洗礼。私が“あれ”を受けたのも、確かこのぐらいの歳だっただろうか。目の前で会話する二人の少年を見て昔を思い出す。
でもツェズゲラの審査に受かってグリードアイランドに入れるぐらいだから、きっと強いんだろう。
会話を聞いていると、ほとんどがハメ組への加入を決める中あの少年達は入らないようだった。なにやら怒った様子で行ってしまう。
……それを追って、ツインテールでロリータコーデの少女も。
「……君はどうする?」
ニッケスという男が私を見た。
クリアが安泰のチームにいるのは悪いことじゃない。きっと最終的には一つに集まったカードの奪い合いになるんだから、弱い者の中にわざと入るのは得策だ。
「……入ります」
「OK。俺たちのアジトを案内しよう」
ーーそうして、呆気なく私の方針が決まるのだった。
……最悪だ。迂闊だった。私達の最初の課題は、スペルカード40種の効果を全て覚えること。それも1時間以内に!
アベンガネとかいう人が真っ先に合格して、プーハットというスーツの男も続いて合格。その後も彼らほど早くはないが合格者は出ている。一方私はまだ何一つ覚えられていない。
要領の悪さが際立ち、全て覚えようとして頑張って、全て忘れていく。何も頭に入らないのだ。
大体こういうのって、ゲームをやっていくうちにちょっとずつ覚えていくものじゃないの? ……一ヶ月ぐらいかけて。
覚え切れなかった者は雑用らしい。雑用ってなにをするんだろうか……。でもいいや。どうせ最後に総取りするつもりだし。力さえあれば、頭なんて関係ない……。だから、大丈夫。
腕時計がそろそろ1時間経つことを示していた。
「……時間だな。紙を回収しよう。君達は覚え切れなかったということでいいかな?」
私含む数人が返事をする。最後の最後で合格した人もいたけれど。そうして私はニッケスとかいう人に紙を渡して、晴れて雑用係となった。
「まあ、あまり気を落とさないでくれ。働き次第で報酬も仕事も変わってくる」
ゲンスルーと名乗ったその男が、私達に優しくそう言ってくれた。
「要は実力次第ってことですよね」
「そういうことだ。そういえば君、名前は?」
「チアです。よろしくお願いします」
「ああ……同じ仲間として、よろしく頼むよ」
握手をする為に差し出した手はーーなぜか、握られなかった。
「おっ、君達が新しいメンバーか! じゃ、俺が仕事を説明しとくぜ」
「ああ」
軽く挨拶を交わして、ジスパーと入れ替わりにゲンスルーはいなくなった。この人は、さっき
「君達の最初の仕事は、資金集めだ! カードショップで防御スペルを買う為に、モンスターを倒すなりして金を集めてもらう。ま、それと同時にーーどこまでやれるかを見させてもらうってわけだ」
つまりこれも一種の試験。これによって更に役割が細分化されるのだろう。
「それじゃあ、向かおうか」