やっちゃった、やっちゃった!とうとうやっちゃった!
私の大好きな人、あの日学校で落とした消しゴムを拾ってくれて、前から気になってたけどその時に初めて目が合って、少し気恥ずかしそうにしてた君が可愛くて、その時にすっごい好きになっちゃった。
ずっと君のことしか考えられなくなって、君の痕跡があるものが欲しくなってきちゃって、君が落としたシャープペンシル、くすねて持って帰っちゃった。あの時のオロオロしてた君も可愛かったね、心のフォルダに永久保存してるよ。
持って帰ったシャーペン、最初は眺めたりして楽しんでたけど、だんだんと我慢が出来なくなって、自分の中のいけない部分が溢れ出しちゃって、それを舌でアレに見立てて執拗に舐ったり、あそこに挿入してしちゃったなぁ。とっっっっっっっっても気持ちよかったよ。
それでねそれでね、充実はしてたんだけどね、やっぱ人間って強欲なんだね。もうさ、そんなんじゃ足りなくなってきて、欲が出てきちゃったよ。君の首筋から香る甘い匂い、透き通ってて少しあどけなさが残る声、他にも本物の君でしか得られない要素が溢れるほどあるの。
だからね、監禁しちゃった。ごめんね、勝手な自分で。ほんとはこんなことする人、嫌いになっちゃうよね。
自分でも嫌になっちゃうよ。ごめんね、ごめんね、許してね。いや、別に許さなくたっていいんだけど。もう嫌われる覚悟はできてるから。どんなに拒絶されようと、何年かかったとしても、私のものにしてみせる。
そんな覚悟を胸に、彼女は縄で縛りつけた愛しい人に声をかけた。
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「彼氏君、おはよう。調子はどうかな?ごめんね急に眠らせてつれてきちゃって。」
男は目を覚ます。寝ぼけ瞼を擦るために腕を動かそうとするも、途中で何かに引っ掛かっているような感じで動かなくなってしまう。背に感じる柔らかさから察するに、どうやらベットに拘束されているようだ。
「あれ、どうしちゃったのかな?」
寝起き特有のか細い声で疑問を口にする。ぼやけてた視界もだんだん鮮明になり、少女─楠木がいることに気づく。
「あっ、楠木さんじゃん……え?なんで楠木さんがここに?」
名前を呼ばれた少女は顔を綻ばせ、嬉々として答えた。
「なんでかっていうとね……まずここは彼氏君のお家じゃないの、私の家。一人暮らしで住んでるマンションの一室なんだ。」
さらに少女は続ける。
「それでね……彼氏君にはずうっとここにいてもらうの。学校にも行かなくていいよ、私も行かないし。兎に角ずっと私と一緒にいるの!そして愛を育んで、2人だけの幸せを作りましょ?」
少女の言葉を受け、少年は考える。
「え〜っとつまり、楠さんは僕のことが好きで、ずっと一緒にいるために監禁してるっていう状況で合ってる?」
「うん、何かわからないこととかあった?」
「いやさ、別に僕のことを好きなことはありがたいことだしいいんだよ、それは別に。だけどさ、監禁はやめない?」
その言葉を口にするのと同時に彼の体を衝撃が襲う。
彼女の顔が眼前に迫る。その有無を言わせない圧力に、次に紡ごうとした言葉が出てこない。
「ねえ、なんで?なんで?なんで?なんでそんなこと言うの?」
恐怖を感じる程の、恫喝にも近しい会話。無論、恐怖を与えるばかりでは当の彼氏君には悪印象を与え、拒絶されてしまうということは彼女にもわかっている。しかし、愛というのは難しいもの、愛するばかりに感情に身を任せて高圧的に彼を詰めてしまう。愛しているのに愛されなくなる可能性を孕む二律背反の行動が、彼女の自嘲をさらに加速させる。
「もしかして……他の子?君の好きな他の子に会いに行くために外に出たいっていうの?」
「いやっちがっ」
「言い訳なんて聞きたくない!そんな……そんなことするなら……いっそ……」
ぷちぷちと音が聞こえる。彼女の服がはだけていき、白く透き通る柔肌が少しづつ露わになる。
そんなあられもない姿に、少年は戸惑いを隠せない。
「ねぇ待って、待ってって」
「待たない……だってこうでもしないと君を私に繋ぎ止められない……」
そういいながら涙を流す彼女の姿には、最早怖さなどない。痛々しくて哀れ、可哀想という言葉さえ出てきそうな表情。自分を嘲る笑顔、自罰的な涙、そんな少女を見て、こいつは黙っていれるような男ではなかった。
「だから私と…」
「待ってよ」
「待たない!」
「待て!」
今までと違う強い言葉で言い返され、彼女は怯む。少し怒りを浮かべる彼の顔に見惚れてしまうも、すぐさま状況を理解し泣き縋る。
「やっぱり嫌いになった?……そうだよね、こんな無理矢理やろうとしてさ。おかしいな……嫌われるって理解してたはずなのに、涙が出てくるや。」
うまくいかない……あれだけイメージもして覚悟したはずなのに、嫌われても構わないと思っていたはずなのに、いざその状況になると拒絶されるのが怖くなってしまう。
「いや嫌いじゃないよ、まぁでも……怒ってはいるね。」
少し説教気味に、しかし諭すように暖かく彼は話す。
「まずさ、落ち着いて話を聞こうよ。僕は一回たりとも君のことを嫌いって言ってないだろ?」
父性すら感じる話し方に、彼女の涙は止む。少し赤くなっている目元を拭ってやり、慰める。
「そうだなぁ、あったかいものでも飲んで話そうか。台所借りるよ、いいよね?」
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「美味しい……」
暖かいミルクが凍てつき、刺々しかった彼女の心を溶かしていく。その融解は落ち着きを取り戻させ、いつもの少しふんわりした雰囲気の彼女が帰ってきた。
「さて……そろそろ話そうか。」
「うん」
マグカップを置いて彼は話し始める。
「まず僕は君を嫌いじゃない。むしろ恥ずかしいけど……好きなまである。だから両思いってやつだね。」
「えっ」
両思い、恋する人にとっては何よりも甘美な言葉。そんなものを愛しい人から告げられたら乙女は冷静でいられない。
「いつから⁉︎いつからそうだったの⁉︎」
「ええっと……ごめん正確には覚えてないや。でも楠木さんと話して、たまに視線を感じたりしていってさ、だんだん自分はもしかしてこの子が好きなんじゃないかって思って意識し始めたかな。さらにはさっきの告白?もあったしさ。もちろんそれはOKだよ。」
声などでない、幸せはこういうことを言うんだって、そんなことを考える。
しかし、そこまでのことを言うなら、なぜ監禁を嫌がったのだろう。いやまあ確かに自由を奪われるのは誰でも嫌だと思うが。ちょっと気になったので聞いてみると
「いや〜その僕人とお付き合いなんてしたことがないから舞い上がっちゃって、まあなんというかその……かっ家庭を持つこととか考えちゃって……」
「えっ」
「そうなったらさ、学校行って、勉強頑張っていい大学行って、いい給料のとこに就職して、君とさ、君と僕の……子供を養える分までお金稼がないとじゃん、そう思うとね。」
「……そっか」
もうこんなものは必要ないだろう、縄を解いて彼の自由を解放する。
「そーんなこと考えちゃうぐらいに私にゾッコンならさ、こんなもの必要ないかぁ。」
「そう……だね。」
気恥ずかしげに微笑む彼を横に幸せを噛み締める。さっきまでヘラっていた自分がなんだかバカらしく思えてきた。やっぱり対話って大事なんだな、心に刻んでおこう。
それは
「安心しちゃったらさ、なんか冷静になってきたよね。」
「うん」
「よく考えたらさ、ここには私と彼氏君の2人っきりなわけじゃん?」
「うん?」
「そう思うとなんだかムラムラというか君のことを食べちゃいたいなぁって思っちゃって……だからさ……しない?」
「いやいや、ちょっと待とうか⁉︎」
「だーめ、今度は待ってあーげない。」
はてさて2人は告白と同時に愛を育み、学校でも有名なアツアツカップルとして高校卒業と同時に結婚しましたとさ。
happy end
(拙い文でも)お兄さん許して!