さあ! 楽しい旅を始めよう
みんなと行くのは宙の旅
思い出いっぱい撮ってきて
友だちみんなに自慢しちゃおう!
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ヒカリ博士からカメラのようなものを渡される話。
本シリーズに何度か出てくる予定の記録端末です。ライズレコードパッドという名前だそうです
「……これはなんだ」
ファウストはヒカリのラボに呼び出され、人間比率でいうタブレット端末サイズの謎の青い端末を渡された。
「記録端末だ。旅に出るのならついでにいろいろと調査してきてもらいたい。光の国に帰ってくる口実にもなるだろうからな」
ヒカリに言われ、ファウストは端末を見つめる。
「だが何故これを私に」
「ローズを除いた三人の中で比較的温厚で協力的で説明をしっかり聞いてそのうえ他三人に教えられるだろうと判断したからだ」
ヒカリは一息で言いきった。
言っている意味がわからないと言えば嘘になる。自分がこう捉えられるのもリコのせいか……とファウストは内心思った。
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「使い方を説明するぞ」
「これは記録と再生が主な機能だ。というよりまだそれくらいしか機能をつけていない。長旅になるだろうから耐久性に振った」
「君たちがこの端末にアクセスすることで、この端末が君たちの視覚情報、聴覚情報を受け取って記録していく。記録の形式は画像、動画、音声だ」
「座標は自動転記、そのほかメモ程度に情報を追加することもできる」
試しに一度やってみろ、とヒカリは手で示す。
「アクセス……とは」
「端末に向けてテレパシーを送る感覚でいい。君たちの波動は振り分け用に登録してあるから、それぞれの保存領域が混ざることはない」
手元の端末とヒカリの顔とをファウストは交互に見やる。待て、波動は登録してある……だと。
「我等の波動など、いつの間に調べたのだ」
「研究職を甘く見ないことだ」
ヒカリはゼロよろしく、組んだ腕に裏ピースで得意気に笑ってみせた。
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ファウストは部屋に帰り、別れ際のヒカリの言葉を思い出していた。
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「この端末を渡したのはもちろん研究目的でもあるが、それとは関係なしに彼に楽しい旅をしてもらいたいからだ。好きに使うといい」
「良い旅路を」
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出発の日は数日後に迫っている。
『あの青いウルトラマンのニオイがする。なんだそれは』
「キャッ! …………っ、ザギ様ッ!?」
突然顔の横で主の低い声が聞こえ、ファウストは端末を取り落としそうになった。
声の方を見やると、ホログラムほどではないがやや透明な姿でザギがそこに立っていた。
「記録端末、だそうです。いろいろ撮って来るといい、と言って渡されました」
『不要だろう。そんなものは』
「思い出を作るには必要よ?」
ファウストの中のリコの部分が口を挟む。
「ザギ様も使えるようにしてあるそうです」
『見ればわかる』
『本当になんの害もない機械であることもわかる』
自分達が一切警戒されていないことを改めて知り、ザギも呆れ声で目を流す。
『…………、今、撮ったな』
「すごい、ザギさんにはわかっちゃうんだ」
今ならバレないかなと思ったのに。あらら、と
『貴様の波動が揺れた。隠し撮るならもっと上手くやれ』
「申し訳ありません、ザギ様……」
リコの意識が抜けたファウストに謝られ、ザギは黙る。
『(貴様は随分とやりずらくなったものだ)』
ファウストの部分とリコの部分とがあまりにも滑らかに入れ替わるものだから、ザギはため息をついた。彼はこの状態が一番安定するらしい。過去の自分の策略の結果ではあるが、面倒なものだとザギは思った。
「ローズくんに見てもらいたいものがあるから、あの子を呼んでくれないかな」
『…………』またあの人間だ。ザギは横目で
「できるでしょ?」
『あー……、呼びはした。そのうち来る』
やはりやりづらい。ザギはため息をついた。
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程なくして外からローズが飛んで帰ってきた。
「ファウスト! 見せたいものってなんですか?? ……ってザギ様がふたり? ちっちゃいザギ様かわいい……」
ファウストの膝の上に置かれた端末に浮かんでいるザギの像を覗き込む。
『俺はこっちだ』
大きいほうのザギが自身を指さした。
「じゃあこっちのザギ様は?」
「ローズが視認出来たということは、これはホログラムではないのですね」
ローズが興味津々に手を伸ばし、その像を握ったが、
「………………、あうっ」
慌てて手を離し、腕を十字にして両眼と額を隠した。
「どうした!?」
「ちょっと痛かったです。びっくりしました」
『粒子で作られた像の檻の内側で光のエネルギーが反射している。その粒子の像を崩したせいで内側のエネルギーが洩れたんだろう』
ザギはそう言って指先で像を崩すように手を振った。
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「見せたかったものというのはこれですか?」
「ヒカリが、お前もこれを視認出来たら成功だ、と言っていた。カメラは旅の思い出作りに良いのよ? 厳密にはそのメモリ部分のある再生機器なのだが」
首を傾げるローズにファウストとリコが答える。
「カメラって、あれですよね。地球の、カシャッっていう……。私もそれ使えるんですか?」
「ああ。前にヒカリのところでお前の視界を再現する研究をしただろう。それと同じ機構がこれには組み込まれているらしい」
「やってみたいです!」
ローズは目を輝かせた。
「これにテレパシーを送る感覚で、視覚情報、聴覚情報を送れる…………、早速か。待て待て多い多い多いストップ」
簡単な説明をしたそばからローズが連写をしだしたため、ファウストが慌てて端末をローズから離す。離したところでなんの影響もないのだが。
ローズが送信を止めたのを確認すると、ファウストは端末を膝の上に戻し、中のデータの再生を始めようとした。しかし、先程のザギのような像は出てこない。仕方ないので立体表示から画面表示へと切り替えた。三人は画面を覗き込む。
「立体化は出来ないのか……。だが画面でなら見れる、か……。しかし見事に真っ黒……」
『いや、うっすらだが何かのシルエットは見える。今はローズが受け取っている情報が元々少ないのかもしれんな』
「画面だと私は視れませんね。ちょっと残念です」
しょんもりするローズの頭をファウストは撫でてやる。
「まだ殆ど機能を付けていないとヒカリは言っていた。もしかすると今後見れるように出来るかもしれないぞ」
「本当ですか! やった!」
「ヒカリさんにすごい機能を付けてもらえるように、お手伝いもしっかりしなきゃね」
お手伝い?
「いろんなものを撮ってきてほしいって言われたんだ。風景とか、生き物とか」
「わかりました! 私も頑張ります! みんなでいろんな所に行って、いろんなものを撮ります!」
ファウストとローズとでキャッキャと盛り上がる様をザギは暫く横目で眺めると、ローズの中へと戻った。
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その後ファウストは、メフィストにも端末とヒカリからの依頼の内容を説明した。
メフィストはそれを話半分で聞いていたようだが、その夜にこっそり端末を操作していたらしい。最終的にはやけに整った構図でローズが写された画像が一枚だけ残されていた。
─Result─
たいせつなもの『ライズレコードパッド』を手に入れた。
ヒカリが作った記録端末。青を基調としたカラーリングをしている。現在は記録と再生の機能しかない。
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今年の夏コミにサークル参加で申し込みしました。
ortRoLoDs:闇宙飛行編を本にして頒布する予定です。
余裕があれば、うるとらハッピーで可愛いけだまの本も一緒に頒布します。
よろしくお願いします!
あと間に合ったら、破壊神モードoffのゆるふわザギさんがサークルスペースに居ます。絶対暑い。熱中症に気を付けます。