「ヨオ、そっちの欲しいカードは?」
念の為私が木の上から彼らを確認しつつ、ゴンが相手に近づいていく。向こうにも仲間が2人いるようだ。
「顔パス回数券」
お互いがバインダーからカードを出し、交換する。ゴンが手に持ってもカードの呪いが解けないということは本物だ。
「じゃあな」
……そうして、彼らとのトレードは何事もなく終わったのだった。
「よかった、何事もなかったね」
ゴン達の元に降りる。実力行使に出るプレイヤーだっているのだ。
「でもドキドキしたー!」
「ちょっと拍子抜けだな」
「ゴン達から真実の剣を奪ったって言ってたけどーー真っ当なプレイヤーなんだね」
「うん。戦ったわけでもないから。これで……3日間で7種類! いいペースで集まってるよね」
「ガンガンいこーぜ! あとはないの? この街で指定カードがとれるイベント」
「うーん……いくつかあることはあるんだけど」
ビスケ曰く、1つはスロットの賞品でスリーセブンが出たらゲット。もう1つは、カジノ王にポーカーで勝つこと。どちらも運要素が強いイベントだ。……しかし、これがゲームに入れられてる以上、きっと使えということなのだろう。
「あれは? リスキーダイス。私は振りたくないけどさ」
「あー! そっか、その為のダイスか……!」
「でも万が一大凶が出たらって思うと怖いわね」
「私だったら大金出してでも安全な方を取るけど……どうするかは任せるよ。私は絶対振らないけど」
どれだけ確率が低くたって、私みたいな星の元に産まれた人間は必ず
「俺はやるぜ! そうそう大凶なんて出ねーよ」
「カードゲットできたらすぐおしまいだからね? キルア」
「わーってるって」
キルアはギャンブルにハマりそうなタイプだな。
カジノに到着すると、そこにはたくさんのスロットの台が並んでいた。客も結構いて、それぞれがスロットを打っている。一喜一憂している客もいれば微動だにせず無心で打っているような客も。きっとここから出られないプレイヤーでギャンブル好きは、金を貯めてはここに来てるんだろう……。
「じゃーゴン、ダイス使うぜ」
ゲインと唱えて、キルアの手にダイスが現れた。振る様子をゴンとビスケと私と、ハラハラしながら見守る。
「頼むぜ」
転がるダイス。ああ……どうも私はこういうのが好きじゃない。心臓に悪い。
しかしそのダイスは、ピタリと「大吉」で止まったのだった。私はひとりふうっと息を吐く。
「よし! これでスロットをゴー!」
キルアがレバーを引くと、リールがぐるぐると回り始めて……一番左が7!
「おおっ」
そして右も7。そして……真ん中も、7!
「おおー! すっげー! 一発!!」
「レインボーダイヤゲット!」
……やっぱり私は振りたくないなあ。こういう運が絡むカードは人にやらせるのが一番だ。
「このダイスがこの街攻略のキーアイテムなんだな。ゴン、獲得カードお前持っとけ」
「うん」
「残りのカードも3人に渡しとくよ。これでもし大凶が出てもカード紛失っていう不幸だけは免れる」
「カードよりもキルアに何かあったら困るよ!」
「そうだよ、多分大凶ってそんなに甘いもんじゃないよ」
「心配ないって。大凶なんて5%の確率だぜ? それにいくらなんでも命までは……」
その時、大きな爆発音が鳴り響いた。周囲の人々がどよめく。
「大変だァー! スロットマシンが爆発して客の顔面グッチャグチャだァー!」
あーあ。ほら……私にとっては死よりも恐ろしい事態だ。
「おかしいと思ったんだよ。あの台5回連続で大当たりが出てたんだろ」
「やってた客も変だったもんな。『もう一回ぐらい大丈夫だろ』とかブツブツ言いながら……妙なサイコロ転がしててさ」
こりゃもうダメだ。同じことを考える人なんて大勢いる……。ちょっとでも欲を出したらこの有様。
「キルア、もうおしまいね。絶対。絶っっっ対だよ!」
無理矢理ダイスを奪う。
「いや! 俺はやると言ったらやる! あと1回だけ……!」
「ダメ! 大凶の効果が自分以外ーー例えばキルアが大切にしてる人も巻き込むんだったらどうするの? ゴンとか」
「う……それは嫌だけど」
本当は自分の保身の為に言ってるんだけど……。
「でもじゃーあと1枚どうすんだよ! あれこそダイスナシじゃクリアできないだろ」
「他人に振らせる」
「そっちのがダメだろ!」
「リスクを説明した上でカードとの取引ならいいじゃん」
まあまあとゴンとビスケが止めに入ってきた。
「トレードで手に入れるって方法もあるけど……まあキルアがやるっつってんだからいいんじゃないの? チア」
「でも……」
「絶対あと1回だけって約束にしよ! ね、キルア」
よしっとガッツポーズをするキルアに、私は渋々ダイスを渡す。……嫌だなあ。運絡みのことは……特に私に全ての災いが降りかかってきそうで。
ーーしかし私の心配は杞憂に終わり、キルアは見事大吉を引き当てーーギャンブラーの卵をゲットした。
「はい没収」
「あ! なにすんだよチア! まだ……」
「あと1回の約束でしょ! 私人が目の前で死ぬとことか見たくないから」
「余ったダイスは売っちゃおうね」
「さっ、次の街へゴー♡」
没収したダイスは私が持って、ゴンとビスケと歩き出す。
「あっ待てって……置いてく気かよ!」
「もう危ないことしないでよ」
「しねえって。ていうか別に危なくな……」
「あ! ぶ! な! い!」
「ハイハイ……」
とにかくダイスのせいで私の顔がぐちゃぐちゃになる事態は避けられて良かった……。
にしても、私は柄にもなくこの子達の身を心配してしまっているんだろうか。ぶっちゃけ、死んだら死んだで他の奴らに寄生したらいい話なんだけど……。まあいっか、どっちにせよ裏切るつもりなんだ。感情はどうでもいい。
それよりサブとバラにしばらく戻れないって連絡しとかないと。