私が早朝から1時間近く走ってゴン達のところに辿り着いた頃。彼らは系統別修行に移っていたらしい。
「あれなにやってるの?」
ゴンとキルアはオーラを纏った石で石を割っている。見た目に反してかなりキツそうな様子だ。
「石割りよ。強化系の修行レベル1! あんたもやる?」
「うーん、何個できたらクリアなの?」
「1000!」
「やってみよっかな」
二人の隣に腰を下ろし、石を待つ。石同士をぶつける瞬間に、持っている石の攻防力を100に!
ぶつけられた石はあまりにも簡単に粉々になってしまった。石を出されるままわんこそば形式でずっと続けていると、途中で隣のゴンとキルアが脱落。
「だーっ! 失敗かくそーッ」
「何言ってんのよ、初めてで100個もできたら上出来だわよ。あとはチアね。レベル1なんだから、これでできなかったら後輩に示しがつかないわよ?」
「分かってるってば」
ビスケがからかうように笑う。マジで失敗したらどうしようとは思ったものの、それも杞憂に終わった。
「997……998……」
ゴンとキルアの視線を感じる。
「1000!」
「はい、クリア〜! あんたには朝飯前だったわね」
「ねえビスケ、俺達も修行したらこんな風にできる?」
「当たり前だわさ! その為の修行よ」
私は3人の会話を聞きながら、パンパンと手の土埃を払う。
「よーし、じゃ次変化系の修行しようぜ」
「まあまあ慌てなさんな。系統別の修行は一日一系統が原則!」
ビスケが人差し指を立てて見せる。
「あっ6」
「はい、チア正解! 二人とも腕立て腹筋500回!」
ゴンとキルアの悔しそうな声をよそに、ビスケが私に向き直った。
「ねえあんた、何歳なのよ。随分と強いみたいだけど」
「ホントは秘密だけど……今年で32。そういうビスケだってそーんなに可愛い見た目で私よりずっと強いでしょ?」
「はいはい、あんたがあたしの年齢知ってるのなんて分かってるわよ。聞いてたもの」
キルア、この後ぶん殴られるかな。
「そういえば私がハメ組にいた時……あの子と仲間なんじゃないのかって聞かれたんだよ。信じられなくない?」
「どうして? まあ細かな違いを数えたらキリないけど……」
「フリフリの服着てツインテールだから、だって! ビスケの服も可愛いけど、私の服とは同じロリータでもジャンルが違うでしょ?」
ビスケの服は可愛らしくも無駄な装飾がないシンプルなもの。私はどちらかというと、ゴテゴテの装飾タイプだ。
「あんた甘ロリだものねー。ま、しょうがないわよ。男なんてそんなの分かんないものだわさ」
「そーかなぁ。髪型もさ、確かにツインテールは一緒でも高さも巻き方も全然違うのに……」
「ハイハイ、愚痴はそこまで。それよりあんた毎回服変わってるけど、どこで買ってるの?」
「あ、これはね、いいショップがあってーー」
上辺だけの付き合いとは言え、同好の士との会話は楽しいものだ。皆私の年齢を知ったら「いい歳して」とか言ってくるんだから。その点ビスケは私よりずっとロリータを着ている先輩である。
「なあ、いつまで話してんの? 終わったんだけど」
「あ、ごめんごめん。つい楽しくなっちゃって」
「いやあー、女のコと話すのも楽しいもんだわねえ。さ、チア。二人と組み手の修行だわよ」
「はーい」
飛躍的に伸びるゴンとキルアの実力……。これは、脅威になりそうだ。