おや 冒険の書が消えてしまったのかい?
けれど大丈夫
願いを叶えるこの石ならば
きっと君を助けてくれるはず
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ザギのノアとの決闘の後、ローズ達は光の国への初めての帰省をする。その道中で壊してしまった記録端末をヒカリに見てもらう話。
ザギがノアとの決闘にバベルへとすっ飛んだ。それを追いかける中で記録端末を破壊してしまっていた。その端末をついでに直してもらう為にローズは光の国へと寄った。
──ヒカリのラボ──
「随分と派手に壊したな」
作業台の上に置かれた、もはや原型のない、記録端末だったらしい黒い塊を前にヒカリは呟く。
「ですってよ、ザギ様」
「ザギが壊したのか……、そうか……。ローズ、暫くそいつを私に預けてくれないか」
「いいですよ」
ローズ、即答。それに対し、先日ノアにコテンパンにされ、紫の情報体にまで戻されたザギが反発する。
『ローズ貴様ッ! 勝手に決めるでない!!』
「なぁに……、その処理速度の早い頭脳を拝借するだけだ」
不穏な空気を纏い、ヒカリは透明な容器を持ち出し、にじり寄る。ローズもザギを捕まえて閉じ込めた両手をヒカリへと差し出す。
『ローズやめっ、きっ、貴様っ! ぎっ!?』
ローズが手を開いた瞬間に、ザギはヒカリが手に持った透明な容器に捕えられてしまった。コツンコツンと容器の壁に当たって音を鳴らすザギをヒカリはたしなめる。
「暴れてもらっても構わないが、今の君の力でこれを破壊することは適わない。君が壊した端末からのデータ救出が終わるまでの辛抱だ。早く済ませればその分早く解放してやれる。君が壊したんだ。もちろん手伝ってくれるな?」
『ギィィ……』
威嚇を続けるザギに対しヒカリは少し考え、魅力的な条件を提示する。
「全部終わったら、固形化した命をひとつ君に渡そうか? 君はエネルギー容量が桁違いだからおやつ程度の足しにしかならないだろうが」
『ちっ……仕方ない。手伝ってやろう』
「じゃあ私はみんなに会いに行ってきますね。ザギ様のことをよろしくお願いします!」
やることが決まった。ザギのことはもう大丈夫だろうとローズは礼をする。
「目付け役はしなくていいのか?」
「説教も済んでますし、ヒカリ先生なら大丈夫です」
ローズはにこやかにそう言うとラボから出ていってしまった。
「だ、そうだぞ。ザギ」
『ちっ……』
::
ザギを入れた容器を作業台の一角にセットすると、ヒカリは黒い結晶で覆われた端末の残骸を観察する。黒とはいっても、角度を変えたり光にかざしたりするとその黒の内側に星の煌めきが見える。
「これは……、ネビュラムか」
ネビュラム。ローズの体を構成している未知の物質だ。以前ローズが光の国に滞在していたころに行った身体検査でそれが判明している。
しかし実はそれが彼そのものであることや、望みや願いを有り得ない奇跡で叶えてしまうものだということはまだ詳しく知られていない。
「これを剥離しないことには始まらないな」
ヒカリは小型レーザーを手にする。
『このザギの光線を耐えた結晶だぞ。そんなもので壊せると思うのか?』
この端末が壊れたのは、ザギがローズに対してライトニング・ザギを命中させた時だと思われる。
「それはそうだな」
顎に手を当てヒカリは考え込む。
「結晶化したネビュラムというのは私も初めて見る。君は見たことがあるか」
ヒカリに言われ、ザギは先日のローズとの【大喧嘩】を思い出す。
『…………、見はした。が、その時はこのザギの体を貫ける程の強度は無かった』
「ローズと喧嘩でもしたのか? …………、いや、話したくないのなら無理には聞くまい」
ヒカリの疑問に対してザギが殺気を放ったため、ヒカリはそれを肯定として受け取り、その問を取り下げた。
「その時より硬いと推定されるこの結晶を壊す方法に心当たりは?」
『壊すのではなく、融解ならさせた。だがそのとき融解させたのはローズの体表で結晶化したものだ。今と勝手が違う』
「というと?」
『ローズの意思で操作ができるかどうか』
「確かにな。彼の体はネビュラムでできている。自身の体の一部であるうちは操作が可能か。ちなみにその時はどうやった」
『………………、ノアの光』
ノアの光。ここには無いものだ。それの代替とできるものは……。
「光、か。それで融解できるというのなら、光の国に来た時点でそれなりの光を浴びているはずだが……。火力不足というのも有り得るか。ほかには、なにか無いか」
ザギは考え込む。あの時ローズが必要としたもの……。
『俺、か?』
「ほぅ?」
『いや、有り得ん』
ネビュラムはザギからしても未知の物質。仮説が浮かんでは消えていく。
「触ってみるか?」
逃げたりなどしないだろう? と、ザギの入った容器の蓋にヒカリは手をかけた。
ザギが触ろうとしなかったのもあったが、思えばローズはこれをザギに触らせようともしていなかった。なにかしら関係があってもいいはずだ。
ザギがその提案を承認したことを確認すると、ヒカリは容器の蓋を外した。作業台の上に置かれた結晶へザギはふわふわと近寄る。
そしてふれた。
『…………』
「どうだ?」
結晶はローズの中で触れていた闇と同じ波動をしている。形は違えど同じ物質だからか。大喧嘩の際に結晶をぶつけられた箇所に残った波動とも同じだ。
俺はこれに干渉できる。ザギは確信した。
ザギはこれまでローズの中でその闇を少しずつ吸収していた。一度にやってしまうと悪影響が出るため、少しずつ、自分に適合するように変換してやっていた。気付いていなかったのか、それともその行為を許されていたのか、ローズがそれを咎めることはなかったが。
その時と同じようにザギは結晶を変換しようとした。しかし、
『変換できない……』
「君の知る性質から変化しているのか」
『いや、干渉自体はできた。だが全く動かない。意思でも持っているかのように。何故だ』
ザギは干渉を強める。
──
『ッ゙!?』
結晶がバチッとスパークしザギは弾かれた。
「大丈夫か!」
『ローズ! 貴様そこに居るのか!!』
怒るようにザギは発光する。
「ローズはここには居ない。どうしたんだザギ」
『ッ……、ローズサインだ。何故ただの物質が言葉を持つ……? 違う……? 何が違うと言うのだ!!』
誰かと話すようにザギは喋り続ける。
『貴様は何故そうやってこのザギの邪魔をする!! 端末を取り出すだけだと言うのに!!』
──
『あ??』
──
『……………………、そうだ』
─ピシッ…………
ザギに応えるように結晶に大きなヒビが入った。すると次々にヒビが入り始め、結晶は粉々……を通り越してエネルギー粒子にまでなり、自らザギの中へ取り込まれていった。
これにはヒカリもザギ本人も戸惑った。
「何が起こったんだ」
『……知らん。だが端末の残骸は取り出せた。ここからデータを取り出すんだろう。早くしろ』
ザギは蓋の開けられたままの容器の中へと戻り、ヒカリに催促をした。
::
「改めて、随分と派手に壊したな……。だが、メモリの外傷は少ない。メモリ部分だけでも死守しようとしたのか?」
残骸を解体し、取り出したメモリをヒカリは作業台の読み取り機に差し込む。
「ザギ、その容器の中から直接このメモリ内へアクセスできる。中の様子はこちらでもモニターしてサポートする。取り出したデータはこっちのメモリへ渡してくれ」
そう言ってヒカリはもうひとつのメモリを機械へ差し込む。
ザギは無言でメモリ内空間へ転移した。
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─メモリ内空間─
白を基調とした殺風景な空間だ。ザギは活動を開始する。
ルートディレクトリ。本来ならばここよりも先の枝葉の部分にあったであろうデータが散乱している。ザギはサイコキネシスを使ったときのようにそれらを浮かせて拾い上げ、移動先である別メモリへ次々と放り込んでいく。
散らばっていたデータを手早く移動させ、下のディレクトリに向かおうとしたところでヒカリから静止が入る。
「こちらでも仕分け処理をしている。少し待ってくれ」
『処理の早い頭脳が欲しいと言ったのは貴様だろう。このザギを待たせるとはな。光の国の技術はその程度のものか?』
「君を調べさせてもらえたら追いつけるかもしれないぞ?」
『………………、断る』
待ち時間を潰すため、ザギは周囲を観察することにした。散らばっていたものは自分が片付けてしまったので本当に何も無い。
『あれは……』
視界の端に黒いもやが見えた。近寄ってみるとそれは人型をとり始める。
『メモリ内部にも入り込んでいるとはな。ネビュラムとはいったい何なのだ』
──
『メモリ内のデータを取り出しに来た。見てわからんか。…………ただの物質にはわからんか』
ザギが答えると、人型をとっていたネビュラムが粒子状に戻り、メモリ内空間でも発光体の姿だったザギを取り囲む。そして元のザギの様なシルエットを作り出した。ザギは拳を握り、その体の動きを確認する。
『貴様は何故このザギの力になりたがる』
ザギは問うが、役目を終えたネビュラムが応えることは無い。
「ザギ、次へ進んでいいぞ…………、姿が変わったな。何かあったのか」
『メモリ内部へもネビュラムが入り込んでいた。それを回収した』
「ネビュラムというものは謎が多いな……。うん、進んでくれ」
ヒカリからの続行指示に、ザギは下のディレクトリへと進む。
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::ファウストのデータ
散らばったデータに埋もれてはいるが、更に下のディレクトリへの入口が四つ確認できた。周囲のデータをヒカリに押し付けるとザギは四つの入口の前に立つ。
『またネビュラムの結晶か』
「その先は君たちそれぞれの保存領域だ。どれから処理するかは君に任せる」
ザギは一番左の入口の結晶へ手を伸ばし、干渉する。やはり変換、吸収しようとすると拒まれてしまう。
『データを取りに来たと言っただろうが』
ザギがそう言うと、ガシャン、と四つの入口を塞いでいた結晶が全て割れ、今までと同じように粒子はザギの中に取り込まれていった。
最終的に俺の中に入ってくるくせに、とザギは面倒に思った。
ザギは入口に頭を入れ、中を覗く。中には何もない。
『これは俺の分か』
「ほう? ザギ、キミは何も撮ってこなかったのか」
『俺には不要だ』
「私には必要なのだが?」
『……ふん』
次に隣の入口へ入る。
データの量が桁違いに増えた。いつ終わるんだこれ。ザギは回れ右をしたくなった。
「ザギ、私の依頼と旅の思い出を撮っていれば、この期間でそれくらいのデータ量にはなるはずだぞ」
データの内容的にこのディレクトリはファウストのものらしい。ザギはデータを片っ端から別メモリへ放り投げていくが。
『ノ゙ア゙ッ゙!?』
すごい勢いで投げられた何かがザギの後頭部に当たる。ザギがそれを見ると黒いキューブ状のデータだった。別メモリへと放ったデータの中にいくつかそれがあったような気がする。
『……またネビュラムか』
いくつか。…………。そう、いくつかである。
その【いくつか】もこれと同じような性質があるのだとしたら。ザギはデータを放り投げた方向を見やる。
『ギッ!?』
黒いキューブがこちらに飛んできている。ザギはそれを全て避けた。
床に落ちたそれをザギは拾い上げる。そして少し思考するとそれを別メモリのほうへ放って様子を見る。それは移動先のメモリに入ることなくUターンし、ザギのほうへと戻ってきた。
メモリ側に弾かれるのか、ネビュラム側がメモリ間の移動を拒否するのか。ここまでの現象を鑑みれば原因はネビュラム側だろう。
『ヒカリ。これらはどうする』
ザギは黒いデータキューブ達を浮かしてヒカリに見せてやる。
「君の側で処理できるところまでやってみてくれ」
ザギは床に胡座をかき、キューブのひとつを手に取る。ネビュラムの扱いも慣れたものだ。ザギは干渉する。
『データを…………あ? 違うだと? 今度はなんだ』
ザギと会話をするようにキューブが煌めく。
『見せろ。……、あぁ。貴様が隠しているソレだ。守っている、だ? うん、あぁ、あぁ、見せろ。あー……、お前が守っているそのデータを見たい』
ザギの答えを聞くとキューブはザギの手を離れた。
嬉しがるようにクルクルと回転するといっそう強く煌めく。すると未処理のデータの山の中から残りのキューブが飛び出してきてザギの前に整列した。
::
ザギは黒いデータキューブの相手をしながら、他の問題ないデータを別メモリへと送り付けている。ヒカリは仕分けに必死で稼働しているマシンを横目に、メモリ内空間のザギをモニターしていた。
「(君はその写真たちを見て何も思わないのか)」
ネビュラムが守っていたデータ。それは全てザギがローズと写っている、もしくはそこにメフィストと、撮影者のため画面内には居ないがおそらくファウストも居たであろう写真たちだった。
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::メフィストのデータ
ファウストの保存領域内にあったデータを移動させ終わるとザギは上のディレクトリに戻る。出た場所の隣、三つ目の入口を通ろうとしたザギはなにかよからぬ予感がし、四つ目の入口のほうを見た。
演算。演算。演算。予知。
「ザギ、どうした」
動きをとめたザギを気にし、ヒカリが声をかけた。
『なんでもない。こっちが先のほうがいい。二度手間はゴメンだ』
ザギは三つ目の入口を通り下のディレクトリへ移動した。
::
破壊の衝撃のせいかところどころ床に落ちているが、本棚に納められた本のように綺麗にデータが並んでいる。いくつか手に取ってみるとやけに整った写真、物撮りだった。
『これはメフィストの保存領域だ』
「随分と綺麗に整えられているな。彼は思いのほか几帳面なのだろうか」
決してファウストが片付け下手なのではなく、メフィストが徹底的に並べていたのだろう。凝り性め。
『あまり散らかっていないがこれも移動させるのか』
「メモリ本体が危ないからな。移動させてくれ。……あぁ、待て」
先程までと同様に乱雑に投げ渡そうとしたザギをヒカリが制止した。
「できるだけまとまりや順番を崩さずに移動させてくれ。そのほうがこちらの仕分けも早くなる」
『……ちっ』
::
処理を進める中、ザギは視界の端に黒いものを見つけた。
ファウストの保存領域にあった黒いデータキューブより大きい。恐らくデータがいくつかまとめられたものを閉じ込めたのだろう。それが空間の端の方にあった。まるで見付けられたくないかのようにひっそりと。
『今回はネビュラムが随分と大人しいとは思っていたが。それが隅に固まっていたからだとはな』
後で処理しよう。ザギはその黒いデータボックスから視線を外した。
データの移動をほとんど終え、ザギは先程のボックスがあった場所を見る。しかしそこにボックスはなかった。
『……は?』
動いている? 自分で?
ザギはボックスを探し、周囲を見渡す。すると自身の右後ろのほうにボックスはあった。確かにジリジリと動いている。
ザギはボックスの進行方向の反対側から近寄り、上から取り押さえた。ボックスはじたばたと暴れる。
『はぁ…………。全く貴様は手間をかけさせる。大人しく中のデータを見せろ!』
─ウゥゥゥ……ガウガウッ!─
『…………』
ボックスから三つの犬の首のようなシルエットが生え、その左右ふたつがザギの腕に咬みついた。しかしザギの体も今はモヤのようなもの。ザギにダメージはない。
『ちっ……』
─キャゥゥ…………─
ザギの苛立ちを感じたのか犬の首は怯えるようにその腕を放すと、ボックスの表面に溶け込んで消えた。
『中を見せろ』
ザギはボックスを両手で持ち上げ、ネビュラムに干渉して話しかけるがこれまでのようにはいかず、ボックスはただ震えている。
『黙るな。貴様もこれまでのやつと同様に言葉を持っているのだろう』
振ってみたり、叩いてみたり、色々とやってみるが変化は無し。上手くいかないこのボックスに対し、ザギの苛立ちは募っていく。
「ソレを壊す気じゃないだろうな」
ボックスを攻撃しようと、ザギが両手にエネルギーを込め始めるのを察知し、ヒカリが声をかけた。
『それ以外にどうしろと』
「様子を見るにソレは怯えている。少し待ってやったらどうだ」
『ただの物質に感情があると?』
「たとえ模倣だとしてもなにか意味があっていいだろう」
『…………ふん』
ヒカリに言われザギは鼻を鳴らす。また床に胡座をかき、その脚の上にボックスを置いた。
『俺の気は長くないぞ』
仕分け機のほうもまだ時間がかかるだろう。ザギはその間少し待ってやることにした。
::
暫く待つとボックスの震えは弱まっていった。
逆にザギを呼ぶような振動を始める。ザギはボックスに視線を落とした。
──
『漸く喋ったか』
──
『見たい』
──
これまでと違い、ボックスは質問を追加してきた。
『このザギが怒るようなものを貴様は隠しているのか?』
ザギがそう答えるとボックスはまた震えだしてしまった。
「また怯えさせたな? 安心させてやらないとダメだぞ」
『ギィィィ……』
「優しく撫でるとかしてみたらどうだ。ファウストがよくやっているようだが」
『ぬぅ……』
ザギは仕方なさそうに手をボックスの上に乗せる。そしてゆっくり、ゆっくり、力をかけないようにボックスをさすった。
──
『……怒らん。あぁ。本当だ』
ザギがそう約束するとネビュラムは一箇所に集まるように吸い上げられ、鍵の形になった。ザギはそれを取り上げる。
『……鍵?』
ネビュラムの剥がれたダークグレーのボックスを見ると、その口が南京錠のようなもので封じられていた。
『この程度のロックなら壊すほうが簡単だというに』
ザギがそう言うと手に持った鍵が怒るようにスパークしたので、仕方なくその鍵穴にそれを差し込んでやった。
ザギはボックスの蓋を開け、中のデータを確認していく。が、
『これを見て俺が怒るとでも思っていたのか?』
ボックスの中身は、先程ファウストの保存領域でネビュラムが守っていたデータと同じ。自分達の思い出を撮ったような写真や動画であった。
「ザギ」覗き見をしていたヒカリが声をかける。
「これは私の推測なんだが……」
「メフィストは君のことを怖がっているんじゃないのか」
何を言っている? 黙るザギにヒカリが続ける。
「その写真達の……、特に君が映り込んでいるものを見てみろ」
ヒカリに言われ、ザギはボックスの中からその写真たちをピックアップして並べる。
「なにか気付かないか」
『俺の顔が写っていない』
「写っていない……というよりか君の顔だけ写せていない。ぽっかりと空いているだろう。構図も彼にしては崩れているような。それに、先程までのネビュラムの様子とこのボックスの施錠だ」
「君に対して心を閉ざしているように思えてならない」
『………………』
ザギはヒカリに答えぬまま写真をボックスにしまうと、蓋を閉じ、施錠をした。
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::ローズのデータ
先程のボックスをヒカリに預け、ザギは上のディレクトリに戻った。四つ目の入口……残すはローズの保存領域だが、異様な気配がする。慎重に入口をくぐったザギは驚愕した。
空間一面が真っ黒だった。
ザギは足を踏み出す。なにかを踏んだ。足を戻す。
『まさかこれ全部、データか』
この黒はネビュラムのものではない。ローズの視界のものだ。自分達の視界をそのままデータとして受け取るこの機械の性質上、ローズの視界はどう頑張っても真っ黒な世界がベースになるのだ。
だが……。
ザギはデータらしきもの達を浮かせて確認を始める。
「視界再現機構は付けていたはずだが……。これは酷いな。改良が必要か?」
『……違う』
ヒカリの呟きを、データの確認をしていたザギが否定する。
「なに?」
『破損……もしくは上書きされている。ほとんど同じ時間に更新されている。保護が間に合わなかったようだな』
「修復できるか?」
『………………このザギをなんだと思っている』
この程度のこと、ザギに出来ないはずがない。ザギはデータの修復を始めた。
直していくと、ファウストとメフィストのデータはヒカリの依頼関連のものが多かったのに対し、ローズの残したデータにはやけにザギの写ったものが多かった。それに気付いたザギの手が遅くなっていく。
「君ばかりだな。ローズはよほど君のことが好きなのか。専用にフォルダを分けておこうか?」
『……不要だ』
ザギは処理を進める。
::
ほとんどのデータを処理し終えたザギの前にひとつのデータキューブが現れた。真っ黒だが、ネビュラムではなさそうだ。ザギはこれまでと同様に手を伸ばす。
──
目の前に、ザギがメフィストとファウストのふたりを吸収する場面が映し出された。これは動画だ。ローズの視界をそのまま記録したものなので真っ暗なのは変わらないが、確実に、ふたりの形が失われていくのが見て取れた。
「ザギ……、これは…………」
ザギは処理を進める。処理を進めさせられる。ネビュラムに与えられた体は処理を止めない。
体の自由が効かなくなっていく実感がザギにはあった。
『このザギの体の制御を奪おうなどと……ギィィ……』
いつの間にかザギの前にはもう一体、ザギと同じシルエットの人型が立っていた。映像と現実の堺を越えたそれは、今のザギと同じくネビュラムで構成されていた。
ザギを前にした彼の足元から闇が広がる。
「ザギ!!」
危険を感じたヒカリがザギとメモリとの接続を強制解除させようと、現実でザギの入っている容器に手をかける。しかしそれを取り外そうと力を入れた瞬間に容器がスパークし、弾かれてしまった。
──
確認をするように人型からザギへ言葉が投げられる。
『このザギに何を見せるつもりだ……ローズ……』
ザギの返答を待つわけでもなくここから飛び立とうとするように背を向けた人型の腕をザギは掴む。いや、ザギの体が掴んでいた。
『!?』
完全に体の主導権を奪われた。
まるで会話をしているかのように互いの像が揺れる。幾度目かの振動の直後、ザギは向かい合った人型に顔面を掴まれていた。
ザギはその手を払い除けようとするが、やっとのことで動かせた両手は今度はどういう訳か相手の身体をすり抜けてしまい、場面はただただ進んでいく。
人型の手刀がザギの首にあてがわれる。
『なにを……するつもりだ』
手刀がズブズブとザギの首にくい込んでいく。
『ッ…………!! やめろ……とまれ……』
手刀がザギの首を押し切った。だがザギは無事だった。首が繋がったまま棒立ちしていた。
人型はと言うと、切り落とした頭を掴んで見つめるような姿勢で静止していた。暫くして両腕を下ろすと、ザギへ背を向け飛び立つようにしてその像は崩れた。
映像が停止し、ザギは呆然と立ち尽くしていた。
「ザギ、大丈夫か!」
『……あ、あぁ。問題……ない』
「その空間の中の君の体はネビュラムで構成されている。ここまでを見てもネビュラムは何を起こすかわからない物質だとわかる。しかも君は多くそれを回収してきただろう。ネビュラムも力を増しているのかもしれない。これ以上の接続は危険なのではないか」
ヒカリはザギの身を案じ、データ移行の中止を提案する。しかしザギはそれを拒否した。
『問題ない、と言っているだろう!!』
──
ザギの前に人型が再び現れ、言葉を話すようにその像が揺れている。ザギは聴覚処理能力を高め、人型の言葉を聞き取ろうとした。
─キサマナゼイキテイル─
─ジャマダトイッタハズダ─
人型の言葉を聞いて改めて、ザギは最後に残されたこのデータが何のデータなのかを察した。
『ずっと記録していたというのか』
人型が何かの構えをする。この時に撃ったのはグラビティ・ザギ。ザギの体は勝手に動き、防御姿勢を取った。視界が闇に覆われる。全身をエネルギーが通う感覚を味わった直後、ザギは背中へ衝撃を受け、倒れ込んだ。
体内のエネルギーが落ち着くと場面が変わったのか、ザギは浮遊感に襲われる。ザギは再び人型と相対していた。しかし先程より周囲の闇と人型との境界はあやふやになっている。辛うじてエナジーコアの光が分かる程度だ。
ザギの体は相変わらず勝手に動く。
『逆らえない』
『記録できるのは視覚と聴覚の情報だけのはず』
『なぜ……俺は俺と対峙している……』
『なぜ……俺の体は動かされている……』
『この後は確か……』
ザギの体は人型へ両手の拳をまっすぐ向けている。だが目の前の人型が姿を消し、ザギの体は後ろを振り返る。振り返った先には、左腕に右拳を当てたライトニング・ザギの発射姿勢の人型が。
ザギの目には明確にその光線の光が見えた。視界が赤い稲妻に塗り潰される。
::::
『っはぁっ!!』
「ザギ!!」
ライトニング・ザギを受ける直前までの映像を修復したところでザギはメモリへのアクセスを拒絶し、力尽きるように容器の底に墜ちた。
『ローズ……貴様は……、このザギをどうするつもりなのだ……。このザギを…………、このザギに……俺にどうしろというのだ…………!!』
ザギが力なく明滅している。
「……ザギ、まだ修復していないデータがあるようだ。やれるか。無理強いはしないが……」
『………………』
ザギは沈黙で肯定した。処理を再開する。
::
ザギは再びメモリにアクセスし、闇の中に呑まれる。
しばらくの間、闇の中を漂っていたザギの前に突如視界を塗り潰すほどの強い光の像が現れた。ザギもそれには見覚えがあった。
『ノア……』
浮遊感と共に光の像が視界の外へ消え、視界は再び暗くなる。
閃光、流星群、流星群、衝撃、衝撃、衝撃……。
人型─ローズが見ていたザギ─との戦闘に入ったらしい。そして地面に撃ち落とされ、ザギの体は踏み付けられる。
横たわったザギの、ネビュラムで構成された体に激痛が走った。体が……内側から割れてしまいそうな程に痛い。
『がァああああぁぁああっ!!』
ここまでの戦闘に痛みはなかったというのに。ザギの体は罰を与えるように痛みの信号を伝える。悶え暴れることはこの体が許さなかった。
これ以上は……耐えられない……。これ以上は……、もう……進みたくない……!!
『っ、はッ…………はぁ……はァ…………』
痛みが弱まると共にザギの意識はこの世界から遠のいていく。そのタイミングは、あの時ローズの背の光が点滅してから、エネルギーを留めて休み出すまでとピッタリ一致していた。ザギの意識はここで一度失われる。
::::
::::
何かが体にふれる感覚にザギの意識は浮上した。ザギが手を差し出すとそれは手の中に納まる。そしてその手にもうひとつの手が重ねられた。
光の粒子が飛び交う。段々と視界が明るくなっていく。
『(あぁ……これは…………ノアの光)』
ザギの視界はこれまでにないほどに明るくなった。少し痛いくらいだった。
しばらくするとその光は徐々に退いていく。元の暗さと同等のところまで落ち込んだところでザギの意識はこの記録から解放された。
::::
─パリンッ!!
「!?」
現実でザギを入れていた容器が割れ、闇のオーラが溢れ出した。ラボ内に警報が鳴り響く。
『がっ、あ、あぁぁぁぁあああ!!!』
「ザギ! 大丈夫か、おい!!」
そのオーラの中心にザギが居るらしい。
『たかが物質の分際で……このザギを呑み込もうなどと……!!』
『このザギを甘く見るなァァァァァ!!』
ザギの叫びと共に闇が吹き荒れる。
「ザギ待て! ラボごと吹き飛ばすつもりか!!」
『ぐ、うっ……っ、はぁ…………、やれるなら……とうにやっている……!』
「落ち着くんだ! その闇がネビュラム由来のものならば君はそれをコントロールできるはずだ!!」
『それが効かぬと言っている!!』
「この闇に害意は感じない、だから一旦落ち着くんだ!」
──
ヒカリには声が聞こえた。
「!!」
「ザギ! 俺の手を掴め!!」
『貴様の助けなど要らん!!』
──
声がヒカリの手を求む。
「強がりもいい加減にしろ!」
ヒカリは闇の中に手を突っ込み、そして、ありったけのエネルギーを注いだ。それに反応したのか、闇がヒカリの腕をかけ登り、絡みつく。
「っぐ、おおおおぉぉぉぉお!!」
視界をローズと同じ闇に呑まれながらも、ヒカリは自分達を取り巻く闇に光の力を示し続けた。
「無理なら無理と! 嫌なら嫌と! 助けてほしければ助けてくれと言え!!」
『ザギは助けなど要らん!!』
「君がそう言おうと私は君を助けるぞ!」
闇の中に形成されつつあったザギの腕をヒカリは掴むと、その闇の中から引き抜いた。核であったはずのザギを失ったことで闇のエネルギーは勢いを失い、収縮してキューブ状のネビュラム結晶となると床に転がった。
闇から引き抜かれたザギはというと、造形こそ元のシルエットを取り戻していたが、先程の闇エネルギーが辛うじて形を留めているのみであった。
「大丈夫か、ザギ?」
「余計な真似を。貴様の身を危険に晒してまで。何故助けた」
「助けなければと思ったからだ。それに、君に何かあってはローズが悲しむだろう」
まさか未知の物質の力を己の身で体験することになるとは思わなかったが、とヒカリは付け加え、貴重な体験をしたと笑った。ヒカリ自身も、先程の闇の視界からは解放されている。
「ローズ……」ザギはボソリと呟く。
「君だって独りじゃないはずだ。彼らの記録を見ただろう? 彼らはいつも君と在った、違うか?」
「特にローズは君のことばかり撮るくらいには君のことが好きらしいからな。だが…………」
一度言葉を区切る。
「君が彼らに行ったことを見た上で君に問いたい」
ザギの顔を鋭い目で見つめる。
「何故ローズはそれでも君の傍に居るんだ」
ザギが最後に修復したデータ。それはザギが共に過ごした三人に対して酷い仕打ちをした際の記録だった。しかもつい最近のこと。
「知らん。ヤツが勝手に……」
「勝手に傍に居るのならば、とっくに君の元を立ち去っていてもおかしくないのだぞ」
責め立てるようにヒカリはザギの言葉を遮った。
「何が言いたい」
機嫌を損ねたらしい。ザギの体を構成する闇エネルギーがぶわりと盛り上がる。
「ザギ。『無償の愛』というものを知っているか」
「刷り込みのようなものだろ」
「……。違うぞ。だがその喩えで返したということは、私の言いたかった意味は解っているんじゃないのか」
「彼が君に向けているものがそれに思えてならない。彼はきっとどうしようもなく君が好きなのだ。そこに一切の疑問も無く、な」
「滑稽だな」
「それを彼の前で言えるか?」
「…………」
ザギはローズの顔を思い出す。キラキラした目で自身を追いかけてくる子供。何度振り払っても離れようとしない。何度……痛めつけても……。最後には笑って許されてしまったのだ。ザギは黙り込んでしまった。
「子供というものにとって親とは世界そのものだ。だから必死にしがみつく。たとえ虐待されようと、その親を庇うような行動をしてしまう個体もいる、という」
「俺は奴の親になったつもりはない」
苦しそうにザギは顔を背ける。
「少なくとも彼は君を父親だと思っていそうだがな。もう少し彼らと向き合ってやったらどうだ」
「………………このザギに指図するな」
顔を背けたままザギはボソリと呟いた。
「強がるな。まずは彼らからの愛をしっかり受け取れ。そして少しずつでも返してやることだ」
「ぬぅ……」
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「さて、データ移送を手伝ったら固形化した命をひとつやる約束だったな。要るか?」
「ふたつ。ふたつだ」
ザギは約束以上の対価を要求した。
「そうか、ふたつか。君は随分と食いしん坊だな」
「俺のではない。……あいつらの分だ。今の俺では、触媒無しでふたりを復活させるにはエネルギーが足りん」
不服そうにそう言うザギにヒカリは微笑む。
「では報酬の前払いということにしておこう。君が次までにどんな記録を残してくるか、楽しみにしているぞ」
ヒカリは固形化した命をふたつ、ザギに渡した。それを両手に受け取ると、ザギはそこにエネルギーを集中させる。体を構成していた闇エネルギーがそちらに使われてしまうので、ザギの足先から段々とそのシルエットがおぼろになっていった。
充分にエネルギーを集めたそれをザギは前にかざす。すると放たれたエネルギーによって徐々にふたりの人型が形成されていく。
「!!」
先に活動を再開したのはファウストだった。彼女はザギの手を払い除けると距離をとって睨み上げた。
「私たちはあなたにとってやっぱり道具なの?」
ザギが行き場を失った片手を宙に泳がせているうちにメフィストも意識を取り戻した。ファウストは動けずに固まっているメフィストをザギから取っ返して背中に匿うと、周りを見回す。ローズの姿が見当たらない。
「ローズくんは! あの子のことも私たちと同じように殺したの!?」
ファウストは叫び、ザギを咎める。既にしっかり搾られているザギにはもう反撃できる気力は無い。力なく返す。
「……殺せていれば俺はここに居ない」
「殺そうとしたってことよね」
「………………あぁ……」
「どうして……?」
「…………」
ザギは口を閉ざしてしまった。原型を保てなくなった闇エネルギーも心做しか萎んで見える。
「少し待ってやってくれ」
ヒカリが助け舟を出す。
「君たちに何があったのかは私も記録で見た。だが少しだけ待ってやってくれ。今彼を独りにしてはいけない。ザギにチャンスをやってくれないか」
ファウストはヒカリとザギとを交互に見る。彼女はふたりの間で何か話があったらしいことを察した。
「ローズくんは」
「彼なら今みんなの所を回っているはずだ。相変わらず元気だよ」
「いいえ、そうじゃないわ。ローズくんはザギのことを許しているの?」
「ここに来た時に、説教ならとうに済ませたと笑っていた」
「それなら……構わないわ」
ファウストはザギへの敵意を弱めた。
ファウストの背中に匿われたメフィストはというと、その体はまだ震えており、心ここに在らずというような状態だった。ファウストはそんな彼の肩を掴み揺すってやる。
「メフィスト、おい。しっかりしろ」
「はっ、ぁ…………、う……、ぅ…………」
するとメフィストががしりとファウストを抱き寄せ、記憶の中にある片割れの名を泣き狂うように呼び始めた。ファウストは心を落ち着けると、彼に対応する片割れの記憶を呼び起こしメフィストの震える背中をさすってやる。
「大丈夫。わたしはここに居るわ」
「また……また俺の目の前でおまえが……」
「じゃあ今あなたが触れている私は幻なのかしら」
メフィストはハッとしてファウストを見ると、安心したようにその体を彼女に預けた。
「ザギ様……ほら……ファウストは滅んでなどおりませんよ……」
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「我々はザギ様の眷族。その生も死も我々に選択権は無い」脱力し崩れ落ちるように気絶したメフィストを部屋の隅に寝かせるとファウストは呟いた。
「これ迄のザギ様に対する我々の度重なる不逞、どうかお許しください」
「それでいいのか? ザギ」ファウストの言葉にヒカリが顔をしかめ、ザギに問う。
「ダメだ、とでも言いたげだな」
「それがローズを怒らせる原因になったのだろうに」
「…………では……どうしろと」
「仲間、だろうな。まずは」
「仲間……」
ザギとファウストは顔を見合わせる。
「我々は決してひとりで戦ってはいない。互いを信じ、助け合う仲間が必要なのだ」
「私は、君たち四人は仲間なのだなと思って見ていたのだが……違ったのかな?」
「ザギ様……」主はどう返すのか。ファウストはザギの言葉を待つ。
「俺にはまだ……わからない」
「それならばこれから知っていくといい」
ヒカリはそう言って笑った。
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「ザギ様ぁ〜、戻りました……、、ファウスト!!」
「ぐおっ!?」ラボに戻ってくるなりファウストの存在に気付いたローズが彼の胸に飛び込んだ。
「よかった……ファウスト、治してもらえたんですね……!」
「メフィストも一緒だ。疲れきってそこで寝ているがな」
部屋の隅で横になっているメフィストを指す。
「あれ? ザギ様、ふたりを治すにはエネルギーが足りないって言ってませんでしたっけ」
「それは……」
「いろいろあって解決したぞ」
言い淀むザギをヒカリが助けてやった。ローズはザギを見詰め、そして笑った。
「いろいろ……。本当にいろいろあったみたいですね。でもふたりが戻ってこれて私は嬉しいです! ザギ様、ヒカリ先生、ありがとうございます!」
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「端末を作り直すのにまだ少し時間がかかる。この間しばらく光の国に滞在していてくれないだろうか」
─Result─
【闇行人の記録2】
たいせつなもの『ネビュラム結晶』を手に入れた。
ザギを飲み込もうとした闇エネルギーが凝縮されたもの。なにかに使えそうだ。現在はヒカリが所持している。
実績『宝石にねがいごと』を解除した。
実績『助けたいから』を解除した。
実績『無償の愛』を解除した。
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ネビュラムにするかネビュリウムにするか、悩んだ記憶がある。スイヘイリーベー。
書き始めた当時は願いを叶える赤い玉の存在を知らなかったが故に、被せちまったなあと思うことになったのだが、このシリーズの最後まで必要になる要素なので変更はできない。
因みに後でネビュラリウムが出てくる。こっちは物質的なウムウムではなく、プラネタリウム的なウムウム。
質問コーナーはここでも行うので、感想にて質問していただければ後日公開の質問コーナーで返答致す。感想・解釈・質問お待ちしているのです……。彼らがどう受け取られているのか知りたい。
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朝早い日が続き、ダウンしていた為に投稿が遅くなった。申し訳ない。
夏コミに併せてこれを本にする予定なのだが、B6二段組の予定なのだが、200ページ超えが確定した。10万字の暴力を受けた。印刷費爆アゲだぞ!