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「印象的だったのはゴレイヌ、アベンガネ、プーハットの順だな。出来ればで構わないが、開始前に話がしたい」
「意外だな。旧知の二人を落してまでとは」
「あの二人ならヒントを貰えば直ぐさ」
双子は観光のついでに、メンチへ雇用の打診を入れて帰国。
俺の方は選考会に参加したが、ゴンとキルアが原作と同じく落ちたものの問題はない。発を作ってもおらず、応用能力を見せることも無かった。仮に纏からパワーと察知能力を同時並行して見せるとか、変幻自在の歩法でも見せれば今でも合格できただろう。要するに『グリードアイランド内で何をもってカードを探すか』を知りたいのだから、彼らの能力を十全に発揮できるだけでも通っていただろう。例の垂直ジャンプもその延長上だな。
「その順番になったのが興味深い所だ」
「ゴレイヌは念獣との立ち位置や姿勢が絶妙だった。あの狭い部屋で上手く出したと言えるが……おそらくは他に転移か念空間を使える。多分組み合わせ的に前者だな。うちのお姫さまに覚えてもらいたい能力だというのが一番。次にアベンガネは同じく念獣だったが、あいつは自分で言ってるような偵察系だけじゃない。都合が良いから偵察用を出しただけで、別のシチュエーションでは別の念獣を出すだろう。例えばそう、回復や除念とかな」
この二者に関してはそれぞれやり方が面白かった。
原作で見なかった部分ではあるが、あの大きなゴリラ型念獣をあの場所に出して見せ、それで騒ぎを起こさなかったゴレイヌは雰囲気込みで落ち着いた男だ。護衛としても囮役としても、あの位置交換能力は欲しい所だ。俺の第一目的である双子のお姫さまを守るという意味では、ゴレイヌが一番となるだろう。そしてアベンガネはチラっと偵察型を見せて、『これで十分だろう?』とやって見せた頭の良さと秘匿センスは見事である。
「そこで切ったということはプーハットという男はやや劣る、と」
「性格的に他者を見捨てられない所と、ざっとこちらの事情を幾つか選定中である事も見せて来た。あてずっぽうになるが、普段は探偵でもしてるんじゃないかな? 本来は何度も聞き込んで情報を収集するタイプだろう。放出系と操作系の中間というところだと思う」
原作では能力を見せずに死んだが、見当がつかないでもない。
大雑把に全容を把握して、その上で推理しながら行動するタイプに見える。だから能力自体は高いのだが、努力する天才肌である特化型(ポイントを絞るタイプ)のアベンガネには劣って居るように思われた。人の良さとその場のアドリブでなんとかしようと努力するところはレオリオに似ているし、強くはないがフランクリンにも通じるところがある。また、放出系には探偵向きの能力を作り易い所があった。
「探偵だと? あの顔と印象だと特徴を覚えられ易いんじゃないか?」
「逆だよ。普段は変装しておくか近寄らなければ良い。具現化は使っても変装マスク程度、操作と放出で声を収集し、自分の声を届けたり改変すれば情報収集だけではなく伝令もこなせる。そうやって何度も行き来して足で情報を集めるから、人格も丸くなっていくし、最初は場当たり的に釣りをするような感覚になる。とはいえ俺の目的には下位だからな。人柄が良いから買うが、無理には良い程度だ」
グリードアイランドの同期組では、才気はあるが微妙な立ち位置になる。
護衛というよりは野伏=レンジャーとか、兵士たちからの情報収集役くらいだろう。バッテラの役には立たないし、音の探知が使えるならば、海洋資源の探索などで欲しいくらいだ。だから俺の目的には下位の優先順位になる。
「ああ、そうだな。海に沈んだという伝説の島にアタリが付き始めたから、その秘宝を求める目途が着いたら優先度が少し上がるくらいか」
「例のお宝か? 確か懸賞金を懸けている物好きも居たな。場合によっては私にも声を掛けてくれ」
ツェズゲラと軽口を叩きながら別れることになった。
これからはその三人に軽く話を出来るか確認してもらい、その前後にゴンとキルアに話をするくらいだろうか?
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「なんだよ。審査員にユキが居るなら、もっと楽が出来たのに」
「そうか? 発を作る良いキッカケになっただろう。それに、こちらも仕事だから守秘義務というものがあるからな。俺だけでなくバッテラ氏を動かすだけの取引を申し出る必要があるだろう」
という訳でサクサクこなせる用事は終えておこう。
どうせ数日後には発を作って来るんだろう。彼らは既に選考から一度落ちたというショックは見えない。おそらくは補欠枠に余裕で滑り込んで来るだろう。
「偉大な先人の言葉を送ろう。『過程を楽しめ』と言って、ネテロ会長の言葉であり、ダブルのハンターであるジン・フリークスたちが体現している言葉さ。オークションに参加するのも、選考会というアイデアに至ったのも面白かったろう?」
「うん! ドキドキしたけど、すっごく楽しかった!」
この流れに関しては、内臓を担保にしている誰かさん以外には良い事だ。
選考会のスタッフだった俺から見ても、この二人が落ちるような強敵は数名しかいない。それも人生経験とか込みでの話であり、ビスケは別格にしても、アベンガネとゴレイヌが上回る程度だろう。フィンクスとフェイタンがゲームを奪わないことを考えたら、まず二人の合格は間違いあるまい。
「確認するけどあんたの権利で捻じ込むのは無理なんだな?」
「キルアの兄弟にゲーム好きが居たとして、さっき言った条件で暗殺者を頼む用事はないぞ。そりゃ重犯罪者でも協力的なら司法取引でハンターは力を借りることはあるけどな。そいつが自分で思いついて交渉を持ちかけたなら別として、キルアが『良い話聞いたんだけど』くらいじゃ、暗殺以外では何もしないんだろ?」
「そりゃま、そーかな。ブタくんが率先して何かするとかしねーだろうし」
「ただ、無碍に断る穴埋めくらいは二人にしておくか」
「お? なんかくれんの?」
後のアルカ編に向けて工作できるとも思えない。
だからここでミルキに恩を売る意味はない。それこそキルアに協力をする約束をしていたとしても、『●●の枠まで、それ以上は無理だけどな』みたいな感じでインナーミッションには非協力だろう。率先して敵に回らないだけマシではある。どちらかと言えばビノ-ルトの話をし易い様に話を混ぜておく位だ。
「ゴンに関しては、海洋資源の探索チームにカイトというお前さんの知り合いがいる。ジンについて何も調べられなかった時は、カイトになら取次が可能だ。もちろん向こう次第だから、危険だから駄目だったらゴンも素直に諦める事」
「え? ホント!? カイトとまた会えるなら嬉しいな!」
ゴンの方はカイトからも聞いているので問題はない。
逢わせるだけならタダだし、NGLも安全になってるはずだからな。もしかしたら、今モラウが追っている海流調査に関するデータ次第では、失われた文明の調査に同行させることも出来るだろう。こちらは眉唾物の噂だったのだが……。陸地に対する海流の反射で、海流自体の向きが変わるという点に着目すると、怪しい場所が何か所かあるのだ。
「ふーん。オレの方は何くれんの? どうせブタくん絡みだろうけど」
「もう直ぐクリアの目途が立つらしい。おそらくこの半年から一年ほどが佳境だろう。バッテラ氏は一度で十分だそうからな。『急がないなら手に入る余地があるよ』と伝えるくらいかな? それで何が引き出せるかはキルア次第だが、暗殺より簡単な御願いなら行けるんじゃないか?」
「まーそうだね。期待せずに連絡してみるよ」
この情報に関しては、おそらく原作でも行われた可能性がある。
何十人も死んだハメ組の死亡だけではなく、
(そう言えばハメ組の死亡でゲームの枠が空くなら……カキンに送る分だけじゃなく、レオリオを呼ぶことも出来るのか? まあ医者の勉強が忙しいから放っておいた方が彼のためなんだろうがな)
バッテラとはクリア後に貰う契約だが、ハメ組の死亡は別計算だ。
何というか『おそらくPKで大量に死亡者が出ます』なんて予測は可能だったとしても口にはし難いものである。ツェズゲラもそのあたりの話をしない事を考えれば、以前の予測通りに放置するつもりなのだろう。だからその時に申し出れば買い取りすることも、誰かに貸出することも出来るだろう。だが幻影旅団を呼ぶ気はないし、ミルキとカルトを雇用してゲンスルー暗殺なんかする気はない。それを考えたらレオリオを呼んで修行するくらいだろう。
「クリアすると仮定しても、俺は自分の楽しみと大切な人をここで育てるのが目標だから無理に報酬を貰いに行く気はない。ゆっくり漫遊する心算だが、二人もそうだろ? 共同プレイほどじゃないが偶に情報を交換するくらいでいこう。多分、グリードアイランドの中には、面白いプレイヤーも居ると思うぞ」
「そんくらいなら別にいいぜ。なあ?」
「うん。オレ達も楽しみたいからね」
こうして定期的にゲーム内情報を交換する目途を付けた。
二人の事だから直ぐに忘れそうな気もするが、ビノールトとビスケの話題を後で聞くことが出来るだけの言質を取った形になる。後はお互いに楽しくやって居れば良いだろう。
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「能力は仕事にも命にも関わるから答え難いなら答えなくとも構わない。失礼ながら、君はウイッチドクターで治療能力か……それが無理でも除念が出来ないか? もしそうなら、それなりの給料ないし出張時のリザーブ料金を高額で払おう」
「……どうしてそう思うのか聞いても?」
「一つは立ち振る舞いとオーラの流れだな」
「具現化系にはありがちな特徴だと思うがね」
三人と話自体は可能だったので、喫茶店で面談となった。
最初にあったゴレイヌは護衛業はやってないと断られた。次に会ったアベンガネに関しては、良くも無く悪くも無く。どちらかと言えばお互いに様子見をしているという段階だ。報酬次第で来そうな気もするし、押しても駄目な気もする。此処は一度引いて、無理にはスカウトしないくらいの体勢でいた方が良いかもしれない。自分が賢いと思っている人間に『君に興味があります!』なんて膝を突き合わせても嫌われるだけだ。
「動きと視線に『間』がある。変化や放出に居るカウンタータイプがやりそうな動きだが、他者を見て対応して動く能力なのは間違いがない。偵察能力
「なるほど。だがその場合、オレはグリードアイランドで出遅れそうだな?」
「ゲーム内でという意味なら終了後で構わん。能力ならそうでもない」
「偵察型に治癒ないし除念だけでなく、四つないし五つの能力があるとでも?」
アベンガネは同じ言葉で複数の意味がある問いをして来た。
その間もじっとこちらの方を観察している。自分に有利な情報を引き出しながらも、同時に背景を伺っているのだろう。まずはグリードアイランド内で自由に動き回って、バッテラからの報酬を狙う案を捨てず、こちらの提案を保険にするくらいのつもりだろう。その上で自分の能力がどれほど見抜かれているかという危険性。同時に見抜いて居るのであれば、どれだけの報酬を払うかを見ているのだろう。
「俺は一つの能力に複数の効果を内包していてね。ランダムとは言わないが、特殊な要素があるから調整し難いんだ。だが、それだけの強さがある。さて、その意味で君の場合だが……時計に例えると長針と短針、暦ならば月と星の配置。そんな感じで状況に合わせて能力を切り替える、俺と同じような調整型の能力者なんじゃないか? ウィッチドクターだと思ったのもその一環だ」
「まさか『祭具』と『場』まで見抜かれているとは……」
俺がコーヒーカップとソーサーを指さしながら語ると肩をすくめられた。
おそらくアベンガネは具現化系の変換で祭具を作り出し、呼び出す場で精霊の種類を変えているのだろう。念を使うのは自分では無く、あくまで精霊、自分はその手助けをしているに過ぎないという立ち位置なのだろう。だから普段は特に調整の要らない偵察型を使い、グリードアイランドならば他者の行動なり、上下左右の位置から状況を確認。カード情報なり場の情報を得て、よく行われる行動などの頻度を確かめているのだと思われた。
「まあ、それはしょうがない。長く組んでいる時はままある事だ。しかし、オレの興味は金額と目的次第なのだがね?」
「治療能力なら月給一千万、除念ならリザーブ料で百万を約束しよう。もちろん、急場の依頼にはその百倍の報酬を用意する。治療系の場合は危険地帯での海洋探査を行うことになるし、除念の場合は条件解除するだけでも大変だからな。それと……」
治療系能力者を探索チームに加えられるなら月給一千万でも安い。
少なくともレオリオがその系統を覚えたら出すつもりだし、除念の場合は何もせずに取次だけしているだけでも意味があるから百万の捨て金など痛くはない。腕利きのハンターだと数日から一週間のミッションでも何千万と稼ぐしな。
「それと?」
「バッテラ氏が治療を望んでいる場合は、その報酬をそっくり渡そう。俺が彼から望んでいるのは金じゃないからな。彼なら薬代に一億とか、重篤なガンでもあれば百億くらいくれるだろう」
「景気だけは良い話だな」
この会話は『バッテラの目的は治療能力かもしれん』というサインだ。
もしそうだった場合は、自分は報酬を望まずにバッテラから支払われる金は全て渡すとしておく。アベンガネは頭が良いので、グリードアイランドが報酬とは思わずとも、コネやら系列企業やら、何かしらの目的があると勝手に想像してくれるだろう。もちろんここで素直に話さないのは、彼の人間性を見る為だ。
「返事は?」
「オーケー。リザーブ料を貰っておこう。除念は金を稼ぎ難いんだ」
「一枚あたり、無記名で三百万ジェニー入っている。好きに使うと良い。それとゲーム内なら、除念の条件解除には全力で協力すると約束しよう」
「~♪」
俺がカード四枚ほどテーブルに置くと、一枚ほどアベンガネが手に取った。
彼は簡単に携帯で口座を確認すると、口笛を吹いて立ち上がる。特に紙の契約を交わす訳ではない。今はお互いに『コネを持った』というところだろう。一季節分だけ付き合ってみて、お互いに嘘があったらハイそれまでよ。次に会った時に継続するかを考えるという所だろう。
なお、この後のプーハットは一も二も無く契約した。月給を弾んだこともあるが、急場で金が必要だったらしいからな。
という訳で今回は伏線としてちょっと話して置く程度です。
次回からゲーム内に入るかと思います。
●三者面談
という訳で最初はプーハットの考察。
特に語られてないのですが、性格的な判断から適当に考察しました。
レオリオ~フランクリンあたりの設定キャラシートからの亜流かなと。
人情派の貧乏探偵しててそこそこ能力があると思えば、不思議ではないと思います(それ以上の話ではないので、特に語ってませんが)。
●ゴンキル組と
今は特にすること無いので、後の約束だけしてリリース。
ミルキから合金製のヨーヨーを貰ったとか、ハメ組死亡とか考えたら、話してそうですよね。まあビスケとビノールトさんの話をする余裕があれば、後はもう良いのですが。
●アベンガネ
ゴレイヌさんは護衛業とかそなさそうなので、そのままスルー。
アベンガネに関して言えば、抜け目がない人物なので、ガチガチの約束はしないでしょう。そもそもグリードアイランドで稼げると思ってきてるわけですしね。「これは自分には無理だ」と思うか、「もっと稼げる!」と思わなければその場絵は契約しないと思います。
あと彼の特殊で凄いのは、やはり部族の知識で踏み倒してる所ですかね。
この精霊はどんな力があって、何処で召喚する必要があるのか、祭具は何が必要か? そういうのを系統だって覚えてなきゃいけない。そしてその場に合わせて必要な儀式をやってるみたいな感じかと思います(そして、ソレがあれば自分は大成できると思える判断力)。
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