私達数人とジスパーは、
「危なくなったら俺が助けに入るし、同じチーム同士君らで協力してもいい。健闘を祈る!」
じゃ、と手を振ってジスパーが一歩下がる。振り向くと……さっきまでいなかった巨大な一つ目の怪物が、岩陰からこちらを見ていた。
「おお……」
どこからともなく声が上がる。
私が一歩踏み出すと、全員釣られてついてきた。崖からジャンプすれば、ふわりと乾燥した風が髪を浮かせる。
とん。怪物の頭に足を降ろす。
こいつらの弱点はその大きな「目」だろう。どう見たってバレバレだし、キャラデザ的にもすぐ分かるように設定してあるはずだ。
念を使うまでもない。
怪物が唸り声をあげて棍棒を振る。私はその頭から飛び降りて、思いっきり目を殴ってやった。
「ぅ"お"お"あ"あ"!!!!」
ものすごい叫び声と共に目を押さえ、倒れる怪物。すると、巨体がボンッとカードへと変化した。
「……これが、グリードアイランド……」
恐る恐るカードを手に取ってみる。ーーこれが、これが、私がここで初めて手にしたカード……!
口元が自然と緩むのを感じる。ようやくゲームに入った実感が湧いてきた。
と、感傷に浸る余韻もないまま怪物は攻撃をしかけてくる。それを躱しながら体を登って、目を叩く!
他のプレイヤーも私を真似して目を狙って倒せているようだ。しばらくすると、あれだけいた怪物達も全てカードにされ、私達のバインダーの中に収まってしまった。
「筋がいいな! じゃあこの調子でどんどん行くか! 終わったらマサドラに行ってカードを換金してもらう」
ジスパーは白い歯を見せてニッと笑った。
かなりの間怪物探しと戦闘を繰り返した。結局、最後までバテずに全ての怪物を倒せたのは私とーーこれは数に入れていいのか分からないけどーージスパーだけ。他は早々にリタイアして、マサドラに行った後安全なアジトに帰ったらしい。
「これで最後……か」
とてつもなくデカいカエルみたいなのを倒して、カードを手にする。
「君、チアって名前だっけ? 強いな! これから俺と同じ仕事に就くこともあるだろう、よろしく頼むよ」
「ええ……こちらこそ、よろしくお願いします。私はこれだけが頼りですから」
「これ?」
「腕っぷし♡」
拳を握って見せると、不思議そうな顔から一転して子供みたいな顔で笑う。きっとこの人、あのチーム内で一番モテるんだろうなあ。イケメンだし。
「ハハハ、俺もだよ! 今でこそスペルの名前と効果が分かるけど……それもじっくりプレイして覚えたからなあ。もし俺が今から参加するってなったら、なんにも覚え切れず雑用さ」
「私と一緒ですね」
では改めて、これからよろしくお願いしますーーと手を差し出す。彼は迷いなく私の手をガシッと握った。
「ああ、よろしく、チア」
それじゃあマサドラに行くか! と、彼は元気よく笑うのだった。