽きたので、次は火曜~水曜になるかと思います。

フィンクスとフェイタンはどうなる?

  • クラピカが殺した
  • ユキが約束通り殺した
  • 迷ってる間に自殺した
  • 渋々、約束を受け入れてNGLへ
  • 除念待ちしながらNGLへ
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