キランソウの花束   作:chaiNTec

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淡い記憶と浅い夢

 

 

“…間違いはよくあることだよ。肝心なのは、それを次に生かすこと"

 

先生(あなた)はそう言って、数々の生徒のミスを許してきましたね。

 

例えそれで、財布が軽くなったとしても。

 

例えそれで、自分に不幸が降りかかったとしても。

 

例えそれで、責任を取らなければいけなくなってしまったとしても。

 

 

…例え、それで自分が死ぬことになったとしても。

 

 

先生はきっと許すでしょう。

 

自分の大切な生徒であるならば。

 

…先生。

 

 

 

私がやってきたことは、本当に正しかったのでしょうか…?

 

 

*****

 

 

水が地面を激しく叩く、灰色の世界。

 

地面への感覚を頼りにしながら、歩みを進める。

 

本来賑わいを見せ、彩のあるはずのこの世界には、一人の視線と足音しか聞こえない。

静寂が支配するこの空間で、目的を果たすために、音を立てて少女は歩く。

倒壊した高層ビル、亀裂の入ったコンクリートの道路、焼け焦げた道端の雑草。

まるで不安だとと言わんばかりの崩れた建物の間を縫って、開けた場所へと行きつく。

 

そこには、この世界に似合わない色とりどりの花々と、

誰のものかもわからない銃たちが、

眠るように一つの石へと縋りついている。

 

今日も私は、あなたの命日に、花束をあなたに贈る。

 

こんなことになって、もう何日が経過しただろうか。

思い出したくもないし、数えたくもない。

 

少しの楽しかった記憶と、嫌なほど大きい絶望が、私の中で交錯する。

本当に、いやになる。

 

少しの物思いの後、膝を曲げて先生の墓へと供える。

花束といっても、花屋のような技術のない私では、

花を集めて不格好に束ねたものしかできなかった。

 

そんな形だけの花束をあなたが眠る場所へと供えた後、

両手を合わせて彼方のあなたに思いをはせる。

…あの世があるかはわからないけれど、

もし仮にあるのなら、聖人のあなたは天国にいるだろう。

 

私も、天国に行けるのだろうか。

そう考えて、自嘲する。行けるわけがない。

私じゃそこには、たどり着けない。

 

雪が降る季節と、馬鹿馬鹿しい願い。二つの冷たい現実に戻される。

無意識に、先生が眠るその場所へと体を傾ける。

…いや、無意識じゃなくて、体が動かない。

腕に力を入れ、地面を押そうとするが、一向に状況は動いてはくれない。

 

少し、心身ともに冷やしすぎたのだろうか。

 

あきらめて、体を地面に預ける。

倒れた先に、ぬくもりはない。

あるのは、現実とそれから逃避している、私の思考だけ。

 

少しして、妙に思考がブレ始める。

 

意識がだんだんと、暗闇へと誘われていく。

 

1度目は、ここから目が覚めた。

2度目はないだろう。

 

倒れて眠りにつく私を、寄せ集められた花と銃が、

恨めしそうにこちらをみている…気がした。




とりあえず書いてみた一作目です。
私には文才がないので、気長に作っていきたいと思います。
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