美しくあるために   作:ゲボ

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聖騎士の首飾り

「優勝はァ〜〜〜〜〜! キルア・ゴンペアで〜〜〜〜〜す!」

 司会者の女性が大きな声で二人の名前を挙げる。まあ、2人の実力なら当然だろうとビスケと顔を見合わせる。

 少ししてゴンとキルアが私たちの元へ駆け寄って来た。

「よっし、聖騎士の首飾りゲットォー!」

「おめでと。私はカードの効果教わったから知ってるけどーーみんなは知らない?」

「うん。説明読んでも詳しくはわかんないや」

「私スペルカードの説明の紙持ってるから、説明ついでにドリアス向かお」

 聖騎士の首飾りは、身に付けてる間中そのプレイヤーに反射(リフレクション)の効果をかけ続ける。それ以外にも擬態(トランスフォーム)贋作(フェイク)とかで呪いにかけられてるカードに触れたらそれを元のカードに戻す効果があるとーー私は歩きながら3人に説明した。特に私はハメ組に入って使わせられたこともあるしね。流石によーく覚えている。

「すげーぜ! これさえ使えばカード盗られる心配しなくていいぜ!」

「でもさ、一度カード化を解除しちゃったらもうカード化できないんでしょ?」

「そーよ。このカードは1月の月例大会の賞品なんだから、1年に1回しかゲットのチャンスないのよ!?」

 この件に関しては私は知ってるけど、キルアはもう既に理解しているようだから言わないでおく。

「二人ともそのカードよく見ろよ。入手難度D! つまりこのカード再生(リサイクル)が使えるんだよ」

「年に一回しか入手の機会がないのに難度がDなの?」

 ゴンが不思議そうな顔をして聞く。

「それはねー、妥協(コンプロマイズ)堕落(コラプション)が使えるから」

 妥協(コンプロマイズ)堕落(コラプション)? ってなんだっけ……と言うゴンに説明する。

「えーっと、妥協(コンプロマイズ)の方は、対象プレイヤー1名のランクA以上のカードから1枚選んで破壊できてーー破壊されたプレイヤーは、かわりに破壊されたカードの3ランク下の好きな番号のカードを得られるの。

 で堕落(コラプション)は、対象プレイヤー1名のランクB以上のカードから1枚選んで、ランクD以下の好きな番号のカードに変身させるーーつまり条件がそろえば増やせるカードなの」

「いいトレード用のカードになるな」

「ていうか、あんたはなんでそんな紙持ってんのよ?」

「ハメ組入ったらまず最初にその紙もらって覚えさせられるの。1時間以内に全部覚えきれなかったら雑用……で私は雑用係だったってわけ。この紙はその後で頼んで、貰ったの」

 ポケットから折り畳んだ紙を取り出す。やはり情報収集の観点からもハメ組に入っておいて正解だった。

 ということで、心配がなくなったゴンはカード化を解除してーー晴れて聖騎士の首飾りを身につける。

「よしっ! もう怖いもんなしだ!」

「ギャンブル都市ドリアスへゴー!」

 4人で腕を突き上げる。そうして私達はドリアスへ走りながら向かうのだった。

 

 魔女の媚薬、記憶の兜、リスキーダイス。恐ろしい速さで彼らは指定ポケットのカードを集めていく。……やはり、これは放っておいたら強敵になるな。

「よっし、楽勝ー!」

 ゴンとキルアがハイタッチをする。私はビスケと顔を見合わせて……少しだけ笑った。出会った当初の彼らなら、こんなにスムーズに事は運ばなかったことだろう。努力あっての今だ。

 ゴンがバインダーを整理しながら道を歩く。

「『記憶の兜』1枚、『魔女の媚薬』3枚、『リスキーダイス』4枚、『キングホワイトオオクワガタ』3枚、『金粉少女』3枚、『聖騎士の首飾り』1枚ーー指定ポケットカード合計15枚!」

 ……全く末恐ろしいな。目覚ましい成長速度の子供2人に、熟練の使い手が1人。これはどうやってハメるか考えないとだ。

 その時ゴンのバインダーがボンッと出て来た。これは誰かがゴンに対してスペルカードを使用したということーー!

『他プレイヤーがあなたに対し透視(フルラスコピー)を使用しました。暗幕(ブラックアウトカーテン)で相殺します』

「いよいよ動き出してきたみたいだわね。ずっと監視してた奴……!」

「ゴン! もう1回暗幕(ブラックアウトカーテン)唱えとけ」

 キルアの言いつけ通りにゴンが暗幕(ブラックアウトカーテン)を使用する。……すると、今度は向こうが交信(コンタクト)を使用してきた。

「よぉ、久しぶりだなゴン」

「誰? 俺はそっちのこと知らないよ」

「ははは、そりゃまそうだな。ーーアントキバでお前から真実の剣を奪ったプレイヤーと言えば分かるか?」

 そんなことがあったの? とキルアの方を見る。ああ、と頷いた。

「何の用?」

「交渉さ。相当カードを稼いでるみたいじゃないか。正直驚いたぜ」

 そりゃそうだ、この実力だもん。

「あの時とは見違える程成長したな。どんな魔法を使ったんだ?」

「努力」

 ゴンのハッキリとした返答に思わず笑ってしまう。努力したって言うのは合ってるけど、ここまでハッキリ言うのはすごいな。

「はははは、なるほど……。じゃ、そろそろ本題に入ろうか。トレードしないか? こちらのカードは66『魔女の痩せ薬』と27『顔パス回数券』だ。仲間と相談してもらっていいが、残り時間が2分を切った。あと1分で結論をくれ」

 どうする? とゴンが私達を見る。私としては十分乗っていい提案だと思うけどーー伝える前に、キルアが口を開いた。

「ちょっと聞くけどさ、俺達にアクセスしてきたのって昨日の月例大会を見てたからだろ? あんたずっとアントキバでうろうろしてんの?」

「まさか。アントキバに行くのは毎月15日だけだ。今はお前達と同じドリアスにいるよ」

「じゃその2枚のカードどこでゲットしたの?」

「オイオイ番号まで教えてやったんだ。あとは解析(アナリシス)でも道標(ガイドポスト)でも使って自分らで調べろよ。……残り15秒。トレードの意志があるならそっちのカードを提示してくれ」

「64『魔女の媚薬』と25『リスキーダイス』」

「オーケー。魔女の媚薬とトレードだ。20分後にドリアス入り口から北西500mぐらいのとこで会おう」

 相手はそう言い残して、交信(コンタクト)は終了ーー。結構ギリギリの会話秒数だったけれど、ちゃんとまとまって良かった。

「聖騎士の首飾りもつけてるし、攻撃でもされない限り何事もないと思うよ。一応私だけ隠れて様子見てよっか?」

「そうすっか。とりあえず交換地点まで向かわないとなー」

「こういうトレードは初めてだから、なんかドキドキするね」

 ゴン達から序盤でカードを奪った人物……それもあるだろう。でもきっと、今のゴンとキルアは彼らより強いはず。そうして私達は雑談しながら約束の場所まで向かった。

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