底無き闇に光差せ / ortRoLoDs   作:弐の字

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私が闇を憎む度

君の悲しむ声がする

==========

ノアのようでノアでない何者かに出会う話。
彼の言葉の翻訳が欲しい箇所があればコメントで教えてください。該当箇所の翻訳をコメ返で教えます。



≒N

 

光の国を再び旅立ち、一行は宇宙の旅を続けていた。長距離移動の際は全員ローズの中に仕舞われていることがもっぱらなので、傍から見ればローズの一人旅の様である。

 

「ローズ、待て」ローズの中でぼうっとしていたザギが静止を促す。

「微弱だがノアの気配がした」

実体を保ちきれない体でローズの中から飛び出すと、ザギはそのまますっ飛んで行ってしまった。

「ザギ様ったら。ノアのことになると歯止めが効かなくなるんですから」

まったくもう。はぐれたくはないので、ローズはザギの後を追って飛ぶことにした。

 

::::

 

「本当にこの辺なんですか?」

「ああ。確かにこの辺だ。だが……果たしてノアがこんな所に来るだろうか」

ザギ達は宇宙のゴミばかりが集まったような場所を訪れた。隕石やらエネルギー粒子やらが辺りいっぺんに漂っている。

「ここまで近くに来たというのに、探知出来ないほどに気配が弱い。どうしたのだ……?」

「ふぅむ……じゃあ少し、私が探してみます」

 

ローズは上を見上げ、背中からローズネビュラを出すとマントに包まるように纏った。そして三日月型のローズネビュラ達を、自身を中心に球を描くように回転飛行させ、その範囲を段々と広げていく。

 

─ネビュラムブテオ─

 

【挿絵表示】

 

 

周囲の探知を目的とするこの行動。その三日月ひとつひとつがローズの目となり耳となる。

 

「少し離れたところに光の者が居ます。この前までのザギ様と一緒で、すごく弱っています。行ってみますか?」

「……そうしてやろう。奴が本当にノアなのか、もしそうならば何故そんなことになっているのか、問い質してやらねばな」

 

::::

 

ローズの案内で、ザギは気配の元へと辿り着いた。

眠るように静かに明滅する赤い発光体を前に、ザギは思考をめぐらす。

 

これは何だ。確かにノアの気配ではある。弱ったノアと同じ状態でもある。だが何かが違う。変身能力のある宇宙人でも流石にノアが対象では気配まで完全に真似ることなど不可能なはず。仮に出来たとしても何故この状態でこのザギの前に現れたのか。罠か?

 

「貴様は誰だ」

 

こいつはノアではない。ザギの出した結論だ。

 

赤い発光体はザギの声に目を覚ましたのか動き出した。声の元がザギであることを確認すると威嚇するように光を強め、少しずつ距離を取ろうとする。

そんな赤い発光体を、ザギはその手で鷲掴みし捕まえた。

「わーーつ!!!! ザギ様ダメですってそんなことしちゃ! 弱ってるんですから、放してあげてください!」

ローズが慌ててその手を開かせて光を取って返すと、自身の両手でそっと包んだ。

 

「私に握られたときも大変だったでしょ!」

「その手を閉じてこのザギを潰しただろうが」

「ザギ様に怒る時以外あんなことしませんって」

ギィギィと文句を言うザギをあしらうと、ローズは赤い発光体にエネルギーを分け与え始める。

「何をしている」

「エネルギーを分けてます。消耗しきってて喋れないのかなと思ったので」

ザギは発光体を見下ろす。それからは割と強めの負の感情が見受けられた。その感情は先程ザギが握ってしまったことから来るものではなく、もっと根深いところから来ているように感じられた。

 

「もう一度聞く。貴様は誰だ」

発光体は答えない。

「エネルギーの消耗ではない。こいつにこのザギと話すつもりがないだけだ」

「名乗らんのならそれでも構わん。勝手に貴様の呼び名を決めさせてもらうぞ。貴様はNear(ニア)だ。ノアのようでノアでない者。貴様に相応しい名だろう」

嘲笑。それは彼を笑うものかそれとも自身を笑ったものか、ザギにもわからない。

 

「ところでニアよ、貴様何故そのような姿でここに居た?」

『拒否。我、言無。理由、汝、同一、闇』

「あ??」

赤い発光体─ニア─の返答にザギが青筋を立てるが、ローズがどうも不可解そうな顔をしている。

 

「ザギ様、ニアはなんて言ったんですか?」

「聞こえなかったのか」

「聞こえなかったというより、処理できなかったっていう感じです。ほら私、普通の声を聞き取るのにもワンクッションあるじゃないですか」

そう言ってローズは耳のあるべき箇所をさする。

私もニアの話、聞いてみたかったんですけど……、と残念そうにした。

「……そうだったな」

しかしここでザギはいいことを思い付いた。ニアにひとつの提案をする。

「ニアよ、貴様にエネルギーを分け与えてやっているそいつが貴様の話を聞きたがっている。俺はその通訳だ。これなら話す気になるか?」

『………………、了承』

「ならば先程の問に答えてくれ」

 

『闇、獣、侵略、星。我、交戦』

『闇、呪縛、我。我、抵抗、抵抗、抵抗』

『友、救出、我。我、反生』

『逆接、星、放棄、生。星、爆発。闇、我、被撃』

『我、追跡、闇。我、渇望、排除、闇』

 

「……………………」

ニアの話した内容にザギは口を閉ざす。偶然だ。偶然なはずだ。ここまで似ることなどあるものか。

「ザギ様、どうしたんですか?」

「ああ、いや、なんでもない。こいつは……、敵との交戦中に超新星爆発に巻き込まれたと、その敵を今も追っている所だったと言っている」

「じゃあその途中で力尽きたんですね」

 

「ねえザギ様、ニアの手助けをしませんか」

今度はローズがザギに提案する。

「助ける義理など無いだろう」

「このまま放っときたくはないですし、一緒に行動すればもっと何かわかるかもしれませんよ?」

ローズの頭部にある結晶が光を持ち始める。このままだと一発眩しいのが来るぞ。ザギは目を覆いため息をついた。

「仕方ない。手伝ってやる。その敵を追えば良いのだろう?」

「やった!! ニア、私達も一緒に行きますよ!」

─バチッ

「ア゙ッ゙」

無慈悲。ローズの要求を呑んだというのにザギの目を閃光が襲った。クラクラする頭を振って元に戻すと、ローズの頭部を両手でがっしりと掴む。

「ロ〜〜〜ズゥゥ〜??」

「わぁぁぁぁ、すみません」

ローズは心底嬉しそうに笑うのであった。

 

::::

 

::::

 

ニアとザギをその体の内に仕舞い、ニアの示す先へとローズは再び飛んでいた。ローズのネビュラムチェストの中でニアは引き続きエネルギーを分け与えられている。

 

「ニアはひとりなんですか?」

『否定。過去、友、存在。逆接……、現在、我爾』

「かつては友が居たと。そいつは死んだのか?」

『憤慨』

ザギが翻訳するが、追加の質問が宜しくなかったようでニアは弾けて怒る。

「すみません、ニア。ザギ様、言い方というものがあると思います」

ガンを飛ばし合うふたりを内に感じながら、ローズはニアへ謝罪をした。

 

『……肯定。友、献身、命、転化、光。我……、呑……、光…………。我……我…………』

『順接。我、渇望、渇望、渇望、排除、抹消、闇』

「そうか、だからか。貴様から根深い負の感情を感じたのは。だが……その感情を糧に戦えば、いずれ貴様は足を掬われるぞ」

『疑問、闇、発言、其』

「過去に俺がそうしたからだ。その感情を手玉に取るのは容易だったぞ」

『…………』

「貴様がどうなろうがこのザギの知ったことではないが……。どうも貴様は俺達に似過ぎている」

『否定。我、否定、否定、同一、否定、闇!!』

「貴様が闇だと言ったわけではない。貴様は俺とあいつのどちらにでも成りうるのだろうと思っただけだ」

そう言ってザギは遠くを見る。あの頃、俺は何を思って戦っていただろうか。自身の果てしなく遠い過去を思い出そうとしているかのようだった。

 

::

 

::

 

長いこと飛んだローズ達の前に次元の穴が姿を現した。その入口でローズは怯えるように足を止める。

「本当にこの先……なんですか……?」

『肯定』

「ニア……ごめんなさい。私はこの先へは行けない。まだ……この先は望まない……」

この先は望まない。ローズは以前ザギと喧嘩した時と同じ言葉を繰り返す。

 

『汝、否、恐怖。疑問、汝、停止』

「なぜ行かない。こいつと行動しようと言ったのは貴様だろう」

「ごめんなさい。けれど約束します。どんなに遠回りをしても、あなたと道を交えると。ただ、今は、あなたを独り送り出してしまうことを赦してください……」

『……了承、寛容』

『感謝。汝等、行動、共、我』

ニアはローズの中から出、ここまでの感謝を告げると次元の穴へと向かった。

 

::

 

::

 

ニアの光が完全に見えなくなった頃、ローズが静かに口を開いた。

「……ザギ様、深い海のある星を知りませんか。そこで……私のことについて、ザギ様に聞いてもらいたいんです」

 





─Result─
【≒N】
実績『お前はノアではない』を解除した。
実績『この先にはまだ進めない』を解除した。
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