底無き闇に光差せ / ortRoLoDs   作:弐の字

1 / 20


気付けばこの宙ひとり我。

この宙ひとり見上げたならば、
光の雫が降ってくる。

降ってくる、また降ってくる。
あなたの目から降ってくる。

強きあなたに私は応う。

あなたの想うかの彼を、
我が目に移して囚えたならば、
その手を繋ぐと神掛けて。

強きあなたが穏やかなるよう、
優しきあなたが涙せぬよう。

私の定めたこの道ひとつ、
その果てきっとあなたの元へ。

==========

【挿絵表示】

==========




『どうして泣いているんですか?』




『私はずっとここで見ていました』




『ここに来るあなたはいつもひとり泣いている』




『あなたはとても強い御方でしょう?』




『なにがあなたをそうさせるんですか?』




(…………)




(またザギを倒した)




『ザギ、それは悪いひとですか?』




(そうではない、と、信じたい)




『………………』




(いつか彼の心にも光が差すことはあるのだろうか)




『……! それはあなたの望みですか?』




(どんなに時間がかかってもいい。私は彼と……)




『わかりました』




『もし、あなたが強くそう望むのであれば、今度は涙の代わりに彼をここに落としてください』




『あなたと彼のために私は待ちます。ウルトラマンローズとして』




(なぜ、君はそこまで応えてくれるのか)




『あなたの望みが私を生んだからです」




「あなたが望み、私が応えたいと思ったから私はここに在ります。あなたが望む限り、私は待ち続けます』




『けれどどうか気に病まないで』




『私は私の行きたい道を歩む者だから』






【始まりの話】
闇とて絆は結びえる


 

闇は私の歩む道。

 

光は私の道しるべ。

 

闇を灯に歩く私は、

 

ふたりで共に あなたの元へ。

 

==========

 

最果ての闇に生まれた盲目のウルトラマン、ローズ。

 

闇にありながら光の美しさを知る彼は、闇の中出会った暗黒破壊神をその身に鎮め、ノアの元へと飛ぶ。

 

ortRoLoDs本編へ至る前、ローズとザギの出会いのおはなし。

 

==========

 

ノアは宇宙の雲に光の雫を落とした。

 

====

 

光の国から遥か遠く離れた次元の、宇宙のどこか暗い場所に落とされた光の雫から彼は生まれた。

 

【挿絵表示】

 

 

====

 

「なぜ私はここに在る!」

「なにもできないというのに! なぜ私は!!」

見えない。聴こえない。届かない。それなのに私はそこにただ在った。

恐ろしかった。憎かった。なぜ神は私をこんな世界に生み落したのか。私は叫び、暴れた。上下も左右も、前後も距離すらもわからずに。感覚の通ったものをひたすらに振り回しながら、それが何かに当たり全身を駆けた信号に苦しみながら。

 

寂しい。だれか、わたしのほかにだれかいないのか。わたしは、ひとりではあるけないのに。

 

::::

 

「ッ!?」

視界が光に潰される。痛い。誰か、誰か居るのか。

『ローズ……ウルトラマンローズ……聞こえるかい』

「眩しい……私にはなにも……、痛い………………痛い……」

顔を覆っても、その手をすり抜けて体を貫き通してくる。

「私がなにかしたのか……? ここに在るだけの私が……なにをしたというのですか……? なにをすればこのような……ッ、苦痛を与えられなければならないのですか!」

蹲り私は叫ぶ。

「光がこんなにも私に苦痛を与えるものならば、私は闇でいい。底無き闇でありたい!!」

『ローズ……』

光が引いていく。闇が帰ってくる。その狭間に、翼を持った誰かの姿がぼんやりと見えた。

「……! 待ってください! あなたは……! あなたはいったい……っ!!」

それは……少し悲しそうな心をしていた。

 

::::

 

揺れている。揺さぶられている。気付いた時からこうだった。私は何かに包まれていた。私の存在する闇とはまた違う闇。なにかが私の体表を優しく撫でていく。私の体に染み込み、傷を癒していくような。

 

『可哀想に。体内まで焼き爛れている』

『自ら闇に生み落した星を、自らの光で焼き殺しに来たか』

『光とは、(ノア)とは随分と身勝手なものだ』

『そうは思わないか?』

 

冷たい波に体を震わされる。それは慰むように私を包み込んでくるが、光に貫かれた体には堪えた。

「私を揺らさないでください……。ごめんなさい……やめてください……やめてください…………」

 

『!』

『貴様、声が聞こえていないのか?』

「やめて……ください…………ッ」

私を責めるように襲い来る波に、私はできるだけ小さくなろうと蹲った。

 

『…………』

『─これならば聴こえるか─』

頭の中に直接響く声。ゆっくりと顔を上げると、闇の奥からこちらを覗き込む影がうすらと視えた。

「聴こえました。これはあなたですか?」

誰だろう。

「あなたは…………そう、あなたがザギ様ですね」

この人が誰なのか、どうしてか私は分かっていた。きっと私はあなたのことをずっと観ていたのです。

 

「ザギ様、私はあなたを待っていたのです。ここで、この闇の中でずっと」

「ずっとひとりで」

「なにもわからないことが恐ろしかったです。なにも出来ない自分が恨めしかったです。私をここに生み落した神をも憎みました。けれど、あなたはここに来てくれました」

 

「私は……嬉しい……」

私の発した振動が跳ね返ってくる。そこに、あなたが居てくれるおかげで。

 

『ノアの光は、闇の中でも輝くのか。今の今までお前は負の感情に呑まれていたというのに。つまらん』

 

ザギ様が私に伸ばす手が視えた。私はその手を手繰り寄せる。決して放すまいと必死にしがみついた。

 

『─……放せ─』

「嫌です。放しません。ここであなたの手を放せば、私は今度こそ動けなくなってしまうかもしれません」

『─貴様はまるで子供のようだな─』

「その通りですね。私は迷子だ。歩いていくには灯が必要です」

「しかし私の闇の底へ光は届かない。そして強すぎる光は私の身を焼く。闇であるあなただからこそ、私の灯となってもらいたいのです」

 

『─……貴様の体を依代にしてやる─』

「?」

『─このザギの傷が癒えるまでだ。貴様の下に居てやるというのだ─』

「ありがとうございます、ザギ様……」

 

::::

 

::::

 

私とザギ様しかいない闇に光が差した。星の光など届かない私の闇の底に光が差した。まだ熱いが、以前のような、貫かれる感覚はない。

 

「美しい……と私は思います。ザギ様、あなたにも視えますか」

『─ノアの光か。忌々しい。これは以前お前の体を焼いた光だ─』

「ノア、彼はノアと言うのですね……」

『─憎いか─』

「いいえ、もう憎くありません。あなたを必要とする闇へと私を生み落してくれたことを感謝しています」

『─……やはりお前はつまらん─』

::::

 

『─ローズ……。ウルトラマンローズ……。聴こえるか……?─』

「ノア、あなたですか?」

『─君に訊ねたいことがある─』

 

『─ローズ、君は、私と話したことを覚えているか─』

「……、すみません。私は初めてあなたと話しています」

『─そうか……─』

 

 

『─ローズ、闇は恐ろしいか?─』

「いいえ。闇は私の在り処です。恐ろしいはずがありません」

 

『─ローズ、ザギは恐ろしいか?─』

「いいえ。ザギ様は私の闇の中で手を握っていてくれます」

 

『─ローズ、君は光の宿らない目を恨んでいるか?─』

「…………、いいえ。これが私です。私はこうであれと望まれた。ただ、それだけのことです」

 

『─ローズ、君は……、私を憎むか?─』

「いいえ。私はあなたが優しい人だと知っています」

 

『─ローズ、君は……、光を望むか?─』

「はい。私はこの闇の底まで届く光を望みます。闇の中に灯る光を」

 

 

『─わかった。答えてくれてありがとう─』

 

 

「ノア、私はザギ様と一緒にまたあなたと会いたいです。あなたの元へ辿り着くその時まで、私の道しるべでいてくれませんか?」

『─勿論。私はここで待っている─』

 

::::

 

「ザギ様、私はノアの光を追います。一緒に来てはくれませんか?」

『─なんだと?─』

「闇は私の歩く道、光は私の道しるべ。しかし私に光は眩しすぎます。私は、ノアの光を見失わないために、相応の闇の底まで潜りたい」

 

「道しるべの光が強ければ強いほど、私は深くまで闇に潜る必要があります。彼の光の強さはあなたが一番よく知っているものと思います。ノアの光と同等の深い闇、あなたの力をお借りしたいのです」

『─……貴様もこのザギを前にノア、ノアと喚くのだな─』

「私にはあなたが必要だ。それではいけないのでしょうか」

『─……いいだろう─』

 

ザギ様を私の体の内へと受け入れた。随分と重い闇だった。

 

::::

 

::::

〜アナザースペース〜

 

「ジードから連絡?」

『あっ、ゼロ!』

「なにかあったのか」

『いや……ちょっとね、おかしなものに出会ったんだけど、僕ひとりの手には負えなさそうで……』

「おかしなものってのは?」

『たぶんウルトラマンだと思うんだけど、すごいスピードで飛んでて。たまたま航路が重なったから接触してみようとしたんだけど、綺麗に躱されちゃってダメだったんだよね』

「めちゃくちゃ早いウルトラマンってだけなら別に問題じゃねえだろ」

『そう、僕もそう思うんだけど、問題はそのウルトラマンが闇を纏っていた事なんだ。それに、そのウルトラマンの軌跡を辿ってみたら宇宙の果てから果てまで一直線。彼には目的があるように思えてならないんだ。きっとそのうち光の国の傍も通ると思うよ』

「ジード、これは他の奴らには言ったのか?」

『ううん、まだ。これからだよ』

「わかった。光の国の奴らには俺から伝えておくぜ」

 

::::

 

::::

〜どこか遠い宙〜

 

『─ローズ、少し寄り道をしてもいいんだぞ─』

急ぎ飛ぶ私を見かねたように、ノアの声が私の頭に届く。

「いいえ、私はいち早くあなたにお会いしたいのです」

 

::

 

ローズの中でザギは考える。

どういうわけかローズは光への耐性が弱い。忌々しいあの地球やそれに似た、生命の光を持つ星の傍を通り抜けるだけで傷が増えていくのだ。どれも致命傷にはならない。ローズ自身も気付かないほどの傷。だがしかしザギは気に入らなかった。

 

こいつは光に惹かれるきらいがある。今もこうして、ノアの光を追っている。知らぬ間に自身を自身で傷付けているのだ。哀れな。

 

途中で器に壊れられても面倒なのでザギはローズを内側から弄ってやることにした。自身の持つ自己修復プログラムを真似て少しだけ。ローズ本人に気取られないよう少しだけ。ザギはローズの体に手を加えた。

 

::::

 

::::

〜M78ワールド〜

 

「ノア、眩しい。何も見えません。あの光はなんですか」

『─ローズ、あれは光の国だ。あの星にはたくさんのウルトラマンが居る─』

「……もっと深く。あの光が届かないところまで潜ります。あなたを見失わないために」

『─……─』

 

::

 

正体不明のウルトラマンと接触するため、光の国から複数のウルトラマンが彼を航路上で待ち構えた。しかし彼はその全てを躱し、振り切り、同じ航路を進み続けた。そこへ遂に、イージスを装備したゼロが割り込んだ。

 

「いい加減止まりやがれ!!」

「ッ!?」

そのウルトラマンは初めて明確に怯み、足を止めて後退した。眩しがるように両腕と両翼で顔を隠し、蹲っている。

 

「漸く止まりやがったか。てめえの目的はなん……」

「あなたはノア……? ……いや、お前は違う。これはあなたの光ではない。だがしかしあなたの光でもある。もっと深く……。あなたの光を見失いたくない」

「……!」

ゼロは驚愕した。目の前の、それも闇を纏ったウルトラマンがノアの名を口にした。

それだけではない。そのウルトラマンの纏う闇の力がとどまることなく増大していくのだ。怨念やら恐怖やらといったものから来るような闇ではなく、純粋な、ただそこにあるものとしての静かな闇。

 

【挿絵表示】

 

 

「もう少しでお会いできると信じています、ノア!」

 

真っ黒に染まった謎のウルトラマンはゼロを完全に無視し、元の航路を進んで行ってしまった。

 

::::

 

「奴がノアの名を口にしたと!?」

ゼロからの報告にゾフィーは驚くこととなった。

「となると彼の目的地はおそらく惑星バベルだろう。先回りして止めるぞ」

 

「………………、ゾフィー隊長」

ゼロは正体不明のウルトラマンに対しなにか思うところがあるようだった。

「ゼロ、どうしたんだい」

「確かにあいつは闇の力を使っているんだが……ベリアルとかみてぇな嫌な感じはしなかったんだよ」

「というと」

「星雲……だな。それを目の前にしたときみたいな感覚だ。一瞬、綺麗だとまで思っちまった。なんなんだろうな、あいつは」

「数々の闇を相手にしてきたお前が言うのだ。もしかすると彼はまだ、光を捨てていないのかもしれない。戦闘ではなく、話し合いから始めてみてもいいかもしれないね」

 

::::

〜惑星バベル近郊〜

 

「……何か居る。数が多い。ノア! 私はあなたの傍まで来た! もうすぐ会える、そうでしょう?」

『─そうだ。私はここで君を待っている─』

 

「───────」

ノアの声とは別に私の体を揺らすものを感じた。目の前にした存在のうちの一体がそれを発している。だが私にそれは届かない。

 

『─力で蹴散らせばよいものを─』

私の中に居るザギ様が呆れている。

「ザギ様、それは私の望むところではありません。それに、躱すほうが早いです」

『─貴様が全て躱してきた結果がこれだぞ─』

「私が返せる言葉はありませんね。しかし、私は早くノアに会いたい。ここも躱します」

 

::

 

黒いウルトラマンが一直線に向かってくる。

「みんな構えろ! だがまだ攻撃はするな!!」

「ゼロ、もしや彼は言葉が通じないのか?」

「いや、さっきもああやって喋ってたから言葉はわかると思うぜ。無視されたもんだと思ってたが……、まさか声が聴こえないのか?」

「ありえるな。テレパシーで呼びかけてみよう」

 

::

 

「─こちらは宇宙警備隊隊長、ゾフィー。君は何者だ。なんの目的があってここへ来た─」

ゾフィーがテレパシーで呼びかけると、黒いウルトラマンは驚いたようにバランスを崩した。だがバベルへと向かう速度が緩むことはなかった。

 

「私はローズ。ウルトラマンローズ! 私はノアに会いに来ました。ノアはここで私を待つと言っていました!!」

「─君は何故! ノアに会いたいのか!!─」

「ノアは私をザギ様と出会わせてくれた! 私は約束したんです! ザギ様と一緒にノアの下へ!!」

ローズとの距離が離れてしまい、ゾフィー達はローズの言葉の続きを聞き取ることが出来なかった。

「突破された! 追え!!」

 

==

 

ローズは追っ手を振り切り、いち早くバベルの地表へと降り立つと翼を畳んだ。

 

「ノア! ここにいるのですか!」

ローズの呼び掛けに、待っていたと言わんばかりに光が降り立つ。

『─よく来た、ローズ。寄り道をしてきても良いと言ったのに。君は随分とせっかちな子だ─』

「私は早くあなたに会いたかったのです!」

子供のようにはしゃぐローズにノアは静かに微笑んだ。

 

「ノア!?」

「本当に、ノアなのか……?」

ローズに遅れて光の戦士たちが地表に降り立つ。驚いて飛び退くローズを前に各々の戦闘態勢をとるが、ノアはそれを制した。

そしてその集団の中にゼロを見付けるとテレパシーを使い個別にコンタクトを取る。その内容にゼロは少し驚いたようだったが静かに頷き、皆より一歩前に出て止まった。

 

ノアはローズへと向き返ると話を続けた。

『─君があまりにも急ぐものだから皆を驚かせてしまったようだ─』

「それは……、すみません」

ローズは申し訳なさそうに縮こまった。

 

 

『─改めて。よく来た、ローズ─』

クロスタッチの構えをノアはローズへ向ける。ローズはそれに答えようと右腕を上げたのだが……。

「ガッ!?」

制御を失ったように動いたローズの右腕が自身の胸装甲へと叩き付けられた。突然のことにローズだけでなく光の戦士の面々も驚くこととなった。

 

暴れる右腕を抑え込むべく掴んだ左腕も次第に制御を奪われ、ローズは両腕で自身の装甲へ攻撃を続けた。止めに入ろうとする光の戦士たちだったが、後ろ手にゼロに制された。

 

こうなることを知っていたかのようにノアは静かに戦闘の構えを取る。

「ぐうっ、あぁぁぁぁ!!!」

バキバキと剥がされていく装甲。そこからはローズの翼を構成していた星雲のような闇が溢れ出していた。

 

「ザギ……様…………ぁ、があぁぁぁ!!!」

 

闇が排出され切るとローズの体は倒れ込んだ。そしてその星雲を最後に出てきた紫黒の闇が呑み込み、段々と人型を形取っていく。

 

「ははははは!! ノア!! 待っていたぞこのときを!!」

 

ダークザギ、復活である。

 

「こいつもこのザギの道具にすぎんのだ!! 貴様の下へ向かうための翼とし、ザギ復活の為の糧とし、貴様…を……?」

 

ローズのエネルギーを使って復活したものの、目が完全に見えないことにザギは戸惑った。

「なんだ……これは……?」

『それが彼の居た世界だ、ザギ』

 

戦闘態勢を解き、ノアは静かにザギを見詰める。

「ノア!! 貴様何処にいる!!」

闇に塗り潰された視界を前にザギはあの時のローズのように腕を振り回し暴れた。

 

『その闇の中、彼は君の手を求めたんだ』

「それがどうした!」

『君が彼を助けてくれたからこそ、彼はここまで来れたんだ。私では彼の手を引くことは出来ない。私の光は彼には強すぎるんだ』

「このザギが助けたなどと、戯言を! これはザギの道具だ。貴様が捨てた小僧をこのザギの都合のいいように使ってやったに過ぎん!」

 

『ふむ……捨てたつもりはないのだが。そんなに彼のことを気に入ったのか?』

「貴様が造ったにしては存外扱いやすかったぞ。このザギの復活を不完全なものにさせたた点以外はな!」

『それならば君が彼の目に光を灯せばいい』

「……は?」

光の灯らぬ目でザギはノアの居るであろう方向を睨んだまま止まった。

 

『君が与える力なら、彼は拒絶することなく受け入れるだろう。彼は君のことを信じている。君に酷く傷付けられた今でも』

 

「ザギ……様……。私は…………」

声のした方へ顔を向け、意識を集中させるとザギは驚愕した。倒れたままのローズからは一切の負の感情を感じなかったのだ。

 

「ググ……最期までつまらん奴だ! あの時闇を恐れたように、光を恨んだように、このザギを憎めばよいというのに! 何故そうしない!!」

『君のことを信じているからだ』

「ノア………………。ノアァァ!!!」

上手くいかないことへの怒りをノアへぶつけるべく、ザギはローズと同じ闇の中ノアの放つ光を探した。

 

「そこかぁっ!!」

ザギがノアの光へ殴り掛かる。だがそれはいなされ、余計な力を加えられたせいでザギは大きく体勢を崩した。

 

「クソっ、、ノア!!」

ノアの光の位置を完全に把握できるようになったザギは光弾を交えノアの光への攻撃を続ける。全て見切られ、それに合わせた反撃もされている。だがザギは感じていた。

 

こいつ(ノア)は本気を出していない。

 

「なぜ本気を出さない、ノア!! このザギが不完全であることを哀れんでいるつもりか!?」

 

ザギは再びノアの光へと向かう。だがそれは剣の一振の下に斬り捨てられることとなった。

 

エナジーコアに加えられた斬撃にザギは違和感を覚えた。ノアは果たしてこれまで剣を使っていたことがあっただろうか。確かにザギの目の前にあるのはノアの光だ。だがなにかがおかしい。

 

「貴様……ノアではない……のか?」

 

「やっと気付きやがったか、破壊神さんよ」

一度、ローズがノアの光と見間違えた光。ザギがここまで戦っていた相手はウルティメイトゼロだった。

 

「ってか、あんたは目が見えねえ状態で戦ってて、俺も結構本気出してたってのに、手ぇ抜いてるなんて思われるとか。普段どんだけ強いんだよあんた達」

やれやれとゼロが頭を搔く仕草をするが今のザギにはその様子は見えない。

 

「このザギを馬鹿にしているのか、ノア」

ぎりりと拳を握り闇の力を撒き散らすザギにゼロは再びゼロソードを構える。

 

『私は今この場で君とは戦えない』

どこからかノアの声がする。

「何故だノア! 貴様が滅ぼしたがっていた闇が目の前に居るというのに!!」

 

『私がここで戦えば、君の築いた絆を破壊してしまうことになる。君が相手だからこそ、そんなことはしたくない』

「絆などと……そんなもの……」

『何故私がローズの元へお前を落としたかわかるか?』

「このザギを貴様の元へ寄越し、不完全な復活をさせるため……」

『違う。彼に君のそばに居てもらいたかったから。君に、絆というものを知ってもらいたかったからだ』

 

「なぜ貴様はこのザギにこんな真似をした!」

『君にも、絆を結べる心があると信じていたから。きっと君とも……わかりあえると』

「煩い!!」

ザギはノアの言葉に怒鳴り返すと、コアを傷付けられ立っているのもつらい体で、狙いもまともに定めずにライトニング・ザギの溜めをし始めた。同タイミングでノアもライトニング・ノアの構えをし、左拳を打ち付けさえすれば放てるところでザギの動きを待った。

 

「ザギ様! もうやめてください!!」

ザギが与えた自己修復能力により微量ながらも傷が癒えていたローズがザギの左腕にしがみついた。

 

「─邪魔だ! 放せ!!─」

「嫌です! 絶対に放しません!」

「─貴様から先に破壊してくれようか!?─」

「それも嫌です!!」

「クソっ! なんなのだこいつは!!」

「がはっ!!」

自由なままの右手でザギはローズの背を殴る。装甲を剥がされ傷の残る表皮に、直前まで光線の溜めに使われていた拳が向けられたのだ。ローズは地面に崩れた。

「チッ。無駄なことを……」

 

ザギは光線発射への最後の一手で待ち続けるノアのほうへと足を進める。

「ノア……遂に力を見せたか……。今のザギからでも貴様の姿が丸見え…………がっ!?」

ローズの抵抗は終わらない。ザギの脚を掴んで引き、前方へと転倒させるとそのままザギへのしかかり、ザギの頭部を抱き締める形で押さえ込んだ。

 

「─ローズ……貴様あッ!!─」

「私は……嫌です! 私は嬉しかったのですよ……? あなたに出会えて……。あなたとこの宇宙を飛んで……。ここまでの旅、急ぎで飛んできてしまいましたがたくさんの光を視れました。その度に傷のつく私の体を案じてあなたが私に力を少しくれたこと、私は気付いていました。私は、嬉しかったのですよ……?」

 

「私はまだあなたと旅をしたい。あなたに私の手を握っていてもらいたい。

私はあなたにひとりにされたくない!!

 

私は…………

 

 

あなたをひとりにしたくない!!!

 

 

 

 

「ッ……!!」

ローズの頭部、瞳を含め十二ある結晶部から閃光が放たれた。

 

─フラッシュサイン─

 

ザギがそれを直視することはなかったが、ローズに思いの丈をぶつけられ、全身の神経を一度に刺激されたように一瞬強ばると、現実から意識を手放し脱力した。

 

::

 

暫くの後、ザギの意識は現実へと戻された。まだ揺れている頭に子供の泣き声が響く。

「ザギ様ぁぁぁ。起きてくださいザギ様ああああぁぁッ」

「─五月蝿いぞ、ローズ。叫ばずとも聞こえている。今のは何だ。答え……─」

「ザギ様……っ!!」

「ノ゙ア゙ッ!?」

「死んじゃったかと思いましだあぁぁぁ」

自分の手で息の根を止めてしまったかと思った。ザギの意識が戻ってきた嬉しさにローズがザギをめいいっぱい抱き締めてしまったため、ザギは過去一番にあたたかい痛みに襲われることとなった。そんなザギの様子を見、いつの間にやら光線の構えを解いていたノアがザギへ語りかける。

 

『ザギ、今は彼の中に還って傷を癒すといい。傷が癒えたのなら今度こそ私と戦おう。私は逃げはしない』

「…………今度こそ貴様を倒す」

出来うる限りの悪態をつくとザギは実体を解きローズの中へと戻っていった。

 

『─ローズ、これからはゆっくりたくさんの旅をして、彼にも多くのものを見せてやってほしい。ザギを……よろしく頼む─』

「わかりました!」

ノアはローズに微笑むと、今度はゼロや光の戦士のほうへと振り返った。

 

『皆、騒がせたな。彼らは私の管轄の者だ。彼らのことは私も観ている。これから、彼らをよろしく頼む』

「へっ、ノアからの頼みとなりゃあ断らねえよ。なあ、皆もそうだろだろ!」

ゼロが呼び掛けるとあちこちから「ああ」「もちろん!」と声があがった。

 

====

 

====

 




─Result─
【ひかりのなみだ】
たいせつなもの『ノアの願い』を手に入れた。
この先の何もかもを乗り越えて行けそうな、とても強い力を感じる。

【闇とて絆は結びえる】
たいせつなもの『ノアの願い』を更新した。
実績『ほんの少しの癒し』を解除した。
実績『絶対に放さない』を解除した。
実績『閃光-リロード-』を解除した。

========

ortRoLoDs始まりの話。
前書きに書いたポエム的文章は本来『ひかりのなみだ』という話だったのですが、文字数下限に引っかかったためこの話の前書き部分に流し込みました。

このシリーズはpixivで先に公開していて現在15万字を超えてきています。ハーメルンはずっとROM専だったのですが、せっかくなので投稿してみようとなりました。
ここでの公開のついでに、向こうで公開してからキャラ解釈が進み、少し違ったなと思う箇所などを整えるなどしようかなとも思うのでした。


ただ……、操作が……まだ……わからない…………。現在、章機能に離反されている。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。