あの後私は別室にいる可哀想な人ーーアーニー君に3人を会わせて、その後すぐにゲンスルーは行ってしまった。
残ったのはサブとバラと私。
「持ち家を奪うかー……俺達も思いつかなったな」
ダイニングで二人にお茶を出してお菓子をつまみながら駄弁る。サブは腕を組んでしみじみと呟いた。
「その上で一人監禁して家に飛べるようにするっつーのはナイスアイディアだぜ。お前の能力のおかげで抵抗する気すら起きないんだろ?」
バラに問いかけられる。実はこれを思い付いたのは家主を殺してしまった後で、本当は家主を殺さずとも監禁しとくだけで十分だったわけだけど。
二人とも、ゲンスルーがいなくなっても随分楽しそうだな……というかお茶もお菓子もなんの警戒もせずに食べてるし。
「うん。さすがに1時間毎にキスしに戻るわけにはいかないから、私の血液が1時間ぐらいで点滴されるようになってるの」
「抜かりないなぁ」
「ねえ二人とも、まだあなた達に私が能力を仕掛けて1時間経ってないんだよ? ゲンスルーだって私がいきなり『オン』にするかもしれないのにそのまま行っちゃったし……それこそ爆弾しかければよかったのに」
私が個包装のお菓子を開けながら言うと、二人は呆れたように息を吐いた。バラがテーブルに肘をついて私を見る。
「ゲンがお前を気に入った、つったろ? 第一そこまで自分から提案するような奴が裏切ると思うか?」
「当然のリスクヘッジだと思うけど」
今度はサブが、
「まー……普段のゲンならそうするかなぁ……。でも俺達既にお前に負けてるんだよ。人を負かした相手が俺達に危害を加えず、それにプラスしてこちらに無理のない条件で協力を求めてきたんだ。そしてチアが裏切るとしても、今じゃない。今俺達を殺せばせっかく組んだ意味ないだろ」
「それもそっかあ」
殺すつもりは全然なかったけど……確かに今私が3人を殺しても、メリットないもんな。本当に私は警戒ばっかりで頭が悪い。
「多分ここが次から俺達の拠点になるだろうな。ゲンはあっちのチームメインだし……。まあよろしくやろうぜ、チア」
バラが私に手を差し出してきた。
「正気?」
「二度がけする意味ねーだろ」
私には、この人達の行動はあまり理解できない。
手を取ると、私よりずっと硬くてゴツゴツしていた。
「んじゃ次は俺か。よろしくな」
サブにも言われるがままに握手する。これが彼らなりの信頼の示し方なのだろうか?
「でも私ラッキーだったよ、あなた達と早めに出会えて! 私元からハメ組のカードーーというか誰かしらのカードを総取りしてクリアするつもりだったし。でもそれだと防御スペルとかないしさぁ……分散してカードを持たれたら一度に奪う機会なんてないしね」
「それでゲン……か。でもお前、なんでわざわざ俺たちと組む? お前の立場なら、ゲンがカードを奪ってからそれを奪うとかでもよかっただろ」
サブが腕を組む。まあ、それもそうっちゃそうなんだけど。
「
「お前性格クソ悪いもんな」
「そう? 私悪いことしてないよ」
「そういうとこ」
てことはこの3人は悪いことだと自覚した上で殺しをしているのか。大変だろうなーなんて思いながらお茶を啜る。
「あとは単純に強い仲間が欲しかったっていうのもある。だからちょくちょく色んなプレイヤーに声かけてたし」
「で、俺達は?」
「一番強いでしょ」
「光栄だな」
私から見たら警戒心が薄いところだけ気になるけど、この人達相手にはあまり気を張らなくてもいい。殺人も何もかも、隠さなくてもいい……。そう思うと少し楽だ。
ゴン達と組むことも考えたけど、あれはビスケが強すぎてダメだ、私がボロボロにやられてしまう。ツェズゲラ組は付け入る隙なんてない。
私がこれからやることはーーゴン組の修行とカード集めの進捗を確認しつつ、手の内を探ること。尚且つゲンスルー組と協力してハメ組の所有カードを奪取! 一坪の海岸線を独占できたら最高だ。そして奇運アレキサンドライトの確保ーー!
これから確実に成長するであろうゴン組、特にビスケは要注意だ。クリアを目指しているみたいだし、すぐにカード枚数を劇的に増やして対決することになるだろう。その際彼ら
「忙しくなるなぁ〜……」
「随分楽しそうだな、チア」
「クリアまでの道筋がちょっぴりだけど見えてきたからね」
マッド博士の整形マシーン。必ず手に入れてみせる。理想の「私」になる為に……!