美しくあるために   作:ゲボ

40 / 46
ゲンスルー組残り枚数
9枚

ツェズゲラ組残り枚数
5枚


最終局面

 ツェズゲラ組の1人ーーロドリオットがカードショップに入っていくのを確認した。私は念視(サイトビジョン)をバインダーにはめて彼の名前を探す。

「げっ……」

 バインダーに並ぶのは、「ドッブル」「ボードム」の文字。バリーとツェズゲラが隣にあるから彼らで間違いはないだろう。ケスーとロドリオット……いや、バインダー(こっち)の方が偽名か?

 念視(サイトビジョン)は1枚しかない。2択のギャンブルを外してカードを無駄にしたくないし、しょうがないから私は盗視(スティール)をセットし直した。

 まずはドッブルを選んでフリーポケットの中身を見させてもらう。……0枚でもなく、1枚でもなく、40枚全てでもない……こちらがケスーだろう。

 次にボードム。もう一度盗視(スティール)をセットしてフリーポケットを覗くと、そこには確かにスペルカード40種全てが存在していた。間違いない。奴らは大天使の息吹を入手しようとしているーー!

 少しして、ロドリオット(ボードム?)がショップから出てきた。奴らが入手できるのは大天使の息吹じゃないから、またまた盗視(スティール)でフリーポケットを覗かせてもらう。

 ビンゴ! フリーポケットにあるのはただ1枚、「引き換え券」のカードだった。ゲンスルーらに知らせなくては。

「ブック!」

 交信(コンタクト)を唱える。

「私だよ。今奴らの1人が引き換え券をゲットした」

「OK。1時間後にトレードをするように俺から持ちかけよう……もちろん答えはノーだろうがな。そしたらいよいよ戦闘開始だ。おそらく奴らは同行(アカンパニー)を俺らほど持っていないだろう。お前は1時間後にマサドラ入り口で待機しててくれ」

「じゃー私は変わらず偵察ってことで。それとゴレイヌだけど、未だ所在が分からない。多分私が監視してることに気付いてるんじゃないかな? 更に私を監視してるか……」

「あり得る。まあ、その様子じゃ直接戦闘にはならないだろうがな。もし俺らがツェズゲラ組と直接戦闘することになったら、チアは加勢してくれ」

「はーい。じゃそろそろ時間だから」

 交信(コンタクト)を切った。

 私達の作戦はこうだ。

 4人でカードを分配してスペルカードによる指定カードの奪取を防ぎ(独占カードはゲンスルーのバインダーに入れて堅牢(プリズン)で保護)、同行(アカンパニー)でツェズゲラ達を追う。それが切れたら再来(リターン)などを使うだろうけど、それでも私達よりも移動系のカード数は少ない。そして奴らの最終手段は離脱(リーブ)……!

 恐らく奴らは、私達が()()()()()()()()()()ことを知っている。だからこそ逃げるフリをして私達をハメるつもりなんじゃないだろうか?

 私達に逃げ場のない場所かつ、奴らに利のある場所。ーーそれは現実。

 離脱(リーブ)で逃げたと思わせて、追ってきた私達を銃などで抹殺するつもりだろう。何せ、ゲーム外では殺しても指輪のデータは消えないんだから……。

 それを逆手に取る。奴らの後を追わず、スタート地点で張り込むのだ。もし戻ってきたら戦闘。戻らなければ10日でカードデータの消滅ーー!

 すなわち、10日間戻らなければ他にカードを預けられる協力者がいるということの証明になる。

 恐らくそれはゴレイヌだ。ゴン組とはあくまで取引をしているだけであり、全カードを託してクリアさせるなんてことはしないだろう。あの時のメンバーでカードを預けられるのはゴレイヌただ1人。だからその瞬間カードは1人に全て集まる事になり、格段に盗りやすくなる!

 もちろん、協力などしていなくて、ツェズゲラ組のカードデータが消滅したらそれはそれでいい。そしたらゲーム内で1番カードを集めているのは私達ということになるし、独占カードがある以上他の組にクリアされることはないだろう。

 ツェズゲラ組の一坪の海岸線がオリジナルでなければ、あとはゴン組から取ればいい。ゴン組ーー特にビスケとは戦いたくないからスペルで奪取できたら一番いいんだけど。

 

 

 1時間後。一坪の海岸線と独占カードを大人しく渡せば命だけは勘弁してやるーーというゲンスルーの提案のもと、彼ら全員がマサドラ入り口に集まった。

「……1人で来いと言ったはずだが?」

「この時点で我々の意思が分からないか?」

「分からんな」

 ゲンスルーが白々しくそう言った。ツェズゲラ達4人は、バインダーからカードを取り出した。

「戦おう」

微収(レヴィ)オン!」

 バリー、ケスー、ロドリオットの3人が後ろに飛ぶ。

同行(アカンパニー)オン! ソウフラビへ!」

 ……そうして彼らは飛んでいった。ここまでは想定通りだ。

「ブック! カードの確認だ」

「大丈夫。奪われたのはフリーのクズカードだ」

 サブがバインダーを開いて言う。

「俺のも同じく」

「俺のも問題ない。後は作戦通りにやるだけだな」

 ……頑張ってね。私が心の中でそう呟いてすぐーー彼らは同行(アカンパニー)で飛んでいってしまった。

 さあ、ここから最終局面に突入だ。私達は何がなんでもクリアしなくてはならない。私はママの顔になる為に、そしてゲンスルー達は5年の努力を実らせる為に。

 私はブックと唱えて、バインダーに念視(サイトビジョン)をセットした。

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