美しくあるために   作:ゲボ

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「レイザーと14人の悪魔」

「チアお前どーしてそんな大事なこと黙ってたんだよ!」

「ごめん……。私ハメ組脱退したって言ったじゃん? その時手持ちカード全部渡すのと、彼らのゲームクリアの邪魔しないって約束しちゃったから……あれハメ組で教えてもらった情報だし。でももう思いっきし邪魔しようとしてるから言っても良かったよね、ごめん」

 ホントは君達のクリア邪魔する為だよ、なんて言えない。

「……いいけどさぁ」

「しょうがないってキルア。チア、教えてくれてありがと!」

「いやいや、むしろ責められるべきであってお礼言われることじゃないって」

 まあでも、とビスケが口を開く。

「前までのあたし達なら、実際ランキング知ったって意味なかったわさ。知ったのが今ぐらいでちょうど良かったんじゃないの?」

「あ、ありがとビスケ〜♡ やさし〜♡」

「そのかわいこぶるのやめなさい!」

 4人で色々話しながら歩いていると、情報提供者が見つかったぞ、と声がかかる。なんでも内通者は条件をギリギリ聞けただけで、誰が教えてくれるまでは聞けなかったそうで。結局私達はソウフラビで聞き込みをすることになっていた。(まだしてなかったけど)

 連れてかれたのは、どこか憂いを帯びた女性のところ。

「あんた達になら……話してもいいかもしれないわね」

「ぜひ聞かせてくれ」

 カヅスールが言う。にしても……本当にこのゲームは面白いな。修行と殺しと逃走に明け暮れていた私は、ゲームに馴染みがなかった。携帯に入ってるのでちょっぴりやったことはあったけど……やはり生死のかかった、()()があるのとないのとでは全然違う。

「海賊が仕切ってるのよこの街は。この海域のどこかに『海神の棲み家』と呼ばれる海底洞窟があると言い伝えられているの……。『一坪の海岸線』はそこへの入り口……。様々な財宝が眠っているといわれるその海底洞窟の伝説を聞きつけて数年前、15人の海賊がこの街にやって来たーーーーレイザーと14人の悪魔……!」

 これか……ゲンスルー達もこの話を聞いたんだろう。

「街の漁師は全員拷問を受けて殺されたわ。この街で『一坪の海岸線』の場所の手がかりを知る者は全て。私の父と兄も。もしも海賊を追い払ってくれたら、あなた達に教えてもいいわよ。兄から聞いた『一坪の海岸線』の場所……!」

 まさか人数がトリガーだったとはな、と誰かが話すのが聞こえる。このゲームシステムからして一組の人数が少なくなるのは目に見えてるのに、こんな条件を設定した制作者は中々意地悪そうだな。

「教えてくれ。海賊の居場所」

 

 私達は彼女に聞いた酒場に来ていた。そこには柄の悪そうな、というかダサいコスチュームみたいなのを纏った……海賊達が居座っている。

「なんだ? テメェら。今日は俺達の貸し切りだ。帰んな」

「今日もだろ? へへへへ」

 見た目に違わず下品な人達。カヅスールは怯むことなく一歩前に出る。

「相談をしに来たんだ。この街を出て行ってくれないか?」

 彼らはぽかん、とした後……大きな声で笑い始めた。

「久しぶりに聞いたセリフだな!」

「前にそのセリフを言った奴はそこの海辺で骨になってるぜ!」

 海賊達はそう言うと、その中で一際大きな男が酒瓶を持って前に出て来た。

「今すぐペシャンコにしてやりてェが……全ての決定権は船長(ボス)にある。相談なんて言わずによ、腕ずくでやってみろよ」

 男は酒を自身の周りに円形に撒くと、ライターで火をつけた。これは火の土俵……! デスマッチみたいだ。普段の私だったら普通に腕ずくでやってるけど、今はそんな状況じゃない。

「俺をこの“土俵”から外に出せたら船長(ボス)に会わせてやるぜ?」

 炎の俵を超えて入って来たら勝負開始で、一度に何人かかって来ても良し。とにかく彼を俵の外に出せたら勝ちで、ボスに会わせてくれるらしい。

「土俵の外へ出せばいいんだな」

「ゼホ」

「力勝負なら強化系の俺に任せとけ」

 ゼホとか言う男はそう言うと、何やら呻きながら練をした。まー見ずともこんなもんかとは思っていたけど、全然ダメダメ。ふとキルアの方を見ると、こっちも呆れた様子だった。

「はっ!」

 彼は炎を飛び越え土俵に入り、男を押しにかかる。もちろん男は微動だにせず。

「お? けっこう力あるじゃねーか」

 男はゼホを軽々しく持ち上げるとーーなんと俵ーー炎の場所までゼホを運び始めた。ゲンスルー達がやりそうなことすぎて、笑いそうになるのを堪える。

 ジュッと音が鳴るぐらいには焼けて、ゼホが大声で敗北を宣言をするが男は舌舐めずりをするのみ。

「あっ、ゴン……」

 その時! ゴンが男の顔を思いっきり飛び蹴りした。

 この子、こういうの許さないタイプだしなー。

「本人が負けたって言っただろ。なんで離さないんだ!」

「説明したろ? この外に出たら負けだ。それ以外は例え本人が負けと言っても負けじゃねえ」

 私としては納得の、最もな説明。ルールはルール……どれだけ()()()()()()()()()、ルール内でやってることなら責められる筋合いはない。

「お前も一度炎を越えて内に入って俺を蹴り、外へ出た。お前は負けだ」

 うーん、清々しい筋の通り具合!

「はっ、しまった! ちょっとタンマ! もう1回俺と勝負してよ」

「くくくく、構わねえぜ小僧。ハンデとして俺はここから一歩も動かねえからかかって来いや」

「ゴン! やめとけ」

「なんでさ! アイツ一歩も動かないとか言ってるよ」

 キルアの言う通り……ゴンは馬鹿正直にここで必殺技使いそうだし、ここでゴンが出るのは得策ではないだろう。そしてビスケはめちゃくちゃ猫被りモードだし。

 私はそっと手を挙げた。

「さっきのお詫びと言ってはなんですが、私がやりますよ。私達が強ければ、あなた達にとって有益な存在になりますよね? ねっ、いいよね2人とも」

「ああ、お前ならいいぜ」

「チアがいいならいいけど……」

 2人の了解を得て、私は炎の土俵に足を踏み入れる。

「ギャハハ! こんな華奢な嬢ちゃんが俺を負かすつもりか? その靴も、舐められたもんだな」

「まあ、華奢だなんて……♡ そうでしょう、私可愛くてオシャレなんです」

 その靴とは、私の厚底のこと。これでもすっごい重い、修行も兼ねた靴なんだから。

「それでは私は正々堂々、“相撲”としてやらせていただきますよ!」

「おう、来るなら来いや」

 私は男に近づき……がっぷりと組み合う。背中に腕が回されたけど、つまりこれはもう()()、だよね?

「あ?」

 彼の力が抜ける。私はそのまま、さっき彼がしたように持ち上げて、土俵の炎にちょうど頭だけ被るようにして寝かせてあげた。

「な、なんだ!? 熱……ッ! くねェ!?」

「あら〜、不思議ですね、火にあたってるのに熱くないなんて……。それよりどうして動かないんですか? このままだと頭、全焼しちゃいますよ」

「ガキがァッ! 何しやがった!」

 動こうにも、思うように動けないようで。

「『負けた』って言ってくださいよ。そしたら私があなたを土俵の外に出して負けにしてあげますよ。でも負けたって言わなければ……死ぬまでこのまま、かもしれませんね」

「……チッ、いいさ、俺の負けだ!」

 そう言い終わった男を思いっきり蹴り上げて、土俵の外に出してあげる。そのまま鎮痛をオフ。

「が……あづ……!?」

「ボポボ!」

 仲間が彼の元に駆けつける。ふーん、ボポボっていうんだあいつ。すると、彼とは対照的なすらりとした男が私達の元に出て来た。

「ついてきな。ボスに会わせてやる」

 

 彼らに案内されるがまま私達は道を進んでいく。途中キルアに「怖いことするよなー」なんてツッコまれながらも。あいつがやってたことだし別にいいでしょ、しかも熱くないんだから!

 少しして、大きな建物ーー灯台かなーーが現れた。

「灯台を改造した要塞。ここで密航船をチェックしてるんだ」

 男が何かのボタンを押すとドアが開く。

「てめェは俺が殺す。覚悟しとけよ」

 ボポボが背後から私に言った。笑っちゃう、絶対殺せないのにね。

「殺すだなんて……こわ〜い!」

「ったく、バレバレなのにおめーもよくやるよ……」

 キルアがボソッと呟いたが、聞こえなかったことにした。

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