「ルールを説明する! ゲームは1アウト7イン(外野1名内野7名)でスタートする!
コート内の選手は敵の投げたボールに当たればアウト! 外野に出る! ただし! スタート時外野にいた選手含めたった1人! 一度だけ内野に復活することができる!
これは『バック』と宣言すればいつでも戻れる! 極端な例としてスタートと同時に『バック』を宣言すれば8人が内野でプレーできるというわけだ。
ただし選手が1人もいない外野に転がった場合は相手側の内野ボールとなるので注意されたし!
そしてさらにここからが重要! 当たり判定のルールとして『クッション制』を採用している! 例えば俺の投げた球が敵のA選手に当たって跳ね返りーーさらに敵の選手Bに当たって床に球が落ちた場合。A・B、2人共アウト!」
「でもその場合Bが球をダイレクでキャッチしていればAもセーフだろ」
「その通り。しかし俺の投げた球が敵のA選手に当たって跳ね返りーーその球が逆に俺の味方のC選手に直接当たって床に球が落ちた場合は、アウトになるのはC選手となる!」
「その場合Cが球をキャッチしてたらAの方がアウトってことでいいんだな?」
「いかにも!」
……難しいな。レイザーとゴレイヌの話について行けない。結局地頭が悪いと、難しいことが理解できなくて困っちゃう。
「…………えーと」
「とにかく球はよけるか捕るかしろってこと」
私と同じく混乱しているゴンにキルアが簡単に説明してくれた。うん、私もそう考えよう。
「何か質問は?」
「外野の選手が当ててもアウトはとれんの?」
「もちろんとれる! ただし内野に戻れるのはあくまで『バック』を宣言した時の1名のみ!」
つまり最初から外野のゲンスルーは、例え球を当てたとしても絶対内野には来れないってことだ。
「それでは試合を開始します。審判を務めますNo.0ですよろしく」
レイザーチームの外野はNo.1、こっちの外野はゲンスルー。
「スローインと同時に試合開始です! レディーーーーー……ゴー!!」
No.0によってボールが投げられる。キルアがジャンプして、こっちの内野にボールが転がった。
向こうは最初から捕る気がなかったらしい。迎撃体制だーー!
「先手はくれてやるよ」
「余裕こきやがって……」
ゴレイヌがボールをキャッチして前方に踏み出す。
「挨拶代わりにかましてやるぜ!」
振りかぶってボールを投げた! 投げた球は一直線に敵のNo.4へぶつかり……倒れ、ボールは床にバウンド。これで1人アウト。
「おおっ、やった!」
「よーしまず1匹!」
外野に移るNo.4が、私達の後ろへ……。嫌な感じだ。
外野のゲンスルーがゴレイヌにパスをする。
「よっしゃもう一丁行くぜー! そらよっ!」
「オッケー2匹目!」
「何だチョロイぜ!」
ケスーとロドリオットが歓声を上げる。外野に渡ったボールは、ゲンスルーがパスして再びゴレイヌの元へ。
「よーし準備OK」
レイザーが腰を低くする。これは……!
「あ? 今何て言った?」
「お前達を倒す準備が整ったって言ったのさ」
「……へェ。面白ェ」
「あっ……ゴレイヌ! ちょっと待っ……」
ダメだ、止まらない!
「やってみろよ!」
ゴレイヌが勢いよくボールを投げた。
ーーしかしそれは、呆気なくレイザーに片手でキャッチされる。
「さぁ……てと……反撃開始だ」
だ、から……待てって言おうとしたのに……!
レイザーがすっと後ろに下がる。パスか? いや違う、これはパスじゃない。ここから
念弾とか……私は、本当は得意じゃないんだけど。バレないように、後ろ手にこっそり念を練る。
レイザーが大きく振りかぶった。その動作すら一瞬にーー禍々しいオーラを纏った
このままじゃ……避けられない。当たれば死!
ドッ……!
私の放った念弾がなんとかボールの軌道を変えて、ゴレイヌの横をすり抜けて壁に激突した。
「ほォ、念弾か」
「……念で作った物なら武器でもOKって、この間言ってましたよね? ならコレもOKでしょう?」
No.0の方を見る。
「ハイ。念での攻撃は反則には含みません。しかし壁や天井も床の延長線上とみなしますので、レイザーチームの外野ボールで試合を再開します!」
しかしそれでもまずいことに変わりはない。まあ、あの念獣がどれほどの実力なのかによるけれど。
「ゴレイヌ、大丈夫?」
「ああ……おかげさまでな」
その口ぶりから、悔しさが滲んでいるのが分かる。あれほどの攻撃を受けながら、心は折れていないようだ。
ボールはNo.5の手にある。さて……どこに来るか。
ビュッと風を切る音が聞こえる速さで、レイザーにパス。
「さあ、次行くぞ」
レイザーがNo.1にパス……それから5……4……と、高速パスが続く。軌道を追いきれなくなったところを狙う気だ。
なんとか目で軌道を追っていると、No.4が今度は私達に向けてボールを投げた。
「ツェズゲラ!」
「後ろ!」
ゴンとキルアの声の後、ボールがツェズゲラの背中に命中した。骨が折れるような音が鳴り響く。
「ご……ッ!」
しかしとっさにオーラを背中に集中させたのか、致命傷ではないようだ。……流石、シングルだけあって一筋縄ではいかない、か。これは私も気をつけなければいけない。
一度床にバウンドしたボールはキルアがキャッチした。
「ごほっ、ゲェッ」
「大丈夫ですか!?」
私は明らかに心配そうな声を出してツェズゲラに駆け寄る(ビスケも)。
「……どうされます? 私の能力を使えば……苦痛は、なくせますけど」
「ク……クク、ありがたい申し出だが……遠慮しておこう……。これは俺の力不足が招いた失態……!」
ツェズゲラは苦しそうにしながらも笑ってみせた。これは、私を敵として警戒しているから? それとも、本当にそう思っているから……?
「『後ろ』の声に反応してとっさにオーラを背中に集中させ、致命的なダメージを回避したか。それでも折れた骨が内臓を痛めているかもしれない。おい……手当てしてやれ!」
「大……丈夫だっ、触るなっ」
ツェズゲラは手当てしにきた囚人を拒み、自力で壁際まで辿り着くと腰を下ろした。仲間達が駆け寄っていく。
「プレー続行不可能となるケガをした場合、その選手は退場となります。外野としても内野としてもカウントされませんので御注意を。ただしゲームに勝った場合の8人には含まれますからご安心を……ゲシシシ」
No.0が笑う。レイザーの念獣が消えることもあるだろうし……ドッジボールで勝敗の帳尻合わせをするシステム上、退場選手が8人に含まれなければ不利なのは向こうのほう。このルールは妥当ーー向こうの念獣をどうにか消してこっちと勝ち星を
しかしこのままどうするか、だ。
私はあくまでも念の応用として物を動かすことはできるけど、このサイズのボールを相手に捕られないレベルの速さ・精密さでは操作できない。
考え込んでいると、ゴンが「ヒソカ!」とヒソカに声をかけた。
「……オーケー、ボールを♣︎」
ゴンがヒソカにボールを渡す。そういえば、ヒソカは
ヒソカが球を投げる。
相手のNo.3に当たった球を、そのま自身の手に引きつけた。
これがヒソカの能力……
「さあ楽しませてくれよ♦︎ このまま終わりじゃないだろうね?」
「くくく……いいとも」
ヒソカが指先にくっつけたオーラで、ボールを振り子のように揺らす。なるほど、これは便利な能力……! これを使えば相手にキャッチされない限り何度でも攻撃できるだろう。
「審判質問! 最後に内野に残った奴がボールに当たった瞬間『バック』って言って復活すんのはアリ!?」
「ナシです。最後の1人がボールに当たったら一瞬とはいえ内野が0になりますからその時点で負けです。ただし最後の1人がボールに当たるのとほぼ同時に外野の誰かが『バック』を宣言して復活してするのはアリです。『バック』は宣言した者に権利があります。宣言者でない他のプレイヤーに権利をゆずることはできませんので御注意ください」
つまりレイザーの念獣はNo.0以外喋れないから、レイザーチームでバックを使えるのはレイザーただ1人。
「OK、ヒソカ」
「ああ、分かってる♦︎
ヒソカが軽く助走をつけてボールを投げた。
速い……! これならクッションで2匹倒せるぐらいだ。
しかしNo.6、7の念獣は溶けるようにぐにゃんと揺らぎ……一つの塊になった。
「13!?」
「がっ、合体ーーーー!?」
そう……6と7は合体して、No.13となりヒソカのボールをキャッチしていた。力勝負は無理と判断したのかヒソカが
こ、こんなのって、アリ……!?
「あれアリかよ!」
「アリです」
「合体アリなら分裂もアリってことかよ!?」
「ハイ。ただし規定人数をオーバーするのはダメですから」
キルアが私の心の声を代弁してくれる……。というかそれより、まずい。ボールがレイザーの手に渡ってしまった。
つまり、これから私達は奴のボールを受けるか避けるかしなければいけないということ……。
「さぁ……再び攻守交代だな。しかし
レイザーのオーラ量が跳ね上がった。
その視線の先には……私。
「お前にコレが捕れるかな?」