夜の村で篝火がいくつも倒れている。
広いところで2体の魔物が戦っていた。巨大な魔物と白い獅子だ。
「師匠!!」
「ジュバ様ッ!!」
白い毛並みが血で汚れている。負傷しているのがオーシュットの師匠さんか?
「師匠が戦ってる、あの魔物は……なに……?」
首が長くて痩せ細って骨が浮き出ている。
俺達も、ここで長年生きているオーシュットも知らない巨大な魔物だ。
白い獅子が……オーシュットの師匠さんが村を守る為に戦っている。
「災いよ! この地より去れ!!」
大きさが全然違う。まるで子どもと大人だ。
巨大な魔物は鋭い牙とヤバい爪で師匠さんを一方的に叩きのめす。師匠さんは倒れて起き上がれなくなった。
オーシュットとマヒナ、ヒカリとトモル、アグネアと俺で駆けつける。
「師匠!」
「オーシュット……逃げろ……あれは強い……」
巨大な魔物は荒く息を吐きながら俺達を睨む。光の消えた真っ黒な眼は今まで戦っていた魔物達と違う。背中がゾッと震え上がった。
「……逃げない。獲物から逃げたら狩人失格でしょ、師匠」
力強く微笑んだ。すげーな、大丈夫そうな気がしてくる。
オーシュットは俺の持ってるやつより強そうな弓をつがえた。
ヒカリは剣を抜き、アグネアは腹をくくった目をして、トモルは癒し始めた。
さっき見せてくれた光が師匠さんを包む。
「おぬしは……」
「傷が癒えたら血を洗いますね」
「……トモル、いつもより光が」
「はい。強くなってます。もっと多くの者を癒やせるようになってる……!」
輝きがもっと広がっていく。夜を明るくする。暖かいものを背中に感じた。
巨大な魔物がいきなり吠え、俺は慌てて氷の精霊石を握った。
強襲をかけてくると思いきや、地面にいきなり頭突きした。凄まじい勢いで自分の顔や頭を地面にガンガンダンダンぶつけまくってる。
「な……なにやってンだぁ……?」
「どうして……あんなことを……」
「血が黒いぞ……」
「……泣いてる!」
オーシュットは弓を下ろし、すぐに走った。
自傷し続ける魔物に駆け寄り、師匠さんは動揺してオーシュットの名を叫ぶ。
ヤバい爪や鋭い牙で攻撃される距離まで行っちまった!
「危ねえ! 離れろ!!」
「君の声を聞く!! わたしに話して!!」
巨大な魔物がまた大きく吠え、叫ぶ。
自傷で溢れた黒い血で顔は真っ黒で、だけど、白くて丸いものが少し見えた。
「……眼の色が変わったのか……?」
吠える声がだんだん小さくなり、動けなくなってうずくまる。
オーシュットが寄り添い、ヒカリが剣を鞘に納めた。
「だいじょうぶ。わたしが君の声を聞く」
魔物がか細く鳴いた。鳴き続けた。
オーシュットは左手で魔物の顔を撫でる。手が黒い血で汚れても構わずに。
左の腕輪が淡く光った。
「……おいで」
腕輪がピカッとして、弱った魔物がパッと消えた。
「あの魔物はその腕輪の中に? 勝手に出てきたりは……」
「出てこないよ。だいじょうぶ」
「左手大丈夫か? 真っ黒だ……」
「泥と違うな。べったりしてる。……あ、ダメだ。手がピリピリしてきた」
「やべぇ! 素手で触ったからだ!」
「大変だべ! 今すぐ手を洗わないとっ!」
「この辺りに水は……!?」
「お兄様! 私が浄化します!!」
トモルが一目散にオーシュットに駆け寄り、両手をかざした。白い輝きが黒い血を消していく。
「お〜!! あったかいな!!」
わずか数秒でキレイな手になった。
師匠さんがゆっくり歩いて近づいてくる。トモルに癒やしてもらったから元気そうな顔してる。
「おぬし達は……トト・ハハの人間ではないな?」
「ああ。俺達は西大陸から来たんだ」
「あっちにいるみんなを呼びましょう!」
夜の道を戻り、ディア達に声を掛ける。
笑顔を見せてくれてホッとして、全員でケノモの村・獣人達が暮らすところに戻った。
「おねえちゃん……けがしてる?」
「ううん。どこも痛くないよ。君は怖くなかった?」
「こわくなかったよ!」
ギュッと抱きしめ合う。
森の暗いところから、知らない連中がゾロゾロ来た。あっちの村の住人だな。
先頭を歩くのは初めて見るおばちゃんだ。
「コハゼさま!」
女の子が笑顔で走っていく。おばちゃんがホッとした顔で迎えた。
「コハゼ……」
「師匠さんの知り合いなんだな」
大勢の子どもを立派に育て上げたような貫禄があるおばちゃんだ。若者3人を連れている。
「あの魔物を退けるとは流石だな、“島の主”。
そして、その主に選ばれし狩人よ」
「ち……わざわざおべっかを言いに来たのか?」
師匠さんの声は厳しい。おばちゃんを見据える瞳は鋭い。友好的な関係じゃねーな。
「いいや、礼を言いにな。我らの村とこの子を救ってくれた。島の主よ……借りができた。領土の話には蓋をしよう。……しばらくな」
おばちゃんは俺達に一礼し、女の子を連れ帰った。ヒカリとトモルは暗い表情で目を伏せる。
「あちらの村と、ここの村は領土の奪い合いをしているのか」
「どこにでも争いはありますね……」
オーシュットは溜め息をこぼした。ウンザリする話は気が滅入るな。
「人間はいつだって領土の話をするんだね」
「……それが欲というものだ。相手をしても仕方がない」
「あの言い方ならいつかまた来るな。イヤな感じだぜ」
その後は巨大な魔物が暴れ倒した村の片付け、穴が空いた家を応急処置で塞いだり、師匠さんの汚れを洗う……やるべき事を全員で協力して取り組んだ。
師匠さんはピカピカのツヤツヤになった。
「今日はここで泊まろうぜ」
「宿屋……どんなベッドなのかしら」
「とても静かなところだ。穏やかな気持ちで眠れそうだな」
「朝にトロップホップを見て、午後の船で東大陸だね」
オーシュットは師匠さんのところで暮らしているそうだ。
俺達が泊まるのは獣人のおっちゃんが店主をやってる宿屋で、受付のすぐ隣にベッドが4台並んでいる。
「あたしと、パルテティオと、ミルディアさんと、ヒカリくんと、トモルちゃん……ベッドが足りないね……」
「ベッドの数は問題ないです。私はお兄様と一緒に寝ますから」
花が満開に咲いたような笑顔で言う。
ヒカリも微笑みながら「これで全員就寝できるな」と言った。
アグネアはボッと顔を赤く染め、ディアは嬉しそうにニッコリ!と笑い、俺は呻きたくなるのを我慢する。
「ヌシさま、たすけてくれてありがとう。おやすみ、おやすみ」
店主のおっちゃんはニコニコの笑顔で、ほんわかした声で、俺達が払おうとしたリーフを受け取らずに帰って行った。
「何も払わずに宿泊していいのか……」
「いっぱい手伝ったからね。ここ良い匂いする〜最高!」
「ぐっすり眠れそうなベッドですね」
「トモルちゃんはいつも夜11時に寝てるの?」
ヒカリもトモルも驚いた。
ディアが挙手して自分のことを話し、お兄さんと妹さんも打ち明けてくれた。睡眠時間がやっぱり同じだ。
「私は病に倒れたこともありません。負傷してもすぐに治ります。私を死なせないように“癒しの力”が働くんです」
「それもミルフィーユと同じだ。もしかしてディアも……?」
「あー……どうだろ。今まで怪我したことなかったから。痛い!ってなっても気付かなかったのかも。わたし、キラキラに夢中だから。あっははは!」
ディアが明るく笑う。楽しそうな声だ。真剣な話をしている場に気楽な空気を出してくる。ディアらしいな……と苦笑した。
「深夜1時にトモルが起きるなら、お兄さんも一緒に起きてるの?」
「俺は眠っている。睡眠が足りぬと動きが鈍るからな」
「おお〜俺と違うな。ひとりきりにしたくない……そんな気持ちで起きてると思ってたぜ」
「トモルには言っている。寂しくなれば俺の心臓の音を聞け、と」
「はい。腕の中に潜り込んでずっと聞いています。お兄様の心音に、私はひとりではないと思うんです」
「うでのなかに……ずっと……」
アグネアは微笑んだまま硬直した。じわじわと頬が赤くなっていく。
聞いちゃいけねーことを聞いてしまった。
夜11時前に備え付けの灯りを消す。
天井は月明かりを入れる窓があって、心が落ち着く優しい光が降り注ぐ。
「今日からパルテティオも寝てね。明日の動きが鈍らないように」
「……おう、わかった」
カナルブラインでディアの本音を聞いて、何を望んでいるかを知った。『お月様が昇らない夜』か……寂しくなるな。
全員でおやすみを言い合い、兄妹でギュッ!と抱きしめ合う。顔が熱くなった。
夜の11時になった瞬間、ディアとトモルはすぐに寝た。アグネアも眠る。
俺は上着を脱いで吊り下げ、ネクタイを外し、枕もとに帽子を置く。
ヒカリは髪をほどき、腕の装備を外し、赤い服を脱ぐ。わずかな隙も無かった剣士がやわらかい雰囲気のお兄さんになった。
お互いに寝やすい格好だ。
「俺は星を見てちょっと飲んでから寝る」
「ああ」
家から持ってきた酒がある。親父がくれたものを手に外に出た。
夜11時だ。村人もみんな眠ってる。風も吹かない。すげー静かだ。
オアーズラッシュは風の音がよく聞こえて、カナルブラインではみんなで寝た。
ひとりきりの静かな夜は初めてだった。
宿屋の前で腰を下ろす。顔を上げれば星が輝く夜空だ。
「今日は……いろんな事があったな……」
酒を一口飲んだ後、手帳を出す。
いつかテメノス達と再会して話したい。その時の為に記録する。
今日の出来事で特に気になるのは聖火とオーシュットの腕輪だな。師匠さんやシマドリが“災い”と呼んでいた魔物を“保管輝石”に入れちまった。
大丈夫かよ、と心配してしまう。たぶん大丈夫だろうなぁ、とも思った。
「すげーな、オーシュットは……」
攻撃されるかもしれないのに寄り添った。
よく分からない黒い血を躊躇せずに触った。泣いてる顔から涙を拭うように。
テメノスと旦那に伝えるべき事を全て書き終わり、手帳とペンを片付ける。
後ろで扉が開き、ヒカリか?と思いながら振り返った。
「……妹さんのそばにいると思ってた」
「そなたと話したいと思ったんだ。隣、いいか?」
「おう! 両方空いてるから好きなところ来てくれ!」
ヒカリは右隣に座った。俺と同じように夜空を見上げ、嬉しそうに微笑んだ。
良いもの見ると誰だって同じ顔をする。
「俺も思ってたんだ。いっぱい聞きてぇな……って」
「パルテティオはトモルについて、か?」
「ああ。ヒカリはミルディアのことを?」
「知りたいんだ。離ればなれで生きていたトモルの姉について」
「やっぱり“お姉ちゃん”だよな」
「トモルは頑なに『容姿が同じだけの他人』と思い込んでいるが、私は家族だと思っている」
「……赤ん坊だったあの子を捨てたんだよな、ディア達の親は。街の中じゃなくて風が吹き荒れる墓所に……」
「どうだろうな。置き去りにしたのは別の者かもしれない。ご両親から奪ったとも考えられる」
「親父さんもおふくろさんも生きてるか分かんねぇってことか。ディアと出会ったのは俺が8歳の時だ。あいつと同じ背で……。同行している大人は周りに誰もいなかった」
ちいさいディアに親父がたくさん質問した。返答は『わからない』ばかりだ。
「同じ家でずっと暮らしていた。嬉しいと楽しいと悔しいと辛いを分かち合って一緒に生きてきたんだ」
「俺と同じだな。そなたは兄か? 弟か?」
「どっちでもねぇな。“幼なじみ”だ。ちいさい頃は、町に住んでる大人達がみんな親みたいに接してくれた。威勢が良いおっちゃん達を見て育ったからだろうなぁ、ディアは“あの”ディアになったんだ」
「大人達を見て……それだけではないな。ミルディアはパルテティオも見て心を育てた。そなたが優しく温かいから、ミルディアも他者を温かく支える娘になった」
そんなこと初めて言われたな。照れくさいのが上回り、むにゃむにゃの口で笑ってしまう。
「俺を見て……へへ、そうか。それならトモルもそうだろ。赤ん坊の自分を救って、守り続けてくれたお兄さんを見て心を育てたんだ。
トモルの心には大きい愛がある。たくさん愛してもらったんだろうな、って思ったぜ」
ヒカリの微笑みが消え、顔付きが変わる。胸が痛んで心が暗くなる表情だ。
「……トモルの『愛してます』は、そなたの心にある『愛してます』とは違う。トモルは覚えた言葉をそのまま使う幼い子どもなんだ……」
重いものを吐き出すような声で言う。
過去に何かあったんだろうな。心が痛くて暗くなる何かが。
「トモルの『愛してます』と『ギュウしてください』には、そなた達も驚いたことだろう。すまない。いつもああなんだ。周りの者を困惑させる」
「俺はひとりっ子だから分からねーが、兄と妹はそういうモンなのか?」
「俺達だけだ。自分自身思っている……『ク国の兄妹はこんな事をしない』と。友にも注意された。『常軌を逸している』と。街の者も顔には出さぬが、同じように考えていたことだろう」
「大事な妹さんの“お願い”だからな。叶えてやりたいだろ。やめてくれ、なんて言えねーよ」
「トモルの心には数えきれないほどのヒビが入っている。誰かが支えることでやっと生きているんだ」
「その“誰か”をヒカリがやってるんだな」
「ああ。俺しかいないと思っている……」
眉間にシワを寄せて苦しそうに話す。
その“誰か”がひとりだけじゃなくて、もっとたくさんいたらいいのにな。
「トモルはミルディアと同じ背だが、心は6歳の幼子なのだ……」
「記憶喪失か?」
「いいや、違う。トモルは幼い頃、俺と離れて暮らしていたんだ。その時に……学ぶことが出来なくて……」
絞り出すように言う。この話題はコレで終わりだ。ヒカリにこれ以上話させちゃならねぇ。
「幼子かぁ……それならアグネアが話していた“ミルフィーユ”もそうだぜ。いつもそばで守ってる“テメノス”って名前の神官がお父さんしてるんだ。
ミルフィーユはディアと同じ背の高さだけど、全身動かして頑張るチビッ子みたいなヤツで、テメノス父さんのことが大好きなんだ。この前はおんぶをしてくれってピョンピョン跳ねながらお願いして、断られて、『背中をギュッてします』って言いながらしがみついていた」
ヒカリは目を見開く。暗い影がだんだんと消えていくような瞳だ。
「ミルフィーユとトモルは絶対話が合う。話せば大盛り上がり間違いなしだ。ミルフィーユはテメノス父さんを『愛してる』、トモルはヒカリ兄さんを『愛してる』……きっと大親友になるぜ」
ふ、と息をこぼしてヒカリは笑う。
ミルフィーユが『ミルディアさんは私のお姉ちゃんですよ!!』って言ったらトモルはディアを受け入れてくれそうだ。
「……ありがとう、パルテティオ。俺は嬉しかったんだ。
『怪我しないように戦う』と言ってくれたアグネアの言葉と、『“自分だけしか癒せない”と思って無理しないで』と言ってくれたミルディアの言葉と、孤独な夜をひとりきりにしたくないパルテティオの思いがとても嬉しかった」
胸がジンと熱くなる声だ。
青空がよく似合う笑顔だ。
「トモルと旅に出て、俺は良き友に巡り会えた」
「俺もだ。ずっと一緒に旅をしたいと思える仲間に出会えたぜ」
先に右手を差し出したのはヒカリだ。その手をすぐに握り、固い握手を交わす。
とても良い夜になった。
お互いに話した後は就寝だ。ヒカリは妹さんの寝るベッドに潜り込み、数秒で寝た。
そして時間が経って深夜1時。ディアとトモルが起床する。
俺は寝たフリで、ヒカリは深い眠りについている。
ディアが『星を見る?』と誘い、トモルは『お兄様のそばにいたいです』と断った。そりゃそうだろうなぁ……。
ディアもそれは分かっていたみたいで、明るい声で返事して、おやすみを言ってベッドを離れた。
「……はい。おやすみなさい」
緊張している固い声だ。すぐには打ち解けられない。これも『当然だな』と思った。
次に聞こえたのは布団に潜り込む音、ディアの足音。慣れない寝たフリは変にドキドキする。
ディアは俺のベッドの前で足を止めることなく、外に出た。追い掛けたい気持ちを我慢する。
『明日の動きが鈍らないように寝てほしい』……それがディアの願いだ。
何度か寝返りを繰り返し、寝ようと努め、わずかに開いた穴に飛び込むように眠った。
────まぶたが自然と開いた。部屋は暗く、差し込む月明かりが少ない。すぐに起き上がる。
ぐっすり眠るアグネア、くっついて寝る兄妹、ディアはまだ戻って来ていない。
吊ってある上着をひっ掴み、すぐに外に出た。
ここの宿屋は2階の高さにある。滑らかな木を組んだ階段が左右にそれぞれ伸びている。
左に下りれば師匠さんと大きな魔物が戦っていた広いところ、右に上がれば見晴らしの良いところに続く。
「……上だな」
星は変わらず輝いている。上に行けば行くほど、波のザザーンとした音が聞こえてくる。
行き着いたところにオーシュットと師匠さんとディアがいた。
柵も雨除けも一切置いていない開放的な場所で、端っこの方は怖くて立てない崖だ。
オーシュットは小さく丸まって寝て、師匠さんは横向きに座り、モフモフに埋もれるようにディアが密着してゴロンとしている。師匠さんのお腹を枕にしてるのか……。
「……ミルディアよ、おぬしの友が来たぞ」
「んー……?」
もぞもぞと動き、上半身をわずかに起こす。寝起きみたいな顔だ。
「……ティオ? なんでここに……?」
「慣れない時間に寝たから目が覚めたんだ。4時間は寝たはずだぜ。ディアはずっとここにいたのか?」
「うん……」
そのモフモフはとても居心地の良いのか、ディアはまた寝転がる。
「良い夜だな。師匠さん」と声を掛け、許可を貰ってからディアのそばに腰掛けた。
「師匠さんがよく分かんない言葉でずっと話してくれたの。まぶたが重くなってね、からだがすごい温かくてね、半分だけしか起きてない感じがしてね……」
「眠ってるみたいになってたんだな」
「うん……そうかも……」
ディアがまぶたを閉じる。
師匠さんがむにゃむにゃと何かを話し始めて、寝たような顔をする。
穏やかな呼吸は寝息みたいだ。
「おやすみ」
上着をディアに掛け、星空を眺めたくてゴロンと寝転がる。
師匠さんのむにゃむにゃ語は動物の言葉かな? テメノスや旦那なら知ってるかな?
メモを取ろうとしたけど、全身が動かなくなって俺もすぐに寝落ちした。