「それから、ここにはもう一人捕虜がいるんだよね。別室で死なない程度に管理してるから、私の家に来たかったら
「抜かりないな」
「でしょ? あと……もしも裏切ろうものなら、私は何がなんでもあなた達を殺す。逆に私が裏切ったら、あなた達が必ず私を殺すこと。約束だよ? 大事な局面だったら私に爆弾をしかけてもらって構わない……それと、私の能力も教えておかないとね」
黙って話を聞いていた3人に、私の手のひらを見せる。
「私の能力
「発動条件はそれだけじゃないだろ?」
さっき経験したばかりのゲンスルーが突っ込む。
「もちろん。手のひらで触れるだけなら1秒、握手で5分、ハグで30分キスで1時間……ってことにしてるけど最後のは嘘。本当はキスじゃなくて、
「でも1時間って、まだ経ってないだろ。それなのにどうして俺達は普通に動けるんだ?」
「それに精神の方の鎮痛とやらは感じられなかったが……」
サブとバラが疑問を口にする。
「発動時間内なら、効果は何度でもオンオフが可能。そして肉体の鎮痛と精神の鎮痛は、どちらかだけでも両方でも発動できるの。今回は普通に話がしたかったから、精神の方はナシだったんだ」
なるほど、と声が上がった。まだこの人達に与えられる情報はないかと考えていた時、ゲンスルーが口を開いた。
「お前の覚悟は分かった。俺のもう一つの能力も教えよう」
「ゲン……!」
サブとバラが驚いてゲンスルーの方を見る。でもそれは非難の表情ではなく、珍しいものを見るような、そんな表情だった。
「チア、お前も俺達と同類だろう? ずっと猫被ってるみてえだが……組むことにしたんだ、もっとそのクズの部分を見せたらどうだ?」
クズ、をやたらと強調して、ニヤリといかにも悪そうな表情で笑われる。同類、か。精神性もやってることも、まあ確かに同類ではあるだろう。
「同類って言うのは認めるけど……猫を被ってるってのはちょっと違うね。私は汚い言葉遣いは好まないの。言霊とかは信じてないけどさ、美しさは内面から、でしょ♡」
わざとらしくにっこり笑ってみる。
「ハッ、ハハハハハ! お前ここ来てから何人殺したんだよ! 美しさ? ドブみてえな内面だろ」
「まー顔だけは綺麗だけどな」
「美しさを求める奴がやる言動ではないだろ」
「それは殺しや脅しがってこと? それが一番効率的で楽なんだから、機能美だよ。美しい自然の動物達だって獲物を殺して肉を食う……人間だってそう。今更自分の罪に目を背けて清廉潔白を自称するなんて、それこそ私には美しいと思えないけどね」
「すげー屁理屈」
「お前イカれてるな」
3人はかなり楽しそうだ。これはとりあえず、良好な関係を築けたと言ってもいいのだろうか。
「あー、話が逸れた。
「それで
話してくれてありがとうと笑って見せる。「一応これからは仲間だからな」と笑われちゃったけど。
「チア、お前珍しいぞ、ゲンが俺達以外を気に入るなんて」
「そうなの?」
「あいつ殺しと騙しばっかでまともな人間関係築かないしな。ま、俺達もだけど!」
サブとバラが楽しそうに笑う。……本当に仲がいいんだなあ、この人達。子供時代からの友人だろうか。
「てかチア、お前何歳? 見た目はわけーけど俺たちぐらい強いだろ」
バラが軽く聞いてくる。ゴン達ですら聞いてこなかったのに……。
「今年で32だよ」
「うっわ、俺達と同年代じゃん」
「それでその見た目か? 女は怖いな〜」
「あのなあ……念を習得してるだけで老化は確実に遅れるんだぞ? このぐらいならよくあることだろ」
「それにしてもだろ!」
……私がつけ入る余地はなさそうだな。まあ、この仲良しグループにプラス1としてでも入れてもらえただけラッキーか。
「ちなみにこの顔は整形。胸も豊胸。顔のケアも美容も毎日欠かさず行ってるし、メイクもヘアセットも毎日丁寧にやってるよ。それでも若く見られるのは嬉しいな♡」
にっこり笑いかけると、サブとバラの顔がほんのり赤くなって目を逸らされた。ゲンスルーは呆れた様子だ。
「はー……お前ら、こんな奴に惚れんなよ。俺はそろそろ戻らないと怪しまれるから、もう行く」
「あっちょっと! ここに捕らえてる人に会っとかないと」
「ああ……そうだったな」