●
「予定通りか」
開始から受付けまでは特に変わらない。
受け付けの双子はポーカーフェイスで何か思う所があっても表に出さない。ゴンが持ち出すカードにジンが注文を付け、『一人で逢いに来る勇気がないなら逢わない』と言う指示を律儀に守るくらいだ。ゴンがアイデアを閃く可能性だけなら、ゲーム内で可能にしているからまだ判る。だが、チームプレイが重要であることを判らせた直後であり、単独ではあり得ないと判っているのにやったわけだ。その状態で当然の権利を捻じ曲げてまで、指示を通してしまうのである。俺風情に何か表情に出る筈もなかった。
(……あの双子もジンに何かしら思う事があるのかもな。俺だってカチョウやフウゲツに比べたら、他の連中はどうでも良い。転生者だから思い入れが薄いってのもあるけどな)
ただ、何かしらの恩義なり縁があるなら判る気もするのだ。
共にゲームを作った仲で、そこには並々ならぬ苦労もあったろう。アップル社だったかマッキントッシュだったか忘れたが(他の会社かもしれない)、食い飽きた中華屋のメニューをプログラムで変換しようと悪戦苦闘した逸話くらいには苦楽を共にした可能性もあるだろう。あるいは無菌室から出られない体だったりして、それでも人と触れ合えるようにしてもらった……とかな。そこまでの絆だったら優先してしまうのも判る。
「よう、旦那。これからゆっくり『埋めて』いく感じで良いのか?」
「ああ。この辺りから様々なカードを購入できる場所までを適当に調査して行ってくれ。俺は最優先で現実に戻る手段を把握して共有する」
個人的に雇ったプーハットには緩めの指示を出している。
グリードアイランドでの情報を集め、『どこにどんなイベントがあったか』を簡単に調査してもらうというものだ。そこで手に入れたカードを何に使うかは自由。誰かと交換しても良いし、情報料として譲っても構わないと言い含めてある。除念の必要があったら高額の報酬を約束してるだけのアベンガネより、少しくらいは意味のある任務でしかない。
「それら以外は好きにしてくれて構わない。ただし、チームには加入しない事」
「判ってるよ。オレにだってモラルってものはある。あんたと契約したのも、バッテラとの契約に反しないって判ったからだしな」
プーハットには『弟子を鍛える為』に必要だと伝えてある。
だから色んな情報が必要で、クリアに対して効率的である必要もないということになる。この期間は退屈であるが安全確実にお互いの信用度を稼ぐ期間だ。指示した事を守れるか、こちらも申告した行動を着実に実行して次の資金を渡すかどうか。まあ……そこに二重の情報収集が隠れて居ることは、あえて伝える必要はないだろう。
(これでカチョウやフウゲツが行動するエリアが安全かどうかが分かる。明らかに戦闘タイプではないプーハット一人と、女の子だが二人組。脅威度としては同じくらいだと見るだろう。俺が直接行動を見ながら一から十まで面倒を見るのは嫌がるだろうしな)
最後のカードの情報収集でもあるが、重要なのは双子の方だ。
安全に移動できる圏内というのは把握しておく必要がある。ゴンやキルアみたいに砂漠で修行という手もあるが、それだって彼らが冒険心の強い少年だからだ。町を中心に巡る事にして、時々、クエストや観光を兼ねて自然の多いエリアに移動するべきだろう。基本的には裏路地などにはいかず、視界の通らない場所には移動しない。当然攻撃されたり『磁力』のスペルで連れ去られる可能性があるので、そういう場所に行く時は三人で行動すべきだろう。
「それもあるが『木を隠すなら森の中』という言葉もある。計画的にPKをするなら、ある程度親しくなってから誘き出すだろうな。それを避ける為でもある。あと、露骨にPKに関する情報共有をする奴も避けろ。これは知っておくべき情報だと言って、物陰に連れ込んでブスリというのはマフィアではよくあった」
「ヒエっ。おっかねえなあ。ま、ボスはあんただ。指示には従うぜ。
ここで爆弾魔だけではなくPKへの対処を説明しておく。
先ほどの話は情報を二重・三重に利用しているだけであり、特にプーハットを
「……そうだ。野外で行動する時とか、完全に暇な時は基礎修業というのも良いもんだぞ。レベルを上げとけば、ここに来ている連中くらいなら恐れることはなくなる。ただ、これは忠告以上の事じゃない。無理に守らなくても良い」
「この歳だ。運動は苦手なんだけどねえ。……要するに旦那は予想してると?」
「ツェズゲラは半年あればクリアできると言っていたからな。他が動くだろう」
「しゃーねえ。ま、鍛えて損はねえからなあ。暇な時で良いならやっとくわ」
これに関しては本心からの忠告だった。
どこかの某ドラゴンボールみたいに『餃子は置いて来た。これからの戦いにはついて来れそうにない』とか言って安全圏に放置とかできないのだ。というか、あの作品だと場合によっては安全圏ごと吹き飛ぶしな。ゲンスルーに限らず、もう少しレベルの低い連中が腕っぷしに物を言わせるとか、今後にカキンで重用するとしたら、そこで兵士なり他のマフィアに狙われることだってあるだろう。ただ、味方なら戦闘力より人格が重要でもあるからこそのプーハットだった。こいつはゴンキル組に説明してやる人の良さがあるからな。
●
(実の処、ハメ組の瓦解まではすることがない。だが優先順位は決まっている)
現在、『大天使の息吹』獲得条件の為にスペルカードが大量買いされている。
これでは現実に戻る手段が減るし攻撃・防御共に心もとない。カチョウとフウゲツが楽しむにしてもスペルカードに触れることは重要だろう。買っても買っても同じ屑カードばかりの状況でモチベーションが上がるはずもないし、また手にしたレアカードを守る手段もなかった。それを考えると無理にカードを取りに行くこともないのだ。
(最優先で島からの脱出手段なのは変わらない。カードが増える前に『奇運アレキサンドライト』は獲得しておくとして、不自然でない様に途中経路で狙えるカードは取っておくくらいか)
モラウが戻ってくる前に、現実に戻る手段は確立したい。
その後はスケジュールに合わせてゲームにインすることも出来るだろう。何だったらバッテラの言葉に甘えて、船の上からインするのもありだろう。動力を繋げば何とでもなるしな。ただ、現在は海流の反射を調査することに精力を傾けているので、水産資源の調査は二の次になっている(女王蟻の腕の話も、この過程で手に入った)。だから暫くは暇と言えば暇と言えなくもなかった。
(次にアレキサンドライトと同じページの指定ポケット、そして闇のヒスイを含めた宝石類だな)
指定ポケットに入れて奇運アレキサンドライトを確保することも出来る。
だが、確実なのは『堅牢』のカードが出回り始めたところでツェズゲラに渡すか、向こうが隠しておきたいなら俺が持ったまま堅牢で守るべきだろう。このスペルは同じページの指定ポケットを守れるため、
(ボマー組が動いてから『闇のヒスイ』は独占されるはず。残り二人が情報を集めている可能性もあるが、まだ注目されて居ない以上は間に合うだろう。宝石類ならビスケと話をするキッカケにもなるからな。スケジュールを埋める手段としては悪くない。こっちは独占する必要はないから管理は楽なもんだ)
都合の良い事に、アレキサンドライトのある70番台は宝石が多い。
堅牢のカードがあれば一通り守れるし、『聖騎士の首飾り』を身に着けておけば『複製で良いなら渡す』という交換も出来ないから交渉しない理由造りも出来る。後は宝石を中心に集める動きと、ゴンキル組との交流でビスケとは接触できるだろう。加えてビスケの能力であるクッキィちゃんは美容のための能力だから、カチョウやフウゲツと絡めるから丁度良かった。話がはずめばビスケも鍛えてくれるかは別にして、護衛に雇える可能性も出て来るだろう。
(確か『ブループラネット』のある80番台には攻撃に使えるカードもあったはずだ。80番台を集めているフリをして、これで攻撃するのもアリだろう。……よし、この流れで行くか)
難易度もあるし、誤差は当然生じるだろう。
だが大まかな目途が立てばスケジュールを立てられるものだ。ハメ組の破滅とボマー組の躍動など詳しい時期は憶えてないが、一斉爆破で即座に判かるから問題はない。仮に自分が彼らを知らないままでも、ゴンキル組なりツェズゲラに聞くことは可能だからな。俺は物事に予定を立てていく人間だし、だからこそアドリブを効かせることも出来ると前に言ったような気がする。今回の場合は、自分の行動にブーストを掛ける感じだな。
(惜しむらくはハメ組を助ける手段がない事か。まあ自業自得ではある)
俺は別に善人ではないが、流石に大量殺人に眉を顰めない訳でもない。
だが古参のゲンスルーがボマーという時点で終わっている。積極的にゲームをクリアすることも目指さず、スペルカードを独占して行くというのもPKを誘発し易くなっている要因と言えた。仮に『殺人現場を偶然見た。疑うならば封印能力なり審議看破の能力があればゲンスルーに使ってみろ』とか話をでっちあげて忠告したとして、ハメ組が聞き入れる筈もないだろう。それこそゲンスルーの嘘を暴くより、こっちの嘘を確認するのは間違いはない。つまり、現時点で詰みなのだ。
(プーハットを引き抜き、アベンガネにも声は掛けた。そこで限界だな。後は……万が一、ボマー組の誰かが俺に仕掛けてきたら倒すことを考えるくらいか)
もちろん、後ろめたく思っている程度で自体が進展することはない。
時間は刻一刻と過ぎて行き、予定は予定のままに進んでいったのだ。まさにカウントダウンが開始したと言えるだろう。
●
「重犯罪者との取引を斡旋? 構わないぞ。詳しい話は再会してからとして、名前とどんな能力かだけ伝えてくれると助かる」
『名前はビノールトって奴で、発は髪の毛を食うと相手の健康状態が分かるってキショイの』
島外での脱出手段を確認し、モラウに近況を聴くための準備段階に入った。
奇運アレキサンドライ他もその手前で手に入れることにしており、そんな訳で本格的に活動を始めようとしたところでキルアから『通信』が飛んで来る。待ちかねていた情報を手に入れて、即座に飛びつくか少し悩むところだ。街中であったことから、食堂でトントンとテーブルを叩きながら僅かに考えていた。
『どうした? 難しい奴だったか?』
「いや。思ったよりも使える能力だから、手元で面倒を見るか悩んでた所だ。その能力な、医療系と組むと化けるぞ。少なくともレオリオが医者になる知識を収めた後なら手離さないだろうな。そっち次第だが、うちの海洋冒険チームに好待遇で確保しても良い。海に潜る奴は経験則が多くてな、意外と健康管理が出来てない奴も多いんだ」
流石は暗殺一家、俺が悩んでることを即座に見抜いて来た。
仕方がないので前々から狙っていた事実以外は素直に話すことにした。この辺はいつも事前に考えてることをスムーズに話す俺が、時間を掛けたことも問題なんだろうな。あるいはキルアがビスケに鍛え上げられて色々と経験を積み始めたこともあるかもしれない。
『へーそいつは良かった。じゃっ、後は会って話そうぜ。何処で逢う?』
「色々要求する山賊を知らないか? そこのイベントを進めてるんだ。その辺が終わったら、島の外に出てチームのメンツと連絡を取るつもりだった」
『ならちょうどいいや。その辺で逢おうぜ』
イベントはともかく時期に関しては完全に覚えて居ないので前後する。
だからゴンキル組のアレキサンドライト入手時期を覚えてはいないのだが、この口ぶりからして既に入手しているか、どうやって入手するかの目途を付けているのだろう。山賊の事を知って居て聖騎士の首飾りを手に入れたら思いつくだろうし、このアイテムはチームに一つは必須だから、裏技で入手できるから時期も断定し難いんだよな。
なお、この思案には意味が無かった。当たり前ながら修行を始めた彼らは山賊と出逢って現金を持って行かれた経験があるだけだったからである。
という訳でゲーム開始。予定チャートを組んだところです。
二週間程アリバイ工作的に活動した後で、ビノールトの放流くらったわけですが。
●アレキサンドライトからの宝石染めデッキ
一番面倒でツェズゲラが欲しがりそうなところからスタート。
聖騎士の首飾り必須なので、そのまま呪文防御になると妥当なところ。
最後まで持っていて渡すことを考えたら、ツェズゲラが有してる堅牢も譲ってくれるでしょう。
もちろん、譲らないなら守らない、ツェズゲラ君がアレキサンドライトを引き取り給え……というところですね。多分、闇のヒスイも抑えるという話をしたところで折れそうな気がします。攪乱には丁度良いですし。宝石を集めるという意味では、お姫様を抱える主人公にはストーリー的な背景が揃いますので。
フィンクスとフェイタンはどうなる?
-
クラピカが殺した
-
ユキが約束通り殺した
-
迷ってる間に自殺した
-
渋々、約束を受け入れてNGLへ
-
除念待ちしながらNGLへ