インモラルなステディxステディ【完】   作:ノイラーテム

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調整

(第四の試験が終わった事だし、ちょっと確認してみないとな)

 

 プレート争奪戦はターゲット番号が微妙にズレた以外はそう変わりない。

 

ハンゾーのターゲットが三兄弟の中でズレとか、やっぱり一人で行動したキルアが投げた番号が違うとか。後は勝つ奴・負ける奴・死ぬ奴が多少ズレた程度だ。番号がズレようが武芸者はやっぱり死んだし、ヒソカが若い才能を見て昂った後に、その辺に居た奴で適当に自分を鎮めたとかはあんまり変わりがない筈だ。

 

(配布カードが固定されてる……まだシーズン中か)

 

 俺の能力に『我の強い匠の再建築(エゴ・リ・ビルダーズ)』というのがある。

 

一つ目の発であり、どちらかと言えば隠し要素的な能力になる。念空間を作る発なのだが、『ランダム要素のあるゲームで時間内に稼いだスコアに寄る追加を行う』という条件があり、他にも制約はいくつかあるが『シーズン中は上限やランダム性がずっと固定される』という制限ルールがあるのだ(もちろん時間内のゲームは必須)。第四の試験ではお試しに速攻で終了させたため、小さい念空間しか作れていない。つまり、試験中ではシーズンが進んだと見なされないと把握したことになる。

 

(なら試験編が終わった時と、カキンに戻ってから再チャレンジだな)

 

 どのみち秘匿されているので、試験中では念能力は推奨されない。

 

だから第五の試験では使う気はなかったし、第四の試験でも戦闘にも使える二つ目の発を使う気はなかった。そもそも念能力者であるヒソカやイルミと戦わないのに、発を使って戦うのは恥ずかしい以前に、終了後の満足度が下がってしまうまである。俺は全ての発に共通の制約と誓約を設けているのだが、成果を積み上げないと再調整や分岐が出来ないようにしているのだ。なのでオーラを使って戦うと、せっかくのハンター試験合格という区切りを捨ててしまう事になりそうだった。

 

 

「という訳で絶対に避けたいのは彼で、逆の意味で子供や女性は出来るだけ戦いたくないですね。気分が悪いですので」

 

 勝てそうにないからヒソカとは戦わない。女子供は気分が悪い。

 

アンケートにはそんなニュアンスで返答したこともあり、試験官たちも納得顔である。俺が念を使えるのは見抜いていただろうし、気分が悪いだけで女子供とは戦わない訳ではないというのは、もちろん任務にも寄るし、念を覚えてしまえば彼らも普通に強くなるからだ。

 

「ふむ。どうしても戦えと言ったらどうするね?」

 

「天空闘技場のフロアマスターとリングの上でですか? 相手十分の状態で死にたくはないのですが……第二の試験官の様な食の第一人者や、ファッションの専門ハンターを紹介してくださるなら、受けた後で即降参しますね。この問いをしている時点で、総当たりなりトーナメントの上の方で戦うかどうかの話でしょうし」

 

 原作知識があるのを見抜いたわけではないだろうが揺さぶられた。

 

ただヒソカが鬼強のフロアマスターなのは天空闘技場の話を出せばセットで判る話だ。ヒソカ有利な状態で他の能力者をぶつけるとか、作為以外の何物でもない。この時点で普通のシングルマッチでないことは伺えるので、そのことを指摘するとさすがにネテロ会長も嫌そうな顔をした。まあ、ヒソカに誰を当てるか悩むよね。秘匿を考えたら念使い同士なら問題ないわけでもないし。

 

「ちゃっかりしておるのう。しかし、お主に要るか?」

 

「好きな子がいいとこのお嬢さんなんですよ。プレゼントするにも習ってから作ってあげるにしても、良い先生が居ればありがたいからですね」

 

 裏試験の為に先生は要るか? と探って来た。

 

俺が最初から試験の流れを全て知っているのかという探りだろう。少なくともこの歳で落ち着き過ぎだし、初回にしては傾向と対策が出来過ぎだしな。ただ、カチョウやフウゲツに色々贈ってあげたいのも本当なので、俺が本気になる理由として挙げさせてもらった。そこは本心なので流石にネテロ会長も見抜けはしない。少なくとも好きな子のために傾向と対策を掴み、全力で挑むのはおかしくはない。

 

「いいとこのお嬢さん紹介してくれるなら、あたし行っても良いけど?」

 

「それはありがたいですね。うちの国は風通しが悪いので、料理とかあんまり進んでないんです。うちの家で始めたばかりの会社も順調なくらいでむしろ心配になるレベルですから」

 

 メンチを口説いているわけではないが、色々な意味で伝手は欲しい。

 

シングルハンターなら戦闘力も問題ないだろうし、毒殺だって見抜いてくれるだろう。もし協会がカキンの内情を知りたいならば、今の内から接触してくる可能性はあったが、食文化の面で大助かりだから反対する気はない。ただ国情的にいきなりキャンセルされる可能性もあり、無理して呼びたいほどでもないので、そこそこの食いつきで返答しておく。

 

「へー。何のお店? ごはん系?」

 

「どちらかというと粉物料理ですかね? こちらで言う麺・ワンタン・水餃子からメインを選び、揚げ物を適当にサイドで選ぶ軽食になります。もちろん雑炊を入れても構いませんよ」

 

 やはりというか、ジェイ=ピー家でやってるシノギを聞いて来た。

 

メンチが興味を示すのは当然として、ネテロ会長たちは止めもしない。自分が興味ない事はどうでも良いという風だが、会長はともかく他の連中には少し表情の変化が見える。なお、俺が関わっているのはメニュー考案までで、実際に手掛けているのはゲームの会社と、資源探索系の会社になる。その辺を喋る必要はないので今は食い物だけで済ませておいた。

 

「……降参します」

 

(ヒソカとキルアを避ければこんなもんかな)

 

 負け抜けトーナメントで相手を選ぶならまず勝てる。

 

発を使う気もないので、修行中に習った体術で十分だ。相手の攻撃をよけてこちらの攻撃を突きつけて脅す。一連の動きで実力差が分からない奴は最終試験にはあまりいない。

 

(意外なのはポンズが残ってたことかな。原作通りに進む部分と進まなかった差異か。イルミがキルアを脅す流れが同じなら、ポンズも合格しそうだな)

 

 俺は戦わなかったが、ポンズが誰かと戦っているのを見た。

 

彼女が最終試験に残っているという事は、バーボンも死んでいない可能性がある(他の奴に殺された可能性もあるが)。ポンズが強くなっても蟻編での流れはあまり変わらないと思うので、詳細はあまり覚えて居ないが気にしないことにした。どうも記憶は興味ある事に偏っているので、脳みそクチュクチュされたポックルはともかく、ポンズは死んだ筈だ……くらいである)

 

(というか……イルミが原作通りに言ってるって事は、あいつも試験内容を推測したな? 俺以外にも考えている奴いるじゃん。もしかして探られてるかもっての、俺の考え過ぎだったのか?)

 

 変則式の対戦なのと、相手を選べそうなのは良く考えれば推測できる。

 

その上で都合よくイルミとキルアと対戦が組まれている。おそらくは質問の中で『誰を外したいか』『誰と戦いたいか』という意図を見抜いて、うまく調整したのだろう。イルミならそのくらいはやりかねないし、逆にソレが問題ないならば、会長たちの言葉に色々考えた俺が馬鹿みたいだが……まあそのくらいは受け入れておこう。

 

「素材ハンターを目指そうと思いますので、御縁がありましたらよろしくお願いしますね」

 

「こちらこそ」

 

「こっちもな」

 

 その後はやはりというか原作通りの流れだ。

 

キルアが誰か(流石に覚えて居ない)を殺して不合格になり、負け抜けの一人になった時点で試験は終了した。俺も『教唆=操る』のはアリなの? というニュアンスで抗議はしたが、もちろん決定が覆されることはなかった。何となくで仲良くなれそうなメンバーが自己紹介をしてホームコードを交換し、解散という事になる。

 

「ねえ、何でそんなに強く成れるの?」

 

「そうだな。全然動きがブレて無かったろ」

 

「そうですね。家の事情もあって訓練が早かったのですが……。良い師匠に巡り合えるかどうかと、自分との相性ですね。やはり基本から教えてくれる方は重要ですし、自分が出来る事と出来ない事はちゃんと把握しろと教えられましたので」

 

 それぞれの目標の問題もあり、ポックルやポンズと最後に会話した。

 

念はともかく実力差は判るようで、あまり関わる気はなかったが、最低限の事は教えておいた。第二試験で少しやり過ぎてしまった事を考えれば、おそらく俺は少し甘いのだろう。本当のことを言えばスシのことは最後まで秘匿するべきだし、死に行く可能性の高い彼らに余計な忠告をして、蟻に栄養を与えない方が良いからである。敢えて言うならば、継承戦編のためにハンゾーやクラピカと仲良くすべきであっただろう。

 

(さて。クールタイムは終了時か。オフ期間は何度も試せるのか? まあ今のうちに再調整はすべきだけど……)

 

 試験編を終えた段階で、カキンに戻らずとも変化があった。

 

シーズン中は上限が固定されるという括りが解除され、進歩条件を満たさないと発の調整が出来ないという共通ルールを満たした為だろう。もしかしたら途中で成果を上げるタイプだとそこでまたリセットされるのかもしれないが、そこは検証も難しいのでネームドである旅団なり師団長と戦う時までとっておこう)。

 

(速攻で済ませたからサイズが小さかったのに負担は大きかった。やっぱり固定型で動かせないとかいう縛りが無いと、消費量を下げられないのかな。というか……制約と誓約で得られる内容が一定じゃないのかもな。場所の把握の問題で固定型の方が楽なだけかもしれんけど)

 

 第四の試験で試しに使った後、ずっと負担を感じていた。

 

かなり便利に念空間を拡張していたノヴが敵とバチバチにやり合った描写が無い事からも、念空間は常時負担型なのかもしれない。もちろん設置時に掛かる負担と維持用の負担では比較にならないが、それでもコンディションを下げるのは同じだろう。もし同格以上と戦う事に成ったら、新人の内からこれでは先が思いやられる。この辺りを修正しておきべきだろう。

 

(とはいえ常時携帯型も惜しい。だがそれをやるなら小さくするとか、もっと強い縛りが必要になる。……ここは分岐でルールは似たような状態で、縛りをややキツくするくらいにしておくか)

 

 常時携帯型と設置建築型の両立は難しいが、チャレンジするべきだ。

 

その上で自分の頭で把握しきれるレベルであるべきであり、また気分的にも『この方が上手く行く気がする』という誓約であるべきだろう。かなり難しい条件ではあるが、俺は考察しながらアイデアを貯めておくタイプなので問題ない。アイデアノートから幾つかピックアップし、一番納得できるものを選択した。

 

(スタートカードの表と裏を選択する。表は設置建築型、ミニチュアのサイズを建築サイズに大きくした形状になる。裏は常時携帯型、ポーチや袋サイズで最大でもロッカーや貸金庫レベル。もちろんこの選択も時間内に決める必要があり、条件が固定されるのも同じだ。単純にチャレンジ時間も短くなるし、蟻編とかなら悩むだろう)

 

 ランダムに空間を広げるボードゲームなのでスタートカードがある。

 

プレイルームと描かれたスタート用のカードがあるのだが、普通はそこを起点に部屋を拡げるゲームをするわけだ。そこでこのスタートカードに追記をして、表は『恋人たちのプレイルーム』として建築型であるイメージを確立、薄い本だとヤリ部屋に聞こえてしまうが、あくまでカチョウやフウゲツ達と楽しく生活するイメージなので気にしない。そして裏は『プレイルームの隠し部屋』としてサイズの認識を判り易くして置いた。

 

(後は配布カードも逆転させて、エキスパンションから初めて、基本セットを追加するかどうかの検証だな)

 

 エキスパンションは特殊能力主体なので、特殊な空間を作り易くなる。

 

欠点は空間を増やし難くなるのと、カードは発展ランクごとに使い切る事が必須になっている。何が言いたいかというと、仮に最初は七枚のカードをスタート地点から並べていくとして、特殊性付与が三枚とか四枚あって空間を追加するカードが無かった場合、全部を同じ空間に施さなければならない。冷蔵と圧力と無重力を同じ場所に設定すると、食材すら仕舞えない地獄になるだろう。

 

カキンへの帰り道はその辺りを考察しつつ、四大行の訓練をして帰還した。




 という訳でサクサクと試験編は終了。先は長いので仕方ないですね。
なお私が考察した内容は不確定の話を「こうであったとして」主人公の頭脳を鍛えるために「違っていても良い」と使ってますが、もし必要な方が居られましたら、好きに使ってくれて構いません。

●負け抜けトーナメント
 これって念能力は洗練されてないにしても、初期からあったとして
ヒソカやイルミたち圧倒的な強者が居たからってもありますよね。
そもそもハンターは最低限の強さは必要だけど、トーナメントじゃ検証できない。だからこそ印象値の問題にして、注目され易くなるって話なんでしょうけど。

もちろん主人公は負ける相手を避けてるので普通に勝って終了。
痛い目に合ってないけど特に注目されたわけでもないです。
クラピカ達四人組とは顔見知り程度で、みんなで連絡先を交換してたら交換してるレベル。ポックルとポンズは分野の問題で、ハンゾーとはお互いに注目し合ったので、メンチはカキンに伝手を築くのに一応。くらいのノリでホームコード交換。イルミ? 顔合わせて生きていただけラッキーでしょう。連絡先交換どころか忘れてそう。

●念の再調整
 クロロが栞の為に再調整し、それが面倒だったとか言ってたので採用。
本当に栞が後から加わったのか、共闘説の為に最初から持ってたのを見せただけかは考慮しません。その上で、『こういう感じで調整しようと思って居る』と試していき、上手く行く調整もあれば上手く行かない調整もある、そして都合よくは行かずに思った通りに機能しない調整もあるでしょう。少なくとも主人公は今回の考察レベルで悩み再調整、上手く行くのかとか、思ったよりも機能していないのかとかは追々試していく感じになります。

基本形。『恋人たちのプレイルーム』版
 四畳半の部屋からスタート。
上手く行ったら1~4LDKになり、やがて大きなお屋敷になる。
四次元マンション程広くはなく、時間内にクリアできない場合は、畳一畳分の部屋に制限される。成功して拡張チャレンジしていた場合は、一段階戻る(再チャレンジも必要)。

分岐。『プレイルームの隠し部屋』版
 ボーリングの玉やブーツが入る程度の小さなロッカーからスタート。
どんなに拡張してもロッカールームなり貸金庫サイズまで。時間内にクリアできない場合は、袋一つ分程度のサイズに制限される。成功していて拡張チャレンジしていた場合は、一段階戻る。

こんな感じのイメージで再調整していますが、基本形の方が最大サイズが大きく成り、分岐の方は最小がポーチサイズに。そして考察するだけだった基本セットとエキスパンションの逆転は、確定になって居ます。これは単純にイメージの問題と、主人公が未熟だからですね。

・裏ルール
 拡張していない最初のゲームはやり易いはずなのに、なんで小さくなるペナルティがあるかというと、速攻で終わらせるための裏ルールです。「何分以内にゲームを成功させ、次の拡張チャレンジするか、その時点で降りるか決める」なんて時間かけると困る時の為に、「初期バースト」「ペナルティ部屋で上限スタート」という感じで、即座に終わらせられます。出先で隠れるだけなら畳一畳分の隠れる部屋で構いませんし、弾丸とかナイフ隠すだけなら袋一つ分で構いませんしね(特質系が狙って作る能力じゃないけど)。

という訳で考察だけ長々と書きましたが……。
再調整条件のクリアとは別に、この位の面倒な思考をしないとクロロほど頭の良いキャラが面倒なことになったとは言わないと思うのですよね。
次回はカキンでシノギとか追加修行になるかと思います。
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